DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第7章:過去から未来への歴史
第8話:拾ったんです
前書き
ウルフに絶体絶命のピンチ到来!
彼は生きて元の時代に帰れるのだろうか?
何が地獄で、何が天国なのか……整理する時間を彼に与えてくれ!
(エビルマウンテン)
リューノSIDE
お父さんが強すぎて、みんなが弱く見えるこの状況……
愚痴の一つも言ってないとやってらんないのだろうと思われる。
その愚痴をエビ攻略に絡ませながらデスピーが吐き出してると、何やら我が父への不満の目が集中した。
つまりは『我々じゃ勝てそうにないから、どうか手を貸して下さいませ』と、睨む事で伝えてる訳なのだが、その視線を突如奪う者が現れた。
それはマリー……私の妹のマリーだ!
疲れ切って寝そべっているウルフの顔の上に跨がる様に立ち、先程記憶したビアンカさんのセクシーパンツの記憶を上書きさせるのと平行して懐から取り出した奇妙な笛を掲げている。
その笛ってもしかして……!?
「これ、な~んだ!?」
「そ、それは……『あやかしの笛』ではないか!!」
「え、何で?」
ジェラシーを感じるほど可愛らしく叫ぶマリーに対し、驚きの声でデスピーが答える。
その答えに流石のお父さんが吃驚して振り返る。
そしてマリーの立ち位置に喜んでいる。
「ちょっと……その笛はサントハイムにあった物でしょ……盗んだわね!? 私、憶えてるんだからね……以前お父様が『夢で笛が重要になるのを見た……国中の楽器職人を呼び寄せ、夢で見た物と同じ物を作らせるぞ!』って大騒動になったんだから!」
「ううん、盗んでないのよ。拾っただけ。絶世の美少女は盗んだりしないのよ、普通の美少女姫様」
「喧嘩売ってんのかコラ!」
どうしてお父さんもマリーも、自分の事を“イケメン”とか“絶世の美少女”と広言できるのだろうか? 恥ずかしくないのかな?
「そ、そんな事より……早く笛を吹け! こっちは一大事なんだよ!」
エビの猛攻を凌ぎながら、デスピーがマリーに怒鳴る様に話しかける。
「言葉に気を付けなさい似非イケメン! 『哀れな我々の為に、どうか笛を吹いて助けて下さいまし、絶世の美少女マリー姫様』と言え!」
「もういい……お前を殺して自分で吹く!」
業を煮やしたデスピーが、エビの下からこちらへダッシュ!
流石に慌てたマリーは、その場に蹲りお父さんの影に隠れようとする。
だが思い出してほしい……マリーの立っていた場所を。
そうウルフの顔の上なのだ!
突如降りてきたマリーの股間に顔を覆われ、苦しそうに藻掻くウルフ。
しかしデスピーは、マリーに近付く事は出来なかった。
何故ならエビが……一連の会話を聞いてたエビが、慌ててデスピーを弾き飛ばし、マリーを殺そうと突進してきたからだ!
マリーは元より、側に居る私達まで命が危険に晒されるこの状況……
でも大丈夫なの。私達にはお父さんが居るから!
最強のイケメンお父さんが居てくれるから♡
リューノSIDE END
(エビルマウンテン)
クリフトSIDE
勢いよくデスピーさんを弾いたエビちゃんさんは、そのままの勢いでリュカ一家の団欒場所まで猛突進。
あわや大惨事……かと思われたが、皆さんの下へ辿り着く前に、エビちゃんさんの身体が停止する。何か大きな物体に阻まれ停止してる。
目を凝らしてよく見ると、エビちゃんさんの手前に大きな青いドラゴンが1匹……
何処から現れたのか……巨大化したエビちゃんさんよりも一回りは大きい濃紺色の美しいドラゴンは、左前足でエビちゃんさんの頭を押さえ突進を防いでいた。
「マリー……サッサとその笛をデスピーに渡してこい。これでは落ち着いて傍観も出来ないじゃないか!」
ドラゴンは足下で蹲るマリーさんに、優しい声で話しかける。
この声は……リュカさん……ですか!?
