鎧虫戦記-バグレイダース-
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第24話 マリーはmarryって意味で付けたわけじゃない
前書き
どうも蛹です。
前々から私が思っていたのでこの題名になりました。
特に大した意味はありません。
今回の話ではサプライズゲストがなんと2人も登場しますのでお楽しみに!
それでは第24話、始まります!!
「ほぅほぅ、そんなことがあったのか‥‥‥‥‥」
迅は目に涙を浮かべながらうなずいた。
「よかったなぁ。俺が″種″を落としたことが
こんな出会いを作り出すなんて‥‥‥‥‥‥‥‥」
アスラとマリーとホークアイはそれを聞いて驚いた。
「″種″を‥‥‥‥‥落とした!?」
「あれ、言ってなかったっけ?」
迅は説明を始めた。
「俺が前にここに来たのは知ってるよな?
その時に、どこかで″種″を落としてしまったらしく
中国の面積は広大で探し出すことは不可能だったんだ」
雨はその続きを言い始めた。
「それを偶然にも食べてしまった私は″鎧人″になってしまったんです」
雨はそう言うと左目を“起動装置”状態にした。
「‥‥‥‥‥‥これのせいで私は一人ぼっちでした」
迅は深々と頭を下げて謝った。
「ごめんな、俺が落としちまったせいで‥‥‥‥‥‥」
雨は首を振り、笑顔になった。
「いいんです。むしろ、迅さんのおかげで豪さんに会えたんですから♡」
ギュッ
雨は豪に抱きついた。豪は急にされたので少し顔を赤くした。
「まぁ‥‥‥‥そういうことなら良かった」
迅は目の前の光景を見て、なんとも言えない表情になった。
「良かったね‥‥‥‥‥グスッ、雨ちゃん、豪さん」
マリーはすすり泣いていた。
「良い話だなぁ‥‥‥‥‥‥」
アスラとホークアイも話を聞いて泣いていた。
「あ、そろそろ戻らないと。リオが待ってるからな」
迅は思い出したようにそう言うと、立ち上がって3人についてくるように言った。
「じゃあ、こいつら連れていくからな。‥‥‥‥‥‥あとは2人で水入らずだ」
2人は迅の配慮に甘えることにした。
「頑張ってね、3人とも」
「何してんのかは知らねぇけどな」
3人と迅は手を振りながらドアを出て行った。
「‥‥‥‥‥‥お花の指輪‥‥‥‥私が作り方教えたんですよね?」
雨は豪に訊いた。豪はうなずいた。
「あぁ、雨が教えてくれたやり方で昨日作って来た」
雨は少し腑に落ちない顔をした。
「でも、花2本を無駄なく完璧に結んで作れてますね。
この部分を作るのにちょっとコツがいるはずなのに‥‥‥‥‥‥」
豪は少しためてから理由を教えた。
「ずっと練習してたからな‥‥‥‥‥‥‥今日の為に」
雨はそれを聞いて豪に顔を向けた。豪は顔をそらしていた。
「‥‥‥‥‥‥‥‥でも勇気が出なかった」
豪は顔を窓の外に向けたままつぶやいた。
「いざって時にお前は強いよな、雨」
雨は顔を手で隠した。おそらく照れているのだろう。
「そ、そんなことは‥‥‥‥‥‥あるかもしれません」
豪は自虐的な一言をつぶやいた。
「それに比べて俺は頼りない奴だよな‥‥‥‥‥‥‥意気地なしでよ」
「そ、そんなことはありませんよッ!」
グイッ!
