ハイスクールD×D ~聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝~
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第1章 動き出す日常と新たな仲間
第15話 討伐任務
「二度と教会に近づいてはダメよ」
今私の目の前ではイッセーと龍巳が部長に怒られてます。なんでも部活が終わった後、悪魔の仕事が始まるまでの間に一度帰宅したらしいんだけど、その時シスターさんに会って教会まで道案内したんだって。……ついにアーシア・アルジェントがこの街にやってきたのね。
「教会は私達にとって敵地よ。敷地に踏み込んだだけで問題になるわ。今回はシスターを送ってくれた厚意を素直に受け止めてくれたみたいだけどいつ光の槍が飛んでくるか分からなかったのよ? 龍巳が付いていたのならもしもの事はなかったでしょうけど、やり返しでもすればそのまま即戦争になっていたかもしれない。そのことをあなたはちゃんと理解していたのかしら?」
そうだね。多分攻撃されれば龍巳はその教会ごと消し飛ばしていたかもしれないわね。跡形もなく。……でもこの場合そうしたほうが良かった気も。あそこ堕天使の根城だし。
「教会の関係者にも関わってはダメ。特に悪魔祓いは私達悪魔の仇敵。神の祝福を受けた彼らの力は私達悪魔を滅ぼせるのよ? もし神器所有者が悪魔祓いになっていたとしたら尚更危険だわ。人間としての死は転生で免れるかもしれないけど、悪魔祓いを受けた悪魔は完全に消滅するの。それがどれだけ恐ろしいことか分かる? ……それにあなたの幼馴染はずっとあなたのことを守ってきたのにこんな事であなたは彼女たちを裏切るのかしら?」
いやまあ龍巳も付いてたしそんなことにはならなかっただろうけど。まあこれからは注意してもらいましょうか。せめて和平を結ぶまでは。……でもアーシアと会う正確な日にちを知らなかったのは痛かったわね。もし会っていればこの段階で救えたかもしれないのに……。まあ過ぎたことは仕方ないし次の機会には……。
「すみませんでした。これからは注意します。みんなもごめん。軽はずみだった」
「ん、ごめん」
イッセーと龍巳が私達に頭を下げる。これでひとまずこの話はお終い……だろうけど今後のために布石を打っておきましょうかね。
「ねえ、イッセー。案内した教会って町外れにある奴?」
「あ、ああそうだけど、それがどうかしたのか?」
「いえ……ね」
「火織、なにか気になる点でもあるのかしら?」
「いえ、あそこの教会って随分前に閉鎖されて、今では廃墟のはずなんですけど」
「っ? なんですって? じゃあシスターが赴任してきたというのは……」
「はい、あんな所に赴任してくるなんてあるはずないんですよ」
「ちょっと待てよ。俺は確かにあの教会まで届けてきたし、彼女だってここだって言ってたぜ?」
「……ねえ、龍巳。あなたも一緒にいたんでしょう? 何か気付くことなかった?」
「2つ」
「どんなこと?」
「……金髪碧眼ドジっ子美少女シスター。出会い頭にパンツ丸出し。エロゲのヒロインみたい」
ズデーーーーーーーン
部室にいる全員がその場ですっ転んだ!
「ちょっと龍巳!! 誰がンな事聞いたのよ!?」
「それより出会い頭にパンツ丸出しが気になるにゃ」
「はい、どういうことですかお兄ちゃん? 見たんですか?」
「ちょ、ちょっと待て! 確かに見たけどあれは不可抗力だ!」
「イッセー、パンツ凝視してた。超ガン見」
「おい龍巳ィィィィィィィィィィィ!」
「お仕置きにゃ」
「はい、お仕置きです」
「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
あ~あ。イッセーまたひどいことになってるわ。これで何度目かしら? まあいつものことは置いておいて……
「で? 龍巳、もうひとつは?」
「……堕天使の気配複数。人間いっぱい」
その言葉にさっきまで弛緩しまくってた空気が一気に張り詰めた。
「つまり、私の領内に複数の堕天使が侵入していた……ということかしら? 不愉快ね」
「ちょ、ちょっと待って下さい! じゃあアーシアは!」
「……そのシスター・アーシアという人間は堕天使の下僕、ということになるわね」
「そ、そんな……」
「とにかくこの件については少し調べてみる必要があるわね。皆も注意してちょうだい」
「「「「「はい」」」」」
みんなが部長の言葉に返事をする……けどイッセーはまだ呆然としているわね。まあ仕方ないか。自分を殺しに来た連中の下僕だったんだから。今はそっとしておいた方がいいわね。
ガチャ
「あらあら。お話は済みましたか?」
朱乃さんが扉を開けて入ってきた。そういえばいなかったわね。気付かなかったわ。……決して彼女の影が薄いってことじゃないんだからね?
