オズのベッツイ
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第十二幕その九
「とてもいい人でオズの国の大切な人の一人よ」
「いつもこのお部屋にいてお仕事をしているの」
猫も五人にボームさんのことを紹介します。
「宮殿の外から出ることは滅多にないけれど」
「オズの国の、ですね」
「とても大切な人の一人なんですね」
「そうよ、何しろあんた達の世界にオズの国を最初に紹介した人だから」
ボームさんがはじめてなのです、オズの国のことを恵理香達の世界にも他のあらゆる世界にも紹介した人は。
それだけにです、ボームさんはオズの国にとってとても大切な人なのです。だからこそベッツイ達も皆に紹介するのです。
「あたしにとっても大切な人よ」
「貴女がそう言うのだから」
ナターシャはいつも自分が一番と言う猫がそう言うのことに驚いています。
そしてそれと共にです、こうも言いました。
「凄いわ」
「あら、そこでそう言うの」
「だって貴女いつも自分が一番って言ってるじゃない」
「オズの国で一番奇麗だってね」
「その貴女がそう言うから」
それだけにというのです。
「凄いことだと思うわ」
「何か私が高慢みたいな言い方ね」
「高慢とまではいかなくても」
それでもというのです。
「自分が一番とは思ってるでしょ」
「そのことはその通りよ」
「その貴女がそう言うことってあるのね」
「あるわよ、あたしにとってボームさんもベッツイ達もね」
「皆なの?」
ナターシャは猫に尋ねました。
「オズの国の」
「そう、皆ね」
「オズの国の人達は」
「特にお友達はね」
オズの国の人達、猫が大切なその人達の中でもというのです。
「大切よ」
「だからボームさんもなのね」
「そう、それにあたしを最初にあんた達に紹介してくれた人だから」
「そのことも含めて」
「うん、大切に思ってるのよ」
そうだとです、猫はナターシャにお話しました。
「いつもね」
「そうなのね」
「そう、それにね」
「それに?」
「あんた達もお友達よ」
ナターシャ達五人もというのです。
「あたしにとってね」
「大切な」
「そう、大切なね」
「何か貴女にそう言われると」
「不思議な気持ち?」
「ええ、他の人のことは褒めないって思ってたから」
「あたしだって変わるのよ」
猫はナターシャに胸を張ってこう返しました。
「他の人のことだってね」
「褒める様になったの」
「そう、大切に思う様ににもなったのよ」
そうなったというのです。
「皆と一緒にいるうちにね」
「いや、最初にこの娘のことを皆に紹介した時は」
その時のこともです、ボームさんは皆にお話しました。
「もっと偉そうだったからね」
「そうでしたよね」
「それがかなり変わったね」
「ずっとあの性格じゃ大変だったわ」
ベッツイが苦笑いで言ってきました。
「本当にね」
「猫は皆そうじゃない」
「偉そうっていうのね」
「そうよ、あたし以外にもね」
「この娘のこともこれからも書き残していくよ」
ボームさんは猫を見ながら皆にお話しました。
「皆のこともね」
「これからのオズの国のことも」
「ずっとですね」
「うん、それが僕の仕事だからね」
それだけにというのです。
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