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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十五章
  坂本城にて各衆への出陣風景×五条大橋にて戦闘開始

夜が更けてから、朝を迎えた。出陣の陣貝が鳴り響く。

「皆々の衆!京より鬼を駆逐する!」

「長尾衆、出陣するわよ!」

坂本城の城門が八の字に開かれ、そこから長尾衆達が出陣していく。特徴的な色使いの軍装に身を包み、意気揚々と進軍する様子が頼もしく見えた桜花達だった。なお俺はまだここにいるが、連合が坂本城を出発したら俺も最後のリハーサルをしに行く予定だ。

「あっ、一真さんっす」

「おはよう一真さん」

「おはようございます、一真さん」

「おはよう諸君」

本来ならば主人公にはスケベと呼ばれているので、秋子のみ挨拶をするらしいが俺はこの連合内で最強とも言える存在なので、柘榴や松葉も名前をちゃんと呼んで挨拶をしたので挨拶をした。剣丞の名前を覚えられない奴らに挨拶する気がない、というセリフがあったな。

「先手の方には、俺の妻達である奥方衆魏がいるので指示をちゃんと聞くんだぞ?柘榴に松葉」

「分かってるっすよー!」

「指示聞く」

「お見送りありがとうございます。越後の龍の爪牙として、我らの名を天下に響かせてご覧に入れましょう。それに曹操様達の指示にはちゃんと聞くので、そこは安心しといて下さい」

「戦果を期待しているぞ、秋子」

「お任せを。一真さん」

「けど、鬼相手だとなかなか厳しい」

「そっすねー。秋子さんまで回らないように、柘榴達がしっかりしないと曹操様達に恥を晒す訳っすー」

「秋子が本気を出したら・・・・ガクガクブルブル」

奥方衆魏のメンバーは、今の所華琳しか知らないのか。華琳以外のメンバーは、合流してから自己紹介させとくか。秋子が本気を出したらどうなるのかは、俺でも分からないが柘榴と松葉はいい加減な事を言ってたらしい。嫁の貰い手がこれ以上増えないとはいえ、少々納得しない顔付であったが秋子は長尾衆の矛と盾を見つめていた。

「では我らの奥方衆魏と共に先手の働きを我らに見せてくれ!」

「任せるっすー」

「やる」

「お任せあれ。・・・・では一真さん」

「・・・・武運を」

兵を引き連れて進軍する三人の背中を見送ったら、今度は美空だった。

「あら。良人が見送りに来てくれる何て、私もまだ妾だって思っていいのかしら」

「まあな。今回は余りゆっくり話せていないが、また今度な」

「・・・・嘘よ。お互いに忙しいんだから仕方ないし、貴方は昨日まで最前線にいたのだから当然よね」

美空の言葉の奥底には、少量の寂しさが籠っているのが伝わってくる。まあ今回で鬼退治も終了したい訳だし、この外史から脱出したら今度話せる機会はいつ来るのか分からない。何せ黒の駒と聖剣エクスカリバーを譲渡されたら、戦国チーム(仮)として黒神眷属の力としたいからきっとアグニやミーガン達らがきっちりと強くさせるんだろうな。

「ま、鬼退治もいいが一つ言っておく。俺の仲間には曹操という名前が二人いるが、一人は男でもう一人は女だが特徴的な武器で判断すればいい。男の方は聖槍を持っていて、女の方は鎌を持っているから様付けをするのは鎌の方だと注意として言っておくよ。それと脱出後には、ゆっくり話せると思うな」

