俺の知ってる作品でバトルロワイアル
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6話:名探偵毛利小五郎の憂鬱
毛利小五郎が目覚めたのはどうやら廃校らしかった。
あたりに誰もいないことを確認してデイパックを開けると、最初に地図が出てきた。
どうやら会場は島の形をしているらしく、またブロック分けされており横の段には1~10までの数字がかかれており、縦の段にはA~Jまでのアルファベットが書かれている。地形の特徴などは書かれているが、
裏面にはそれぞれのエリアごとにある施設の名前が書かれている。
小五郎のいる廃校はどうやら真ん中辺りに位置する5-Fにあるようだ。
同じF-5にある施設は露西亜寿司という寿司屋。
他のところにも目を凝らす。
すると、なんととなりの4-Fエリアに毛利探偵事務所と書かれているではないか。
もしやと思い自分の知っている施設を探す。
結果、2-Hに阿笠博士の家と工藤邸。10-Aに帝丹高校。8-Cに警視庁。4-Dにトロピカルランド。
「なんなんだ一体・・・?」
地図を一旦床に置く。次は参加者名簿を手にとった。
「!?」
目に飛び込んできた三文字。毛利蘭。
「ら、蘭!?クソ、あの野郎―――」
自分の一人娘の名前を見つけ、怒りに震える小五郎。
(しかもコナンとその同級生の・・・。それに大阪の探偵坊主まで―――)
小五郎には何がどうなっているのかはわからなかった。しかし、どうするべきかはすぐにわかった。
毛利探偵事務所はここから北だ。
もしかしたら蘭やコナンが自分と合流しようと向かっているかもしれない。
そう考えが立ったら名探偵毛利小五郎の行動は早い。地図をジャケットの内ポケットに入れて名簿をデイパックに仕舞う。与えられた食料のパンをひとつあっという間に平らげて腹ごしらえをすると、デイパックを持ち上げて立ち上がり、古びた教室のドアを開けて廊下を走り、階段を駆け下りた。
充分に用心しながら外へ出ようとしたところで、突如現れた少女とぶつかりそうになった。
「うわっと!」
急に立ち止まった所為でその場で転倒した小五郎。間抜けな倒れ方をするが、長年刑事をやっていたのに加えて柔道の達人とだけあり、立て直すのは早かった。
立ち上がったときに見たのは、ナイフを突き出した体勢のままの少女――中高生ぐらいだろうか――だった。
その場で固まる小五郎。まさかこの少女は自分を刺そうとしたのか・・・?
「・・・失礼」
呟いた少女はナイフを降ろしてこちらを向いた。前髪がぴっちり切り揃えられていたが、それ以外に特徴はない顔だった。
「あ、いや、こちらも悪かった。何せこんな状況だし、驚いたのも無理はないよな」
改めてみると少女はやはり中学生ほどの年齢に見えた。
そんな年齢で殺し合いに巻き込まれ、落ち着けと言うほうが無理だろう。それに前から見知らぬ男がいきなり走ってきて、手元にナイフがあれば今のようなことになるのは仕方ない。
「いえ、悪いのは私のほうです。水晶が取り合げられたとはいえ、善悪の判断もせずに刺そうとするなんて・・・」
水晶?何か大切なものなのだろうか。
「私は稲田瑞穂です。名簿に載っています」
そう言って広げた紙の一点を指差し、見せてくる瑞穂。
「稲田さんか。俺はなんと、あの名探偵毛利小五郎だ!」
声を張り上げて高らかに名乗りを上げる小五郎。実は硬い表情をしている瑞穂の緊張を解き、また肩書き付きで名乗ることにより、自分のネームバリューを利用して安心させるという狙いがあったのだが・・・。
「・・・はい?」
瑞穂は首をかしげて変な人を見るような顔でこちらを見るだけだった。頭にはハテナが浮かんでいる。
その反応を見て毛利小五郎は考える。あんまりニュースを見ない子なのか、いやそれにしたっておかしい。自分はニュースで名前が呼ばれたりインタビューされるだけではなく、バラエティなどにもちょくちょく出ているし新聞の一面を飾る事だって少なくない。それにいくら情報に疎くても、自分の知名度の高さ的に考えてこの年頃の子が小五郎のことを知らないとは考えにくい。
ならば。
「知らないのか?あの怪盗キッドを追い詰めた名探偵だ!」
怪盗キッドの名を出した。毛利小五郎は知らなくても、世界中の女子の人気を集めている怪盗キッドを知らないはずがない。
「・・・怪盗キッド?追い詰めた?さっきから何を言っているのですか?」
「まさか、本当に知らないのか?日本で知らないヤツはいないはずなのに。いや、ひょっとして外国育ちか?」
すると瑞穂は呆れたように小五郎を睨む。
「そんなわけがないでしょう。大東亜共和国の悪徳政府が外国への移住を許すわけがありません。さっきからなんなのですか。この聖剣で斬れなかったところを見ると悪ではないようですが、まるで漫画のようなことを―――」
「いや待て」
小五郎は瑞穂の話からおかしな所を見つけていた。
大東亜共和国。悪徳政府。聖剣。悪。
徐々にわけがわからなくなってきた。
「あのお、稲田さん。大東亜共和国とは?」
とりあえず一番話が通じそうなところから聞いてみた。
