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ウルゼロ魔外伝 GANTZ/ULTRASEVEN AX

作者:???
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仁-セブンアックス-

 
前書き
ジン視点です。 

 
M78星雲光の国の戦士…『ウルトラセブンアックス』

それが僕の名前だ。
父が祖父の名前に、『Another X』の略称としてアックスと付け加えることで名づけた。
『X』には可能性という意味が込められている。自分たちとはまた異なる可能性を見出せるように…と。そんな願いを込めていたんだろう。


元々僕はこの次元には任務のために訪れた。この次元に逃げた侵略者…地獄星人ヒッポリト星人を討伐するために。
奴はかつて先輩であるウルトラマンエースを、そしてウルトラ兄弟たちを追いつめ、一度全滅に追いやったほどの強敵だった。でも、僕たちは同じ相手に何度も負けるほど怠惰していない。
かくいう僕も星人や怪獣に応じたそれぞれの先方を整え、ここにいる。対策を整えた今、ヒッポリト星人に負ける訳に行かない。
そして僕は買った…はずだった。最後に油断してしまったかもしれない。奴は僕を捕まえると、地球に大気圏に突っ込み、自分もろとも
「はははは!!流石の貴様らウルトラ戦士も、大気圏の摩擦には耐え切れまい!このまま溶けてなくなるがいい!」
「やめろ!お前も死ぬんだぞ!」
「ふん、どうせ貴様には勝てんのだ。ならば最後に責めて、貴様を道連れにしてくれるわ!」
敗北し、どのみち自分に氏が訪れることを悟ったために自棄になったかもしれない。何とか生きるために、僕は奴を振りほどこうとしたんだけど、ヒッポリト星人が僕を捕らえていたカプセルは内部からは決して壊すことができない。このまま、溶けてなくなるのをも待つしかないのだ。

僕は、覚悟を決めるしかなかった。譲歩しても、せめて運よく生き延びることを祈るしかなかった。



そして、大気圏内で僕は燃えカスとなって死んだはずだった。


だけど…



黒い謎の球体、GANTZ。

僕はその球に導かれてこの地球に落ちた。父さんたちが守ってきた宇宙とは異なる、異次元の地球に。



気が付いたら、なぜか僕は人間の姿になって、東京タワーが見えるマンションの空き部屋に転送されていた。他にも高校生くらいの少年たちや、柄の悪そうな人などがいる。あまりにもバラつきのある組み合わせだった。寄せ集めの団体にしてはまず出来上がらない組み合わせ。だけどこうして一つの部屋に集まっている。
そして部屋にはもう一つ、奇妙な黒い球が安置されていた。
その黒い球は、僕の眼で透視することは不可能だった。地球で作られる程度の金属類でも僕はその先を透視することはできる。…決して女性の着替えとかに使ったことは無い。神に誓って。
それはともかく、僕の一族はあらゆるものを見通すことはできるのに、この黒い球は透視することはできなかった。少なくともこの黒い球は…。


と、気が付いたらなぜか自己紹介しあうことになり、僕もとりあえず父や祖父が名乗っていた人間としての名前を元に、適当に偽名として『平賀ジン』を名乗った。

で、適当な感じで自己紹介が終わると…驚いたことに裸の女の子が湯に濡れた姿で姿を現した。

…言っておくが見てはいないからね!!

人間の姿の僕とほぼ同じ年齢の学生に寄りかかる形で女の子が落ちてきたけど、全然羨ましくなんかないぞ!
まぁそれはともかく、ヤクザのおっさんがその女の子が目を覚ました途端彼女を引っ張って言って…
うん、宇宙警備隊養成学校でもたまにいるって聞いてた。同じ人間相手に酷いことができる腐った人間がいるって。メビウスとかが特に酷い目にあったって聞いてる。正直そんな人間がいると聞くと、僕たち宇宙警備隊の者は当然のごとくモチベーションがダウンする。光の国の教科書にも悪名高い人間として名を残したその「ヒルカワ」って男を直接会って殴り飛ばしてやりたいくらいだ。
だから、この目の前のヤクザのおっさんを防衛任務とかそっちのけに、己の正義感にしたがってそいつをぶん殴ってやりたくなる。でも、僕の養成学校ではそんなことは絶対にしてはならないタブーだとされていた。

