至誠一貫
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第一部
第二章 ~幽州戦記~
十 ~激突~
前書き
2017/8/20 全面改訂
翌朝。
華雄は早々とやって来て、歩兵の調練を始めている。
熱の入りように、兵らも顔を引き締め従っているようだ。
それを横目に、稟らを天幕へと呼んだ。
「鈴々。済まぬが、先に行って始めてくれぬか?」
「にゃ? 愛紗や星はどうするのだ?」
「後から行かせる。少し、話があるのだ」
「わかったのだ」
素直に頷くと、鈴々は飛び出していった。
……流石に、鈴々の前では話せる事ではあるまい。
「さて、主。一体何事ですかな?」
「うむ。薄々感づいているやも知れぬが。ここにいる皆が、私と繋がりを持つ事と相成った」
「……ご主人様。ま、まさか……」
みるみる、愛紗が真っ赤になる。
「そのまさか、ですよ。愛紗ちゃん」
「……昨夜、歳三様に想いを打ち明けました。そして、受け入れていただいたのです」
風と稟も、顔を赤らめる。
「愛紗。私を、気の多い男……と思うか?」
「……正直、複雑な思いはあります。ですが、ご主人様から、そ、その……」
「抱いた、という訳ではありますまい? あの夜、私に囁いて下された事が真ならば……ですが」
そう言って、息を吐く星。
「虚言を弄するつもりはない。お前達皆が大切だ、今もそう思っている」
「しかし、何故それを我らに仰るのです? ご主人様が一時の気まぐれでない、そう断言されるのであれば」
「これは、私なりのけじめ、と思って貰いたいのだ。ただ、女子にだらしのない輩と思われては不本意なのでな」
私の言葉に、皆がはっきりと、頷いてくれた。
「歳三様。鈴々は、どうなされるおつもりなのですか?」
「稟。それは、お前達と同じように、という意味か?」
「そうです。……あの娘は、まだ子供。本人は否定するでしょうが、睦事には早い、と」
「もっとも、お兄さんが望むのなら、止めようがありませんけどねー」
「うむ。私も、それは避けるべき、と思う。鈴々が今暫く成長した後、奴自らが私を想ってくれるのであれば、その時に考えるべきであろう」
「……そうですね。私は、ご主人様の意見に賛成です」
「競争相手をこれ以上増やしたくないか、愛紗?」
「せ、星! 私はただ、鈴々の事を心配してだな」
「星、愛紗をからかうのは止せ。鈴々は、愛紗にとっては妹のようなもの、そうだな?」
「……はい。身体もですが、精神的にもまだまだ幼いところがあります。そのような様で、睦事は正直どうかと」
「心配せずとも良い。私も、そこまで分別なく、というつもりはない。……皆、良いな?」
「御意!」
「はっ!」
「承知しました」
「御意ですよー」
これで良い。
一人一人気遣えぬようで、人の上に立つ資格などあろう筈がないからな。
愛紗と稟はともかく、星と風には一応、釘を刺しておいた方がよかろう……さもなくば、鈴々に要らぬ事を吹き込む可能性がある。
取り越し苦労で済めば、それでも構わぬし、な。
「では、全軍。出立!」
「応っ!」
董卓・丁原連合軍に、我が義勇軍、併せて三万五千。
兵としての選抜には漏れたが、どうしても同行を望む者が増えたため、彼らには輜重隊を任せる事とした。
古来より、補給は兎角軽視されがち。
だがその結果、勝てる戦を落とした将は数知れぬ。
我が軍もこれだけの人数ともなれば、戦闘部隊とは切り離した一隊が必要であろう。
これは、稟と風にも諮ったが、全くの一致を見た。
