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ロックマンX~朱の戦士~

作者:setuna
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第四十五話 Final Weapon Ⅱ

 
前書き
ディザイアを倒したエックス。
次は…。 

 
ディザイアとエックスが死闘を繰り広げている時である。
攻撃してくる近衛兵を薙ぎ払いつつ、前進すると広い部屋に出た。
そこには…。

ルイン「ダブル…どうして此処に…?」

ダブル「クックククク…フフフ…ファーハッハッハッハッ!!全くイレギュラーハンターもレプリフォースも本当に甘ちゃんぞろいだぜ。まあ、おかげでやりやすかったがね」

ルイン「どういうこと…?」

ダブル「頭のいいあんたならもう気づいているんじゃねえか先輩?」

姿を変貌させていくダブル。
それまでの愛嬌のある姿から一転し凶暴性と狡猾性を感じさせる本来の姿となった。

ルイン「っ…まさか君はスパイだったの…!?まさかあのスカイラグーンを襲ったノットベレーとイレギオンは…!?」

ダブル「それは俺様じゃない。シグマ様のスパイはレプリフォースにもいてね、ノットベレーとイレギオンのパーツもそいつらが手配した。イレギュラーハンターとレプリフォースを戦わせるためにな!!」

ルイン「ドラグーンは…?」

ダブル「ああ、ドラグーンの奴をそそのかしたのもシグマ様だ。奴の力に対する渇望と今や最強のハンター達と持て囃されているお前達への嫉妬心を、よく知るシグマ様には実に簡単な事だったさ。案の定ちょっと煽ってやれば大乗り気でハンターを裏切りよく働いてくれたぜ」

ルイン「…ドラグーン……っ、お前達が…お前達があああああっ!!」

オーバードライブを発動し、バスターをダブルに繰り出すルイン。

ダブル「いいぜ、その怒りに満ちた表情!!それを見れただけでも此処に来た甲斐があったってもんだ!!」

ルイン「黙れイレギュラー!!」

ダブル「話の続きだが、イレギュラー共にアイリスを攫わせてアイリスを餌にあのシスコン兄貴をスカイラグーンに誘き寄せればレプリフォースをイレギュラーに陥れる準備は万端って寸法だ!!」

ルイン「なるほど、いいお話をありがとうダブル…!!自分の間抜けさが頭に来るよ…っ!!!!」

自分がスカイラグーンの時にもっと冷静になっていれば、こんな戦いは防げたかもしれない。
カーネルは死なずに済んだし、ディザイアもイレギュラー化しなかっただろうし、アイリスも悲しまなくて済んだはずだ。
自分の馬鹿さ加減にヘドが出そうになる。

ダブル「行くぜ先輩さんよ!!」

液体金属製の鋭利なブレードを構えて突っ込んで来る。

ルイン「くっ!!」

横に移動して回避するルインだがダブルは壁を利用してルインに突っ込んで来る。
ブレードがルインの肩を浅く切り裂いた。

ルイン「っ!!」

ダブル「どうしたどうした!?ドラグーンの時はこんなもんじゃなかっただろうがよ!!」

ルイン「オーバードライブ!!」

再び朱いオーラを身に纏い、バスターモードからセイバーモードに切り替えると切り掛かるが、ダブルの身体が液状化した。

ダブル「危ねえ危ねえ…普通なら致命傷を負ってるんだろうが、今の俺には効かないぜ」

ルイン「黙れ!!」

ダブル「そらよ!!」

ダブルが投擲してきた液体金属のブレードが旋回しながらルインの方へ迫ってくる。

ルイン「うぐっ!!」

双方向から強烈な斬撃を受け思わずルインは呻いた。
明らかにルインの良く知るダブルとは隔絶した圧倒的な性能。
今のダブルを前にしては特A級ハンターの中でさえも、彼に匹敵する実力を持つ者は少ないであろう。
何よりドラグーンを倒したオーバードライブで強化した自身を相手にしてさえ、互角以上の立ち回りを見せる凄まじさである。

