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『ある転生者の奮闘記』

作者:零戦
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TURN13






「前方からエイリス艦隊が接近ッ!!」

「全艦対艦ミサイル発射用意ッ!! 最大速度で突っ走るでッ!!」

「最大速度ですか?」

「そうや」

 副官の言葉に俺は頷く。

「対艦ミサイルの目標は敵防護巡洋艦に照準しておけ」

「……初撃でエイリス艦隊の防御を潰すんですね」

「当たりや」

 俺はニヤリと笑う。



「敵巡洋艦四隻が最大速度で突っ込んできますッ!!」

「……自殺でもする気なの日本軍は?」

 第四戦隊の不可解な行動にマリー・ブリテンは首を傾げる。

「まぁいいよ、直ぐに撃沈してやる。戦艦は砲撃開始ッ!!」

 キングジョー一世型戦艦三隻が砲撃を開始する。

 しかしキングジョー級の対艦レーザー砲は巡洋艦に命中せず、巡洋艦は之字運動で回避した。

「そ、そんな……」

 それを見たマリー・ブリテンは驚いた。



「よくやった操艦手」

 俺は回避した操艦手を褒めた。

「しかし司令官も無茶する人ですね。レーザー砲の砲口にエネルギー率が集まれば即回避だなんて……」

 副官が苦笑する。

 俺は訓練で回避運動の訓練もしていた。これといって回避運動はあまりないので最終的に敵艦の主砲の砲口のエネルギー率が高まれば回避するしか浮かばなかった。

 なのでそれを徹底的に訓練をして被弾を減らそうとした。

 更に茂にバリアミサイルの開発を促したりした。

 バリアミサイルは試作やけど第四戦隊に十二本ずつ搭載されていたりする。

「敵艦隊の距離は?」

「約八千です」

「……三千まで近づく。それまではバリアミサイルも含めて粘るしかないな」

 初撃で防護巡洋艦を撃沈しないと砲撃戦は挑めないからな。

「さぁ突っ込むで」

 俺はニヤリと笑う。敵さんは誰か知らんが恨むなよ……。




「更に敵巡洋艦は接近してきますッ!!」

「……あり得ないよ。砲撃しても直前で避けて接近してくるなんて……」

 マリー・ブリテンは第四戦隊の行動に頭を抱えていた。

「砲撃ッ!! 撃って撃って撃ちまくるんだよッ!!」

 エイリス東洋艦隊は全力射撃をする。そして第四戦隊は遂にバリアミサイルを発射してエイリス東洋艦隊の攻撃を防いだ。

「ミサイルにバリア機能を付けたのッ!?」

 マリー・ブリテンはまたも驚愕した。いや、あり得る事だ。バリアミサイルを開発すればバリア艦なんてカネが掛かる物は作らなくていい。

「……日本はただのブシドーの国じゃないって事だね」

 マリー・ブリテンはそう呟いた。

「敵巡洋艦四隻、距離三千で右舷に横切りますッ!!」

 レーダー員が叫ぶが、ただ通り過ぎるだけではなかった。

「対艦ミサイル発射用意完了ォッ!!」

 副官が叫ぶ。

「対艦ミサイル発射ァッ!! 防護巡洋艦の横っ腹に穴開けろォッ!!」

 第四戦隊から一斉に対艦ミサイルが発射された。




「敵巡洋艦四隻が対艦ミサイルを発射ッ!! 目標は……防護巡洋艦ですッ!!」

「しまったッ!? そういう事だったんだッ!!」

 第四戦隊の意図に漸く気付いたマリー・ブリテンは叫ぶ。

「奴等の狙いは防護巡洋艦を仕留めてバリアを無効化にする事だよッ!! そのためにあんな接近をしてきたんだ……」

 マリー・ブリテンは呆然としながら対艦ミサイルが防護巡洋艦に命中するのを見ていた。

 対艦ミサイルが命中した防護巡洋艦は宇宙に花火を咲かせて撃沈していく。

「全ての防護巡洋艦が撃沈されましたッ!! 更に駆逐艦二隻が誘爆に巻き込まれて撃沈ッ!!」

 レーダー員が報告する。

「全艦隊列を整えてッ!! 此方はまだ戦艦もいるんだよッ!!」

 マリー・ブリテンは指示を出す。

「敵巡洋艦が回頭ッ!! 同航戦で向かってきますッ!!」

「……向こうもやるようだね」

 マリー・ブリテンはそう呟いた。



「砲撃準備完了ォッ!!」

「……実践初の三十.五サンチビーム砲の射撃か」

 四隻の三二門の三十.五サンチ連装ビーム砲はキングジョー級戦艦を狙う。

「目標を推進部分にしておけ」

「了解」

 主砲が微調整をする。

「準備完了ッ!!」

「撃ちぃ方始めェッ!!」

「撃ェッ!!」

 四隻は一斉に砲撃を開始する。

 ビーム弾は照準通りに推進部分に命中した。命中した戦艦は推進部分が破壊されたために急速に速度を落とし始める。

「後続は落伍した敵戦艦を砲撃やッ!! 摩耶と愛宕は敵戦艦の推進部分を続けて砲撃ッ!!」

 連射機能を高めた三十.五サンチ連装ビーム砲は次々と敵戦艦の推進部分を砲撃して速度を落とそうとする。

 キングジョー級戦艦も負けじと撃ち返す。

「バリアミサイル発射ァッ!!」

 砲撃は全てバリアミサイルで受け止める。

 続いて二隻目も速度を落とし始めて後続の高雄と鳥海が艦橋等を砲撃していく。

 戦艦二隻は航行不能になって漂流を始めた。

「マリー様ッ!! 撤退を……撤退を願いますッ!!」

 副官が叫ぶ。

「……分かった。全艦撤退よッ!!」

 マリー・ブリテンがそう決断した時、マリーポッポ五世が震えた。

「敵先頭艦からの砲撃ですッ!! 推進部を破壊されましたッ!! 速度低下しますッ!!」

 遂に第四戦隊はマリーポッポ五世を攻撃し始めた。

「戦艦は……戦艦はどうしたのッ!!」

「……駄目です。三隻とも漂流しています。同じく駆逐艦隊も壊滅状態です」

 レーダー員はそう言った。

「く……」

「マリー様……最早これまでかと……」

 副官はそう具申した。

「……分かった。責任は全てボクが持つ。敵巡洋艦に打電。『我、降伏ス』」

 そして戦闘は終わったのであった。





 
 

 
後書き
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