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久遠の神話

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最終話 あらたなはじまりその十三

「僕は当然のことをしただけだよ」
「そう仰るんですか」
「そうだよ。ただね」
「ただ?」
「この戦いは皆が終わらせたね」
 アポロン、彼自身も含めてというのだ。
「そうなったんだよ」
「そうですね、確かに」
「アルテミス達がいて」
 聡美達をここで見てだ、アポロンは上城にさらに話したのである。
「そしてね」
「そうして、ですね」
「そう、君達もいて」
「皆がいて、ですか」
「終わったんだ、長い戦いがね」
「そうなるんですね」
「一人でも欠けていたら終わらなかったね」
 こうも言うのだった。
「本当にね」
「そうだよな、けれど確かに終わったよ」
 中田も温和な笑顔で述べた。
「じゃあな」
「今からですね」
「道着に着替えようか」
「はい、そうして」
「稽古しような」
 二人で、というのだ。
「そうしていい汗かこうな」
「わかりました」
「そうだよな、稽古の前にはな」
 道着を着たその後はだ。
「準備体操をしてな」
「そうしてからですね」
「じっくり稽古しような」
「わかりました、では」
「剣はこうあるべきですね」
 聡美がここで言った、自身の隣に来た彼女に。
「欲望の為に戦うのではなく鍛錬の為に交えるものとして」
「心と体のですね」
「はい、その二つを鍛える為に」
 交えるべきものだとだ、樹里に話すのだった。
「そうあるべきものですね」
「そうですね、今の上城君達みたいに」
「では今から」
 聡美はあらためて言った。
「見ましょう」
「二人の剣をですね」
 樹里はこの上なく澄んだ声で答えた、そして智子と豊香は。
 一旦着替えに更衣室に入った二人を見送ってだ、こう言った。
「その鍛錬がね」
「はじまりますね」
「あるべき剣の姿が」
「二人の手で」
「楽しみに見させてもらいます」
 樹里は二人にも穏やかでかつ明るい笑顔で答えた。
「上城君、そして中田さんのやり取りを」
「そうしましょう、今から」
 聡美はまた樹里のその言葉に応えた。
「剣と剣のやり取りを」
 二人は道着を着て戻って来た。そうして準備体操をしてから剣を交えた。道場の中に剣と剣が交わる音が響いた。


最終話   完


久遠の神話   完


                              2014・5・20 
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