ダブル「さあこれからが本番だぜ。簡単にくたばって俺を興醒めさせるなよぉ!!」

ルイン「この…イレギュラーがっ!!」

ダブルが繰り出したブレードの一撃をルインもまたセイバーで受け止める。

ダブル「フハハハハハハハハハハハハハハハッ!!楽しいなぁ!!ルイン先輩よお!!」

愉悦に表情を歪ませ下卑た笑いを響かせるダブル。
そんな彼に苛立ちを覚えるかのようにルインは歯を軋ませた。

ルイン「これが…楽しいの?多くの人々やレプリロイドを死なせ…苦しませて…そんなに楽しいのっ!!?」

ダブル「ああ、楽しいねぇ。何せ俺様は…」

唇を吊り上げダブルはルインと鍔迫り合いを続けつつ、何を悪びれる事無く傲然と言い放つ。

ダブル「シグマ様の手で造られた生まれながらのイレギュラーだからな!!」

ルイン「ぐっ!!」

ブレードとセイバーをぶつけ合いながら凄まじい攻防が繰り広げられる。
しかし…。

ダブル「知ってるぜえ、先輩。その強化は精々1分しか持たないことがな。」

オーバードライブの制限時間の一分間が過ぎ去り、オーバードライブが解除された。

ルイン「あ…っ!!」

ダブル「チッ…お楽しみはこれまでかよ…まあいい!!死ねやルイン!!」

ダブルのブレードがルインの腹部を貫いた。

ルイン「(オーバードライブが長時間使えれば…もう…駄目…)」

『諦めちゃ駄目だよルインちゃん』

ルイン「(誰…?)」

『君の味方。最後のアーマーを解放するよ。OXアーマー起動開始!!』

倒れたルインをつまらなそうに見遣りながらダブルは口を開いた。

ダブル「たく、これで終わりかよつまんねえな。ん?」

ルインのエネルギー反応が異常の域にまで達し、ルインの方を見遣ると彼女の朱いアーマーが血のような紅いアーマーに変わっていた。

ルイン「ダブル…」

凄まじいエネルギーを放ちながらダブルを睨み据えるルイン。
拳からは禍々しい紫色の光が漏れていた。
太股のホルスターから専用のエネルギーセイバー、アルティメットセイバーを抜き放ち、ダブルに向ける。

ルイン「私は君を許さない」

凄まじい脚力でルインはダブルに肉薄するとセイバーで切り付ける。
しかし液状化することで無力化させられる。

ダブル「やるな先輩よぉ。だが残念…俺様は不死身だ。どんな強力な攻撃を繰り出した所で俺に有効なダメージを与える事は一切不可能だ。」

ルイン「そう、なら液状化する暇を与えなければいい」

ダブル「ああ?」

ルイン「オーバードライブ!!」

紅いオーラを身に纏いながらバスターショットを向ける。
バスターショットはZXバスターとは違い、セイバーをマガジン代わりにしなければチャージショットが放てない。
そういう点では不便だが、チャージショットの威力を考えれば仕方ないとも言える。
もう片方のホルスターからもう1本のアルティメットセイバーを抜く。

ルイン「ダブルチャージウェーブ!!」

プラズマチャージに匹敵する規模のダブルチャージショットとセイバーの衝撃波の連続攻撃。
ダブルは目を見開いたが、液状化して無力化した。
液体から固体に戻ろうとした時。
氷属性の衝撃波が液状化したダブルに直撃し、液状化したダブルを凍結した。

ダブル「(な、何だこりゃあ!!?)」

ルイン「アークブレード。氷属性の衝撃波を広範囲に放つ技だよ。流石の君も液状化した状態で凍結したら固体に戻れないよねえ?」

穏やかな笑みを浮かべながら言い放つルインに戦慄した。

ルイン「ダブル…お遊びはもう終わりだよ。生まれついてのイレギュラーである君に今更謝罪なんて求めないよ。ただ死ね。凶悪なイレギュラーとしてイレギュラーハンターに破壊されてね。それが君に出来る唯一の償いだよ」

穏やかに微笑すら浮かべながらダブルに死を宣告した。
バスターショットを向けるルイン。
バスターショットの銃口からチャージしていないというのにエックスのフルチャージショットに匹敵する砲撃の嵐がダブルに見舞われた。

ルイン「アースクラッシュ!!」

追撃で放たれる衝撃波。
砲撃と衝撃波を受けたダブルは液体金属のコントロールコアを破壊され、液体から再び通常のレプリロイドの形態に戻る。
尤も上半身しか残ってはいなかったが。

