I want BRAVERY
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3話
長い間更新していなくてすいません。
感想に関してですが、時間があいてしまったので、個別の返信はやめます。
(決して、ダルイな、とか思ってませんよ?)
書いていた時に考えていた内容、割と忘れてしまったので、どこか設定ミスや、いきなり口調が変わり始めたりするかもしれません。
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3話
彩が意識を失っている間。
「うわ・・・ペルソナってこんなきついの?」
弓を下ろし、少し青ざめた様子で岳羽は呟く。
『初回だけだろう』
自分はそんなことなかったのにな、と呟きながら回線で桐条は岳羽に声を掛ける
「え?それでも・・・・私・・・」
初めて見るペルソナ召還。
それは岳羽が想像していたものの何倍も恐ろしいものだった。
「大丈夫だ岳羽!お前には俺がついている!俺が護ってやるよ!」
結局、今回彼がペルソナを使わざるを得なくなった原因の一つである、この戦闘馬鹿。
もちろん今回のことは岳羽にも責任はあるが、戦闘経験のない彼女があの状況で、攻撃をしてしまったのは、やはりこの戦闘馬鹿のせいである。
「せ、先輩・・・でも・・・ペルソナはちょっと・・・」
『そんなことより!彩君!早く回収してきて!命に代えてもいいから!早く!』
桐条の回線から暗超の声が聞こえる。
「と、とりあえず、撤退だぁぁぁ!」
周りにシャドウがいなくなったのをいいことに、片手を挙げて大声を上げる戦闘馬鹿。
「何で大声?」
「気合いれて撤退だぁぁぁl!」
戦闘馬鹿はそう叫ぶと、倒れている彩を担ぎ走り始める。
『明彦、そのまま直進。突き当たりを右にいけばポータルがある』
「おぉぉぉぉ!!!」
「ちょっと、先輩!待ってくださいよぉ!!」
彩が寮に運び込まれ、暗超が彼に抱きつき同じベットで寝ている頃。
今日、強烈な初戦闘をしてしまった岳羽は、部屋のベットの上で膝を抱えていた。
「彩君吐いてたんだよ・・・私なんか無理じゃん」
カタカタと震える体。
彼女は彼女なりに心を決めてここへ来た。
「どうすれば・・・どうすればいいの?お父さん」
部屋にあるダンボールを開けることもなく、彼女は自分の体を抱きしめる。
琉峰彩。
彼女にとって、彼はどのような存在だったのか。
父親の死と関係がある桐条グループの令嬢、桐条美鶴とたまに話しているところを見かけたことがある。
あの人と話しているところを遠目ながら見たとき、彼は彼女に対してなんの引け目も感じていないように見えた。
それだけで既に、琉峰彩という人物は彼女にとって異質な存在であった。
「彩君があんなんになるなんて・・・私だったら死んじゃうよ・・・」
「う・・・」
体に重みを感じながら、俺の意識はだんだんと覚醒していった。
「ここは・・・」
目を開けた先に見えたのは普段見慣れている、自分の部屋の天井。
「生きてる・・・のか」
あの場で気絶したため、もしかしたシャドウに殺された可能性があった。
俺が今生きているのはたぶん真田先輩のおかげだろう。
いくら脳筋で、戦闘狂でもたまには役に立つではないか、と思いながら、俺は重みを感じる自分の体に目を向ける。
「・・・先輩」
「ぅ・・・ぅぅん・・・」
体を起こそうとすると、先輩の体が揺れ、むにゃむにゃと意味を理解できない寝言らしきものが聞こえる。
「・・・邪魔すぎる」
なんて迷惑な人なんだろうか。
今回入ってきた岳羽さんの世話をすることを拒否するわ、ペルソナは攻撃系じゃないため安全な後衛にいるわ、その上人の安眠を邪魔するわ。
まったくもって邪魔でしかない。
「起きてください」
先輩が俺の胸の位置に抱きついているため、体をうまく起こせない。
右手で先輩の肩を何度か揺する。
「起きてくださいよ・・・」
もしかしたら、あの時倒れた俺を心配して介護してくれてたのかもしれない。
いや、きっとそうだ。
あの先輩だから、きっとそうだ。
そのことには感謝してもいいかもしれないが、
「邪魔なものは・・・邪魔だっ!」
何度揺すっても起きない先輩を抱え込むようにして、自分と位置を反転させる。
「ふぅ・・・てか、今何時なんだ?」
ふと疑問に思って、部屋の時計を見上げる。
11:00
「・・・おぉう」
学校は既に始まっている。
学校へ行かなければならないが、体はその思いとは反対にダルい。
「・・・はぁ」
喉が渇いたな、と思い、部屋の外にある自販機へジュースを買いに行こうとする。
「おっと」
扉へ向かおうとした俺の体がガクンと止まる。
止まった原因は俺の服を掴む手だった。
「・・・先輩」
ベットに入るときに脱がされたのだろう、俺は今、制服の上着を脱いでいた。
そんな俺のシャツの裾は、ベットに眠る先輩の手に掴まれている。
「はぁ・・・」
なんとなく先輩の傍にいてあげなきゃいけない気がして、俺は自分のベットに腰掛ける。
なんとなく、本当に気まぐれだが、誰かの体温を感じて、安心していたことは認めよう。
お礼、なんていえるほどの価値はもちろん無いが、俺はそんな気持ちで先輩の頭を撫でる。
「・・・」
綺麗な髪だな・・・なんて口が裂けても言わないが、その髪の手触りを俺はしばし楽しんだ。
しばらく経って、ふと俺のシャツを掴む手が緩まった。
俺は先輩の手を俺のシャツから離させ、机の上の財布を取ってそのまま部屋をでた。
「あれ?桐条先輩?」
ジュースを片手に、ラウンジへ降りると、そこには先客がいた。
「目が覚めたのか」
「えぇ」
「体の調子は?」
「すこぶるダルいです」
「・・・そうか。すまなかったな」
「何がです?」
「明彦を止められなかったことだ」
「あぁ・・・あの人は誰にも止められませんよ」
「そうか・・・学校には連絡しておいた」
「なんと?」
「風邪、とだけ」
「3人もですか?」
「4人よ」
後ろから声を掛けられ、すこし驚きながら俺は振り返る。
「岳羽さん」
「まぁ、桐条先輩が言えば、誰しもが納得するのよね」
少し皮肉めいた口調で岳羽さんは答える。
「まぁ、二人とも今日は自由にしてくれ。明日からはまた平常に戻ってもらうつもりだからな」
「そうですか・・・真田先輩は学校に行ったんですか?」
「あぁ、明彦はそういう奴だ」
「・・・なるほど」
俺はそのことに対してなんの疑問を抱くこともなくうなずく。
「彩。もし明日になっても体に異常があるようだったら言ってくれ」
「わかりました」
俺は頷いてから、昼飯を買っておこうと思い、外へ出た。
「さぶっ!」
3秒後に制服の上を取りに部屋に戻ることになったが。
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誤字、脱字、矛盾点がありましたら感想でお願いします。
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