ハイスクールD×D ~聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝~
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第0章 平穏な日常と新たな家族
第7話 夏休み!
黒姉と白音が家族になってから大体3ヶ月くらい経った。今は夏休み終盤、そして毎年の恒例行事である夏休みの宿題の追い込みをうちのリビングでしている。主に龍巳とイッセーが。
二学期まで後数日、私はとっくに宿題を終わらせてるんだけど、イッセーと龍巳の目の前にはまだ手の付けられていない宿題が山になっていた。この光景、今年でもう3回目だよ。いい加減学習して欲しいんだけどこの子たち毎年遊び呆けて宿題後回しにするのよね。毎年手伝わされてきた私の身にもなって欲しい。私にとって問題自体はさして難しくもない簡単なものだけど、量が半端無い上に反復練習のような問題ばかりだからどちらかと言うと精神的に疲れる。
と、毎年なら2人に愚痴りながら宿題を手伝うんだけど今年は手伝わずに本人にやらせている。なぜなら私は別のことに忙しいからね。それは今年からこの場に加わった2人、黒姉と白音が原因である。今までまともな教育を受けてこなかったためいきなり学校に通えるはずもなく、通うのは二学期からとしてそれまでに私とお母さんで必要な知識を叩き込んでいた。2人とも初めての勉強に興味津々で物覚えも悪くないので教えるのはあまり苦ではないんだけど、なにせ量が多い。白音は一年半、黒姉にいたっては三年半分の勉強を教えなければならない。いくら2人が勤勉でもこの量をこの短時間に教えるのは大変だ。一学期中は学校行っている間にお母さんが、夏休みに入ってからは私も教えていた。
まあそんなわけで私をアテにしていたおバカ2人は今も必死に涙目で宿題をやっている。だから早めにやっておけと言ったのに。
「我、今年も手伝ってくれると思った」
「そもそも俺達と遊んでさらには剣道場にも通って、その上黒歌姉ちゃんと白音ちゃんにも勉強教えたりしてるのにどうして火織ちゃんはもう宿題終わってるんだよ」
「うん。不思議」
「私は努力してんの。2人が寝た後にやったりしてたの。っていうか龍巳は寝る前に毎回一緒に宿題やろうって誘ったわよね? なのに疲れたって言ってさっさと寝てるのはあなたじゃない。不思議でもなんでもない」
「うぐ」
「そもそも私が剣道場通ってる間も遊んでたんだから私が帰ってきた後は一緒に宿題しようって何度も誘ったわよね? なのに明日からねって言って毎回遊んでたのはあなた達でしょ?」
「だって火織ちゃんとも遊びたかったんだもん」
「我も」
「なら私が剣道場に通ってる間にやりなさい」
「「ぐはっ!」」
あ、死んだ。全くこの子たちは。黒姉と白音だって呆れてるじゃない。
「2人共しょうがないわね~」
「龍巳姉さまもお兄ちゃんもおバカです」
あ、2人がトドメ刺した。特に白音、この頃から毒舌に切れがあるわね。
ちなみにこの2人、イッセーとはすぐに仲良くなった。今まで友達と呼べる人もまともに作れなかった2人だ。なんの裏もなく無邪気に接してくるイッセーにすぐに心を開いた。まあ妖怪であることはまだ秘密だけど……。2人には龍巳の正体と私の魔獣創造を教えた時に、イッセーに宿っているものについても説明してある。赤龍帝と関わったものは代々ろくな生き方ができなかったということも含めてね。その上で彼女たちはイッセーと友達になった。普通ならそんな話を聞けば関わり合いになりたくないだろうけど、そこはイッセーの友達や仲間を大切にする彼の性格のなせる技だろう。ホントエッチなところを除けば将来女子たちにモテモテになれるだろうに。
……そう、エッチなところを除けば。
残念ながらエロに目覚めたイッセーを更生させることはできなかった。直接私達にセクハラすることはないけれど、街を歩けばお姉さんたちの胸をガン見するようになった。その度に龍巳は不機嫌になるし黒姉はイッセーを睨むし白音は自分の胸に手を当てて悩んでいる。その上3人ともイッセーに肉体的に制裁を与えたりしている。うん、完全に3人ともフラグ立ってるようだね。あまりの速さにさすがにびっくりだ。まだ好きになったことを自覚してるか分からないけど。自覚するようになったら好きになった経緯でも聞いてみようかな?