今のところは董卓軍の輜重隊が運んでくれているが、いつまでも彼らと同行できる訳ではない。
それよりも、今のうちから独自に動ける体制を整えておいた方が良い。
……それに降伏したとは言え、一時は賊に身を落とした者共だ。
放免したはいいが、再び賊に戻る可能性もあり得る。
それならば同行させておいた方が、人々に要らぬ迷惑をかける恐れがない。
「それにしても、ご主人様の懐の深さには驚かされますね」
と、愛紗。
「そう思うか?」
「はい。……私など、あの廖化でさえ信じるに足りるのか、それすらも半信半疑でしたから」
「だが、黄巾党と言えども、根からの悪人など一握りであろう。使える者は使う、と割り切れば良いのだ」
「それにしても、お兄さんは常に合理的な判断をされますよねー」
「風もそう思うか? 時々、歳三様には軍師など不要なのでは、と思ってしまう事もあります」
「いや、私とて完璧ではない。武では三人には敵わぬし、智は二人に劣る。なればこそ、皆を頼りにしているのだ」
「にゃはは♪ 難しい事はぜーんぶ、お兄ちゃんにお任せなのだ。その分、お兄ちゃんは鈴々が守るのだ」
「その通りだ。ご主人様には指一本触れさせん」
「ああ。主の前に立ち塞がる者は、皆この槍で打ち払ってみせようぞ」
「うむ、頼むぞ。稟と風も、私に遠慮は無用だ。誤りと思えば直ちに申せ」
「御意!」
「了解ですよー」
皆、頼もしき事だ。
私も、道を誤らぬようにせねば……な。
進軍する事、五日。
そろそろ、敵と邂逅する頃、と見ていると、
「前方、二十里に敵影を確認!」
斥候から知らせが入った。
「……ふむ。紛れもなく、黄巾党のようだな」
双眼鏡で見れば、視界さえ良好ならば一目瞭然。
いかに遠目が利く者が多いとは申せ、流石にこれには勝てぬだろう。
「よし、全軍停止。董卓軍と丁原軍はどうだ?」
「ハッ! 我が軍の動きを見て、進軍を停止した模様です」
「ならば良い。この事を、両軍に伝えよ」
「ははっ!」
伝令が、陣を飛び出していく。
「お兄ちゃん! それを貸して欲しいのだ」
と、鈴々が双眼鏡を指さした。
「構わぬが。どうするのだ?」
「あの木に登って、敵の旗とか、数を見るのだ」
一本だけ、他よりも背の高い木が、生えている。
確かに、これならば敵情を見渡すには格好だが。
「だが、かなりの高さだぞ。気をつけよ」
「任せるのだ♪」
双眼鏡を渡すと、鈴々は首に提げ、するすると木の幹を登っていく。
「無理するんじゃないぞ、鈴々」
「ふっ、心配か? 愛紗」
「当たり前だろう、星? 万が一、手が滑ったらどうするのだ」
「やれやれ。少しは鈴々を信用してやってはどうだ?」
「フン、私の勝手だ」
とは言え、器用なものだ。
あっという間に、頂点近くに達してしまったようだ。
「見えたのだ! 黄巾党の旗以外に、『楊』と『韓』の牙門旗があるのだ!」
鈴々の声が、頭上から響いてきた。
「楊奉と韓暹でしょう。間違いなく、白波賊ですね」
「後は数ですねー」
「どうだ、鈴々? 数はわかるか?」
愛紗が大声で問いかけると、
「とにかく、一杯なのだ!」
「一杯ではわからんぞ!」
「うー、でもたくさんなのだ。鈴々達と、同じぐらいに見えるのだ」
その言葉に、皆の顔が強張る。
「間違いないのだな、鈴々?」
「きっと、そうなのだ!」
「わかった。鈴々、下りて参れ」
「了解なのだ!」
集めた情報を持ち、董卓の許へ向かった。
「斥候の報告でも、白波賊の数は凡そ三万との事です」
董卓の言葉で、軍議が始まる。
「張飛の見た数とほぼ一致、ちゅう事やな」
「うむ。二万と踏んでいた賊軍が三万とは。いかに私の武を以てしても、この差は厳しいな」