でも、だからってとめないままでいるわけに行かない。目の前で汚されようとしている女の子を放っておくことは流石にできなかった。そう思って僕が自ら出ようと考えていたら、代わりに加藤ってガタイのいい人が「…よし!」と気合を入れ、ヤクザのおっさんと女の子が消えた玄関へ向かって言った。
直後、おっさんのわめき声が聞こえた。「クソガキ!!」と罵声を浴びせながらヤクザが暴れるのをとめる加藤さん。腹を殴られた彼を見て、これ以上は見過ごせなかった。正しいことをした人が馬鹿を見るなんて、それこそばかげてる。

「やめてください。そもそも彼女に乱暴しようとしたあなたが悪いじゃないですか。警察に突き出しますよ?」

だからそのヤクザのおっさんの手を掴み、壁に向けて一発殴り飛ばしてやった。
って、思った以上におっさんが悶絶してる…。
軽くしたつもりだったけど、ちょっとやりすぎたかな?本当は殴っちゃいけないって言われてるけど…まぁ死んでないからいっか。

で、その直後だった。黒い球体から突然変な曲が流れた。地球の人達はこれを『ラジオ体操の歌』とか言ってるけど、なんだろう?
すると、球体の表面がモニターとなって怪しげな文章を表示する。


てめえらの命はなくなりましたとか…本来違う星の存在である僕から見ても、この日本語の文章はおかしい。『さ』が裏返してるように『ち』って書いてあるし…。


そして、いかんせん胡散臭さを漂わせるものが、文章に変わって表示される。

なにやら異星人の情報が画像つきで紹介されているようだけど…

(ね…ネギ星人?)

正直面食らった。だって…バルタン星人とかヒッポリト星人ならともかく

…ネギだよ?食品だよ?お野菜だよ!?
なんで食品名がそのまま星人の名前として成立してるの!?ウルトラの歴史で初めてですよこんなアホらしい名前の宇宙人!
誰かのいたずらじゃないのか…?
と、僕の意思を無視するかのごとく、黒い球から引き出しが突然飛び出してきた。引き出しには銃がたくさん取り付けられていて、内部にはスーツケースがセットされていて、なんだか穏やかじゃない。そのスーツや銃も透視を試みたけど、見通すことはできなかった。この黒い球に対する一つの憶測が確信に変わった気がした。
ふと、スーツケースの一つに自分の名前が刻まれていることに気づく。しっかり『ジン(?)』と名前が書かれている。…(?)って何さ。
それにしても、スーツを取り出したときに見つけたんだけど、黒い球の中にいるこの男(?)みたいな奴は一体誰なんだ?呼吸器をつけたままじっと眠りについていて動こうとしない。この装置の本体なのだろうか。

すると、なにやら周囲がざわつきだす。ヤクザのおっさんの一人が、頭からみるみるうちに消えている。命の鼓動は感じる。恐らく消されているのではなく、転送されているのだ。他にも次々と人や犬が消えていく。
この黒い球体の伝えたとおり、ネギ星人とやらを倒して来いということか。己の勘に従って、僕もスーツを着て黒い球体の転送を受けた。スーツは体にぴったりのサイズだった。まるであらかじめ今の僕の体のサイズを知っていたような感じに、少し気持ち悪さを覚えた。