「は、はいぃお父様!!」
話しかけられたマリーさんは弾かれる様に立ち上がり、一番近くに居たデスピーさんに笛を渡す。
エビちゃんさんに弾かれ、起き上がろうとしてたデスピーさんに……
「ごめんなさいデスピーちゃん……調子に乗りすぎました。怒られそうなので、この笛を使って恙無く勝利して下さいまし! そしてどうか私の弁護を!!」
このドラゴンがリュカさんの本気の姿と言う事だろうか……マリーさんが脅えながらデスピーさんに謝罪してる。
手渡された笛を見詰めるデスピーさん……その姿を見たリュカさんドラゴンは、
「おら! お前の戦う相手は向こうに居るだろ……こっちに来んじゃねー!」
と言って、エビちゃんさんを軽々と投げ飛ばした!
「ば、馬鹿な……私の突撃が全く効かないとは!?」
投げ飛ばされたエビちゃんさんは、ムックリと起き上がりながらリュカさんドラゴンの強さに驚いている。
それは当然だろう……私だって驚いてるのだから。
「ぐっ……そんな事より笛を奪わねば!!」
優先順位を思い出したエビちゃんさんは、デスピーさんへ向き直り攻撃を仕掛けようとする……が、彼は既に笛を吹く準備万全状態だった。
直後、怪しい雰囲気の曲を奏でるデスピーさん。
その音色を聞き、巨体を振るわせ苦しみ藻掻くエビちゃんさん。
そして勝敗の行方は決した。
クリフトSIDE END
(エビルマウンテン)
ビアンカSIDE
大きくて醜い化け物姿から、以前の小さい(と言っても私より大きい)魔同士の姿に戻ったエビちゃん。進化の秘宝を使用した事で、リュカにエグられた目も回復している……まぁ、あまり意味は無いけどね。
「そんな……馬鹿な! こ、こんな事があってたまるか!」
「どうやら俺達の勝ちみたいだな」
以前の姿に戻ってしまい愕然としてるエビちゃんに、圧倒的優位な立場から偉そうな台詞を吐き捨てるデスピー。お前の実力じゃない!
「ま、待て! 我らは仲間だったではないか……何故人間に協力するのだ!? デスピサロ……いえ、デスピサロ様! 今からでも間に合います。私と協力して人間共を……」
あそこまで豪快に裏切っておきながら『そうだね、一緒に人間を滅ぼそう☆』と言われると思ってるのかしら? だとしたら……馬鹿?
安全を確信したリュカが元の美しい姿に戻るのを見詰めながら、彼に目で尋ねてみる。
しかし彼も肩を竦めるだけで答えてはくれない。まぁ良いわ……私の大好きな美しい姿のリュカに戻ってくれたのだから。
考え無しに重要アイテムを見せびらかすから、リュカがドラゴンの姿に変身しなければならなくなるのよ!
後で時間を作って、じっくりマリーをお説教しないと!
そう言えば、マリーの○○○で窒息させられてたウルフ君は無事かしら? ……無事みたいね。
再びエビちゃん等に意識を向けると、醜い命乞いの最中だった。
勿論聞く耳持たないデスピーは、冷めた表情で剣を振り上げ、そしてクールに振り下ろし全てを終わらせる。
お前等の力だけでは何一つ解決してないのだから、ドヤ顔しないでほしいわね。
とは言え、これで全てが終わったわけだし……
私は立ち上がりビニールシートとかを片付け始める。
勿論リュカも……娘等もアローくん・ロザリーも手伝ってくれてるわ。ウルフ君は除く!
魔界に広がってたエビちゃんの邪悪な瘴気が、デスピーの一閃で消え去って行くのが解る。
それと同時に暖かい光が私達を包み、聞き覚えのある声が響く。
「よくぞやってくれました勇者と仲間達よ」
エビちゃんの邪気が消え、ヒゲメガネが力を発揮できる様になったらしく、偉そうに労いの言葉をかけてくる。
「その勇者は、未だに気を失ってるじゃん! 結局役に立ってないじゃん!」
誰の台詞か説明の必要ある?
「さぁ……私の力も及ぶ様になりましたし、皆さんを天空城へ移転します。勇者シンも含め、我が城で十分に休んで下さい」
無視した。我が夫の台詞を完全に無視したわ、この神様!
こんなんだから何時まで経ってもリュカを利用しようとする邪悪な心が消えないのよ。
帰ったらマリー共々説教してやらないと気が済まないわ!
ビアンカSIDE END
後書き
良かったです。ウルフ君は無事でした。
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