「……親父。どうする?」
「ううむ……」
もともとが、数の優位を活かした作戦を立てていたのだが、その前提が崩れてしまった。
「黄巾党は、日々膨れ上がっている、とは聞いていたけど……。まさか、この短期間に一万も増えるなんて」
賈駆が、頭を抱える。
「数はこれで互角、という事になりますが」
「問題は、兵の練度ですねー。相手が賊軍という事を割り引いても、こちらの被害も少なくはないかと」
まさに、問題はそこであった。
兵というものは、数を集めればそれで済むというものではない。
ましてや、短期間とは言え、名だたる将達が鍛えた兵だ。
仮に勝てたとしても、こちらの被害が大きくて何の意味もない。
勿論、董卓軍や丁原軍の被害も、少なければ少ないほどいい。
「……土方さん。お願いがあります」
「何でござるかな、董卓殿?」
「はい」
董卓は、真剣な眼差しで、私を見ている。
「これから黄巾党との戦いが終わるまで、全軍の指揮を、執っていただけないでしょうか?」
「何故、そのように言われる? 私は無位無官、出自すら怪しきものですぞ?」
「いえ。今は、そのような事に拘っている場合ではありません。それに、指揮系統が散らばっていては、戦場で不利にはなっても、決して有利には働きません」
「これはな、ワシと月で相談した結果なのじゃよ、土方殿」
顔色の優れぬままの丁原が、後を紡ぐ。
「貴殿の指揮官としての才は、申し分がなかろう。それに、決断が的確で、迅速じゃ」
「ですが、実戦経験は丁原殿も、董卓殿も豊富ではありませぬか?」
「ワシはこの通り、明日をも知れぬ身体。到底、総大将の重責には耐えられぬよ」
自嘲気味に、丁原は笑う。
「私も、ずっと土方さん達を見て来ました。そして、考えた末の結論です」
「……どうやら、戯れではないようにござるな」
「冗談でこんな事は言いません。それに、これは他の皆さんの総意でもあります」
そう言って、董卓は、麾下の諸将を見渡した。
「ボクは、月以外には智を使わない。……けど、月の頼みだから。し、仕方なくよ!」
「私も、この武は月を守るため。だが、貴様が月の味方である限り、力添えしよう」
「二人とも、素直やないなぁ。ウチ、いっぺんアンタの指揮で戦ってみたんや。月があかん訳やないけど、是非ともアンタの真髄、見せて欲しいねん」
三者三様だが、それでも皆、月の意向に従うつもりのようだ。
「恋も、良いな? お前の強さ、土方殿なら遺憾なく、発揮させてくれよう」
「……ん。恋も、それでいい」
呂布も、頷いて見せた。
「……わかり申した。ただ、一つだけ懸念がござる」
「何でしょうか?」
「将の皆様はこれで良いとして。兵は、私の命では従わぬ者も出てくるでしょう」
「それは、周知します」
「いえ、それでも人間というもの、明確な上下関係がなければ動かぬ者もおりますれば」
「では、何かお考えがあるのでしょうか?」
私は、ゆっくりと頷く。
「董卓殿が、総大将で宜しいかと存ずる」
「ですが、それでは」
董卓が反論しかけたのを、私は手で制した。
「続きがござる。総大将は董卓殿ですが、拙者は参謀長という事で如何でござるかな?」
「参謀長?」
耳慣れぬ言葉なのか、董卓と丁原が、首を捻った。
「然様。拙者の国の軍制にござるが、戦場での最高責任者は司令官。実質的な作戦立案と、部隊の運用全般に当たるのが参謀長と申す。最終的な決断は無論司令官の任にござるが、実質的な総大将が参謀長、という事例は枚挙に暇がありませぬ」
