ダンジョンにSAO転生者の鍛冶師を求めるのは間違っているだろうか
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少女、現る
前書き
日間一位とれました。やったーーーーー、どんどんパフパフ。
いつも読んでくださっている皆様のおかげです!!
これからも専心誠意頑張らせてもらいます。
「朝か…………」
窓の外を仲が良さそうに二羽の小鳥が可愛く鳴きながら飛び去るのをボーッと眺めながら、ボソッと言った。
現在時刻は、魔石仕掛けの時計があっていれば、朝の六時。
現在地は、俺の記憶が正しければ、俺が二日間借りている宿の一室のベッド。
周りを見回す。
うん、今の俺の部屋だ。
いまだ頭が完全に覚醒していないくて、無意味に現在地の確認作業をしてしまう。
昨日の夜の一件が今日になっても、寝不足という形で、完全に尾を引いていた。
ちょっと過剰に運動しただけだというのに、いつも通りの睡眠時間じゃ快復しないのは年の所為だろうか。
いやいや、まだ俺は十六歳だし。
飲酒は二十歳になってから!…………じゃないや。
老化が始まるのは二十歳になってから!…………だな。
寝ぼけてるなー。
まあ…………いいや。
それより、思い出したけど、寝不足なのは、寝付きが悪かったからだった。
うーん、だけど、それでなんで寝付きが悪かったんだろう。
思い出せない。
運動したから?
いや、違った。
昨日、椿さんに言われたからだ。
『金輪際話し掛けるな』って言われたのは勿論、かなり落ち込んだけど、それだけじゃなくて、『目が死んでいる』って言われたからだ。
あれを言われた瞬間、胸を何か鋭利なもので貫かれた感覚を覚えたことを、その感覚がどんな感じだったかも含めて、今でも覚えている。
目が死んでいる。
そう、俺は目が死んでいると思う。
横にある備え付けの鏡を見る。
うん、死んでるように見える。
虚っていうほどではないけれど、空っぽって言えばいいのかな。
色はあるけれど、それは表面的なもので、その薄い皮を剥がせば、きっとそこには二つの空っぽな穴があるんだと思う。
自分でもわかっていたつもりだったけど、やっぱり他人から面と向かって指摘されると、すごく胸が痛む。
わかっているつもりなだけだからだろうか。
まあ、どっちにしろ、俺はただ生きるだけ。
いつも同じ時間に起き、同じ職場に向かい、同じ時間に帰宅して、同じ時間に寝る、そんな代わり映えのない、いっそ空虚と言っていい、毎日を俺は生きている。
だって、決めたから。
あの時に。
昨日はかなりのイレギュラーが発生したけど、きっと今日は変わりない一日になると思う。
うん、頭も冴えてきた。
じゃあ、工房に行こう。
◆ ◆ ◆
時間通り、工房に着いた俺は、まず炉に発火剤――ダンジョンの四四階層にいる『フレイムロック』とか言うモンスターのドロップアイテムからできているのだけど、危険過ぎて市販されてないらしい――を薪とともに放り込む。
そして、炎が炉を満たしたのを確認して、ポップアップメニューを出し、製造モードから精錬モードに切り替えた。
昨日は何だか色々あって疲れたから、工房に寄らず、あのまま宿に帰ったのだ。
だから、何もかもが昨日のままなのだ。
製造モードと精錬モードは言葉通り、武器を作成するときのモードと鉱石を金属片、または精製金属に精錬するときのモードだ。
それと、まだ使ったことがないけど、武器を強化するときのモード、強化モードがある。
それで、今は、昨日採掘で手に入れた鉱石を精錬をしようとしている。
やり方は簡単。
鉱石を炉にぶっ込むだけ。
もう精錬モードに切り替えてるから後は鉱石を入れるだけで、炉が勝手に、溶解→精錬→成形までしてくれる。
これがSAOでの《精錬》だ。