雨はそう言う豪の顔を両手ではさんで、無理矢理こっちに向けさせた。
「イダダダッ、何すんだよ」
雨はそのまま豪の顔を固定した。
「さっきは私の為に勇気を出して告白してくれたじゃないですか。
私は豪さんのそういうところが大好きだったんです」
雨は笑顔で豪を慰めた。豪はそう言われたことで少しの間ボーっとしていた。
「‥‥‥‥へっ‥‥‥‥ありがとな、雨」
そう言うと、豪は顔を雨にうんと近づけた。
『ま、まさか今度こそ‥‥‥‥‥』
キスをするのかと思い、雨は目をぎゅっと閉じた。
しかし、いつか来るであろう感触は来なかった。
「‥‥‥‥‥まだしないぜ、雨」
早とちりだったと気付いた雨は顔を真っ赤にした。
「どうせなら“最初のキス”を“誓いのキス”にしないか?」
豪はそう提案した。雨は真っ赤になって叫んだ。
「女の子の心をもてあそんでおいてそれはないですよぉッ!!」
自分が勝手にそう思ったのに雨はつい怒ってしまった。
だが、彼女は心の中ですでに返事を決めていたのだった。
「でも‥‥‥‥‥‥‥‥‥私もそれに賛成です♡」
雨は照れの入った笑顔を豪に見せた。
**********
「結婚かぁ‥‥‥‥‥ねぇ、迅さん」
マリーは迅さんの名前を呼んだ。
「何だい?マリー」
迅は返事をした。
「私もアスラと結婚できるの?」
「えぇッ!?けっ、けけけ、結婚って!!?」
マリーの発言にアスラは真っ赤になって焦った。
「昔あった法律ってのでは、マリーは結婚できるけど
アスラはまだできないな。 年齢的な問題で。」
「えぇーーーーッ!!じゃあ、いつになったらできるの?」
「マリー、結婚はもう少し落ち着いてからでいいんじゃないのか?」
「早く結婚したかったのにぃ‥‥‥‥‥」
マリーは少し涙目になった。
「‥‥‥‥今日は雨さんと豪さんの結婚式なんだからさ」
アスラはマリーの頭を軽くなでてあげた。
「結婚はいつでもできるんだ。だから我慢しよう。
そんで、今日は2人の為に盛大な式にしてやろうぜ!!」
アスラは笑顔でマリーに言った。
「‥‥‥‥‥‥うんッ!わかった!」
マリーも笑顔で返事をした。
ー病院内 調理室ー
ガラッ!
「すまん、遅くなったな‥‥‥‥‥‥‥お?」
ドアを開けた迅が変な声を出した。
「遅かったですね。3人を連れ戻すのに苦労しましたか?」
「あなたは3人に少し甘いものね」
前に聞いたことのある声を聞いたアスラたちは迅の横から部屋の中に入った。
「お久しぶりです。3人とも」
「マリーちゃん、元気だった?ホークアイにいじめられてない?」
そこにはロシアにいるはずのアーロンとレイラがリオさんの隣に立っていた。
「ホークアイがね、いっつも私のおっぱい揉んで来るんだ」
マリーはレイラに言われて正直に答えた。
「へぇ‥‥‥‥‥‥ホークアイ、ちょっと隣の部屋に来なさい」
ホークアイは殺気を放つレイラに着いて行った。
数分後、ボコボコにされた状態で帰って来た。
「さて、二人の結婚式を成功させるぞーーーーーーーーーーーッ!!」
迅は全員に呼びかけた。
「おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
全員(ホークアイ以外)は気合いを入れた。
アスラとマリーは外で式の装飾を始めた。
迅とリオさんはケーキの準備を再び始めた。
アーロンとレイラは料理の準備を始めた。
ホークアイは調理室のイスに寝かせられていた(気絶中)。
ー3時間後‥‥‥‥‥‥ー
「出来た‥‥‥‥‥‥やったぞみんな!!」
迅は全員に言った。
「これであとは主役を呼ぶだけだ!!」
「私が呼んで来る!」
ギューーーンッ!
マリーは猛スピードで2人の待つ病室へと向かった。
「‥‥‥‥‥‥‥‥でもさ、変だよな」
顔中にシップを貼ったホークアイがつぶやいた。
「せっかくの結婚式なのに誰も来ないなんておかしいよな?