「火織ちゃん? なにか失礼なこと考えなかったかしら?」
「い、いえ何も!!」
「そう? うふふ」
こ、怖い。なんで分かったのかしら?
「朱乃、どうしたの?」
部長の問いに朱乃さんはこちらから目を部長に戻すと顔を曇らせた。これはもしかして……
「討伐の依頼が大公から届きました」
……はぐれ悪魔の討伐か。
はぐれ悪魔とは主を裏切る、もしくは主を殺して主なしとなり、各地で暴れまわるようになった悪魔のこと。原作の黒姉がこれに当たるわね。……そういえば黒姉が殺した主の悪魔ってこっちではどうなってるのかしら? まさか今後出てきて私達に迷惑かけないわよね? まあその件は後で考えるとして、このはぐれ悪魔は見つけ次第処分することになっているらしい。黒姉のような事例を知ってるとそれもどうかと思うんだけどね。そして今回部長の領内にはぐれ悪魔が逃げ込んで潜伏しているから討伐しろって大公から命令されたんだって。普段のお仕事はお休み、今私たちは潜伏先と思われる廃墟の前に魔法陣を使ってジャンプしてきた。とりあえず、目の前の扉を開けて中に入る。私達神裂姉妹と祐斗が前を、部長と朱乃さんとイッセーが後ろを歩く。部長は駒の特性についてイッセーに説明している。まあ以前に一度話してるし確認程度のものでしょう。そして血の匂いが濃い奥の方まで進んでいくと……
『キヒヒヒヒ! 不味そうな臭いがするぞ?』
『でもウマそうな匂いもするぞ?』
『甘いのかな?』
『それとも苦いのかな?』
そんな不気味な声とともに柱の陰からその姿が……って!?
「お、おっぱぶへ!?」
イッセーがおっぱいに反応して黒姉たちがそんなイッセーをぶん殴ってるのはいつも通りだからいいとして……な、なんでバイザーが4体もいるの!? 原作通りの裸の女の上半身に怪物形態の下半身。そこまでは原作通りなのになんか若干顔の作りが違うバイザーどもが4体もいるよ!? どういうこと!?
「はぐれ悪魔バイザー、そしてその娘たち。あなた達を消滅しに来たわ」
娘!? バイザーに娘いたの!? ……よくこんなのに嫁の貰い手がいたわね。夫はどんなのかしら? ここにいないってことは……死んだ? それとも元からいない?
「主のもとを逃げ、己の欲求のためだけに暴れまわるなんて万死に値するわ! グレモリー公爵家の名においてあなた達を消し飛ばしてあげる!」
『ケタケタケタケタ!』
『小賢しいこの小娘ごときが!』
『そんなちっぽけな体で何が出来る!』
『その紅の髪のようにその身を鮮血で染め上げてやろうか!』
「雑魚ほど洒落の効いたセリフを吐くわね。相手は4体、ちょうどいいわね。黒歌、火織、龍巳、白音!」
え!? なんでそこで私達の名前が出てくるのかな!?
「あなた達の力、見せてちょうだい!」
えええええええええええ!? 私達に丸投げ!? 一人一殺ですか!?
