短編集的な
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☆とある高校教諭の受難
俺は高校時代に、入院した。原因はトラックによる交通事故だ。生死不明を彷徨い、意識が戻った時、俺は自分が転生者であることを知った。どうやら前世の俺は、居眠り運転のトラックに轢かれて死亡したらしい。死んだときと同じ体験をしたことで、どうやら前世の記憶がフラッシュバックしたらしい。
「はぁ……」
記憶が戻ってからは、俺は真面目に勉強した。前世は所謂”オタク”というやつで、無駄な知識こそそれなりにあったが、それしかない人生だった。友人には恵まれたが彼女が居るワケでもなく、大学受験に失敗し、予備校へ失意の中歩いている中死亡した。なんて虚しい最後だ。だから、俺は今世では誓ったのだ。真面目に生きると。厨二病だった、オカルトや二次元に傾倒していたあの日とサヨナラすると。今度こそは、両親や兄弟に孝行しようと。
「鬱だ……」
高校で必死に勉強し、地元の国公立に現役合格。教育学部に入って、教師を目指した。少子高齢化のご時世だが、俺は人より無駄に人生経験が多いのだ。その無駄な人生を、他の人に道を示すために使えるのなら、前世も少しは報われるのではないか。そう思ったから。
「学校行きたくねぇ……」
なのに。どうして。
「死にたくねぇ。ホント、どうしてこうなった……」
今日も一日が始まる。そんな絶望にひたる俺の背にぱしん、と軽い衝撃が入る。
「よぅ、川木城先生、どうしたよ。先生がシケててどーすんだ?」
快活に笑うのは金髪にピアスのチャラい男。こんなんでも、同僚の先生だ。悪い人じゃないのは前から知っている。
「あぁ、おはようございます鬼塚先生」
悪い先生じゃない。良い先生だろう。鬼塚先生一人ならまだ、GTOの世界だと、納得出来た。
「おぉ、お二人ともおはようございます」
声をかけてくるもう一人の先生。黒髪イケメン。ただし左手に手袋をしている。
「ぬーべーも早いっすねー」
あんた小学校の教師だろ。なんで高校にいるんだよ。文句を言いたいが言ったところで理解されないだろう。っーかその呼び名使うんかい鬼塚先生や。
「相変わらず辛気臭いんだけど、何か憑いてるとはないんですか?」
鬼塚先生が鵺野先生に俺の事を相談する。余計なお世話だ。
「憑いてる気配は感じないですね。……先生のクラスはみんな元気ですから、疲れてるんでしょう」
「あー……そういや俺のとこより活きのイイヤツ多いしなぁ」
そうだよ。それが原因なんだよ畜生!! 地雷原で裸足サッカーをするレベルの恐怖だ。逃げたいけど、ここで逃げたらそれこそ目につきそうで怖い。今なら地味なモブキャラとして生存できるかもしれない。そんな思いで、俺は逃げないでいる。今逃げたら「お、俺は帰る!! こんなところに居られるか!!」っていう死亡フラグを確実に立ててしまうのがわかるから。
「さーて。職員会議っすね。あ、大貫さんお疲れ様ですー」
用務員なんだかバーサーカーなんだかわからない用務員さん(チェーンソー所持)に挨拶をし、今日も俺は地獄の一日を始めた。
―――
「おらーお前ら。席につけー。出欠とるぞー」
出欠をとる。これは大事な行事だ。何せどのイベントが始まるのかを教えてくれるから。欠席者が何かしらに巻き込まれているなら、そのイベントに関連した場所に行かなければなんとかなる。その意味で出欠は俺にとって命綱だ。
……もっとも、逃げても意味の無いヤツらもいるわけだが。
「あ、先生。イセコちゃんさっきいなくなりました。あと駆君と凪ちゃんもいません」
「おぉ、流石イセコちゃん!! 学校を休んで人妻との逢瀬とは!! これは私も見習わなければ混沌が廃ります!! というワケで真尋さん保健室に――――」
「はいフォークでどーん!!」
「アザトース!!」
金髪、三つ編みの幼い子が、俺に出欠情報を教えてくれる。美少女っぽいがれっきとした男だ。羨ましそうに夫婦漫才を見ている彼に感謝し、上泉信綱と皐月駆、霧間凪の欄に欠席をつける。
「おう。わかった」
駆は屋上だろう。多分。それはわかっているが口にしない。見えている地雷を処理する阿呆ではないのだ。
「あー、世刻は?」
「望君はさっき希美ちゃんに寝ぼけて抱き着いちゃって……」
「あぁ、飛ばされたのね」
「あれは望ちゃんが!!」
「おーおー、素直になりなよ希美ぃ。いつまでもそんなんだと絶のヤローに他のヤツに盗られるぜー?」
「司狼、茶化すのもそんくらいにしておけ。希美が可哀想だろう」
「んだよ、つれねぇな蓮。悠二もそう思うだろう?」
「あはは、そっとしておいた方が良いんじゃないかな……?」
「いーや、希美ちゃんなんか世刻のヤローには勿体ないって。……今度どっか行かない?」
「もう、大河君からかわないでよ!! 望ちゃんだってあれでいいとこあるんだから!!」
ギャルゲー主人公が一堂に会するとヒロインが他の主人公を好きになる、なんてスクイズ展開を想像しヒヤヒヤしていたんだが、幸いにもそんなことは無く安心した。昼ドラ展開にならなくて本当に良かった。何せ生徒は教師と違って能力がえぐい。そんなことを思っていた矢先の話だ。
「くっ……」
言い争う声が聞こえる。
「お前じゃ香織は幸せに出来ない」
「なん……!!」
言い争っているのは、恐らく悠斗と瞬だろう。
「先生……?」
こちらを心配してくるハス太にぎこちない笑みを返し、一瞬瞼を閉じる。
「最初は永遠のアセリアか」
原作が、始まる。
後書き
落ちも無く、意味も無い話でさーせん(苦笑
ちなみになんで主人公が悲観しているかというと、自分のクラスの学生の大半が最終的に宇宙壊したり作ったり出来る奴ら、という(笑
封絶なんてあっても普通に行動しそうなやつらばっかりでフレイムヘイズ唖然としてそうですが。
ミューギィが世界消したり第六天が暴れたりするんでしょうが最終的にニャル子がギャグ補正でなんとかしてくれる筈。多分。きっとその時は波洵がキレた理由とか「引き籠ってゲームさせろよゴルァ!!」とかになるんだろーなぁ、などと。
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