「確かにいたわね・・・・だけど武装と男性か女性で判断するのも良くないと思うけど、頭に入れとくわ。それと信じて良いの?」

「間違えると頸刎ね飛ばされるから注意だが、脱出後の会話については毎日という訳にはいかないかもしれない」

「それぐらい理解はあるから安心しなさい。・・・・何せ私の旦那様は天下御免の女心が分かる者なのだから」

「二つ名もいいが、今なら美空の叶える事が出来るがそれは何かな?」

「じゃああのね、えっと一つだけ叶えてほしいんだけどいいかしら?」

俺は未来予知で何となく分かっていたからか、甘えた声を聞きながら頭を差し出した美空だったので頭を撫でながらついでにお祓いをした。そして今は見えない護法五神だけど、美空の事を頼んだぞと言ったら無言の頷きと共に充分とも言う程に撫でてやった。

「まさか私の叶える事が分かっていたなんてね、もしかして義妹でも聞いたのかしら?」

「護法五神には何も聞いてないし、ちなみに仏の加護から神の加護として追加させてもらったんでな」

上機嫌な様子で浮かべた微笑みは、今までよりもとても良い笑みであった。美空は馬に乗った。

「じゃあ行ってくるわね」

「ああ。華琳達である奥方衆魏と合流したら同じ事を言うが・・・・武運を」

「そちらも無事にいてね?約束よ?それに曹操様達の指示はちゃんと聞くから安心してね。じゃあ行ってきます」

俺は全ての兵達を見送ったら最前線に行っている事を知っている美空だったのか、美空のツンデレ振りが少し薄くなった気がするな。そう思いながらも美空は長尾衆を率いて出陣して行ったが、美空の背中を見送るが死相は見えないので安心している俺であった。そして見えなくなった妾を見送っている俺の後ろから、元気一杯な足音が聞こえてきた。

「お頭ぁ~~~!」

「一真隊、準備整いましたよぉ~!」

「武器に弾薬、兵糧も当座の矢銭(やせん)も準備完了です!」

「兵達は皆、いつでも出陣出来る状態で馬出に整列し、順番を待っています!」

「きっともうちょっとしたら一葉様が、一真隊を連れて来てくれますよー!」

「その様子ではあるが、俺はここで見送った後に先に前線に行っている。まだまだ俺の代わりとして桜花達を置いて行くのでな、指示にはちゃんと聞くように」

「私達も完全装備をしてますが、詩乃さん達も揃っているのですか?」

「はい!皆準備万端です!」

俺と桜花達は頷いた後、本陣の見送り後に一真隊が出発する事となった。ひよところが元気よく返事をした後、麦穂がこちらに来たのだった。

「あら一真様。お見送りですか?」

「麦穂。俺達は俺達でやらせてもらうが、一応全員にお祓いをしている所だ」

「そんな暇もありますのでしょうか?一真様も出陣準備があるかと存じますが」

「一真隊では優秀な仲間がいると同時に、我は神でもあるからな。目の前で死なれては困るというもんなのだよ、壬月」

我と言ってから、翼と目だけを神化してからお祓いをするように通過する兵達をお祓いするかのような構えをしていた。ひよもころも随分と武士らしくなったと麦穂が言っていたが、本当にそう思う。これも俺との出会いがきっかけとなったとは思うのだが、ひよ自身ではこそばゆいと言っていたが一人前となったので褒めているから堂々としていれば良いとか。

「本当に一真様の出会いのお陰ではあるが、一人前の武士へと育てた一真様にもお礼を言わせてほしいですぞ」

「織田の双璧である柴田様と丹羽様に認められて、仲間の私も鼻が高いよ!良かったね、ひよ!」

「えへへ・・・・お頭ところちゃん、それに皆のお陰だよぉ!」

「ま、俺は最前線で戦う方となるが、壬月も二条館確保という危険な任務ではあるが気を付けろよ?もちろん壬月の二つ名を忘れた訳ではないがな」

「確かに一真様の言う通りでございますければ、きっと壬月様は大活躍されますよ」

「三バカの相手ばかりで腕が鈍っておるからな。肩慣らしに鬼共をぶちのめして、戦の勘を取り戻してやるわ」

「ちょっとそれどう言う事ですか壬月様ー!」

「犬子達をバカ扱いって酷いですー!」

「和奏犬子と一緒にされた・・・・」

「事実だろうに。なあ壬月よ」

「だから三バカと呼ばれるんだから、そんなに騒ぐな」

三バカであるコイツらは、麦穂を盾としようにも俺が事実を言ったまでだから盾の意味が無くなっていた。幸い雛だけは、三バカである事を理解していた様子だった。二条館で壬月に褒められる事をすればいいと思うと言ったら、和奏と犬子はチョロいなと思いながら雛は二人は相変わらずだなとな。

