ハイスクールD×D ~聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝~
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第0章 平穏な日常と新たな家族
第5話 ヤツが来た!
「あなたが一体何をしたのか、その意味をちゃんと理解していますか?」
「……うん」
「では何故あんなことをしたのです?」
「……」
「龍巳?」
「……う゛ぅ」
皆さんこんにちは。神裂火織です。今私の目の前では原作を知っている身としてはありえない光景が繰り広げられている。無限の龍神であり真なる赤龍神帝グレートレッドに次いで最も強い存在である神裂龍巳がソファーの前の床に正座して、ソファーに座ったお母さんに怒られている。……うん。めっちゃ怖い。
ほら私って転生者だから精神年齢20歳超えてるじゃない? だから今まで両親を怒らせるようなことしてこなかったし、お父さんがお母さんに怒られることはあっても娘の教育に良くないと言って私達にはその場面を見せられてこなかったのよ。だから私達がお母さんが本気で怒るのを見るのは初めてだった。こんなに怖いとは思っても見なかったな。想像以上だよ。
顔はいつも通りニコニコ……いえいつにも増してニコニコしてるんだけど、後ろに般若が見える。龍巳もすっかり怯えて涙目ね。無限の龍神を怖がらせるとかお母さんどんだけ?
ちなみの私は2人が対面している横、ちょうど3人の位置が正三角形になるような位置に立っている。私が龍巳を慌てて家に連れ帰ったあと不審に思ったお母さんに事情を説明したらそのまま説教タイムに突入してしまったからね。おかげで逃げるタイミングを完全に逃しちゃった。……いや、ここは留まって私から事情を説明して龍巳にフォローを入れるべきかな? このままここを離れるのはさすがに不憫すぎる。と、思った矢先
「……火織ちゃん。長くなりそうだからあなたは席を外しなさい」
ああ、龍巳が私達を絶望したような目で見てる。今のは彼女にとって死刑宣告ね。
「火織ちゃん?」
「うん。分かった」
ああ、龍巳。そんな捨てられた子犬のような目でお姉ちゃんを見ないで。私だってまだ命が惜しい。私はジェスチャーでごめんねと伝えるとリビングをあとにして自分の部屋に上がっていった。
さて、何故こんなことになったかというと、話は今日の放課後、剣道場からの帰宅途中まで遡る。
今日私は学校終了後、剣道場に直接赴いたんだけど、なんでも道場の師範代が急用で県外へ出てしまったので今日はお休みということになった。今私たちは小学二年生、夏休みも終わり二学期が始まったばっかり。
ちなみに龍巳とイッセーは先に帰している。剣道に興味のないイッセー、あまりにも強すぎる龍巳にとって剣道場に行く理由がないからね。初めの頃こそイッセーも見学に来ていたんだけど、すぐに来なくなった。まあ見てるだけもつまんないしね。
余談だけど外に出るときは私か龍巳が常にイッセーの傍にいるようにしている。赤龍帝に引きつけられた人外がイッセーに害を成さないようにするためにね。まだドライグが目覚めていないからといって油断はできない。原作では大丈夫だったはずだけど、私と龍巳がここにいることでどんな変化が起こるかわからないからね。その点、龍巳がついていれば万が一などありえないし、私でも龍巳が駆けつけるまでの時間稼ぎができるくらいには強くなった。理由は去年から始めた人と人外の身体能力の差を埋める方法の実践ね。龍巳に心配をかけたくないので、ゆっくりじっくりやっている。その甲斐あって、生身では話にならないけど、斬魄刀を持ってなら下級堕天使相手なら短時間粘るぐらいのことはできるようになった。
