『ある転生者の奮闘記』
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TURN14
「ボクがマリー・ブリテンだよ」
「……まさかエイリス艦隊の司令官が女王の妹がしていたとはな……」
まさかのマリー・ブリテンです。マリー・ブリテンといやぁ、あのオッパイ……ゴクリ。
おっと平常心平常心。
「ネルソンが戦死したからボクが東洋艦隊司令官を引き受けたんだ」
マリー・ブリテンはそう説明する。
「そうか」
「……他にもボクに言いたい事があるんじゃないの?」
「……なら単刀直入に言うわ。マリー・ブリテン、日本軍の提督にならないか?」
「断る。ボクはエイリス帝国の王族、そう易々と裏切る事はしない」
マリー・ブリテンは俺の目を見てそう言った。
「……ならお前はこれを見てもそう言えるか?」
「え?」
俺はマリー・ブリテンに報告書を渡した。
「読んでみ。植民地艦隊がどのような行いをしたか書いてある」
「………」
マリー・ブリテンは恐る恐る報告書に触り、一枚一枚読んでいく。
「そ……そんな……貴族がこんな事をしてたなんて……」
全てを読み終えたマリー・ブリテンは呆然としていた。
「被害者も呼ぼか? 日本軍で提督をしているラスシャラはマレーの虎星域でエイリス植民地艦隊に反抗のゲリラのリーダーをしていたからな」
俺はマリー・ブリテンに止めを刺していく。
「……ボクにどうしろと? 腐敗貴族を倒すために姉様に反旗を翻せと言うの?」
「さぁな。それを判断するのはお前自身や。俺は道を差し出しただけや」
まぁ断るならそこまでやし、入ってくるならエイリスの情報は分かりやすくなるからな。
「……分かった、日本軍の提督になるよ。その代わり、ボクは脅されて日本軍の提督になったんじゃない。ボク自身が決断して日本軍の提督になったんだ」
「……分かった。東郷長官にそう伝えておくわ。それと多分上官はうちの南雲提督やろ」
俺はマリー・ブリテンに言って握手をする。
「後は頼んだよブリテン」
「マリーでいい。でも何で後は何て言葉を?」
「……俺には有らぬ容疑をかけられてな。予備役に編入されたんや」
会戦後、俺は東郷長官と通信をして日本軍を辞職する事を言った。東郷長官も情報は聞いていたみたいで「明石大佐を使って捜査させる」と言って引き留めてくれたけど俺は丁重に断った。
樋口の工作で海軍の中での俺の評価はかなり低いらしいからな。
「やからお前を日本軍の提督させるのが最後の仕事やったんや」
「そんな……サギリの指揮は凄いよ。それなのに……」
「ありがとうマリー。けどな、仕方ないんや」
例え明石大佐を使っても俺の周りの評価だと「東郷長官にカネを渡して命拾いした」と噂されうやからな。あえて辞職する事にしたんやな。
そして俺はマリーと第四戦隊の乗組員に見送られながら駆逐艦で日本星域に帰還した。
『御乗船ありがとうございます。間もなく、惑星大阪府。惑星大阪府です』
「さて、降りるか」
民間高速船の到着アナウンスに俺は荷物を取る。
民間高速船は、惑星大阪の宇宙港に接岸し た。
タラップが降ろされて、惑星大阪で降りる乗客が次々と降りていく。
「ん~、久々の大阪やな……」
俺は背筋を伸ばしながら言う。
『京橋方面行きのリニアが間もなく発進しまぁす』
「やべ、はよ乗ろ」
俺は急いで京橋方面行きのリニアに乗る。
ピリリリリリリッ!!
プシュー。
笛の音共に扉が閉まる。
そしてリニアが動き出した。
「あ、理亞にでもメールするか」
俺はケータイを出してメールをする。
『次は京橋ぃ京橋ぃ。お乗り口は左側です』
「おっと乗り換え乗り換え」
もう一回乗り換えやねんな。
「さて………」
そしてあっという間に我が家へ到着。
「ただいまぁ~」
俺は玄関扉を開ける。
「あら? ユキカゼさんじゃないデスか?」
パタパタと奥から一人のオフランス系の女性が現れた。
「ただいまセシル。理亞にメールしたんやけど知らんかったんか?」
「いえ、理亞からメールは来てませんヨ」
「……あの野郎、また仕事に熱中しとる な………」
俺は溜め息を吐いた。
「でも急にどうしたんデスか?」
「ちょっと海軍を辞める事になってな」
「………え?」
俺の言葉にセシルは唖然としている。
「あ、雪風だッ!!」
「雪風雪風~♪」
「雪風兄ちゃん~」
「ユッキー♪」
奥からぞろぞろと子ども達が出て来た。
「おぅガキンチョ共。土産や。喜べよ」
俺は子ども達にお菓子の詰め合わせなどをあげる。
「ありがとうユッキー」
「サンキューな」
「雪風、今度はゲーム買ってよ」
「分かった分かった。明日皆と行ったるわな」
「ユッキー、ゲームしようよ」
「はいはい」
俺は子ども達に引っ張られながら家に上がった。
「……そうだったんデスか。樋口元提督のせい で………」
「済まんな。暫くは厄介になるわ」
俺は皆で夕飯のカレーを食べていた。
「理亞は最近遅いんか?」
「最近、戦争が始まってから仕事が多くなったらしいデス」
「それはスマンな………」
「いえ、ガメリカの最後通牒を見たら戦争が見えてまシタ」
セシルはそう言ってお茶を飲む。(なお、セシルは萌○よ戦車学校のセシル・ド・ゴール似)
「ただいまぁ~」
「お、帰ってきたな」
「うぉッ!? 雪風やないかッ!!」
リビングに俺と双子の弟である狹霧理亞が仕事から帰ってきた。
ちなみに理亞は俺や茂と同じ前世の記憶持ちで、今は惑星大阪府の府知事やねんな。
「どないしたんや?」
「ちょっと海軍辞めてきたんや」
「………はぁ?」
俺の言葉に理亞は顔を傾げた。
「……成る程な。樋口元提督のがこうなるとはな……」
「ま、俺も流石に予想してなかったわ」
理亞はカレーを食べながら言う。
それとセシルは理亞の嫁さんで、二人はたまたま日本橋で知り合ったのがきっかけでそのまま付き合って結婚したわけや。
今では男三人、女三人の兄弟姉妹がいる。
お前ら作りすぎや。
「だってセシルを愛してるしな」
「私もリアを愛してるヨ」
「……額に穴開けるでほんまに……」
俺の前でイチャつくな。
「それで、雪風は今後どうするんや? ウチの府庁で働くか?」
「あぁ、今のところはまだ決めてないな」
「ほんなら、大阪の自衛軍に入らへんか?」
「自衛軍やて? 前世の日本の自衛隊みたいなのか?」
「あぁそうや。メシ食ったら内容を言うわ」
自衛軍なぁ………。
後書き
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