「……つまり、土方さんが私の側に。その提案を私が承認する。そういう事ですか?」
「はい。それなれば、命に従わぬ者は、明確な規律違反。少なくとも、表だっての不服従は不可能でござろう」
「一つ、いいかしら?」
と、賈駆が手を挙げた。
「どうぞ」
「それだと、ボク達はどういう立場になるの? アンタが全部動かす、というのなら、軍師は必要なくなるわ」
「いや、それは違い申す。賈駆殿と、稟、風には、参謀の任についていただく。無論、拙者の命には従っていただく事になりますな」
「参謀ね……。それは、今まで通り、というように理解していいのね?」
「結構でござる」
「わかったわ。それで、アンタは引き受けるのね?」
「董卓殿と丁原殿が、それで異存なし、と仰せならば」
「私は構いません」
「ワシも、それで良い」
決まりだな。
……しかし、自ら提案しておいて何だが、責任は重大。
責任を負うのは総大将とは申せ、私が誤れば最悪、全軍に被害が及ぼう。
私は何度か斥候を放ち、詳細を調べさせた。
慎重を期すに越した事はない。
時には大胆さも必要だが、皆の信頼を得る事が肝要。
この戦い、必ず勝利を得る必要があるだろう。
「敵は陣を敷いているようだな、賈駆?」
臨時の措置とは言え、今は賈駆も我が命に従う立場となる。
賈駆らから、そうである以上敬称は要らぬ、と申し出があった。
固辞する理由もなく、指揮系統もその方が明確で良い故、黙って受ける事とした。
「ええ。ただ広がっている訳じゃないわ、きちんとした鶴翼の陣よ」
「……ふむ。どう見る、稟?」
「はい。見よう見まねであれば、我が軍の陣形に応じた動きが出来ない筈です」
「よし。ではまず、魚鱗の陣にて敵前に布陣。その後、鋒矢の陣へと変える」
「お兄さん。それでは、包囲されて各個撃破されてしまいますが?」
「だが、突破力は随一だ。張遼、星、二人が矢の先頭に立て」
「よっしゃ! 任せとき!」
「御意!」
「むー、お兄ちゃん。どうして、鈴々じゃないのだ?」
頬を膨らませる鈴々。
「良いか。鋒矢の陣は、正面突破に適した陣形だ。その分、先頭を行く将は常に冷静に状況を判断し、かつ危険な役目となるのだ。その点、張遼と星が適任であろう。それが、私の判断だ」
「愛紗は左翼に、稟が補佐せよ」
「はっ!」
「御意です」
「鈴々は右翼。風がつけ」
「わかったのだ!」
「了解ですー」
「華雄は中央だ。先鋒が押されるようであれば、前に出て押し返せ。頃合は、賈駆が判断せよ」
「うむ、わかった」
「わかったわよ」
「……恋は、どうする?」
「呂布には、別に動いて貰う。それまで、本陣で待機だ、いいな?」
「……わかった」
そして、両軍の間隔がじわじわと迫る。
「ふむ。鋒矢の陣を見て、中央を重厚にするか」
そう、鋒矢の陣は突破力こそあるが、その分、中央を備えられると、動きが止まってしまう。
その間に、包囲されれば各個撃破される上、後方の兵が遊兵と化す。
「どうやら、敵には軍師がいると見て良いな」
「……どうする?」
呂布は、相変わらず無表情だ。
「このまま、敵に悟られぬよう待機だ。合戦が始まったら、合図する」
「……わかった」
「土方様! 張遼将軍と趙雲殿が、敵陣に突入を始めました!」
伝令が、息を切らせて駆け込んできた。
「そうか。敵の動きは、逐次知らせよ」
「ははっ!」
張遼は異名に違わず、見事な突破力を見せているようだ。
それに、星もいるのだ、容易には崩れまい。
「敵、包囲を始めました!」
「……よし。呂布、お前は敵の右翼に襲いかかれ。とにかく、存分に暴れればそれでいい」
「……それだけ?」
