魔法科高校の有能な劣等生
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縁談
前書き
前回の続きです。
久しぶりの投稿、少し文字数を多めにしました。
気になる事、脱字が有りましたらコメントを下さい。
今日は特別な日だった。
俺、無月 零は身を着たくもない学生服が俺を包み緊張と汗を呼び覚ます。
「零よ、まだ緊張しとるのか?」
笑いが混ざった言葉、多分、いや絶対
緊張している俺を見て心の中で笑っているのだろう。
「緊張しない訳がないだろこんな重大イベントに!」
声は小さく迫力は大きくと言った中間地点で俺は声を出す。
今の所、父親、無月閻魔は姿を表していない今ならまだ大丈夫だ。
「そうかそうか」
そう言ってジジの顔は少しにやけていた。
「そんなに緊張している人が面白いのか?」
「いんや面白いとは言えるがわしはそれより嬉しんじゃよ」
嬉しい?
俺はその言葉が理解出来なかった。
「なんで嬉しいの?」
「理由は幾つか存在するが1つは零が緊張している事じゃ」
「緊張している?
当たり前だろ人間なんだから」
さてこの人は一体、何を言っているのか解らないがこんな人生で一度や二度もないイベントに緊張しない訳がない。
「まさか孫の嫁さんになる女子を死ぬ前に見れるとはわしは運が良い」
今日は俺の結婚相手と成りうる可能性を持った少女、一条 風華と初めて会う約束をした縁談なのだ。
俺から言うならばこんな若造に結婚なんて早い歳を考えろ!!
と言われた方が嬉しいシチュエーションなのだが無月家を発展させる為の重大な役なので誰もそんな事を言ってくれない。
なんだか悲しくなってくる。
「死ぬ前って縁起の悪い事を言うなジジ
まだ若いんだから頑張って行こうよ」
「それは嬉しい事を言ってくれるな零よ」
ジジは笑い始める。
俺としては最後の頑張って行こうよと言う言葉は必要ではないと思ったが言ってしまった。
ま、言ってしまったのならもう変えられない。
「さて、そろそろ時間かの」
ジジはそう言いながら手に巻いている腕時計を確認する。
「ジジ、まだそんな時計持ってるの?」
「ああ、良い時計じゃよ。
わしとほぼの同年代の年期が入ったプレミアムもんじゃ」
そう言って腕時計を見せつけて来る。
その腕時計は俺の意見としては俺の好みのタイプだった。
今、現代の時計と言ったら仮想型やディスプレイ型、どれも最新器具
俺は別に現代の時計は嫌いではないが好きでもない言うならば興味がないのだ。
だがジジの腕に巻けれた腕時計は何故か俺の心にマッチしている。
「だがわしには少し重くてな歳は取りたくないの」
「ならその腕時計、俺に譲ってくれないかジジ?」
「それも良いがよしならこうしよう。
零が無事に高校生に成ったらその祝い品としてこの腕時計をプレゼントとして贈ろう」
高校生に成ったら祝い品として贈ろう。
その言葉は少し残念な気分になるが高校生に成ったら祝い品として俺に譲ると言った。
ならここは高校生に為るまで、気長に待ちその瞬間を楽しもう。
そう、俺は誓ったので合った。
「お、来たようじゃの」
俺の家の目の前に黒い車が止まった。
今頃、黒い車は比較的珍しいが相手は一条家の娘、乗っている車も一流で当然だろう。
「零、緊張するのはいいが落ち着いて冷静にな」
ジジは俺に近づき耳打ちして来る。
が、そう言われた瞬間、俺は緊張してもいいが落ち着いて冷静にってどうやるんだよ?と言いたかったが
ここからは真剣モード、静かに真剣に完遂に完結に冷徹に行かなければならない。
そう考えるだけで余計に俺の中の平常心は焦りに変わった。
「よく来て下さった一条那覇殿」
そう言ってジジは頭を下げる。
俺もそれを見習う様に頭を下げお辞儀
