万華鏡

「よくないわね」
「広島弁はともかくとしまして」
「それは駄目ですよ」
「それも何度もしたから」
「ああ、余計に悪いですね」
「何度もですと」
「そう、それでなのよ」
　その結果、というのだ。
「私彼氏がいないのよ」
「困ってます？それで」
「彼氏の人いなくて」
「ううん、そう言われるとね」
　彼氏がいなくてどうかと問われるとだった、先輩は懐疑的な顔で首を傾げさせてそのうえで答えたのだった。
「別にね」
「寂しくないですか」
「これといって」
「部活してて学校でも寮でも皆と一緒にいて」
「だからですか」
「別に寂しくないんですね」
「欲しいとは思ってもね」
　それでもだというのだ。
「何があっても欲しいとかはないわね」
「そこまではないんですね」
「別に」
「ええ、ないわ」
　実際にそうだと言うのだった。
「餓えてるっていう位まではいかないわ」
「いや、餓えてるのは幾ら何でも」
「駄目ですよ」
　琴乃達も先輩の今の言葉にはこう返した。
「それだと何か」
「ちょっと怖いですよ」
「そうよね、だからね」
「先輩もですか」
「そこまではいかないんですね」
「ええ、とりあえず結婚はしたいけれどね」
　それでもだというのだ。
「強烈に。どうしても欲しいかっていうと」
「そこまではいかない」
「そうなんですね」
「まあ　ね。もうあんなことはしないから」
　頭を掻きながら過去を後悔し反省する言葉も出した。
「胡座もラッパ飲みもね」
「はい、絶対にそうすべきです」
「何があっても」
　五人もこのことには真剣に突っ込みを入れた。
「さもないとですよ」
「本当に結婚出来ないですよ」
「そうよね、そういえば合宿の時も」
　この時のこともだ、先輩は思い出したのだった。
「私あれだったわよね」
「まあちょっと」
「見えそうでしたよ」　
　五人は先輩の今のことばにもこう返した。
「脚からもう少しで」
「奥まで」
「付け根までだったのね」
「あと数ミリ、でしたよ」
　そのあと僅か数ミリ、でだったというのだ。
「本当に危なかったですから」
「見ているこっちがはらはらしましたから」
「高見先輩は高見先輩で」
「胸が」
「そうそう、潤ちゃんもあれなのよ」
　宇野先輩は高見先輩の話が出たところでまた言った。
「酔ったらね」
「ガード緩くなりますよね」
「それもかなり」
「胸見えてたんでしょ」
「あとちょっとで乳首がって位に」
「際どかったです」
「乳首は見せたらアウトよ」
　もうその時点で、というのだ。