外に転送され、僕は日本の住宅街に立った。玄野って人が転送前にスーツを着損なったせいで真っ裸で出てきたときは少し驚かされたが、今はそんなどうでもいいことを気にしてる場合じゃない。
すると、西と名乗っていた少年が何かを話し出した。これは賞金を賭けたゲームだという。それも星人の命を狩ることを目的としたものだ。内心僕はかなり不快感を抱いた。
命を駆るゲーム。それはつまり、命をもてあそんでいるも同じだ。でも、あの少年や彼に踊らされた人たちの目に、それらを重んじる心が見えなかった。あっさりと踊らされ、ヤクザのおっさんや顔がイケてる以外とりえのなさそうな兄さんたちはそのまま走り去っていった。鈴木って名乗っていた人は興味なさそうに帰っていった。
父さんは、絶望的なものを目にして、絶対に目を閉ざすな…と言っていた。その上で弱気物を守れと教えられた。でも、こんなのを見ていたらその気さえも消えてしまいそうになる。
でも、加藤さんみたいな人もいることを思い出すと、どうしてもその気が消えないまま残る。
そのネギ星人なんて変な名前の星人を倒す理由が僕にも無かった。けど万が一ってこともあるから、玄野さんたちを送り届けたらもう一度ここに着てみることにして、加藤さんたちに同行した。
とりあえず一の宮ってところに来ると、加藤さんがさっきの人達を見つけた。何かを必死になって追いかけている。その追い回されている相手は、あの黒い球体のモニターに表示されていたネギ星人そのものだった。
本当にいたのか。確かにあの黒い球体が怪しいとは思っていたが、まさかネギ星人だなんて侵しない星人が実在しているだなんて思わなかった。加藤さんはそれを見るや否や、ネギ星人たちのほうへと走り出してしまう。一体どういうつもりだろうか。もしや、あの星人からみんなをかばおうとしているのだろうか。

気になって僕らも後を追ってい玖ことにしたんだけど、道に迷ってしまった。こんな小さな路地を歩くのは、僕の人生で初めてだったかもしれない。けど、しばらく歩いてると、頭の中にピンポロパンポン♪と変な音が聞こえる。誰かの通信機の着信音なのだろうかと思ったが、あたりを見渡していると、目の前の方に誰かが倒れているのが見えた。目を凝らして確認すると、僕は思わずのどから何かが出てきそうな気持ち悪い感覚を覚えた。

あの服装は…さっき分かれた鈴木さんのだ。でも…首から上が無い。玄野さんと岸本さんもそれを見て僕と同じ反応を示した。破裂してしまったのか?いや、何の原因も無く頭がそうなってしまうなんてありえない。まさかと思って、僕は自分を含めて3人の頭の中を透視してみた。
いやな予感はそれだけあたりやすいというものなのか。いつの間にか僕らの頭の中には爆弾が仕込まれていた。さっきまでピンポン鳴り響いていた音は爆弾の音だったのだ。
僕はとにかく二人に引き返すように叫んだ。そうすると、さっきまでなっていた音は大人しくなった。鈴木さんはさっき帰ろうとした。でも頭の中の爆弾が発動してそれは叶わなかった。恐らく…ネギ星人を殺さない限り帰ることは許されないということになる。

…くそ、なんて悪趣味な。

加藤さんのことも心配だし、彼やネギ星人を追っていくことにした。
彼らを追った先の住宅街で見たものは…もっと残虐な光景だった。
ヤクザのおっさんや先生たちが…ばらばらに切り裂かれて血の池を見事に作り出していた。その傍らには、加藤さんも倒れていた。手首が切られてしまっていて血が噴出している。そしてもう一人、さっきの小さなネギ星人ではなく、その親のような凶暴な風貌をしている星人が立っている。
奴をよそに、岸本さんが真っ先に加藤さんの下に駆け寄る。しかしネギ星人はそんな彼女にも一切容赦しようとしない。
まずい!そう思った僕はネギ星人を殴り飛ばした。加減したわけではないが、人間の姿になるとやはり本来の姿の力を比べて限定される。けど、届いているわけではなかったにせよ、予想以上のパワーが僕の意思に反して発揮されていた。殴られたネギ星人が家の塀を突き破っていた。
よく見ると、ネギ星人を殴った僕の右腕が大きく膨れ上がっている。

変身したわけでもないのに…この力、一体!?