この身体能力を埋める方法を龍巳に初めて教えた時も、彼女はたいそう驚いていたっけ? 私の発想はかなり大胆かつ危険だったからね。龍巳も最初は反対していたんだけど事情が事情なのでその方法を実践するときは龍巳が常に立ち会うこと、決して無理はしないことを条件に認めてくれた。今は毎晩次元の狭間で修行の前に龍巳の蛇の力も借りて実践している。
それから私は龍巳の蛇は飲んでいない。理由は2つ。私の体が蛇に耐えられるかわからないこと、それから私の体から無限の龍神の気配が漏れるのを防ぐためよ。龍巳本人の気配はいいのかって? そちらも万全。私が魔獣創造で自作した気配遮断の封印具をつけてもらってる。封印具と言ってもつけた本人の気配を遮断する小さな黒い蛇なんだけど。龍巳はそれをブレスレットのように手首に巻いて普段過ごしている。蛇は決して動かないので、今のところはちょっと趣味の悪いアクセサリーで通っている。龍巳は気に入っているみたいだけど。
さて、話を戻しましょうか。剣道場を普段より早く出た私は今家の近くの公園を突っ切っている。公園を出た先にあるコンビニに寄るためよ。普段買い食いなんてしないんだけど今日はあまりにも熱く、また普段剣道場で振舞われるスポーツドリンクも飲んでいないため、もうのどが渇いて仕方がなかったから。正直家まで保ちそうにない。
だけど私は公園の出口に差し掛かったところで思わず足を止めた。珍しい光景が目に飛び込んできたからだ。
それは今時珍しい紙芝居をしている光景で、何人もの子供たちがその紙芝居を食い入るようにして見ていた。今の時代なかなか見られない微笑ましい光景ね。そんな中よく見ると子供たちの中に龍巳とイッセーもいた。二人で仲良く肩を並べて、まるで寄り添うようにして紙芝居を見ている。ふふ、あんな歳の子供に使う言葉でもない気がするけど、なんだかいい雰囲気だね。イッセーったら、いったいいつの間に龍巳にフラグを立てたのやら。さすが人外限定の一級フラグ建築士。その建築能力たるや織斑くんにも負けないんじゃない?
私はそのまま二人の邪魔をしないように立ち去ろうとした。が、しかし私はこの時信じられないフレーズを耳にした。
「どんぶらこ、ばいんばいん。どんぶらこ、ばいんばいん。どう見てもGカップ以上の爆乳です。張りといい、形といい、極上の乳でした」
私は我が耳を疑い、思いっきりその場で紙芝居の方に振り返った! その速度たるやいつかの龍巳のように音速を超えていたかもしれない。そして私の目に飛び込んできたのは……ものすごいリアルタッチに描かれた乳の絵だった。
し、しまった~~~~~~~~~~~!
正確な時期が分からなかったしイッセーがエロくなる兆候も見られなかったから完全に油断していた! ああ、なんてこと。このイベントはなんとしても回避しようと思ったのに、よりにもよって龍巳まで一緒にこの紙芝居を見てるとは。
「おっちゃんはおっぱい揉んだの?」
ああ、もう完全に手遅れだ。完全に目覚めてる。っていうかおっちゃん! あんたも嬉々として子供に乳について語るな! もういい歳でしょ! ……結局どう足掻いても運命は変わらないってことかな~。トホホ……
「おっちゃん、おっぱい大きい方がいい?」
って龍巳~~!? あんたまで何聞いてんの~~!? ヤバイ。運命は変わらないって言ったけどやっぱ変わるわ。現在進行形で嫌な方向に変わっていってる。は、早く何とかしないと……
「もちろんだとも。そのほうが吸いごたえも揉みごたえもあるだろう?」
ああ~~~~! 龍巳に変なこと吹きこむな~~~!