こんな便利な炉があったら、堅気な鍛冶師は除いて、どんな鍛冶師もほしいだろう。
まあ、実はこれはただの炉で、SAOから転生した俺が使うからこうなるのだけど。
というわけで、メニューウィンドウを開いて、採掘した鉄鉱石×五、獄黒石×二、朱雀鉱×一、白雷石×一、紅炎石×一。
をまとめてオブジェクト化して炉の中に放り込む。
不純物が入っても勢いが衰えない炎に包まれた鉱石は瞬く間に赤熱して、溶け合っていく。
そして、もうそろそろかなと、思った俺に答えるようにして、一分もせずに、赤熱した鉄塊が青白く輝いたと思うと、次第にうごめきながら、綺麗に並べられた二〇個の直方体に変形する。
それらをヤットコで順々に取り出し、鉄床に並べていった。
その過程の途中からすでに白熱していた鉄塊は冷却され、輝きを失い、俺の知る硬質な光沢を持った様々な色のインゴットができる。
「よしと」
できたインゴットの内訳は、《スチール・インゴット》×八、《ヴィルドネリア・インゴット》×四、《スザクルフィア・インゴット》×二、《アークリオル・インゴット》×二、《クリムフォイアー・インゴット》×二、《玉鋼・インゴット》×二。
…………最後のは完全に変なんだけど。
漢字って…………もっと他に何かあったんじゃないか。
それに、これって何なんだ?
タマハガネって読めばいいのか?
まあ、あーだこーだ言ったところで名前が変わるわけではないし、気持ちを切り替えていこう。
ああ、それと、全部精錬しなかったのは後程説明させてもらうかな。
まあ、まずは炉のモードを製造モードに切り替えて、ポップアップメニューで作成する武器種を設定。
後は鎚を用意して、適当にインゴットと鉱石を放り込むだけ。
というところで、唐突に扉がノックされた。
「鍵ならかけていませんよ、ヘファイストス様」
何度言ってもいつまでもノックをしようとしない主神様がノックをしたことに少しばかり感心していると、
「そお? なら入らせてもらうわよ」
と、昨夜嫌ほど聞いた少女の声が聞こえた。
ガタッ、と建て付けの悪い扉が開く音を聞き終えるが早いか、俺は自分でも驚くほどの瞬発力で扉に突進し、全力で押し返した。
ゴッという硬質な音の後に、ドサッという地面に何かが倒れ込む音が扉の向こうから聞こえた。
それにはっとして、扉をそっと開けて、できた隙間から外を覗くと、
「うぅぅ~~…………」
と、完全に目を回して仰向けに倒れた昨夜のまな板ツインテ巫女がいた。
「………………どうしたものか」
と、その少女を前にしてしばらく考えた後、工房の中に連れ込、もとい入れることにした。
◆ ◆ ◆
床に寝かせるのもなあと思い、机に寝かせたのはいいものの、勝手がわからず、しばらく黙考した末に、とにかく冷やそうと思い、取り敢えず、額にできた痛々しいこぶに水で濡らしたタオルを載せた。
SAOじゃあまず怪我は負わないし、現実世界では俺は一人っ子の引きこもりで何故か身体の強い青年だったから、看病をした経験もされた経験もないから、視聴していたアニメからの知識で、載せてみたのだ。
確かあれは風邪を引いて寝込むヒロインを主人公が看病するというシチュエーションだったけど、まあ、いいや。
机の横にあった椅子に座って、タオルを載せてやってから穏やかになった少女の顔を手持ち無沙汰に眺めた。
少女の寝顔は文句のつけどころのないほどに可憐だった。
花弁を思わせる、小さく淡い唇の隙間から可愛らしい寝息が漏れている。
なんだか、無防備な寝顔をこんなに近くで見るのは後ろめたくなってきたから、顔を逸らして、近くにあった団扇で少女の顔を煽いだ。
「んぁっ…………」
すると、見計らったように少女は目を覚まし、ゆっくりと起き上がった。
「つっ!痛てて~」
完全に起き上がったところで激痛が走ったのか顔を歪ませた。
「大丈夫か」