「にしても鬼が肩慣らしの相手というのも、壬月は剛毅だとは思うが忘れるなよ?強化体とドウター化した鬼だけは倒せない事をな」

「天下布武を目指す織田の宿老が軟弱では困ると言うものだが、それに関しては忘れてはいませんぞ。一真様」

「それについては覚えているのでご安心を。心配をするのも私らの自由ではありますが、一真様はそこらの武士とは違う力をお持ちだと言う事もですが」

常に身近な者と自分に危機感が及ばないようにしっかりと距離を取りながら、見極める事も最前線司令官の仕事でもある。そして二人と三バカならぬ三若も出陣するので、武運をと言ってからお祓いを済ませたのだった。煌びやかな軍勢はあちこちにいるが、織田木瓜の旗。その旗は風を受けて、まるで胸を張るかのような存在を天に示していた。

「おお。天下御免の者がお見送りとは。流石は一夫多妻制を持つ御方だと言われるだけあって、気遣いに長けておるな」

「棘のある言い方ではあるが、気遣いが長けているなどと言われる筋合いなどないぞ小娘」

「下につく者としては、上の者に見送られるとは誇らしい事だ。それにしても小娘と言われても自然と腹が立たないのは何故であろうな?」

「さあな。ただ単に俺と白百合ではどちらが人生の先輩なのかを考えれば分かる事。それにしても白百合の旗は三好衆のに、そっくりであるな」

「桐の紋も持っておるが、流石に公方の前で使うような無礼はせんよ。・・・・となれば、京で使うならばこの旗が一番であろうさ」

剽げた表情で言いながらではあるが、旗を顧みる白百合の目は誇らしげにあった。まあ今の所、唯一消滅対象だからなのかこの戦が終われば性質は叛骨であるからか。久遠に仕えるに足るのであれば、大人しくもしているらしいが少しでも隙があれば喉笛を噛み千切ろうと考えているそうだ。

「全くお前は相変わらずのようだ」

「ふふっ、人間でありながら中身が神なお主ならば器量は磨いておるだろうに。でなければ、織田殿と同じようにその細首をねじ切ってくれようぞ」

「そんな事出来る訳がなかろうに。そんな事を言われようが、鬼を駆逐するのが最重要任務として忘れていなきゃ良しとする。決して忘れるなよ?」

「一言一句違わずであるが、そういう距離感も心地が良いという事だ」

そう言って白百合は馬を前に進めた。そして同じように武運と共にお祓いを済ませておくが、消滅者リストに載せてあるから別に祓っても意味は無いと知っている。ヒラヒラと手を振りながら松永衆を率いて出陣していった。坂本城を出陣する部隊はまだまだ続くが、一真隊はまだまだのようだった。そしたら市の声が聞こえた。

