真田十勇士
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巻ノ四十一 石田三成その十二
「向かいますので」
「川の道もですな」
「進んでいきましょう」
こう言ってだ、そしてだった。
一行は今度は大坂まで船で行くことにした、そうした話をしてだった。
一行は石田と別れた、石田は茶室を出る時に幸村達に言った。
「それがしは聚楽第にいますので」
「あちらにですか」
「何かあればです」
その時はというのだ。
「何時でもいらして下さい」
「そしてですか」
「拙者がお力になります」
「そうして頂けるのですか」
「はい、それがし真田殿が好きになりました」
それでというのだ。
「出来ればこれからもです」
「それがしとですか」
「お付き合いをしたいものです」
「そう言って頂けますか」
「心から」
これが石田の返事だった。
「この様に」
「ですか、では」
「はい、これからもです」
「何かあればですか」
「それがしにお話下さい」
「それでは」
こうしたことを話してだ、そしてだった。
幸村達は今は石田と別れた、この日は休んでだった。
朝に船に乗った、その船のうちの一隻に十勇士達と共に乗ってだった。幸村は確かな声で彼等にこう言った。
「この度は船だが」
「前とは違いですな」
「船ですな」
「船に乗りそのうえで」
「大坂に向かいますな」
「陸の道はわかった」
前のその時にというのだ。
「そしてこの度はな」
「川ですな」
「その道を進んで学ぶ」
「そうしますな」
「そうじゃ、では行こう」
是非にと言ってだ、そしてだった。
主従は船で大坂まで下るのだった。そして今度は秀吉と秀長、もう一人の者に会うのだった。
巻ノ四十一 完
2016・1・14
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