団扇を扇ぎ続けながら、顔を背けたまま言った。
「へっ?あれ、なんで、あんたが…………ていうか、ここどこよ」
まだ意識が完全に覚醒していないようで、ボーッとした顔で周りを見回している。
まだ記憶の方が伴っていないようだ。
「ここは俺の工房だ」
記憶が繋げてやろう、という完全なる善意から言ったのだが、やはり意志疎通っていつでもままならいものだな。
「あーそお。……………って、ん? なんで私があんたの工房で寝てるのよ……………って、寝てた? 私が? まだ、知って間もないあんたの工房で? ていうか、あんたの前で?」
俺の言葉で、次第に意識がはっきりとしはじめた少女は俺の意図していない方向に思考を巡らせていく。
「もしかして、あんたに私は眠らされて、その間にあんなことやこんなことをっ!」
そして、完全に意図してなかった、いや考えもしなかった結果に着地した。
少女は机の上で立ち上がると、両手を身体の前で交差させるようにして胸を隠して、顔を、恥辱の所為か、激情の所為かで真っ赤にしながら、俺をキッと睨みつけ、
「こ、この、人間の風上にもおけない変態野郎!!死ね!!」
思いっ切り叫んだ。
「誰がお前みたいな寸胴ボディーの奴に手を出すか!」
俺も途中から湧き出した一つの強い思いを叫び返した。
俺はお前みたいなまな板に全く興味はない。
「だ、誰が寸胴ボディーよっ!!」
「お前だろうが」
「それはわかってるわよ!じゃなかった!!わかってないわよ!!」
「今自分でも完全に認めてただろ」
「うるさいわねっ!女子の揚げ足をとるなんて、どこまで最低な男なのよ、あんた!」
自分のうっかりを俺にすべて転嫁しやがったぞ、このまな板。
胸もなければ、常識もないのか、この小娘は。
「話を逸らすな。それに、俺は何もいかがわしいことなんてしてない」
「私のような可愛い巫女服少女が寝ていて、男が何もしないなんてありえないじゃないっ!!」
「そ、それを自分で言うか」
こいつはめんどくさい奴だと思っていたが、認識を改めないといけないみたいだ。
こいつは、超めんどくさい奴だ。
「ていうか、俺がお前に何をするというんだよ」
「そんなの決まってるじゃないっ!む、胸を、さ、触ったりするのは男の至福なんでしょっ!」
「まな板を触って嬉しがる男がいるのか知らないけど」
「ちょっ、それ、どう――」
「それはさておいてだ。お前は鎧を着込んでるだろ」
俺はめんどくさくなりそうだったから、少女の言葉を遮って、続けた。
めんどくさくなるのは目に見えてたけど、口に出せずにはいられなかったのだ。
「………………そ、それなら、し、下の方をっ」
しっかりと白衣が閉じられている自分の胸元に視線を落としてから、すーっと緋袴に視線を移した。
何を想像しているのか、耳まで真っ赤にして、少女はしどろもどろと、何度も噛みながら言った。
「帯が緩んでいるか?」
ここまでくると、俺は肩に入れていた力を抜き、消化試合を消化していく。
「………………そ、それなら、わ、私の、て、て、手とか、か、か、髪で、あ、あ、あれをしたのねっ」
また何を想像しているのか、今度は首まで真っ赤にして、俯きながら、先ほどの倍の数、噛みながら言った。
「あれって何だよ。指示語で言われても、全くわからないんだけど」
ここまでくると、消化試合じゃないな。
仕返しタイムだ。
「あ、あれって、あれに決まってるじゃないっ!」
「いや、あれしか言ってないんだけど」
「あ、あ、あれは、あれよっ!」
「だーかーらー、その『あれ』って奴は何なんだよ」
「それを、わ、わ、私に言わせるつもりっ?!」
俺がからかって遊んでいるだけだとも気付かないほどにテンパっている少女は、あわわあわわ言いながら叫ぶ。
それを見ていると、なんだか楽しくて、すっごく心が晴れ渡っていくのがわかる。
