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『ある転生者の奮闘記』

作者:零戦
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TURN12






「……呆気ないほどやったな……」

「そうですね」

 俺の呟きに副官はそう答える。

 マジで呆気ない戦いやった。ベトナム星域にいたのは少数の植民地艦隊しかおらず、第四戦隊が出る事はなかった。

「せっかく主砲を交換したのにな……」

「まぁ次がありますよ司令官」

 副官が俺を慰める。

 ベトナム星域はあっという間に日本軍に占領された。そして第四艦隊は補給路の確保を施す。




――第四艦隊旗艦榛名――

「狹霧、入ります」

「あぁ」

 俺は扉を開けて提督室に入る。提督室には南雲提督の他に山下陸軍長官がいた。

「それで自分の呼び出しとは何ですか?」

「……狹霧。昨日の夜、あんたは何処にいたのかい?」

「夜ですか? 自室でプラモを作ってましたけどそれが何か?」

 いきなり何すか南雲提督?

 ん? 山下長官は何か怒ってそうな表情を……。

「昨日、樋口の艦隊が来たのを知っているな?」

「はぁ来てましたね。ベトナム星域の防衛艦隊として」

「……樋口艦隊が来て、陸軍側の女性の強姦があったらしい。犯人は直ぐに捕まえた。犯人は樋口だ」

「はぁ」

 とうとう捕まりおったか。

「それと樋口の供述で……あんたも参加していたと証言しているんだよ」

「……は?」

「それに被害にあった女性もあんたの声を聞いたと証言しているんだ」

「……は?」

「狹霧、無駄な抵抗はするなよ」

 山下長官が抜刀する。

「いやあの、俺何もしてないんすけど……」

「黙れェッ!! 証言をされているのに自供もしないのかッ!!」

「いやだから何もしてないんすけど……」

『ウウウゥゥゥゥゥーーーッ!!!』

『敵エイリス艦隊がワープゲートから出てきましたッ!!』

 その時、サイレンが鳴った。

「……話はそれからだ。狹霧、摩耶に戻れ」

「……分かりました」

「おいッ!! まだ話は……」

 俺は山下長官の話を遮るように提督室を出て摩耶に戻った。

「司令官、何時でも行けますッ!!」

「キャシーやラスシャラの艦隊はッ!!」

「それが出港準備がまだ出来てません」

「……油断してたな」

 エイリス艦隊はまだ死んでいなかったわけやな。

「今動けるのは哨戒に出港しようとしていた第四戦隊のみです」

「……俺達で耐えるしかないな。榛名に打電。『我、貴艦隊ガ到着マデ粘ル』第四戦隊出撃やッ!!」

 そして第四戦隊は宇宙港を出撃した。



――エイリス艦隊旗艦マリーポッポ五世――

「……やっぱり日本は油断していたようだね」

 嚮導艦であるマリーポッポ五世の艦橋でマリー・ブリテンはそう呟いた。

 マリー・ブリテンはネルソンの後を継いでエイリス東洋艦隊司令官に就任していた。これはマリー・ブリテン本人からの願いだった。

「本国でじっとしているわけにはいかない」マリー・ブリテンはそう思い、姉であるセーラ・ブリテンに東洋艦隊司令官就任を直訴した。

 セーラ・ブリテンも最初は就任を拒否したが、結局は妹の熱意に負けて司令官就任を承諾したのである。

 マリー・ブリテンは戦艦三、正規空母一、防護巡洋艦二、駆逐艦八隻を従えてアラビア星域に駐留していた。

 しかし、ベトナム星域が占領されるとマリー・ブリテンは直ぐに動いた。

「占領直後なら日本軍も油断しているはずだ」

 マリー・ブリテンはそう判断してアラビア星域を出撃してインドカレー星域を経由してベトナム星域へ侵入したのである。

「空母は攻撃隊を発艦させて向かってくる敵艦隊を攻撃だよッ!!」

 正規空母アークロイヤルから攻撃隊が発艦していく。数は約三十機と少ないが奇襲攻撃なら十分だった。

「前方から敵艦隊接近ッ!!」

「数はッ!!」

「巡洋艦級が四隻です」

「……日本軍は余程慌てているのかな?」

 マリー・ブリテンは少しホッとした感じである。

「(このままなら奇襲は成功する。此処で日本軍の進撃を緩めないとアラビア星域以降が大変になる)」

 マリー・ブリテンはそう思う。

「攻撃目標を敵巡洋艦にしますか?」

 副官がマリー・ブリテンに聞いた。

「……そうだね。まずはその四隻から血祭りにあげよう」

「アイサーッ!!」

 攻撃隊は進路を変更して第四戦隊に襲い掛かった。

「敵攻撃隊接近ッ!! 数は約三十機ッ!!」

「対空ミサイル発射ァッ!!」

 四隻から一斉に対空ミサイルが発射されて敵攻撃隊に迫る。

「全機散開ッ!!」

 敵攻撃隊は慌てて散開するが回避に間に合わない機が爆発四散する。

「主砲拡散モードで撃ェッ!! 対空レーザー砲も撃ェッ!!」

 第四戦隊は一斉に対空砲撃を開始する。

「な、何だこの対空砲火はッ!?」

 敵攻撃隊隊長が驚くが、隊長機もパルスレーザー砲に撃ち破られて撃墜された。

 隊長機を落とされた攻撃隊は慌てて味方艦隊に引き返したのであった。

「半数も落とされたのッ!?」

 部下からの報告にマリー・ブリテンはそう叫んだ。

「……なら艦隊決戦でやってやる。空母は後方へ退避。戦闘用意よッ!!」

 かくしてエイリス東洋艦隊は艦隊決戦の準備に入った。







 
 

 
後書き
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