ダブル「くっ…まさかこんな女に負けちまうとはな…」

ルイン「……ねえ、ダブル」

ダブル「ああ?」

ルイン「ケイン博士のラボでデータを盗んだのも君?」

ダブル「あれはディザイアだよ。シグマ様がパワーアップの代わりに奴にさせたんだ。あいつは相当あんたに惚れ込んでたからな。シグマ様に掛かれば簡単に言うことを聞いたぜ。盗んだデータは何に使うかは俺も知らねえよ」

ルイン「そう…」

ダブル「じゃあな…先輩。あの世で待ってるぜーーーーっ!!!!!!」

絶叫と同時にダブルの全身から閃光が放たれた。
シグマの操り人形として生まれ、非道の限りを尽くした男の死。
殺す事と欺く事…。
たったそれだけのために造られた生まれながらのイレギュラー。
思えばダブルもまたシグマの被害者だったのかも知れない。

ルイン「…さようならダブル。」

まだこの先にはレプリフォース最高司令官たるジェネラル。
そして彼らをも巧みに利用しこの戦争を画策した張本人たるシグマが待ち受けているのだ。
戦いはまだ終わらない。

ルイン「待ってなよシグマ…。例え何度蘇っても私達がいる限り、あなたがこの世界に君臨する事は有り得ないんだから」

先に待つであろう更に激しい戦火を恐れる事もなくルインはまた先に向けて歩を進めだした。






































ディザイアとの死闘を終えたエックスも、ジェネラルの元に向かっていた。
ディザイアにつけられたフォースアーマーの傷もアルティメットアーマーに変化した際に修復されたらしく傷1つない。
アルティメットアーマーは体力の消耗が激しいためにフォースアーマーのまま、近衛兵を薙ぎ払っていた。
その時、紅い影が見えた。

エックス「ゼロ!?」

ルイン「エックス?」

ゼロだと思った人物はルインであった。
互いに今の状況について話し合う。





































エックス「ダブルがイレギュラーだったなんて…」

可愛がっていた部下がまさかシグマの手先だったとは…。

ルイン「エックス…ディザイアを救ってくれたんだね…」

エックス「俺は…彼と戦うことしか出来なかった……本当なら彼と分かり合う時間なんていくらでもあったのに…」

ルイン「エックス…少なくてもディザイアは感謝してたんでしょ?だったらディザイアは救われたんだよ…ありがとうエックス」

エックス「………」

ルイン「この戦いは私のせいで起こったんだ。私があの時、冷静だったらこんなことにならなかった…こうなったのは全部私のせいなんだ。」

エックス「そんなことはない!!」

ルイン「っ!!」

エックスの声にルインは肩を震わせた。

エックス「全ては仕組んだシグマのせいなんだ!!君のせいじゃない!!」

ルイン「で、でも…私のせいでディザイアはイレギュラーに……」

涙を流しながら俯くルインにエックスは首を振る。

エックス「彼は確かに間違えてしまったのかもしれない。だけど彼はいつも君のことを考えて行動していた。人間が不完全であるように、俺達レプリロイドだって不完全な存在だ。完璧な存在なんていないんだ。それを教えてくれたのは君だろう?それに俺はディザイアがイレギュラーとなってしまった気持ちが痛い程に分かる。“愛”とは抑えることの出来ない感情なんだ。それは時として人を狂わせる。ディザイアが君への愛ゆえにイレギュラーとなったように…。」

ルイン「………」

エックス「…ルイン、こんな場所だけど君に伝えたいことがあるんだ。」

ルイン「え…?」

エックス「俺は…君が好きだ。君を1人の女性として愛している。」

ルイン「…っ!!」

頬を朱色に染めながらエックスを見つめる。

エックス「ずっとずっと君が好きだった。でも俺はどうしようもない臆病者なんだ。君が俺じゃない誰かを好きだったらどうしようってね。ゼロや君が引っ張って支えてくれなければ、俺はただの臆病者だもんな…」

