オズのモジャボロ
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第八幕その四
食べる前の挨拶をしてです、ご馳走を食べました。恵梨香はきつねうどんを一口食べてから目を丸くさせて言いました。
「うわっ、とても美味しいですね」
「ははは、気に入ってもらえたようだね」
「完全に日本の味ですね」
「そうだよ、揚げ料理はね」
「揚げが日本のお料理だからですね」
「そうなるね、揚げ料理だけは味付けが違うね」
王様は焼いた揚げをにこにことして食べながら言います。
「これだけは」
「アメリカの味付けじゃないわね」
ドロシーはいなり寿司を食べています、揚げで包んだお寿司を。
「揚げだけは」
「そうですね」
恵梨香はドロシーにも答えました。
「これは」
「ええ、薄味でお醤油をきかせてるわね」
「だしも日本のもので」
「これが日本の味付けなのね」
「そうなんです、だしは鰹節やにぼしですね」
恵梨香はこのこともお話しました。
「日本ではそれを使うんです」
「それはオズの国の和食も同じだけれど」
「何か日本の味付けではないですね」
「そうね、それはね」
「やっぱり日本とアメリカではそうしたところが違うんですね」
同じ食材でもです、何処か違うというのです。
「そうなんですね」
「そうね、面白いわね」
「ですね、それでなんですけれど」
「揚げ料理ね」
「ドロシーさんはどうですか?」
「とても美味しいわ。確かに薄味だけれど」
ドロシーからしてみればです、ですがそれでもだというのです。
「美味しいわ」
「それは何よりです」
恵梨香は日本の味がドロシーにも好評で笑顔になりました、そのうえでの言葉です。
「それでは」
「ええ、このお料理もね」
「楽しんでくれ給え」
王様が言ってきました、そしてでした。
皆でご馳走を食べ終えるとです、次は。
「デザートはね」
「はい、何ですか?」
「それは」
「果物だよ、蒲萄とかをね」
蒲萄と聞いてです、今度はナターシャが王様に言いました。
「狐と蒲萄ですね」
「あのお話だね」
「はい、それを思い出しましたけれど」
「ははは、食べられないからといって我々はすねたりはしないよ」
「オズの国の狐さん達はですね」
「そう、そんなことはしないよ」
笑ってこう言うのでした。
「だって別の蒲萄があるじゃないか」
「だからですね」
「そうだよ、その蒲萄もまた食べる機会があるかも知れないし」
「それですねることはないですね」
「すねる必要がないじゃないか」
全く、というのが王様の首長でした。
「だからしないよ」
「そうですか、それでは」
「うん、蒲萄も他の果物も食べよう」
デザートもだというのです。
「そうしよう」
「はい、それでは」
「デザートも」
こうしてでした。皆はデザートも食べました。そうしてです。
デザートも食べ終えてからでした、モジャボロは王様にこう言いました。
「では悪いけれど」
「お暇だね」
「そうさせてもらいたいけれどいいかな」
「まだ行くところがあったね」
「うん、今度は驢馬の国に行くよ」
そこにだというのです。
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