しかし、まだ安心するには早かった。殴り飛ばされた怒りもあいまってか、ネギ星人は空高く飛び上がり、岸本さんに襲い掛かってきた。傍らにいた玄野さんが、彼女に伸びてきた奴の両腕を引っつかんだ。僕のときと同じように、彼の両腕も膨れ上がっていた。
それから玄野さんは何かに目覚めたように、ネギ星人を殴り始めた。その一撃一撃が凄まじく、ネギ星人の右腕をへし折った。
腕を折られ、玄野さんからも容赦ないラッシュを叩き込まれ、ネギ星人は命乞いをし始めた。ネギをあげるから許してくれと。だが玄野さんはキレていた。恐らく昔なじみでもある加藤さんを傷つけられた怒りがそこにあったのだ。
「計ちゃん、もういい…」
かすれた声で加藤さんが言った。あれだけ血を流していても、まだ息があったのだ。その一言で、一時玄野さんが動きを止めていると、突然どこからかワイヤーが飛んできてネギ星人を縛り付けた。飛んできた方を見ると、闇の中から西と名乗っていた少年が姿を見せた。どうやら僕たちが着ているスーツには力を上げるだけじゃなく、
あのスーツにはステルス機能があったとは予想外だった。

しかし僕は疑問に思った…なぜこの少年はヤクザのおっさんたちを助けに来なかったのだ?姿を隠し、銃でネギ星人を撃ちさえすれば、死なずに済んだ人たちがいるはずだ。
その理由はすぐに明かされた。西は、おっさんたちの殺される残虐な光景を文字通り楽しんでいたのだ。恐らくこの少年は以前からあの黒い球体によって呼び出され、あんなグロテスクなものを見続けてきたのだ。そのせいで、こんな吐き気を催すような光景に対して不快感どころか、快感に思うだなんて…。
信じられない外道だった。こんな人間を守るために、僕の父たちは戦ってきたというのか…。
「こいつの死ぬ姿、見てみたいでしょ?」
下卑た笑みを浮かべ、ネギ星人を殺すように促す西。
しかし、玄野さんはふざけるなの一言で一蹴した。自分の友人を傷つけられても、彼は最後の最後でネギ星人への殺意を消していた。
西のせいで人間に失望するところだったけど、思い出せば強姦魔になろうとしたヤクザのおっさんを止めようとした加藤さんや、今こうして西を否定した玄野さんがいる。何も外道ばかりじゃないのだ。だから父さんたちも守ってきたんだ。
一人勝手に呆れ顔になって自分の手持ちの銃の引き金を引く。まさか、今度は自分が殺すのか。
しかしそうはならなかった。引き金を引かれたネギ星人が、転送されたときの僕たちと同じように頭から輪切りのように消えていく。
どうやら僕たちが使っている銃には二種類ある。一つは破裂させる効果のある抹殺用、もう一つは西が今使った転送用の銃だという。そんなものがあるなら早く説明してほしかった。だがこんな快楽殺人者みたいな奴じゃ信用ならない。説明しろといったって言わなかったと思う。人の死に様を楽しむような奴だから必然か。
ネギ星人は結局倒したことになり、全部終わったかに思えた。
でも、まだ終わりじゃなかった。突然僕たちの頭上から突然レーザーが降りかかってきた。危うく当たるところだったけど、幸運にも直撃を受けずに済んだ。頭上を見上げると、そのレーザーを発射したと思われるUFOが僕たちの頭上を飛び回っていた。
ネギ星人の宇宙船なのだろう。同胞を殺された怒りなのか、それとも侵略者たちの計画を邪魔された腹いせなのか、なんにせよ彼らが敵意を持っていることははっきりしていた。
すぐに僕は、一旦玄野さんたちから離れた。

周りに人がいないのを確認し、僕は本来の姿に戻るための赤いゴーグル『ウルトラアクスアイ』を身に着ける。
瞬間、アクスアイを装着した目元を中心に、僕の全身に強烈な光のパルスが走り、本来の姿に姿を変えていく。