「こちらこそお久しぶりです」
そう言って一条家の一条那覇は頭を下げた。
見た感じ悪い人には見えない凛々しく逞しく礼儀正しい中年と言った所か。
「君が無月 零君かい?」
俺は突然の言葉に戸惑った。
まさか行き成り俺の存在を知っているとは俺は知らず少し焦る。
「はい、無月 零です宜しくお願いします」
えらく硬い挨拶になってしまったが第一ラウンドはクリアーと言っていいだろう。
まず挨拶は基本中の基本、挨拶が出来なくては人の前に出る価値はないと俺は教わったが今回はその教わりが
今回は当たりを引いた。
「立派だな零君は私の娘と同年代と言うのに」
どうやら第一印象は好評のようだ。
このまま好評のままで話を終えたいと俺は思った。
「いえ、私はまだまだ未熟です」
ここで一度、俺は後ろに下がる。
下がると言うよりは謙遜と言った方が正しいが俺的にはどちらでも構わない。
「未熟だなんて君はその若さで今、現代で未知の魔法、重力変化を完璧にマスターし新たに違う魔法を創った偉人の1人じゃないか未熟と言うのはいくらなんでも謙遜が過ぎているじゃないかい?」
少し笑った顔でコチラを見つめて来る。
俺はその見つめて来る視線、一条那覇の目線に合わせお互いに目を見合う。
そしてお互いに思った、この人は面白いと。
「さて、立ち話も良いが座って茶でも会話しましょう。
丁度、今、いい茶がこざいます」
ここでジジが動いた。
それはナイスタイミングとしか言えないタイミングだった。
こういう大事な会話を鋭い場合は最初、少し立ち話、後に座ってゆっくりと茶やコーヒーを飲みながら会話をするのが一番、お互いに安定してスムーズに会話が成立する。
流石、ジジ、無駄に歳を重ねていない。
「それは楽しみだ。
風華、そんな後ろに隠れていないで前に出てきなさい」
後ろに女の子が立っていた。
ここからギリギリ見える位の位置に居てまるで俺達に見られたくないのか隠れんてる様に見える。
「は、はい」
そう言って後ろの方で隠れているのか隠れていないのか中途半端な少女は歩き出しこちらへやって来る。
「すいません。
うちの娘、風華は人見知りで余り人前では喋れずおどおどしてしまうんです」
「いえいえ最近の若い女子ははしゃぎが過ぎますからな大人しい位が丁度いいんですじゃ」
ジジは一条那覇の会話に合わし話す。
それはこれから友好的な関係を作るには悪くない話方
後、俺が頑張らなければ、緊張している心を落ち着かせ集中し気合を入れる。
「風華、零君と無黒さんにご挨拶」
一条那覇の娘、一条風華はもじもじしていた。
それは俺が一番理解出来る。
少なくともこの中の大人達に比べれば誰よりも理解出来る。
「い、一条、ふ、風華と、も、申します。
ふつつかモノですがよ、宜しくお願いします!」
最初はカミカミだった自己紹介が最後になってまともと言うか気合いが入った物となっている。
それも俺は理解出来る。
同じ状況でしかも結婚相手となるかも知れない人と話すのだ平常心を保っていられる人の方が狂っていると言える。
「はい、こちらこそ宜しくお願いします」
俺はここで硬く基本に忠実な挨拶で自己紹介を返した。
柔らかく返すのも有りだと思ったがもし柔らかく返してしまうとやっと落ち着いて硬くなって来た俺の心が揺るぎかねない。
よって硬く返した。
「さてさて自己紹介も済んだ所で今度は茶でも飲みながらのんびりとしましょう。
ささ、こちらへどうぞ」
ジジはゆっくりと歩き玄関に向かう。
綺麗にゆっくりと歩きアピールしている。
無月家はランクの高い家柄であると
それに一条那覇と一条風華はゆっくりと綺麗な歩きで着いて行く。
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