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東方変形葉

作者:月の部屋
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新鮮な日常
第五章 不変知らずの幻想郷
  東方変形葉58話「仏教は恐ろしい」

 
前書き
レミリア「…………」
パチュリー「どうしたのよ、ハトが豆戦車にぶつかったような顔をして」
レミリア「どういう例えよ。それより、これを見てみなさい」
パチュリー「あら、裕海と……人食い、妖怪?」
レミリア「そう、人食い妖怪。あの妖怪、力を封じ込められていたのね…。驚いたわ」
紫「あーあ、裕海の神気で封印が解けちゃったのね」
レミリア「誰よあんた」
咲夜「つまみ出しますか?」
紫「冷たすぎるわよ!?とにかく、あなたの心配していることはそれだから」
レミリア「あんたがここからつまみ出される心配?あるわけないじゃない」
紫「だから違うわよっ!…はぁ、あの子、ルーミアはね、あなた程度の吸血鬼では倒せないわよ」
レミリア「なんですって?」
紫「私でさえ手を焼くのに。今の裕海にも倒すことはまず不可能よ」
パチュリー「封印されていたくらいだし、それは当然かしらね。でも、この様子を見ている限りは裕海に変わらず懐いてる感じよ?再封印する必要はあるのかしら」
紫「幻想郷のパワーバランスが乱れます」
レミリア「裕海の時点でとっくに乱れまくっているような……」
紫「あの子は“変化”を司る者。幻想郷には必要不可欠な存在です。ルーミアは“闇”を司る者。もちろん幻想郷には必要不可欠なのですが、力が強すぎては幻想郷に太陽が永久に訪れることは永久に来ないことでしょう。まあ、自分でその力を制御できるのなら話は別ですが」
レミリア「ふうん、なるほどね。……赤く染まらない夜が始まるのかしら」
 

 
前回のあらすじ。異食症予備軍のルーミアは最強に覚醒しました。どゆこと?
「もう、はやくはやく~!早く来ないとわたしが全員倒しちゃうよぉ!」
「…瞬間移動かのように高速移動したと思ったら、いつの間に倒しちゃってるよこの子」
 ルーミアってとんでもない強さを秘めていたんだな。少年漫画好きにはたまらなさそうな設定だ。……設定って何だよ。
「はぁ、はぁ。ご、ご主人、やっと宝塔探してきたぞ」
「よくやりました!えらいですよナズーリン!」
「ご主人を殴りたいところだけど、今はそうこうしてる暇はないようだ」
 目の前に現れたトラっぽい人とネズミっぽい人の寸劇が終わった時、俺のほうを向いた。あれ?俺だけ?あっ!?またルーミア消えてる!?
「よくも船の中を荒らしてくれましたね!」
「いや、俺じゃないんだが……」
「毘沙門天様の弟子が、この宝塔が、あなたの悪しき心を浄化いたします!」
「なんで俺が悪人みたいになってるの……まあいいや、面倒だし一枚で終わらせようかな」
そう思ってスペカを取り出した時、妙な感覚に襲われた。世界が歪んで見えるような、めまいのような。しかしすぐに元に戻った。なんだろう、風邪かな?

宝塔 「レイディアントトレジャーガン」

 相手がスペルカードを唱えた。広範囲に伸びるレーザーにぐにゃりとした小さな光線がまとわりつく。体をくるくると回転させながらそれらをよけた瞬間、レーザーは弾幕となってぐにゃりと散らばる。めんどくさいパターンだ。

凶変「平行世界不均衡」

 レーザーが天と地をつなぐようにして伸び、くねくねと不規則に踊りだす。そして、そのレーザーから弾幕が散布される。
「くっ!?少ない弾道でここまで効率よく……!」
「まだまだ。スキルカード、『魔萃・1stレイ』」
 魔法陣を2つほどだし、不規則に動かす。魔法陣からは小さなレーザーが連続で発射されるが、実は威力は無いのである。要するにハッタリレーザーだ。
 しかし、敵はそんなこと知るはずもない。
 そのとき、鼠のような妖怪が口を出した。
「ご主人、そのレーザーはハッタリだ、だまされるな」
「うぇっ!?なんでわかっちゃってんの!?」
「ふん、簡単だ。お前のスペルカードのレーザーは弾幕と重なったとき弾幕は見えなくなったが、そのレーザーは弾幕が透き通って見えるだろう?質量がない証拠なのだよ」
 ……思わぬ伏兵か、響希みたいなやつだ。なるほど、ちょっとおもしろいな。
「ありがとうございます、ナズーリン!」
「けど、ちょっと惜しいな」
「「?」」
 鼠の妖怪と寅っぽい妖怪が首をかしげた。さすがにここまでは見抜けなかったようだ。
「いつの間にか来ちゃってるけど、ここって魔界でしょ?魔界の大気中には魔力が当然漂ってるわけだ。なら、それを利用しない手はないでしょ?」
「……っ!まさか、お前!」

