世にも不幸な物語
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第一部:幻想郷入り
第一章『幻想郷入り』
○月×日土曜日、天気は快晴。
澄み切った空を輝は電車に乗って眺めていた。高校二年の輝はちょっと変わった力を持っている。このことを知っているのは輝の友人二人だけ。
今日はその友人二人と遊ぶ事になっていて今は集合場所に移動している最中だ。
「おーい輝、生きてるか?」
「生きてるよ!失敬だな!」
「だって、見てて死んでるみたいだったんだもん」
輝は苦笑いをして軽く肩を殴る。
彼の名は風、輝と同じ高校二年。輝の変わった力をしっている一人。眼鏡を掛けていてツッコミを担当している。何気にクラス順位二位の成績だ。
「ていうか輝、またカチューシャかよ。休日なんだからワックスで轟ヘアーにしてこいよ」
「今更ツッコミすんなよ。今日は寝坊してワックスできなかったんだよ。それと轟とか言うキャラクター早く教えろよ」
輝が質問したら風は溜息をして輝の肩に手を置きこう言ってきた。
「輝・・・・。お前にはまだ早すぎる」
「何でだよ!」
「なぜならお前が、純粋で真っ白だから~~~~」
風は清々しく言った。
輝は何事も無かったかのようにまた空を見た。
「なんか言えよ!俺が痛い子になるじゃん!」
「ハテ?ナンノコトカナ?ボクナニモワカラナイヨ?」
「零みたいに片言使うなー!」
「デモナンデレイヲムカエニ、ワザワザボクタチガシミズコウエンニイカナイトイケナイノ?」
「片言使いながら質問すんじゃねーよ。まぁ、いいんじゃないの、どうせ俺ら定期内だし」
「そーなのかー」
「お、お前解かって使っているのか?解かって使っているのなら教えたかいがあったぜ」
輝は風の方を向き、笑みを浮かべ自信満々で言う。
「いや、解からん!何となく使っただけだ!」
誇らしげに言うと風はズッこけた。
流石ツッコミ担当の風、電車の中であろうと無かろうとズッこけるとは、恐るべし。
輝のボケから立ち直り、一呼吸してから言ってきた。
「ハァ~、清水公園まで時間があるから東方のこと教えてやっからしっかり覚えること」
「了解」
敬礼をして風の話を聞きに入った。
輝は最近、東方というPCゲームのことを風に教えってもらっている。暇があれば輝に東方を教えている。東方のことに関することは俺に聞けと言うぐらい詳しいらしい。
確かに、風と零の東方の話は白熱している。
零とは輝と同じ学年で輝の変わった力を知っているもう一人の友人である。見た目は大人しい人に見えるのだが実はかなりのドS。ボケ担当をしている。日常会話の風と零は漫才をしているかのごとく、ボケとツコッミのテンポが素晴らしい。
『間もなく清水公園、清水公園、お降りの際はお忘れ物御座いませんようおきお付けください』
輝は風の話に聞き入ってアナウンスで我に返った。
「もうすぐで清水公園か」
「勉強になったか?」
「大体のことは把握した」
「うむ。忘れんなよ」
風は念を押すように言ってきた。
だけど輝は苦笑いをして返事をするしかなかった。
あんな大量な話を一回聞いて覚えたら怪物並だと思う。
電車が駅に到着して輝たちは改札を出て駅の外にでた。
外に出たらすぐに零が見つかった。
零もこちらに気が付いたらしくこちらに近寄ってきた。
「お前らやっと来たか」
「うすうすうぃ~す。そんなに遅かったか?」
輝は零に挨拶をして、腕時計を見た。8時36分、集合時間まで15分位も前だ。
「なんでおまえ轟ヘアーにして来なかったんだよ」
「風と同じこと言うんじゃねーよ。いいじゃん別に、カチューシャしてオールバックにしているから」
「轟はカチューシャなんてしてね!」
零に指先を向けられツッコまれる。
「そんなもん知るか!そんなに言うなら教えやがれ!」
「それはヒミツ♪」
「クソッたれが――!」
零がボケたら輝ではどうにもならない。やっぱり風じゃないとツッコめない。