「イッセーも大きい方がいい?」
「もちろんだよ! なんたっておっちゃんがそう言うんだ。おっちゃんの言うことに間違いないもん!」
「そう。分かった。我も大きくする」
あ~、龍巳は将来巨乳確定か。龍巳は自分の容姿を好きに変えられるから将来はイッセー好みのスタイルになるんだろうな~。
……と思ってた私は甘かった。
龍巳はおもむろに自分の胸に手を当てると彼女の胸は次第に膨らみ始め……ってえ~~~!? ちょ!? 大きくするって今!? 今なの!? これはマズい!! みんなびっくりして龍巳を見てるよ! 私は急いで駆け出しつつ彼女の名前を叫んだ。
「龍巳~~~!!!」
「あ、おねえちゃ……」
あ、おねえちゃん、じゃな~~~い! 私はこの窮地を脱出するため龍巳の首根っこを掴むとそのまま一気に家の方向へと駆け抜けた。
「か、火織ちゃん!? なんで……」
イッセーがなんか言ってるけど無視。とにかくこの場を離れるのが先決! イッセーが堕天使に狙われるかもしれない? 知るかそんなもん! 今まで大丈夫だったんだから今日だって大丈夫よ!
まあそんなわけで私は龍巳を家まで引きずって帰り、龍巳に注意しようと思ったらお母さんに捕まり、事情を説明したら冒頭のようになったのである。お母さんが怒っている理由は龍巳が人間には使えないような力を人前で使ったこと。龍巳が人でないと知られた結果、龍巳のみならず龍巳の大事な人達まで巻き込むことになると言って怒っていた。龍巳は少なからずショックを受けていたようで終始俯いていたよ。しかしまさかあんなことを仕出かすとは。変わりすぎでしょ無限の龍神。いったいどこ目指して突っ走ってるんだか。はぁ~
コンコン
そんな時窓ガラスが叩かれる音がした。こんなとこノックするのは一人しかいない。
「なに? イッセー」
「あ、火織ちゃん。さっきの事だけど」
イッセーが隣の窓から身を乗り出して聞いてきた。やっぱり聞いてくるよね~あんなの見せられたら。さてなんて答えよう?
「あ、あれはね!? その……あれよあれ! パーティーグッズ! ボタン押すと膨らむ風船を仕込んでおいたのよ! びっくりしたでしょ!?」
我ながら苦しい……
「あ、そうだったんだ! そうだよね~。おっぱいがあんな急に膨らむはずないよね~」
イッセーが馬鹿でよかった~~!! まあこの歳ならこんなもんよね!! あそこにいた子供たちもあんな紙芝居真剣に見てるぐらいだしアフターケアなくたって大丈夫そうね!! ……もしかしてあの中に若かりし頃の松田、元浜もいたりして。それとあとはあのおっちゃんだけど……もうすぐ逮捕されるはずだし放っといても大丈夫か! 良し、この件終了!
「あ、あとね!?」
「ん? なにイッセー?」
なんかイッセーが真剣な顔でこっち見てる。
「俺、おっきいおっぱいは当然好きだけど……小さいのもそれはそれで好きだから!!」
……真剣な顔でなにカミングアウトしてんだこのガキ。それはあれか? スカスカペッタンな私に対するフォローのつもりか? この歳で膨らんでるわけ無いでしょこのおバカ。
「あんたいきn「火織ちゃ~ん! 降りてらっしゃ~い!」……呼ばれたから私行くね? イッセーも遊んでばっかいないで宿題やりなさいよ? 今日怒られてたの隣のうちの組まで聞こえてたからね?」
「う、うん」
イッセーは赤くなると慌てて戻っていった。少しは勉強してくれないとテスト前に教える私達が大変だから日頃からしっかり言わないとね~。さて、私もリビングに戻りますか。……龍巳、生きてるよね? 主に精神的な意味で。
「ひぐっ。うっぐ。ひっぐ」
うわ~。リビングに戻ったらコアラ抱っこ状態でお母さんに抱きついて胸に顔をうずめて泣いている龍巳がいた。よっぽど精神的に堪えたらしい。あんたお母さんの胸で泣くのほんとに好きね。
……しかし改めて見てもすごい光景ね。これ、龍巳の知り合い、例えばアザゼルとか見たらどんな反応するかな? 普段の彼なら大爆笑しそうな気がするけどさすがにこれは唖然としそうね。まあでもこれで龍巳もまた一歩成長しただろう。
その後龍巳は今日寝るまで私にひっついて離れてくれなかった。よっぽど怖かったんだね。
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