もう雨さんは″鎧人″だってことぐらいわかってるだろうに‥‥‥‥」
アスラは口元に手を当てた。
「‥‥‥‥‥‥‥‥確かに」
迅、リオさん、アーロン、レイラはこの状況の理由を理解しているのだろうか。
4人は声も出さずにマリーが2人を連れてくるのを待っていた。
**********
ー病院前ー
「へーっ、スーツって初めて着たなぁ」
「アスラかっこいい♪」
アスラとマリーは黒のスーツとドレス着替えていた。
これらはアーロンが結婚式の料理の食材と一緒に持って来たものだ。
「こんな堅苦しい格好、オレはちょっと向いてないな」
ホークアイもスーツを少し崩して着ていた。
「3人共、素敵よ」
レイラもドレスを着ていた。大人の魅力に3人は息を呑んだ。
「私って何が足りないのかな?もっとおっぱいが大きくなったらいいのかな?」
マリーは自分の胸を両手で押さえて言った。
「やっぱり大人にならないとわかんないよ」
アスラは笑った。マリーはムッとした。
「私は真剣に考えてるの!!」
アスラは顔を軽くかきながら顔をそらした。
「だって、オレはマリちゃんの格好がそれで十分似合ってると思うから‥‥‥‥‥」
それを聞いたマリーは顔を赤くした。
「そ、そう?私似合ってる?えへへ」
マリーは嬉しそうにクルクル回ってアスラに見せつけた。
「今から雨さんと豪さんの結婚式があるんだぞー。
のろけるのはもうちょっと後にしろよww」
ホークアイはニヤけながら言った。
「ありがと、アスラ♡」
マリーは少し照れた笑顔で言った。
アスラはまた顔をそらした。
「二人とも、ラブラブねぇ♡」
すると、向こうから男の人が走って来ていた。
「ごめん遅くなっ‥‥‥‥‥あれ、もう来てたんですか」
アーロンがスーツをビシッときめて話しかけた。
「さすが軍人さんね。似合ってるわよ?」
「そ、そうかな‥‥‥‥‥‥‥‥」
アーロンは顔を赤くして照れた。
「アーロンさんとレイラさんもラブラブだね」
マリーは2人の姿を見て、笑顔で言った。
「そうよ。だって私たち、夫婦だもの」
レイラのさり気ない一言に3人は目を見開いた。
「えぇッ!!夫婦ぅッ!?」
3人は大声で叫んだ。 レイラは人差し指を立てた。
「しーーッ、そろそろ始まっちゃうから静かにしないと‥‥‥‥」
3人は口を押えた。マリーはアーロンに言った。
「良かったねぇ、アーロンさん」
マリーはまるで自分の事の様に笑顔で喜んでいた。
アーロンはマリーのこういうところに惚れたのだ。
「は、はい。これからも妻の為に頑張ります」
アーロンは堅苦しく言った。ホークアイは不満そうな顔をしていた。
「アーロンさん、オレたちにもレイラさんに言うみたいに普通に話してくれよ」
アーロンは首を振った。
「これが僕の話し方ですから。彼女は身内になったので
大分話し方を崩していますが、皆さんには敬語で話さないと落ち着かなくて‥‥‥‥‥」
レイラは付け加えをした。
「彼、結婚式の時にかなりセリフ噛んでたのよ?」
アーロンは顔を赤くしてレイラを止めた。
「ちょ、ちょっと、レイラさんっ」
マリーはこの話を聞いてレイラから大人の魅力を感じた理由が分かった。
「それで、子供はいるの?」
マリーは気になったのか、いきなりレイラに訊いた。
「ふふふ、まだいないわよ。でも、いつか欲しいわね」
「そうですね‥‥‥‥‥‥」
レイラにそう訊かれ、アーロンは はにかんだ笑顔で答えた。
カ~~~~ンッ♪、カ~~~~~ンッ♪
突然、鐘が鳴り始めた。
「あ、始まるわよ。みんな座って」
全員は沢山並んだイスの一番前に座った。
結婚式場(簡易的)の構造は、病院の真ん中の入り口が新郎新婦の入り口。
その道の両端に長椅子が大量に並んでいる。その一番前に少し空間があり
そこで、儀式を行うのである。
ある程度の雰囲気を出すために、そこにハリボテが立っていて
その裏に迅が聖職者の代わりに準備をしている。