「江北の皆ーっ!(たけ)ってるぅーーーっ!?」

『猛ってマーーーーーース!』←巨大なカッコで浅井衆

(たぎ)ってるぅーーーーっ!?」

『滾ってマーーーーーース!』←巨大なカッコで浅井衆

「よろし!!じゃあ鬼に占領された京の都に向けて、いざ出陣ーっ!」

「相変わらず派手な出陣の様子だなー」

「これはお兄様。江北衆、皆、京奪還に向けて猛り、滾っておりますよ」

「とは言っても、浅井は一真隊と一緒だから、先鋒じゃないだけどねー・・・・」

「後ろも前も関係ないが、鬼はどこからでも出現するんだからな。気を付けろよ?」

「金ヶ崎の退き口の件もありますからね。・・・・大丈夫。僕らに油断はありませんよ。だから兄様。ご武運を」

「それじゃ市達も行くね。お兄ちゃん、また後で!」

俺は二人を見送ったらお祓いを同時に済ませておいたが、やっと一真隊が来た様子だったので今回は沙紀が上空からの監視で桜花と結衣が地上から一真隊を率いてやって来る。なので量産型の馬を桜花と結衣に渡してからだったが、全員のお祓いはまだまだのようだった。

「主様」

「一真も気合バッチリのようじゃな」

「にしても黄昏ているようにも見えンだけどよー、まあ当然か。一真はオレ達を見送った後に最前線へと向かうからなー」

「そういう事で察してくれ」

多くの仲間達が出陣していくが、俺の仲間達は何時でも出れるように準備万端だった。背中からは皆の闘志が滾っているのか、俺の心も燃えてきたようにも思えた。ま、森親子の手綱を持ってきた俺だから言えるのか。

「と言う事で母と同様に先に行くぜ一真」

「ワシらも久々の戦は楽しみでおる。一真も武運をのう」

「ああ。桐琴に小夜叉・・・・武運をな」

振り返らずに答えた桐琴と小夜叉は、それぞれの槍を持ち悠々と馬を進めていた。その背を慕うようにと、森一家と森鶴の丸の旗がぞくぞくと城門を発して行く。兵一人ずつに念話で最後の人間として全うしてみせろと言ってから、俺達のプラン通りに進む事を祈るとしよう。

「さて。余らも出陣するかの。主様、そして・・・・」

「ああ!これより芝居の幕を下ろす!」

「そう言う事だが俺は先に行かせてもらうぜー。諸君、この茶番を終わらせるためにな!」

そう言ってから、俺は空間切断でトレミーブリッジにと行かせてもらった。桜花と結衣が一真隊を率いて行ってしまったが、残された者である双葉と結菜が行ってしまった背中を見ていたのだった。

「ああ・・・・旦那様も行ってしまわれました・・・・くすん、寂しいです・・・・」

「双葉様、そんな風に言っておられるのも今の内だけですよ」

「今の内だけ?なのですか?」

「ええ。私達は先に船へと移動してから、戦に出た良人が帰って来た時にその疲れを癒す場所を作っておくのが仕事。この坂本城のお台所とお財布をしっかりと管理するのが、本来のお役目でもあります。でもそろそろお迎えが来たようですから、先に行かせてもらいましょうか」

「そうですね。私達は戦場には立てませんけれど」

本来ならば結菜と双葉の戦場は、坂本城であり敵は浪費と怠慢である。掃除と備蓄の確認についてもこちらでやるので、坂本城からゆっくりと降り立つVTOL機だった。その中には空と愛菜が乗っていた。

今の所消滅対象は松永白百合久秀であるが、俺らの力とならないのならば新たに追加した二人がいる。その名は松平葵元康と本多悠季正信である。恋姫チームも大江戸チームも俺らの力になるべき者以外は全て消滅していくのが定めとなっている。やがてVTOL機に乗った結菜は願った。

「(一真、久遠、皆・・・・武運を祈るわ)」

「発進しますから、ちゃんと座って下さいね皆さん」

誠が運転するVTOL機は、静かに発進した後に残った坂本城には掃除と備蓄の確認を最後まで熟すNPCである侍女達だった。坂本城を出た連合らは、琵琶湖を沿って南下して山科を通り抜けて五条大橋に向かう。

隊列を整えて粛々と行軍していると、街道の遥か向こうに見えてくる大きな橋。それが京の入り口の一つである五条大橋であり、そこには奥方衆魏と呉がいたが大昔牛若丸と武蔵望坊弁慶が戦った舞台でもあったが、今も御伽噺の世界となるかのように存在感が出ていた。