◆
「なるほど、とりあえずその毛利探偵事務所とやらに行けばいいのですね。一緒に行きましょう」
一度廃校まで戻り、そこで情報交換を終えた二人。互いに対主催であり、殺し合いに乗る気はないので同行するのは自然な流れだった。
瑞穂は手応えのようなものを感じているようだが、小五郎は大きな疲弊感しか感じていなかった。
結論から言うと稲田瑞穂は電波、あるいは狂人とでも言うべき者だった。
数々の殺人犯を見てきた小五郎だが、その中にもこれほどの人間はいなかった。
彼女の言動を軽く纏めると、
①彼女の真名は光の戦士プリーシア・ディキアン・ミズホである
そして神秘の水晶を通じて光の神アフラ・マズダと交信(いまは取り上げられたのでできないらしい)して悪と戦う運命にある。他にも戦闘民族の生き残りだとか言っていた。
途中から妄言として聞き流していたが、表情は真剣そのものでやがて狂気じみたものを感じたため、もう良いわかったと言って信じた振りをして切り上げた。
②大東亜共和国とプログラム
無作為に選ばれた中学三年生の一クラスを殺し合わせる国主催の恒例行事。放送や禁止エリアのシステム、爆弾の仕込まれた首輪を巻きつけられるという辺りは今行われているこの殺し合いと通じるものがある。
瑞穂は本来大人が参加するものではないのになぜ小五郎のような人間がいるのか判らない、と言う。
③名探偵毛利小五郎や怪盗キッドなどというのは本当に知らない
瑞穂曰くそんな怪盗いたらすぐに政府に抹殺されるらしい。どうも嘘をついている様子はなく、本当に知らないようだ。
④自分は死んだ人間である
一番驚かされた。彼女の話を一般人向けに要約すると瑞穂は前述のプログラムに巻き込まれ、桐山和雄という殺人鬼を倒そうとして返り討ちに遭い死んだという。
そして互いの知り合いの事も話した。だが、いくら対主催とはいえ小五郎は電波な中学生に家族の情報をあんまり教えたくなかった。蘭のことは娘で探していると、コナンは居候で探しているとしか言わなかった。服部平次のことは容姿や肩書き含め詳しく教えた。あんまり深い縁は無いし襲われても彼ほどの剣道の達人なら大丈夫だろうと判断したためだ。灰原哀については元々あまり知っているわけではないので容姿のみの説明となった。
対して瑞穂はクラスメイトだという四人と自分達が参加したプログラムの主導者だった言う坂持金発のことを話した。
川田章吾はよく知らないが、前回のプログラムで死者放送の際名前を呼ばれてなかったので頼れるかもしれない。中学三年生だが見た目はかなり老けていて縁日で射的屋の店員をやっている筋肉質の青年
のようだという。
先ほども名が挙がった桐山和雄は前回殺し合いに乗り、瑞穂も三人殺したのを目撃しその後自身も殺された。危険人物だと強く念を押された。そのため小五郎は端正な顔立ちをしていてオールバックということなど、聞いた情報を全て頭に入れた。
杉村弘樹は幼い頃から道場に通っていて武術に優れ、殺し合いに乗るような性格でもない。
相馬光子はアイドルと見まごうような美しい美貌を持っているが前回のプログラムで殺し合いに乗っており、桐山に殺されるところを見たという。
坂持金発は政府の軍人で前回のプログラムの監督をしており、プログラム開始前に一人の女子生徒をナイフ投げで殺し、見せしめとして一人の男子生徒を部下に命じて殺したことから今回の殺し合いには乗ると踏んでいる。かなり腕が立ち、桐山と同じくらい危険。
得られた情報はこんなところだ。
収穫は大きかったが、この疲弊感とは釣り合わないのではないか、という不満とこんな調子で上手く行くのかという不安が残る名探偵であった。
【毛利小五郎@名探偵コナン】
[状態]:健康、疲弊感
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダム支給品
[思考・状況]
基本思考:蘭やコナンを探す
1:蘭の無事を祈る
2:コナンのことも割と心配している
3:稲田瑞穂に引きまくっている
4:桐山を要警戒
5:坂持を要警戒
6:相馬を警戒
7:しょうがないのでしばらく瑞穂と行動する
【稲田瑞穂@バトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:右手にナイフ
[道具]:支給品一式、白純里緒のナイフ@空の境界、ランダム支給品二つ
[思考・状況]
基本思考:水晶を取り戻し、アフラ・マズダと共に主催を打倒する
1:小五郎の話はあまり信じていない
2:とりあえず同行する
3:桐山をいずれ殺す
4:坂持をいずれ殺す
5:相馬を警戒
6:アブラ・マズダ様、天から私に力を!
7:小五郎と共に蘭やコナンを探す
8:なぜあの廃校が此処に?
後書き
支給品解説その2
〇白純里緒のナイフ
空の境界で白純里緒が使ってたナイフ。上の部分がギザギザになってる系。意外と特徴的だったので支給品にした。
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