昨夜に椿に言われたことも全然大したことと思えなくなってきた。
「言わなくても、頭の中で想像してたんだろ?お前こそ、俺よりよっぽど変態なんじゃないのか?」
「あ、あんたが言わせたんでしょっ!」
「俺は『お前は鎧を着込んでるだろ』と『帯が緩んでいるか?』ってしか言ってなかったよ。お前が勝手にその腐さったような妄想を広げたんだろ?」
「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……………………」
ついに膝が折れて、ぺたんと机の上で女の子座りになった少女は唸りながら肩を震わせはじめた。
顔は俯いていてどんな表情なのかわからないけど、ちょっとやりすぎたかな。
楽しすぎて、加減ができなかった。
「ごめん、ごめん。俺が悪かった。俺が言いすぎた」
少女の姿にいたたまれなくなった俺は、軽くだけど、謝った。
「………………私って……変態なの………………?」
すると、別人のような弱々しい声が返ってきた。
「うっ」
俺はその声に、心臓をバリスタの矢で貫かれたような錯覚に襲われた。
は、は、反則じゃないか!
いつもは気が強い感じで、高飛車な態度の奴が、時に見せる弱い姿が、こ、こんな破壊力を有するとは。
「……………………黙ってないで…………答えてよ………………」
「い、いやーーー、普通だと思うなっ。うんうん、お前の年齢なら、正常だよ。まさに健全な精神の現れだ」
すかさず、フォローした。
「そう……よね…………みんな…………このぐらいのこと……想像してるよね…………うんうん……当然よね。気にしていた私が馬鹿だったわっ」
次第にいつもの調子を取り戻していく少女を見ながら、よかったと思う気持ちと、お前、こんなフォローで納得していいのかと思う気持ちと、惜しいような気持ちが三つ巴でせめぎ合った。
「そう言えば、私はなんでここにいるんだっけ、って、いっつーっ」
少女が顔を歪ませ、頭を押さえた。
「おい、大丈夫か?ポーションいるか?」
「い、いらない」
「だめだろ!頭の怪我はどうってことないと思っても、打ち所悪くて死んだりするからな。ちょっと待ってろ」
いまだ顔を歪ませている少女に危機感を覚え、思わず語気が強くなる。
「ちょっと、いらないって、っつ!」
痛みに言葉を詰まらせるのを聞きながら、俺は扉を開け放って外に飛び出した。
そして、その場ですぐさま、メニューウィンドウを呼出し、ストレージを開き、保険で買っていたポーションをオブジェクト化するやいなや、踵を返し、工房に駆け込む。
「今の一瞬でどこに行ってたのよっ?」
「そんなことはどうでもいい。かけるぞ」
「えっ、ちょっ、待っ、ぶっ!」
少女の制止の声を無視して、思いっ切りポーションをかけた。
SAOではポーションは、時間継続回復で、つまり飲んですぐに効果が現れるわけではなく、徐々に回復するという、何ともしがたい仕様で、すぐに回復するにはかなり高額な回復結晶を使うことになる。
しかし、この世界では驚くことに、すぐに効果は現れるだけでなく、万能薬という凄まじく高額なポーションを使えば、腕がもげようが、足が引きちぎれようが、内臓がぐちゃぐちゃになっても治せるらしい。
しかも、飲まなくてもかけるだけで、効果が出るのだ。
「大丈夫か?頭はもう痛くないか?」
「………………本当に心配されてるから、何だか、怒ればいいのか、お礼を言えばいいのかわからないわ」
「?」
俺の問いに青い液体を滴らせた顔をむくれさせて、言った。
「それより、思い出したのだけれど、私はあなたに用があって来たのよ」
ポーションで濡れた前髪を払って少女が切り出した。
それであらわになった額からは、青い液体とともにこぶが跡形もなく消えていた。
「言っておくけど、俺は直接契約はしないぞ」
俺は先回りするようにして言った。