「にしてもこれはまた盛大な歓迎である。いくら主様達が強化体鬼を倒したとはいえ、まだこれ程とはな」

「うむ。これから決戦が始まるのだと、鬼共も感じ取っているらしいが一真達が屠ってきた鬼共は砂となって川辺りにあるな」

「最後の戦だ。それでこそであろうが・・・・で、側室殿よ、どう動くつもりだ?」

「どう動くかについては、私達で良ければ意見を言いましょう。まあ先手には奥方衆魏が出揃っていると聞いていますが、こちらも奥方衆呉と蜀が揃いましたしね」

五条大橋の向こうには、骸骨から中級の鬼や雑魚から強敵っぽいのがいるが群がっていた。それと奥方衆魏には近距離戦には合わない武器を持っているが、そこは何とかするのが華琳達だろう。先手は乱戦というより、華琳達の独擅場となりそうだが正面衝突を避けたい一真隊。禁裏を解放するという目的があるため、必要なのは突破速度なので迂回するつもりはない。

「自己紹介は省くけど、私は孫策。こちらには草とも言う諜報任務が得意な者がいるわ」

「そうですね。甘寧と周泰ならば、繋ぎを任せられますが。時間が無いので、橋を取らない事には選択肢が増えないのは確かなようです」

水深は余り深くないが、油断は禁物。五条大橋を確保するのは、やはり全足軽達を夜叉にして確保する方が賢明だと思いますね。

「先手である美空達と奥方衆魏が橋に突入後、鬼達も動き出す事は間違いなさそうですね。でもまあ何とかするのが隊長の仕事であり、我らがここにいる意味がありませんが『俺はお前らの前にいるぞ』おや、隊長自らここに来るとは」

「まあ側室であるお主らは随分と余裕な事を言っておるのぅ。やっと来た主様ではあるが、主様を支えるのが余の喜びである」

「身体の心も魂までも、私は一真様に攫われた身ですからね」

「まぁそれがしも、それがしなりにお支え申し上げましょう」

「私もですよ、お頭!」

「あ、ころちゃんズルい!先に言うなんて!私もちゃーんと支えますから、安心して下さいね、お頭!」

「言葉に出すまでもなく。我が身、我が才、我が魂。その全てをハニーに捧げておりますわ!」

「あ、その・・・・私だって支えます!ずーっとずーっと支えさせて頂きます!」

「支えさせて下さいご主人様。この身は全て、ご主人様のモノ。ご主人様に尽くす事をこそ、自分の至上の悦びなのですから・・・・!」

「この日の本を照らす日光として。そして愛しき御方として・・・・この榊原歌夜、この身の全てをお捧げ致します」

「へへ、綾那はいつだって一真様と一緒なのです!」

「あはっ♪やっぱり一真はモテモテさんなの♪」

満面の笑みを浮かべてから、俺にしがみ付く鞠だった。雪蓮や桃香達は遠くから見ていたが、あれが後々の後輩となる者達だと察した。さてとそろそろ俺達の喧嘩の始まるとして、まずは奥方衆魏と長尾衆の力を見せてもらうぞ!

「その前に全兵達よ。我の命により人間を辞めて夜叉となれ、人間コーティング解除!目標は五条大橋として、全軍にて前進し鬼達を駆逐するぞ!」

「鏑矢三本!天高く放ちなさい!」

「それと信号弾を撃て!」

一方長尾衆は奥方衆魏と簡単な自己紹介をしていた。曹操、夏侯惇、夏侯淵、許緒、典韋、楽進、李典、于禁と紹介した後、連れてきた馬に乗る。そして信号弾と共に長尾衆の足軽達に変化があった事にまだ気付いていない様子でいたのだった。