M78星雲の人間、ウルトラセブンアックスとしての姿に。

顔は父親に、全体的な姿は祖父によく似ているといわれている。それは二人を尊敬する僕としては嬉しいことだった。

すると、UFOのボディの下につけられたとげのような部位から一発の光が地上に落とされる。それが一体の巨大な怪人となる。ちょうど巨人化した僕と同じくらいのサイズだった。
怪人…ガルキメスは僕を殺そうと攻撃を仕掛けてくる。でも、大したことはなかった。一撃一撃が僕の想定範囲内。動きも読みやすく、容易く受け止められた。
一気に終わらせよう。祖父の代から受け継いだ、『アクスラッガー』を飛ばし、ガルキメスを一刀両断して葬り去ると、額のビームランプから『エメリウムレイ』をUFOに向けて飛ばし止めを刺した。

これで終わったかと思ったら、僕のプロテクターに小さな爆発が起こった。別に痛くは無かったけど、その発射した相手が人間…それもあの西とか言う非道な少年だった。しかも全く反省の色が無い。僕はこの少年を見たときほど人間嫌いになったことは無いと思った。
すると、少年の姿が輪切りになって消えていく、玄野さんたちもそうだ。僕の姿も最後に消えていった。



転送されると同時に、僕は人間の姿に戻っていた。驚いたのは、あれだけ深い傷を負っていた加藤さんの怪我が一瞬で完治しており、何事も無かったように生還したことだった。この人のような人間は死ぬべきじゃない。玄野さんもそうだったけど、僕も安心した。
あの黒い球体、西はガンツと呼んでいた。彼の話によると、今からそれが祭典を始めるらしい。頭の中の爆弾のこともある。どこまでもゲーム感覚なのかと思うと、この黒い球体が忌々しく思えてくる。
変なコードネームで僕たちのリザルトが表示されていく。西は3点、僕は10点、他の皆は0点だった。玄野さんは人間でありながらネギ星人をボロボロにしていたのに0点。どうやら確実に相手を殺すか転送するかしないと点数はもらえないということなのだろう。…玄野さんのガンツからのリザルトコメントは笑ってしまったけどね。
全部終わり、西によるとリザルト終了後は帰ることができるそうだ。
しかし気になる。この少年はやはり前からこんな残酷なゲームをし続けてきたのだろうか。でなければこんなに詳しいはずが無い。
すると、西はその答えを返してきた。1年前に転落死した時にこの部屋に来たらしい。それから彼は残酷な光景を目の当たりにし続け、人間が踏み込んではいけない快楽に踏み込んでしまっていた。死んだ人間のリストを見せてもらうと、顔写真という形でネギ星人に殺されたあの人達の姿も映されていた。
しかし許せなかったのは、それを助けようともせず、それどころかけしかけて星人に彼らを殺させたこの西の醜さに苛立ちを覚えた。しかも、こちらを偽善者呼ばわり。腐りきっている。
加藤さんはそれを許せず、ついに我慢ならず彼の胸倉を掴んだ。玄野さんと岸本さんも西の残虐さを許容しきれずにいた。僕もできれば西を殴り飛ばしてやりたかった。でも…
こいつは皮肉にも貴重な情報を教えてくれたのだ。それに、こんな奴のために殴ることは、見立てを変えるとこっちの品位を下げることにも等しい。加藤さんは僕の言ったことが通じたのか、大人しく下がってくれた。
すると、西は今度は僕の方に視線を向けてきた。

「それで人間に化けたつもり?」

絶句させられた。他の3人は意味を理解していなかったみたいだけど、僕は西の洞察眼を評価せざるを得なかった。同時に、僕の西に対する危険認識が高まった。


ともあれ、僕はこの宇宙からもとの世界に戻ることができなくなった。この先も残酷なゲームに参加することとなるのだろう。
でも、それでも僕は逃げるわけに行かなかった。ガンツが選んでいる星人が人類に害をなす存在ならば、それを倒すのが僕の使命だ。
父さんたちが決してあきらめたり逃げもしなかったように、僕も…。





 
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