DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第7章:過去から未来への歴史
第9話:運命という名の物語はレールの上を回り続ける事
(天空城)
マリーSIDE
皆様如何お過ごしでしょうか。
私は今、天空城のマスタードラゴン様の御前に立っております。
その神々しいお姿に、私の心は……つーか、お母様の厳しい視線に、全ては上の空からこんにちはです。
何を怒ってるのか想像は付きます。勿論ですとも!
お母さんはお父さんの、人間姿を愛しているんです。語弊のないように言いますが、心も愛してますよ。
ですが最もお気に入りなのは、人間の姿のイケメン状態が好きなんですよ。まぁ大抵の女はイケメンが好きです。
お父さん本人も、ドラゴンの姿より人間の方が好みみたいですし……
別にドラゴンが格好悪いと言ってるのではないのですよ。
その雄々しい姿は最強生物の名を戴くに相違なく、人間とは違う別の生き物として良いと思ってるんですよね。
でも人間である以上、最高に格好いいドラゴン姿より、人間姿の方がより良いと思うのは当然であり……更に言えば、人間姿が最高に格好良ければ、これに勝る物なしと思っちゃうのは仕方ない事なのであります。
そして、そんな絶世イケメンダディーをドラゴンに変身させる切っ掛けを作ってしまった可憐な美少女は、イケメンダディーの妻……即ちマイマミーの怒りを買ってしまった事でありんす。私大ピンチ!
誰かに助けを求めようと周囲を見回したら、皆さんヒゲメガネの前から退散し天空城で用意してもらった部屋へと行ってしまわれました。
この場に残ったのは、私を含めお父さん・お母さん・ヒゲメガネそしてルーシアの5人。
マイダーリンすらも残ってくれませんでした。
疲れ切って真面に歩けないのか、リューノに寄り添ってもらいながら休憩部屋の方へと……
抜け駆けされたわ!!
こうしちゃいられないので、私も慌ててウルフの後を追う事に……
でも……ママに腕を捕まれて逃げ出せませんでしたー!!
もしかして説教? こんな神聖な場所なのに説教タイムでありますか!?
マリーSIDE END
(天空城)
ルーシアSIDE
「マリー……貴女にはこの際言っておきたい事があります」
勇者シンを含め、デスピサロ達が各々部屋へ行ってしまった後、ビアンカさんが娘さんを捕まえ苦々しい口調で話し始めました。お忙しいのでしたら、旦那さんをお借りしたなぁ……
「あの……ビアンカさんは何を怒ってるんですか?」
「う~ん……まぁ、その……娘がエビルプリーストとの戦闘中にやらかしちゃってね。危うく命を落としかけたんだよ」
まぁそんな事が!? 魔界での事は確認できてなかったので知りませんでした。
「よくご無事で……良かったです」
「うん。咄嗟にコレ使ったから……なんとか」
はにかんだ表情でドラゴンの杖を見せるリュカさん。この表情も素敵ですねぇ。
「おいリュカ。何やら家庭の揉め事がある様だし、部屋へ行ってやったらどうだ? お前等の部屋も用意してあるのだから、有効に使って構わんのだぞ」
目の前で家庭の揉め事を見せられるのが嫌に感じたのか、用意した部屋へ行く事を進めるマスタードラゴン様。
「何を偉そうに……貴方だって問題あるんですよ!」
気を利かせた風に発言した事が気に入らなったのか、ビアンカさんの怒りはマスタードラゴン様にまで広がった。今この場を仕切ってるのはビアンカさんみたいです。
「わ、私が何だと言うのだ!?」
「私の夫は幼い頃から苦労をしてきたんです! やっと全てが終わって平安な時間を過ごしてるのに、何時も利用して……迷惑なんですよ! 神様のクセに自分で何とか出来ないんですか!?」
「いや……それは全て未来の私がしでかした事で……今の私に言われても」
「未来に戻ったら、未来の貴方に説教します! いいですか、逃げ出す事は許しませんよ。必ず自ら私の下へ来なさい……絶対ですよ!」
「な、何で神の私が……」
「その傲慢な態度を含めキッチリ説教致します」
はぁ~……流石リュカさんが愛してる女性だ。マスタードラゴン様に対して、これ程強気に物を言えるなんて凄い。
「さぁ……今は貴女の時間よマリー!」
「まぁまぁ、もうそれくらいで許してあげようよ」
厳しい視線をマスタードラゴン様から娘さんに移すビアンカさん……
それを見てリュカさんが宥め始めました。
「パパ~ン、大好き!」
「あ! ……ちょっとリュカ」
母親のお説教から逃れたい娘は父親の一言に縋る為、リュカさんに抱き付き彼のマントに身を隠す。
「貴方は娘に甘すぎよ!」
「世の中の父親は大概娘に甘いもんなのさ! 僕だって例外じゃない」
そうなのかしら? 自分の子供には厳しく接するのが普通なのでは?
