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I want BRAVERY

作者:清海深々
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40話


そして、ペルソナと共に作者の厨ニ力もフルMAXに発揮されたw
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40話

 自然と自分のペルソナの名前が頭に浮かぶ。

「来い、シン!」

 叫ぶと同時に自分の頭に向けている銃を握る手に力を込めて、一瞬の戸惑いの後引き金を引く。

———パァン!

 それと同時に発砲音が響く。

 そして、その音と同時に自分の中から何かが出てくるのを感じる。

≪我は汝、汝は我≫

「これが・・・俺のペルソナ」

 自分の背後に出たペルソナを見る。

(なんだこれは・・・)

 今まで感じたことないほどの違和感を感じる。

 そして目の前の敵を見る。
 今はそんなことを考えてる暇はない。

「シン!フブーラ!」

 氷結魔法の単体攻撃の高レベルの技を何故このレベルで覚えているのか。
 おかしい。ありえない。

 シンが手を振る動作をすると同時に敵のシャドウに氷が纏わりつき、敵が凍り、そして砕け散る。

———パリィン!

 そんな音と共に敵は一撃で消え去る。

「おぉ!ありがとう!」

 岳羽さんは降ってくる氷の破片を見ながら感嘆の声を上げる。

「シン残りもだ!」

 感じる違和感を無視し、残りの敵にも攻撃を命じる。

 この世界では、連続攻撃なんてやろうと思えばできる。
 カウンターを食らうこと考えなければ、だが。

 俺は真田先輩の方のシャドウも破壊する。

「助かったぞ!」

 戦闘が無事に終了する。

「ペルソナってなかなかイカしてるね!」

 岳羽さんは俺のペルソナを見て、そう言う。

『流石彩君!ペルソナも強いね!最強だよ!』

 これがいかしてる・・・?これが?
 強い?強いのか?本当に?

 俺のペルソナ、シンは全身を魔法使いのような黒いローブで包まれている。
 見えているのはフードの下からわずかに覗く顔とローブの先から出る手。
 そして、背中には大きな棺桶があり、それを背負っているようにも見える。
 何故か浮いているようにくっついているため、実際に背負っているのかはわからない。

 きっと岳羽さんはそんな暗いイメージのペルソナを見てカッコイイと思ったんだろう。
 どこか影がある感じだ。

 でも、

(どうなんだろうな・・・そのローブの下はどうなってるんだろうな。一体どんな中身なんだ?)

 シンに問いかけるように思う。
 何故ふとこんなことを思ったのかはわからない。

 シンは答えない。

(俺にはわかる・・・このペルソナの、シンのローブの下にはきっと何もないんだ)

 そのことに確信めいたものを感じる。
 途端に寒気が俺を襲う。

 空っぽなんだきっと。

 そして、顔を見て思う。

(この眼帯のように両目を覆う布。これは俺の『魔眼』のせいか?)

 もう、普通の目ではないと?
 俺には目がないとでも?

 背中の棺桶。

(一体何を背負っているんだろうな、何もない体で、一体何を背負えるっていうんだろうな)

 前世の自分なのか?
 なら本体はそっちだったりしてな。

 カッコイイなんて思えない。
 ただ、

「気持ち悪い」

「え?」

 俺の言葉に岳羽さんが疑問符で返してくる。
 しかし、俺の口からはそんな言葉しか出てこない。

「気持ち悪いな・・・このペルソナは」

 気持ち悪い。
 なんでこんなにも気持ち悪いのか。

 こみ上げてくる嘔吐感。
 
 なんだ?
 なんなんだこの不快感は?

 周りのメンバーも俺の言葉に疑問を思ったのか声をかけてきた。

「そうか?俺のボリュトゥークスよりよほどカッコイイと思うがな。まぁ、あれはあれの筋肉に美しさが集中しすぎているのもあるがな」

『まさに魔術師タイプのようではないか。君にピッタリだと思うが?』

 真田先輩と桐条先輩がそう言う。

「気持ち悪い」

 俺はそれだけを答え、心底嫌そうに自分のペルソナを見る。

 吐き気が止まらない。

(俺の心の仮面はこんなにも薄っぺらいのか)

 シンのステータスは魔と速が異様に高い。
 しかし、逆に力と耐は低い。
 特に力に関しては皆無だ。

(俺の本性ってか?俺には中身がない、そう言いたいのかよ)

 もしペルソナ4に自分がいたら、このペルソナを自分と認めることだけは一生しないと思える。
 それほどまでの嫌悪感を感じる。

 これは同族嫌悪なのか、それともそれ以外のものから来るものなのか。

(これ以上、見ていたくない)

 そう思い、自分のペルソナを睨み付けた後、俺はペルソナをしまう。
 すると、抜け出ていた物が戻ってきたような感覚になり、どこか落ち着く。

「チッ」

 思わず舌打ちをする。
 さっきまで出ていた物が俺の一部だと再確認させられたようだ。

 苛立ちが募る。

 まるで、食べ物ではないのに、それを食べてしまった時になんの違和感もないことに、逆に違和感を抱く感じ。

 そして、序盤からハイレベルな魔法を覚えていること。
 きっとこれは俺の『転生』を意味しているのだろう。

 自分の全てを見透かされたような感覚。
 気分が悪い、寮にいたならすぐさま洗面台に向かうかトイレに駆け込むだろう。

 何故自分がこんな嫌な思いをしなければならないんだ。

 自分の口元を押さえる。

 嘔吐感が我慢できなくなってきた。

『彩?』

 桐条先輩が俺を気遣うように声を掛けてくる。

 自分でもわかるくらい顔が青ざめている感じがする。

『初めてのペルソナ召還だからな。体調が優れないようなら撤退するか?』

『彩君?大丈夫なの?』

 耐えられない。

「うっ」

 思わずその場を走って離れ、壁の隅へと行く。

「う・・・おえっ」

「彩!?」

『彩君!?』

 ペルソナ召還をして吐いた奴なんて俺くらいだろう。

 なんとなく自分がペルソナ召還を避けてきた理由がわかった。

 これほどにおぞましいのか、自分の内面は。

 いや、俺自身の性格は狂ってなんてない。
 問題は俺の存在自体か。

 ペルソナでないものを無理やりペルソナにしたような感じ。

 本来この世界に来るべき存在ではなかった者を無理やりこの世界に引き込んだ感じ。

(無理やりこの世界に?)

 俺は誰かにここに連れてこられたのか?

(俺の人生はどこで狂ったんだ?)

 なんで俺がこんな目にあっているんだ?

(誰が?誰が俺をこんな目に合わせたんだ?)

———ドサリ

「彩!?」

『彩!?』

 皆の声が聞こえる中、俺は意識を失った。
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