「ちょ、ちょっと待ってください部長! 火織たちに全部やらせるんですか!? いくらなんでもそれは無理ですよ! 体格差考えてください!」
イッセー、私達のために部長に食って掛かってくれるなんて、なんて優しい子。お姉さん感激よ。おかげでめんどくさいことから逃げられ……
「大丈夫。彼女たちはおそらく相当強いわ。あの位のはぐれ悪魔なんて相手にならないくらいね。なにせあなたを守るために長い間鍛えてきたのよ? このくらい倒せなければ守ることなど出来ないわ。というわけで、あなた達に任せるわ。がっかりさせないでね?」
くっ! ダメだった。
『いつまでしゃべっている!? 来ないならこっちから行くぞ!』
ってバイザー(?)が突っ込んできた!? ああもうこうなったら
「七閃!」
ズバン!!
『『『「「「「な!?」」」」』』』
私は七本の斬撃を瞬時に放ち、バイザー(?)の化物の両手両足、人間部分の両手、そして首を瞬時に切り落とした。
「あ、あの部長。今の見えました?」
「い、いいえ。私も見えなかったわ。朱乃と祐斗はどう?」
「いいえ、私も見えませんでしたわ」
「手とあの刀の柄が一瞬ブレるのは見えましたが斬撃自体は見えませんでした」
ふむ、彼女たちでも私の七閃のカラクリは分からなかったようね。なら当分この刀だけでやっていけるかしら。
『き、貴様! 良くも母上を!!』
『殺す! 殺してやる!』
『生きて帰れると思うな!』
あ、私が倒したのってバイザーだったんだ。正直どれがどれだかわからないのよね。
「にゃん。めんどいし私はこれで終わらすにゃん」
そう言うと黒姉は足元から青い霧を発生させ相手の一体をその霧で覆った。そして
『グ、グギャァァァァァァァァ!!』
その一体は悶え苦しんだ後動かなくなった。
「ね、ねえ黒歌。あなた何をしたの?」
「この霧は仙術と妖術を応用して作った悪魔専用の毒霧にゃん。ちょっとでも吸えば即おさらばにゃん」
「なっ!?」
あ、部長絶句してる。向こうの残りのはぐれ悪魔も立て続けに2体やられて怯んじゃってるよ。残りは龍巳と白音だけど……
「白音、白音」
「はい、なんですか龍巳姉様?」
「……ゴニョゴニョ」
「あ、それはいいですね。分かりました」
うん? 何を話し合ってたのかしら? もしかしてかわいそうだから逃がす……とか? そんなことを考えているとおもむろに2人は振り返りイッセーに話しかけた。
「イッセー、よく見てる」
「よく見て参考にしてください」
「イッセー、なってなかった」
「はい、全然なっていませんでした。ですから私達がお手本を見せます」
……な、なんのこと? この娘達一体何をしようとしているの?
「え、え~と、龍巳? 白音ちゃん? どういうこと? なってなかったってなんのこと?」
「いいからよく見る」
「これが本当の」
「「ドラゴン波!!!」」
ってここでまさかのドラゴン波!? 威力は調節したんだろうけどはぐれ悪魔は消し飛んじゃってるじゃない! 部長たちなんかは石のように固まっちゃってるし、もうホント少しは自重してよ! ほらそこ! ハイタッチとかしない! そして「イエーイ!」じゃない!
「あ、あなた達本当に規格外ね。想像以上だわ」
「あらあら、もしかして私達より強かったりするのかしら?」
「僕は火織さんの剣技に興味あるね」
「……」
三者三様の反応、そしてイッセーはまだ固まってる。
「と、とりあえずみんなが強いことは分かったわ。この分なら将来レーティングゲームに参加しても活躍できそうね。昇格も意外と早くにあるんじゃないかしら? とりあえずお疲れ様。帰りましょう?」
というわけではぐれ悪魔討伐はあっさり終わり帰路についた。結局イッセーは家に帰るまでずっと心ここにあらずだったわね。……インパクトありすぎてアーシアのこととか忘れてなければいいんだけど。
ちなみにこの日以降イッセーと龍巳、白音が一緒にドラゴン波の練習をしている光景が見られたり見られなかったり。お願いだからこの街消し飛ばさないでね?
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