自嘲するように言うエックスにルインは寂しげに見つめる。

ルイン「エックス…」

エックス「今でも怖くて仕方ないんだ。君が俺じゃない他の誰かが好きなんじゃないかって…ビクビクしてるんだよ」

ルイン「…………」

エックス「…ディザイアは君に全てを捧げてでも君を愛した。傷つくことも恐れずに…。だから俺も勇気を振り絞らなきゃ、彼に面目ないしね…聞かせてくれないか?君の気持ちを……」

ルイン「私は……」

動力炉の部分に手を遣りながら、ディザイアとの会話を思い出す。

































ディザイア『副隊長…』

ルイン『何?』

ディザイア『あなたは……その、エックス隊長のこと、お好きなんですか?』

今ならどんな気持ちで彼が聞いてきたのか分かる。

ルイン『…憧れの人…かな…?』

ディザイア『憧れ…?』

ルイン『うん、ハンターになった時から…ね。エックスはね…心が強い人なの。どんなに苦しい時もどんなに悲しい時もどんなに悩んでいる時も最後の最後には必ず乗り越えてしまう人…私はそんなエックスに憧れてるんだ。異性として好きかどうかはまだ分かんないや、でもエックスと一緒にいれば不思議と安心出来て、幸せな気持ちになれるんだ』

ディザイア『何となく…』

ルイン『え…?』

ディザイア『何となくあなたの気持ちが分かる気がします。私も同じですから…』

ルイン『君、好きな人がいるの?』

ディザイア『あ…はい……』

恐らく彼なりに遠まわしに自分に想いを伝えていたのだろう。
しかし自分は気づけなかった。




































ルイン「(私にエックスの気持ちに応える資格なんてあるのかな…?)」

『あのねえルインちゃん』

ルイン「(誰…?)」

『今私はルインちゃんの心の中で話してるの。ルインちゃんはエックス君のこと嫌いなの?』

ルイン「(嫌い…じゃないよ)」

『だったらさ、エックス君以外の人に特別な感情を抱いたりする?心が温かくなったり、動悸が…この表現はおかしいかな?…激しくなったりするの?』

ルイン「(…しない……エックスと一緒にいる時しか…)」

『それでいいの、ルインちゃん。人を好きになるのに資格とか関係ないの。自分の気持ちに素直になって!!自分の気持ちに嘘ついたらそれこそディザイア君に申し訳ないよ!!』

ルイン「(…うん)」

自分の中に響いてきた声に心の中で頷いて、エックスを見つめる。

ルイン「さ、さっきの…その…あの言葉…本当なの?」

エックス「俺が君のことを好きだということか?」

ルイン「う、うん…」

エックス「本当だ」

ルイン「……私、恋愛のこと…あまり分からないよ?」

エックス「構わない。」

ルイン「私、時々突っ走っちゃうし…。」

エックス「それが君の良いところでもあるだろ?」

ルイン「エ、エックスの…こと…沢山…困…らせ…るかも…しれないよ……?」

涙を流しながら言うルインにエックスは優しく微笑んだ。

エックス「構わないさ。俺は君がいいんだ…」

ルイン「ありがとう…私もね…エックスのこと大好きだよ」

エックス「ルイン…」

ルイン「この戦い…絶対に生き残ろうね」

エックス「ああ、必ず」

2人は共に歩み出した。
この先に希望の光があることを信じて。 
 

 
後書き
女神様大活躍。
四十五話の時を経て、やっとくっついてくれたよエックスと夢主が…!!

オリジナルアーマー。

OXアーマー。

ご存知の通り、ZXの隠しモデル。
オーバードライブを使えばアースクラッシュや滅閃光などのロマン技が使えるモデルではあったが、この作品では…。

オーバードライブの効果。

攻撃力二倍。
原作では使用出来ないがチャージセイバーの衝撃波の規模がオメガ並に。
チャージ無しで一段階チャージショットが繰り出せる。
Ωナックルのチャージナックルのエネルギー規模が拡大。

武装について。
モデルOXのセイバーは、アルティメットセイバーかZセイバーと言われているが、この作品ではアルティメットセイバーにしている。
バスターショットはゼロ同様にセイバーの柄をカートリッジに使ってチャージショットが放てるように。
Ωナックルはゲームに置いて、OXやオメガも使用しないが、オメガの掌にΩの文字があることからロクゼロ4のZナックルと同じ武器だと思われる。

 
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