「そうだ。ただし、あまり深追いはするな。適度に引き上げるのだ」
「……ん。行く」
呂布なら、大丈夫だろう。
「前衛はどうか?」
「はっ! 張遼将軍、趙雲殿、共に敵の包囲を弾き返しており、奮戦中!」
となると……そうだな。
「賈駆と華雄に伝えよ。一部を前衛の支援に残し、左翼の撹乱に当たれと。賈駆にはそれで十分の筈だ」
「ははっ!」
これで、打つ手は全て打った。
「董卓殿。拙者、前衛の様子を見て参りまする」
「え? ですが、土方さんはここで指揮を執っている方が」
「拙者が出す指示は、これで全てでござる。それに、参謀長が前線に立ってはならぬ、そんな決まりはありませぬ。ご案じめさるな」
「……わかりました。土方さんの判断にお任せします。ただ、無茶はなさらないで下さいね」
心から気遣ってくれているのだろう。
……本当に、これがあの董卓だとは思えぬな。
「怯むな! 敵は数は多くとも烏合の衆!」
「せや! ウチらさえ崩れへんかったら、この戦、勝ちやで!」
星と張遼、それぞれに声を張り上げて勇戦の最中。
張遼の麾下は流石に猛者揃い、機動力を活かして敵を蹂躙している。
……星の方は、やはり義勇兵と元賊が主体だけあり、やや及び腰か。
「だ、ダメだ! 囲まれちまう!」
「ええい、怯むなと言ったであろう!」
敵を槍で貫きながら、星が兵を叱咤する。
「い、命あっての物種だ! に、逃げろ!」
……だが、数名の兵が、敵に怯えて逃亡を始めてしまった。
「待て」
すかさず、私はその前に立ち塞がる。
「どこへ行く? まだ、戦闘は終わっておらぬぞ」
「ど、どけ!」
「どけぬな。貴様らのような者がいては、全軍の士気に関わる。今すぐ持ち場に戻れ」
「い、いやだ! こんなところで死にたくねぇ」
「……そうか」
先頭にいた男に、私はずかずかと近寄る。
「な、何をするんだ!」
「士道不覚悟。よって、この手で始末してやる」
兼定を抜き、構える。
「ひ、ひいっ! く、くそったれっ!」
半ば自棄気味にかかってくる男。
……相手の実力も見えぬ、か。
ただ振り回すだけの太刀筋など、全く恐るるに足らず。
そのまま、袈裟斬りにした。
「な、な……ん……」
男は倒れ伏し、草が朱に染まっていく。
「さて、お前達はどうするのだ? この男と同じ道を歩むのなら同じ場所へ送って遣わす」
兼定を突きつける。
「……こ、こうなりゃ、やってやる! なぁ?」
「お、応っ!」
後ずさりした男達は、一目散に敵陣へと向かっていった。
「主! 忝い!」
「気にするな。……む、敵の動きが変わったようだな」
両翼の乱れが、中央にも波及したようだな。
明らかに、敵は浮き足立っている。
「今だ! 張遼、星!」
「よっしゃ!」
「行くぞ、皆の者!」
突撃していく二人を見送りながら、兼定に血振りをくれた。
「誰か」
「はっ」
控えていた、伝令の兵が近寄ってくる。
「愛紗と鈴々にも伝えよ。もはや勝敗は決した。一気に敵を叩け、とな」
「ははっ!」
喧噪が、徐々に遠ざかっていく。
……相手も善戦したが、所詮は賊軍。
いや、我が軍が優れている、と言うべきか。
馬蹄の音が、近づいてきた。
呂布が一騎で、こちらに向かってくる。
……脇に何か、抱えているようだが。
「どうした?」
「……捕まえた。敵の、軍師」
「ほう」
見れば、まだ子供のようだが。
「死んでいるのか?」
「……(フルフル)」
「そうか」
皆が戻ってから、問い質してみるとするか。
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