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万華鏡

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第八十一話 寮生活その六

「そんな困る位にはね、全然普通よ」
「いや、先輩と比べますと」
「どうしても」
 やはり先輩の胸を見つつ言うのだった。
「小さいです」
「どうしても」
「まあね、胸のことはね」
 先輩は水風呂の中で五人、特に彩夏以外の四人に囲まれながら苦しい顔で話した。
「私はじめて気付いたから」
「本当にですか」
「はじめてだったんですね」
「そうよ、まあ大きいっていうのならね」
 それならと言うのだった。
「いいわね」
「はい、自慢していいですよ」
「小柄で胸大きいって」
「それってかなり武器ですから」
「男の子の注目の的ですよ」
「けれど私もてないわよ」
 今度はこう言う先輩だった。
「はっきり言ってね」
「えっ、そうですか?」
「先輩可愛いですよ」
「小柄で垂れ目で」
「お肌も綺麗ですし」
「髪型も似合ってますよ」
 黒のおかっぱの感じにした頭もだというのだ。
「ですから本当に」
「もてますよ」
「普通に」
「ううん、これがね。私酒癖悪いから」
 それで、というのだ。
「一年の時に男女合同で飲んでたらね」
「酔って、ですか」
「そうして」
「広島弁丸出しで一升瓶ラッパ飲みしたのよ、胡座かいて」
「ちょっと、それは」
「やっぱり」
「うん、その話が広まってね」
 そうして、とだ。先輩は苦笑いと共に話した。
「今もなのよ」
「彼氏の人はですか」
「いないんですね」
「そうなの、私もてないわよ」
 自分で言うのだった、そしてここでだ。
 先輩がまず立ち上がった、そうして五人に言った。
「じゃあもういい?」
「次は、ですね」
「サウナですね」
「そう、いよいよね」
 そこに向かおうというのだ。見れば水風呂の横にそのサウナルームがある。既に女の子が数人その中にいて汗をかいている。
「入ってね」
「そうしてあったまって」
「身体の中の毒素も抜くんですね」
「そうするわよ、いいわね」
「はい、じゃあ今から」
「サウナにも」
 入ろうという話になってだ、実際にだった。
 六人でサウナルームに入った、部屋の中は案外広く快適な感じだった。そのサウナルームの中でだった。
 六人で並んで座った、そうして話を続けた。宇野先輩は水風呂でしていた自分の話をそのまま続けた。
「いやあ、やっぱり女の子はね」
「はい、そんなことしたら」
「絶対に駄目ですよね」
「胡座かいて一升瓶ラッパ飲みとかね」 
 そうした行為は、というのだ。 
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