「お前らいい加減に早くしろ」
輝と零のやり取りに見かねたのか風が話しに割り込んできた。だがしかし、口元を手で押さえていてにやけていた。
コノヤロウ。
こんなやり取りをしつつ輝たちは柏いきの電車を待った。
「電車来るまでまだ時間があるね」
「そんなら、輝のために東方話でもするか」
「ありがとうございます」
「零と俺が東方話をするからそれを聞け。聞いていて解かんない所が有ったら質問しろよ」
そう言い終るとすぐさま零と話に入った。
前までは東方とか言う話とかサッパリ解かんなかったけど、風のおかげでなんとか二人の話について来られるようになってきた。
なんとか二人の話について行くように輝は思考を回転させ、疑問に思ったところは風に質問して東方のことを覚えて言った。
こんなやり取りを何回かやっているうちに電車が来る時間帯になった。
輝は時間を確認するため腕時計を見たら、変な違和感があった。
いつの間にか輝の隣に女性が居たのだ。
背は輝よりちょっと高く、髪は金髪でウェーブが掛かっていてロング。日傘を持っていて服は貴族が着るような洋風な服で紫色が目立っていた。そしてかなりの美人だ。
女性は輝に気付いたらしく軽く微笑み会釈をして来た。
輝も慌てて会釈を返した。
女性はまた微笑み、再び前を向いた。
再び風たちの話を聞こうとしたら風たちも女性を見ていた。そして風がこんな事を言ってきたのだ。
「紫じゃね?」
「ん?ゆかり??」
何度か風たちの話に出てきた名前だが、輝はあまり覚えてない。
「まさか、有り得ねぇーよ」
零は手首を振りながら答えた。
「だよな。そういえばゆかりんって、五千歳位だったよな」
「たしかそうだよ。そんでもって自称十七歳って言っているから」
「え、そうなの?」
輝の疑問に闇風が答えた。
「そうだよ。ま、しょうがないよ、オバチャンだからゆかりんは」
そう言うと風と零は笑い出した。
輝は、二人を見て苦笑いをした。
「失礼ね」
「「「!?」」」
突然声がした。
声のした方を向くと、さっきまで輝の隣にいた女性が輝たちの前に立っていた。
輝は一瞬思考が停止した。
なぜこの女性がいきなり話しに入ってきたのかが解からない。
輝が困惑しつつ風と零を見たら、二人とも硬直し汗が出ていた。
そして闇風が恐る恐る尋ねるように女性にいった。
「も、もしかして八雲紫・・・さん?」
「そうよ」
紫らしき人物は満面の笑みで答えた。
その答えを聞いた二人はいっきに青ざめ、そして、
「「すいませんでした!」」
二人はいきよいよく謝罪した。しかもジャンピング土下座をして!
「え、え!?」
輝はますます訳が解からなくなってきた。
なぜ二人が謝罪したのか解からない、しかもジャンピング土下座をしてまで謝罪する理由が解からない。
「いいわよ別に、許してあげる」
電車が来た。
電車が近づいて電車の騒音でうるさい筈なのに、なぜか紫という人物の声はハッキリと聞こえる。
「あなた達、見ていて面白いからいい所に連れて行ってあげる♪」
紫はなにかを企んでいる様な顔で言った。
輝は恐怖を感じていた。
いい所ってどこだよ、と言いたいが動揺と混乱が入り混じり、声が出なかった。
電車が停止した。
電車が停止したと同時に輝たちの足元から何かが動いた気配があった。
足元を見ると、地面が裂けかけていて、裂け目を見ると無数の目がこっちを見ていた。
風と零も足元を見ていた。そして二人同時に呟いた。
「「落ちたな」」
「・・・・・はぁ!!?」
電車のドアが開くと同時に地面の裂け目も開いた。
そして、
「なぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」
三人は落ちていった。
輝は紫が笑顔で手を振っているのを見ながら落ちていったのだった。
後書き
文に違和感があるかも知れませんが多めに見てください(汗)
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