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オズのベッツイ

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第十二幕その八

「それでボームさんのことですけれど」
「僕のこと?」
「はい、ボームさんはオズの国に来られるまではお身体が弱かったですね」
「それで苦労してきたよ」
 アメリカにいる時はというのです。
「中々大変だったよ」
「けれど今は」
「オズの国に病気はないよ」
「だからですね」
「僕は何時でも楽しくお仕事が出来るんだ」 
 年代記を編集するそのお仕事をというのです。
「食べることも楽しめているし」
「そうなんですね」
「うん、例えばね」
「例えば?」
「君のお国のお料理のお握りもね」
 そちらもだというのです。
「美味しく食べているよ」
「お握りもですか」
「うん、そちらもね」
 そうだというのです。
「これまでは海草は食べなかったけれど」
「お握りの海苔ですね」
「うん、ああしたものは食べなかったんだ」
 これは今のアメリカでもです、アメリカ人の中には海草お握りの海苔にしても食べない人が多いのです。
「けれど今はね」
「召し上がられるんですね」
「お握りはいいね」
 海苔も含めて、というのです。
「忙しい時はお握りかサンドイッチかお饅頭だね」
「ピロシキは」
「勿論それも食べるよ」
 ボームさんはナターシャの問いにもすぐに笑顔で答えました。
「あれもね」
「忙しい時はですね」
「うん、すぐに食べられるからね」
 それで、というのです。
「有り難いよ、あと麺類も好きだよ」
「ボームさんもスパゲティが大好きなのよ」
 ベッツイが五人ににこにことしてお話しました。
「ミートソースもペペロンチーノもね」
「ペスカトーレも好きだよ」
「そうした方だから」
 それで、とです。ベッツイは五人にさらにお話しました。
「パーティーでも楽しまれるの」
「ただ、この人は大人だから」
 ハンクも五人に言ってきました。
「お酒も飲むから」
「そのお酒の量が凄いのよ」 
 ベッツイはこのことは少し困ったお顔になって五人にお話するのでした。
「悪酔いはしないけれど」
「次の日の朝は絶対に二日酔いになっていてね」
「頭が痛いって言ってるから」
「それが問題なのよね」
「そう、だからね」
 ボームさんも二日酔いになったその時のことを言います。
「お酒を飲んだ次の日の朝はまずお風呂に入っているんだ」
「お風呂で、ですね」
「うん、すっきりさせているんだ」
 その二日酔いをとです、ボームさんは五人に言いました。
「それから朝御飯を食べてお仕事だよ」
「お酒を飲まれた次の日は」
「オズの国に来てからお酒が随分美味しくなって」
 それで、というのです。
「ついつい飲んでね」
「オズの国ではお酒を飲み過ぎても身体を壊さないし」
 ベッツイはこのことも言いました。
「だから余計にね」
「うん、飲んでしまってね」
「いつも二日酔いなのよね」
「飲んだ後はね」
「そうしたところもあるけれど」
 ここでこうも言ったベッツイでした。 
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