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I want BRAVERY

作者:清海深々
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10話 The disillusionment


基本的に序盤は女視点がメインになると思います。


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10話 The disillusionment

 今日は4月9日。
 大型シャドウの来る日だ。

 そんな今、私は大きな問題を抱えている。

 それは、

 琉峰彩、暗超楓の存在。

 彼ら二人は一体どういった存在なのだろうか。

 私が、寮に入ったあの夜。
 暗超という先輩は私のことを睨んできた。

 もしかすると、彼女は私と同じでこの世界に転生し、逆ハーレムを目指している可能性がある。

 ビッチ岳羽や、順平、そして隣の席の山田君に聞いたところ、暗超先輩は彩君にベタ惚れらしい。

 昔はよくパシられている姿が見られていたらしいが、いつからか彩君に付きまとうようになったらしい。
 彼女が彩君に惚れた原因は不明。
 

 彩君があまり乗り気でないというのが救いだろう。

 しかし、そんなヤンデレ寸前の暗超先輩は、割と影では人気みたいだ。

 これは山田君情報だが、3年生で人気ナンバー7。
 順位的にはなんとも微妙なところだと思うかもしれないが、1位のドS女以外の2位以下の人はほとんど差がないらしい。

 それつまり、彼女は結構モテているということだ。
 人気が出始めた時は、既に彩君に惚れていたらしく、それを遠くから見てるだけで満足、という変わった性癖の人間が彼女を押しているらしい。

 学力は上の下、見た目も上の下、性格は下の下(私情込み)で見た目は大和撫子と言われている。
 私から言わせてもらうと、黒髪=大和撫子、だと思っている人間が多すぎる気がする。
 たしかに、可愛い子は基本的に黒髪ではないし、ドS女はありえないくらい赤髪だし、私も茶髪、山岸風花も青髪だし、ビッチも茶髪だから、黒髪の根暗女を見てそう思ってしまったのだろう、きっとそうに違いない。

 まぁ、そんな根暗女は頬って置いて、彩君、つまり琉峰彩について。

 彼は結構、というよりかなり人気がある。

 誰にでも話しかけることから男女共に人気がある。

 所属している陸上部以外の3年生にも仲の良い人は結構いるのだとか。

 成績は上の上、顔は上の下、性格は上の上モテない理由が見つからない。

 しかし、彩君に彼女がいたという噂は聞いたことがないらしい。

 順平曰く、彼は年上好きなのだそうだ。
 どうやら、誰だか分からないが好きな人がいる、とのことだ。
 流石に会って3日では教えてくれなかった。

 先輩受けが特に良かったらしく、今では卒業した先輩達のうち何人かから告白されていたらしい。

 情報のソースは山田君なのであまり当てにはならないが、ビッチ曰く今の3年生の中に告白した先輩がいるらしいので、ありえそうだとは思う。

 彼のそういった話はほとんど表に出ないらしい。

 告白を断った後のフォローが上手いらしく、次の日学校でその子が凹みまくっている、なんてことがないと言われている。
 そのため、彼に好意をよせているのがわかっていても、告白したかどうかはわからないことが多いのだとか。

 根暗女のせいで、彼のことを誑しだと思う人もいるらしいが、ごく少数だと山田君が言っていた。

 運動神経がよく、頼りになり、成績もいいのに面倒見がいい。
 格好よすぎて、嫉妬を通り越しちゃったぜ、と山田君がどこか悟ったように語っていたのが印象的だった。

 そんな話を聞いていると、どうもできすぎ君なような気がしてきた。

 もしかすると、彼は神様が間違って殺してしまって、能力をつけて転生させられた人なのかもしれない。

 どうにかしてそこら辺を確認したいと思っている。

 もし彼がハーレム目的の転生者なら、私と協力し合えるはずだ。

 しかし、根暗女だけが転生者だった場合、私は彼女をどうにかして排除しなくてはならない。
 運よく根暗女は特別課外活動部に所属している。
 事故を装って殺すことも可能かもしれない。

 私は、どうやって彩君が転生者かイレギュラーか確かめようかと考えていた。

 ふと時計を見上げると、時刻は既に9時になりかけていた。

 私は慌ててコンビニへ晩御飯を買いに出かけた。

 この寮は夜は門が閉まる。

 門限は10時だ。

 いささか門限にしては時間が遅い気もするが、どのみちこの寮にいる人間は夜中に外を出る許可も出るのだから、そういうものなのだろう。

 私は、寮を出て歩いて10分程度のところにあるコンビニで適当にオニギリ中心で買って、ラウンジでたまたま合流したビッチと一緒にご飯を食べた。

 何故だかわからないが、真田先輩とはまだ会っていない。

 割と頻繁にラウンジに降りていっているのだが、何故か会わない。
 彩君もそうだ。

 特に真田先輩には早く会いたい。

 そのことだけを考えながら、私は適当にビッチの話を聞き流す。

 そういえば、昨日は変な夢を見た気がするので、たぶんこれはベルベットルームに行ったのだと思う。

 なんだか変な夢を見た、ということしか覚えていないため、正確にはわからないが、原作でもそういった感じだったはずだ。

「じゃ、おやすみ」

 私は、しばらくビッチと話した後、寝ると言って部屋に戻った。

 布団に入って寝る。

———ドォォン

 大きな物音で目が覚める。

(来た)

 本当の原作が始まるのは今からだ。

 私は、ビッチに寝巻き姿を見られるなんて醜態を晒さないために、制服に着替える。

———ダン!ダン!

「起きて!」

「どうしたの!?」

———ガチャリ

「ごめんね。説明している暇はないの!とにかく一階の裏口から外に出るよ!」

「わ、わかった!」

「あ、これ念のために持っていて」

 薙刀を渡される。

 そして、私は手をビッチに引っ張られながら一階へと駆け降りる。

———PiPiPi

 ビッチから通信音らしき音が鳴る。

「マジですか!?」

———ダァン!ダァン!

 開けようとした裏口の外から体当たりされたような音がなる。

「た、退却!」

「え、えぇ!?」

 2階に逃げると、下から何かが迫ってくる音が聞こえる。

「う、上よ!上に!」

 ビッチがそう叫んで、私の手を引っ張っていく。

———ガチャン

 屋上に出て、外から鍵を掛ける。

「フゥ・・・これで大丈夫なはず。後は3人が帰ってくるまでここに・・・」

———グチョリ

 生理的に嫌悪感を抱く音が聞こえる。

「う、嘘!?」

(来た。ついに来たわ!)






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