「そう言うと思ったから、今日は別の用で来たのよ」
しかし、俺が先回りして拒否することはお見通しだったようで、少女は得意顔で言い返してきた。
「別の用って何だよ」
「私に、武器を三つ作ってほしいのよ」
「………………それを直接契約と言うんじゃないか?」
少女が真剣な目をしたから何を言うのかと思えば。
完全に肩透かしを喰らった感じになってしまった。
「違うわよ。オーダーメイドはオーダーメイドだけど、三つ作ってもらうのはこれっきりよ」
ふふん、と何故か誇らしげに少女が言う。
「…………とか言って、次は四つとか五つとか言うんじゃないのか?」
「な、なんでわかったのよっ!」
ということだってわかってたよ。
全く抜け目がない。
「とにかく、俺は何の依頼も受けるつもりはないよ」
「なんでよっ。なんでそんなに嫌がるのよ!」
「何だっていいだろ。そっちこそなんでそんなに必死なんだよ」
これは、自分でもあまりにもお粗末なはぐらかし方だと思ったが、言ったしまったことは仕方ないので、相手の出方を見て黙り込む。
「………………」
そんな俺を怪訝に思ってか、少女は俺の問いに答えず、口を閉ざした。
少女の視線が俺の横顔に刺さりまくっていたが、当然無視だ。
「私の所属しているファミリアはね、すごく零細なのよ」
しばらく少女との間に沈黙が漂ったあと、出し抜けに少女が静かに沈黙を破った。
声音は穏やかであるものの、そこには先ほどの弱々しい気配はなく、ただ巌のような固く隠然たる意志があった。
「…………」
俺は話の腰を折るような不粋なことはせず、ただ黙って続きを待った。
「それなのに、なけなしの収入を削って故郷の子供達に仕送りをしているのよ。別に嫌というわけじゃないし、皆は仕送りをするためにここに、迷宮都市に来たのよ」
どこか遠い昔の日を思い出すように少女は不似合いな遠い目をして続ける。
「今でもできるかぎり切り詰めて生活をしているけれど、何ともしがたいのが、武器なのよ。命に関わるからここを削ることはできない。だけど、武器は摩耗するし、壊れる。新しく買い込むのにもほとんどの売り上げがもってかれるし、メンテにかかるお金も無視できない。それに、馬鹿高いポーションもダンジョンに潜る度に補充しないといけない。だから仕送りなんて本当に微々たるものなの」
そして、自分のファミリアが今まで送ってきた困窮した生活を思い返し、その情景が眼前に浮かび上がったのか、声音が心なしか疲労の気配を帯びる。
「だから、あんたの武器を使ったとき、私はファミリアに幸運が向いてきたと思ったよ。あんたの業物がなんであんなに安いのか、わからないし、別に知ろうとも思わないけれど、あんたの武器が必要なの、私のファミリア、【タケミカヅチ・ファミリア】にね」
少女はゆっくりと視線を俺のものに合わせて、言った。
「………………俺の作る武器は業物なんて褒められたものじゃない。ただの魂の抜け殻だ。だから、あの値段なんだ」
俺はその視線から逃がれるように、顔を逸らして言った。
「…………それを決めるのは、使い手であり、私よ。そして、私はこれを業物だと思った」
少女は腰から刀を鞘ごと抜いて、前に突き出して、断固たる口調で言うと、突き出した腕を下ろしてから、一拍置いて、
「………………直接契約の件、もう少し、考えてくれると嬉しいわ。じゃあ、また明日来るわね」
あとさっきのポーション代ここに置いておくわね、と俺のよく知る高飛車な口調で、そして不思議と穏やかな声音で、言い残して開けっ放しだった扉から眩しい外界に身を消した。
後書き
これで少女、もとい赤城の印象が変わる・・・・・・・かな?
ご感想お願いします。
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