「リュカは息子にだって甘いじゃない!」
「そりゃぁ可愛い一人息子だからね。どうしても甘くなっちゃうよ。その代わり義理の息子をビシバシ鍛えてるから!」
そんな事言いながら、ビアンカさんの死角から娘さんを逃がしてあげるリュカさん。
「ウルフ君可愛そ……」
「奥さんにだって甘い男なんだから仕方ないじゃんか(笑) 何処かにしわ寄せが行っちゃうよ。まぁ毒蜘蛛2匹に捕まったと思って諦めてもらうしかないね」
娘さんが部屋から出て行く瞬間を発見したビアンカさんは、溜息交じりでウルフさんに同情を寄せていた……リュカさんの台詞を笑いながら聞いてたけどね。
「妻以外に、愛人に対しても甘いでしょ! 問題あるんじゃないの?」
「いやいや……世界で一番妻に甘い男なんだから、その問題は掘り下げちゃダメだよ」
そう言うと、ビアンカさんを優しく抱き寄せ口吻をするリュカさん。
あまりにも自然な動きに、嫉妬心も沸き起こらない行動だった。
「それだけ甘いのなら、神の私にも甘く接してくれないだろうか?」
未来で説教される事が決定してるマスタードラゴン様が、良い雰囲気を壊す様に訴える。
「「黙れ」」
だがリュカさんもビアンカさんも、そんなマスタードラゴン様を許す気はないみたいです。
お二人ともマスタードラゴン様に向き直り、未来での勝手な振る舞いやリュカさん等に迷惑をかけてる事に対し説教を始めました。
「今の私に言う事じゃないだろ」
と、マスタードラゴン様は仰りました。
確かにその通りなんですけど……
「今のうちに言っておけば、未来では考えを改めるかもしれないだろ!」
とリュカさんに言われます。
「考えを改めてお前等を過去に送らなきゃ、重大なパラドックスが発生するだろう……如何に足掻いても物語は変わらない」
マスタードラゴン様の言い分は尤もです! クールに言い放つ姿は流石としか言いようがない。
「偉そーに……お前がどんだけ間抜けなのか、こっちは熟知してるんだぞ! でも教えてあげない、お前の物語の事は。運命というレールの上を哀れに回り続けると良い!」
何とも意味深な事を言ってビアンカさんと共に割り当てられた部屋へ下がるリュカさん。
私はマスタードラゴン様と目を合わせ、首を傾げてしまいました。
しかし未来人たるリュカさんの台詞です……間違いなく意味がある事なんでしょう。
何だか不安になってしまいます……
「マスタードラゴン様……謝っておいた方が良いんじゃないですか?」
「それは未来の私が担う役目です。今の私は、彼等に対して何ら詫びを入れる事はしてません。それに未来なんて知らなくて良いのです……あるがままを受け入れるのも大切な事なんですよ」
言ってる事は尤もですが、リュカさんが意地悪く言ってるのを見ると……
まぁ世界が滅ぶわけじゃないみたいだから、放っておいても大丈夫なのかな?
後でコッソリ聞いてみようかしら?
でも……教えてくれるかしら?
ルーシアSIDE END
後書き
いきなりネタばらし
フランス語で「石」の事を“ピエール”と言います。
ラテン語で「石」は“ラピス”と言います。
何かの本で読んだ記憶がある。
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