まあそんな理由もあって彼女たちの正体をイッセーにバラすのは龍巳と同様彼が赤龍帝と教えるときに一緒にということになった。やっぱりいつまでも内緒にはしたくないみたい。私のこともその時教えることになるかな? それから、黒姉と白音も私と一緒に龍巳に修行をつけてもらうことになったよ。将来イッセーを守りたいんだって。イッセーも愛されてるね。本人は気付いてないんだろうけど。
そんなこんなでもう夕方ね。黒姉と白音も今日のノルマは終わっている。問題は残るバカ2人。
「火織ちゃんも手伝ってよ~」
「我、もう疲れた」
「ダ~メ! 今年こそはちゃんと自分でやりなさい! 私だって疲れてるんだから」
あ~あ。2人共グデ~っとしちゃってる。分からないところを教えてあげるだけありがたく思いなさいよ。
「火織姉様、テレビ見ていい?」
「あ、今日白音の好きなアニメの放送日だっけ? いいわよ、見てらっしゃい」
「はい」
と彼女は言って和室に置いてあるテレビを見に行った。ここにもテレビはあるんだけど宿題の邪魔にならないよう気を使ったのでしょう。なんというかあのトテトテと歩く姿は本当に小動物ちっくで可愛い。黒姉が溺愛するのも分かるわ。私に影響されてか、黒姉はそうでもないんだけど龍巳に白音、それにイッセーはアニメや漫画が好きになってしまった。3人とも欠かさず見るアニメが週に数本はあるし、よく私の部屋に漫画を借りに来る。このままだと直にラノベにも手を出し始めるかな? まあそんなことはさておき……
「2人はどこに行こうとしてるのかな?」
私はコソコソ部屋を後にしようとしていた龍巳とイッセーの首根っこを掴んでいた。
「いや勉強頑張ったし俺も好きなアニメだから白音ちゃんと一緒に見てこようかなって」
「ん。我も見たい」
全くこの2人は……
「ダメに決まってるでしょ? 今日のノルマが終わるまでこの部屋から出しません。お夕飯もおあずけです」
ガーン!
そんな擬音とともに龍巳が崩れ落ちた。おや? イッセーは?
「でも俺はそろそろ帰らないと! 母さんも心配するし!」
おお。イッセーも悪知恵が働くようになったか。まあそこまでの悪知恵じゃないけど。そして龍巳はまるで裏切り者を見るような目でイッセーを睨んでる。一方イッセーは得意顔だ。ここから逃げられると確信しているような顔ね。私はそんなイッセーに満面の笑顔で
「大丈夫。おばさんにもちゃんと話は通してあるから。終わるまで帰ってこなくていいって」
死刑宣告をしてあげた。
「そ、そんな」
おっと、イッセーまで崩れ落ちた。龍神と天龍の並んだorz状態。この場にカメラがあれば絶対記録しておくね。将来思いっきりからかえそう。
カシャ!
と思ったら、黒姉普通に撮ってたよ。満面の笑顔で。この頃から悪戯グセはあったんだね。
「アハハ! 面白いものが撮れたわ!」
そう言うと黒姉は部屋を出ていった。おおかた白音のところに行ったかな? 黒姉めっちゃシスコンだし。それに今の写真を見せびらかしたかったんだろう。龍巳とイッセーもそれを理解しているのか更に深く落ち込んだ。
「ほら、2人共さっさと終わらせるわよ。アニメは録画しておいてあげるから」
そう言うと2人はやっと宿題に取りかかりはじめた。
その後、二学期になり黒姉と白音はそれぞれ四年生と二年生に転入してきた。今回もイッセー達以外には養子ということは伏せ、事情があって離れて暮らしていた家族がようやく一緒に暮らせるようになったということにしておいた。まあ少し不審なところもあるけれど、提出した書類にはそういうことになってるし、怪しむ人には龍巳がほんのちょっと力を使ったり黒姉が妖術を使ったりしてた。このぐらいなら許されるよね。
2人共もともと容姿が可愛く、また優しい性格の持ち主だったので学校ではすぐに人気者になった。今では2人共楽しく学校生活を送っている。
私達が美人四姉妹と呼ばれ、全男子の憧れになったり、私達姉妹の親衛隊ができたり(何故か女子も多数所属していた)、そんな私達と幼馴染で親しいイッセーが全男子の敵になったり、親衛隊に連日追いかけられたりするようになるのはもう少し先の話だ。
余談だけど、二人は結局夏休みの宿題が前日になっても終わらず、黒姉と白音の転入前日で忙しい中みんなで手伝って何とか終わらせた。下級生に宿題手伝わせる上級生ってどうかと思うんだけどな~。
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