解放「世にも奇妙な魔法変化」

 あのレーザーは“萃”。相手や大気中の魔力をあつめる効果があるのだ。あつめられた魔力は圧縮されたのちに俺のもとに届くので、相手はなかなか気づけない。
「うっ!?」
「くそっ、してやられた…」
 あちらこちらで紅い弾幕が高速で同心円状に広がる。魔法は苦手分野だが、多少なら使える。今は炎の魔法だ。このスペカはあらゆる魔法を最大限以上にまで強化することができるのだ。だから俺の、魔理沙の足元にさえ及ばない魔法であっても最強クラスの魔法になるのだ。
「うぅ……ここまでです、か」
「葉川裕海、といったか……ふん、覚えておこう」
 そして二人は炎の海にのまれていった。
 弾幕を解除し、気絶した二人を隅で寝かせる。実はあのスペカ、反動がかなり大きいからここまで見破られたら危ないところだった。
「ゆ~うみ~♪」
「わぁっ、ルーミアか。ふぅ、ちょっと休ませてね。さっきのでかなり疲れたよ……」
「癒しの変化とかいじれないの?」
「それはね、それこそ反動が大きいんだよ。肉体は人間だから、みんな気が付かないだけで実はちょっと体を動かしただけでもありとあらゆる細かな血管が破けているんだ」
 ルーミアは首をかしげたが、すぐに首をおこした。
「つまり、ゆっくり治さないと後遺症みたいなのが残るってこと?」
「理解が早いな。まあ、あと5分ぐらいで回復するから、ね」
 壁にもたれかかり、休憩をする。そのとき、ルーミアがなにやらそわそわしはじめた。
「どうしたの?」
「いや、その、ね。あの……ゆ、裕海を食べたくなって…」
 ……そうだ、この子は人食い妖怪だった。力が大きくなれば、その分蓄える力も大きくなければならない。つまり、人間を食べる量が増えるということ。
「人食い妖怪、ね。人を食わずして生きる方法はないものかな」
 俺の能力は、生物の種類自体は変えられない。
「う~、食べたいよぉ……ぺろっ」
「ひゃっ!?首筋なめないで!」
 あわてて食欲を抑える変化を施す。ぐるぐる鳴っていたルーミアの腹の虫は落ち着いたようだ。
「はぁ……」
 おそらく、再封印する必要があるのだろう。でなければ幻想郷のパワーバランスが乱れてしまう。
 ほとぼりが冷めたら再封印の許可をもらうか。
「……ん、あっちも封印が解けたみたいだね。仕方ない」
「うー、だっこ」
「抱っこしながら戦えるスペックは俺にはない。あとで気が済むまでだっこしてあげるから、ね?」
 うー、と渋々了承すると、ひっぱっていた俺の服の袖を離した。
 船の外へ出ると、女性がいた。以前見た魔界とは違う、奇妙な色をした空に浮かんでいた。
 あと、霊夢もいた。
「えっ?霊夢いたの?」
「いたわよ」
「あら?もしかして葉川さんではありませんか?」
 謎の女性がそう言った。あれ?面識あったっけ?
「裕海、こいつ知ってるの?」
「いや、見たこともないんだけど……」
「神崎様からあなたのことは伺っております。なんでも、力自体は龍神並みだとか」
 ああ、なるほどね。あの人か。魔界の神様なんだからこの人と知り合いだったとしても違和感はない。
「さっきそこの巫女にも言いましたが、人間と妖怪は平等であるべきだとおもうのです。私はこれから困ってる妖怪たちを助けなければなりません」
「だから、妖怪を助けることは間違ってるって言ってるでしょ」
 何やら難しい話が始まった。
「何言ってんだ、妖怪と人間はもとから平等じゃないか」
「えっ?」
「妖怪は精神が弱く、人は体が弱い。それでつり合いは取れてるじゃないか」
 とりあえず俺の考えを話してみる。こうみえて、議論は得意なのだ。
「…いいえ、そこには理不尽が発生するのです。そう、あなたのように人間でありながら妖怪以上の力をつけている存在がいる限りは」
「そんなのたくさんいるよ」
 今更過ぎることだ。幻想郷怖い。
「…ああ、もうめんどくさいわ。さっさとあんたを封印して神社に帰って寝る。それだけよ」
「……やはり、人は昔から変わってないようですね。私が正しき道に戻してあげましょう!」
 俺と霊夢が構えた時だった。
 禍々しい力が後ろから感じた。
「「「っ!?」」」
 あの力は……まさかルーミアか!?
「…………」
 振り向くと、体中が真っ黒なオーラに包まれたルーミアがいた。



続く
 
 

 
後書き
大っ変お待たせしました!
あと、ツイッターにて【日刊幻想郷】~東方変形葉・出張版~を始めました!毎日更新する超ミニコントなので、よかったら見てくださいな。 
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