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久遠の神話

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最終話 あらたなはじまりその十二

「あの、こちらの方は」
「私のお兄様です」
「銀月さんのですか」
「はい、そうです」
「銀月さんのお兄さんということは」
 月の女神アルテミスである聡美の兄だ、ということは。
「アポロン神ですか」
「その通りだよ」 
 青年からだ、上城に笑顔で答えた。
「僕がね」
「そうなんですか」
「この人が、なんだよ」
 中田は笑顔でアポロンを見ながら上城達に話した。
「俺の家族を助けてくれたんだ」
「そういえばアポロン神は」
「うん、僕は医学の神でもあるからね」
 アポロンは穏やかな笑顔で自分から言った。
「だからね」
「それでなんですか」
「そう、彼の家族をね」
 アポロンもまた中田を見て上城に話した。
「助けさせてもらったよ」
「それで、なんだよ」
「中田さんは戦いを降りられたんですね」
「そうさ、まあ間違ってたんだよ」
 そのことも思い出してこうも言うのだった。
「家族を助ける為でも誰かを犠牲するってのはな」
「けれどそれは」
「まあその話は止めておくか」
 上城の言葉を受けてだ、中田は実際に自分の言葉を止めた。
「そうするか」
「はい、じゃあ」
「とにかくな、俺の家族はこの人に助けてもらったよ」
「そうなんですね」
「本当に有り難いよ」
「当然のことだよ」
 アポロンは微笑みのままこうも答えた。
「人を助けることはね」
「そのことはですか」
「また言わせてもらうけれど僕は医学の神でもあるから」
「だから人を助けられることはですか」
「助けられる限りだけれどね」
 神といえど限度はある、助けられる命と助けられない命がどうしてもある。しかし助けられる命は、というのである。
「出来ることならね」
「助けることがですか」
「うん、当然だよ」
 そうだというのだ。 
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