(大体の道具はアーロンとレイラが持ってきた)
「それでは、新郎新婦の入場です」
迅の声がマイクから聞こえてきた。
病院の入り口が開いて、中から2人が歩いてきた。
「うわぁ~~、綺麗‥‥‥‥‥」
マリーは思わずつぶやいた。
雨は綺麗に化粧をして、真っ白なドレスを着ていた。
その隣に、豪が白いスーツを着て歩いていた。
後ろでリオさんが長いドレスの後ろを持っていた。
「豪さんもなかなかきまってるな」
「やっぱり雨さんデカいな」
「こら、失礼なこと言わないの」
レイラはホークアイを叱りつけた。
そして、迅の立つ祭壇の前で2人は立ち止まった。
「えーーーーっ‥‥‥‥‥と、今から雨と豪の結婚式を執り行います。
ではお二人共、誓いの言葉を」
迅は台本を取り出し、式を進めた。
「あの‥‥‥‥‥‥」
雨は小さく手を上げて言った。
「小さな声でもいいですか?やっぱり恥ずかしくて‥‥‥‥‥‥」
雨は顔を赤くした。
「あぁ、来てるのはそこのみんなだけだからな」
雨は迅と後ろの全員に小さく礼をした。
「頑張れーっ」
マリーは雨に大きく手を振った。
雨はマリーに笑顔を返した。
そして、きりっとした表情になって豪を見た。
「豪さん、今まで泣き虫な私を好きでいてくれてありがとうございました」
雨は豪にも小さく礼をした。
「こん、こんなわ、私ですが、こ、これからもよろしくお願いしま‥‥‥す‥‥‥‥‥」
後半に行くにつれて噛んだり声が小さくなったりしていたが、豪には聞こえたようだ。
「ったく、昔から緊張しいだよなホント。」
豪は笑いながら言った。
「俺も昔っから、泣き虫のお前も、自然が大好きなお前も、恥ずかしがりのお前も
緊張しいのお前も、全部がお前で、そんなお前が俺は大好きだったぜ」
豪は照れながらも全員に聞こえるような声で言った。
「だから、これからもよろしくな」
豪は満面の笑みで言った。
雨も照れながら笑っていた。
「では、指輪の交換を」
迅は二人に小さな箱を渡した。
「じゃあ、私から渡しますね」
パカッ
小さな箱の中から、花で作られた指輪を取り出した。
「はい、豪さん」
雨は豪の指に花の指輪をはめた。
「‥‥‥‥‥‥ここのところの出来が少し甘いぞ」
豪は花の指輪の結ばれた部分を指さして言った。
「やっぱり久しぶりに作ると難しいです」
雨が久しぶりに作った指輪の出来はイマイチのようだった。
「次は俺だな」
豪も箱を開いて花の指輪を取り出した。
指輪は完璧としか言いようのない出来だった。
「ここはこうやって作るんだ」
豪は雨の指にはめてあげた。
「うわぁ‥‥‥‥ここ、どうやって作るんですか!?」
雨は結婚式中ということも忘れて訊いた。豪は少し誇らしそうな顔で言った。
「実はここの作り方は俺のオリジナルでな‥‥‥‥‥‥あとで教えてやるよ」
雨はそれを聞いてぱあっと笑顔になった。
「ありがとうございます!!」
「‥‥‥‥‥‥そろそろ次に進んでいいか?」
迅はさすがにこれ以上していると終わらないので2人に訊いた。
「あっ!お待たせしてすいません!!」
「ごめんみんな、話に夢中になってた」
2人は迅とみんなに謝った。後ろのみんなは笑顔で手を振っていた。
「みんな気にしてないみたいだから大丈夫だ。
さて次は‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥誓いのキスを」
ボンッ!
途端に2人は真っ赤になってしまった。
後書き
サプライズゲストはアーロンとレイラでした。
もしかしたらハロルドとクレアと思った人もいたでしょうが
彼らはまだ出れません。その理由は‥‥‥‥‥‥‥秘密です。
さて、次の話でついに中国でのお話は最終回です。
中国に来てからの誰も気付いていない盲点について話していきます。
意外なアイツがやや活躍?
次回 第25話 中国を舞う鷹 お楽しみに!
ページ上へ戻る