「本陣より鏑矢が上がったっすー!」

「確認したわ。三本でしょ・・・・ふふっ」

「御大将に曹操様、何を笑っている?」

「鏑矢三本に信号弾は総攻撃の合図のはず。・・・・五条大橋に鬼が充満している中、総攻撃の合図とは余りにも無謀だと思うのですけど・・・・一真さんは何か考えがあって決断をしたのでしょうか?」

「違うに決まっているでしょう。私らの主なんだから、それよりも長尾衆の足軽達が人間を辞めたようね」

「何を言って・・・・はぁ!?」

華琳が言ったので、足軽達を見ると人間だった頃から夜叉化となりそれぞれの武装をしていたのだった。ちなみに季衣と流琉の武器は大鉄球『岩打武反魔(いわだむはんま)』 と巨大ヨーヨー『伝磁葉々(でんじようよう)』なので、今回は大きなショットガンを持って馬に乗っている。一応黒神眷属は元の武器が近接戦闘であろうとも、黒の駒を入れているなら遠距離用の武器も使えるようにしないとね。

「柘榴達の兵達が・・・・夜叉になったっす!?」

「どういう事?」

「これが私らの主である者の策の一つである」

「大戦前にあった聖なる儀式にて、足軽達は人間から夜叉へと生まれ変わったのだ」

「そしてこれが兄ちゃんしか出来ない業であり、今の命令であっても兵達は死なないという事だよ!」

「まあ足軽達が願ったのもその通りなんだけどね・・・・兄様の策としては上策だと思うな~」

本来ならば、上に立つ者の業であるけど、今回は綺麗事だけで済まされる程な感じとなっている。華琳達は擬態化させたアクセサリーからそれぞれの武器を構えていた。何かを手に入れるのであれば、何かを提供しなければならないが。

時間や財貨に労働力と命を差し出せという事だろうが、他人の命だから簡単に命令出来る程俺はそんな事を言わないからだ。覚悟なんて事はとっくに構えているようなもんだ。

「・・・・御大将、幸せそうな顔っすー」

「デレデレ」

「上に立つ者の覚悟や業。そこに背を向けずに真正面から受け止めるって良人が言ってるなら、妾である私は良人を全力で支えるだけよ」

「・・・・素直なのですね。御大将」

「あいつに惚れているのよ。・・・・心底ね」

「なるほどっす。けど安心するっす」

「御大将は私達が支える」

「行きましょう、御大将に曹操様!」

「私達を忘れていたら、この絶で斬り落とす所だったわ。さっさと行きましょうか、美空」

「ええ・・・・柘榴ぉ!」

奥方衆魏はそれぞれの旗を持ち、長尾衆が突撃するのを待っていたのだった。なお足軽から夜叉化となったので、華琳達の指示も聞けるので長尾衆を取り込んだ奥方衆となった。

「うぇーーいっす!長尾の御旗立てぃっすー!」

「越後が英傑、長尾景虎。その守護を務めるのは、武勇名高き毘沙門天の旗」

「我らに毘沙門天の加護在らん事を!」

「も一つ掲げるっすー!」

「大日大聖、懸かり乱れ龍の旗」

「我らに不動明王の加護在らん事を!」

「毘沙門天よ、不動明王よ!勇猛なる我らの戦い。存分に照覧あれ!見よや鬼共!長尾が勇者の死に様を!」

「やっとやる気になったようね。我らも突撃するわよ『華琳、夜叉化した者らと神界から呼んだ恋姫世界から呼んだ部下達を夜叉化にしたんでな。思う存分暴れ回る事を許可する!』いい?皆の衆、我ら達の戦を見本として行くわよー!」

『応!/御意!』

「「かかれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぃ!」」

そして先手長尾衆と奥方衆魏と黒鮫隊は五条大橋に突入後、あっさりと敵を倒す華琳を見て美空らはそれを真似るようにする。夜叉化となった者達が斬られても死なない体を手に入れた事により、長尾衆は無傷のまま突入して行った。 
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