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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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怪鳥と面倒な半日

74層の迷宮区を抜けた森の中で、俺は寝ていた。グリームアイズとの戦闘で神経を思ったより使ったからだ。
そんな訳で寝ていたのだが、索敵に何かが引っ掛かった。
「何だ………?」
俺は起き上がり、そちらを見ると、下の層にしか出ない<怪鳥>イァンクックが珍しく闊歩していた。まぁ、刺激を与えなければ向かってこないのだが、イァンクックは何を思ったのか、こちらを見て、いきなり駆け出しついばみ攻撃を仕掛けてきた。
「待て待て待てぇ!!」
と、言っても待つ訳無く、仕方ないので双剣を抜き放ち、ガードしたのであるが、途端、ピキッ、と嫌な予感しかしない音がした。
(………まさか?)
俺は双剣のガードを解く。すると、片方が二つにパッキリ割れてしまっていた。双剣は二つで一つの武器なので、幸いポリゴン片にはならなかったが、これでは使い物にならない。仕方無く俺はストレージからエウリュアレの宝剣を取り出すと、イァンクックにヴォーパルストライクを放つ。イァンクックのHPは消えたが、またもやパキ、と言う音がした。
(……デジャブか?)
ゆっくり、剣をイァンクックから抜き取ると、途中で剣が折れていた。恐らく、今の一撃で耐久値が切れたものと思われる。
「………リズん所とリンドウん所行かないとか」
俺は自分に呆れて、転移結晶を取り出すと、「転移、リンダース」と言った。

















48層主街区リンダース、その奥にある<リズペット武具店>に足を運んでいた。
「……あんた、馬鹿?」
その持ち主である店長に怒られている最中だが。
「まさか、また剣を折って来るとはね………」
「済まんなー」
「あんたはもう少し反省しなさい!!」
と、グーで殴られる。まぁ、圏内だからダメージは無いが、フィードバックはある。
「で、オーダーメイドでしょ?生憎、前の客であんたレベルのインゴットは無いわよ。取りに行かなきゃね」
「……もしかして付いてこい、と?」
「そりゃ、あんたの剣を作るんだから当然でしょ!!」
「へいへい……」
俺は頼む店間違えたかなと思いながらリズに付いていった。




















「おおおおおおおおおお…………」
60層、クォーターポイントの10層上にあるここには、インゴットが隠されているサブ迷宮区がある。俺達はそこに乗り込んで来た訳である。
祭壇までは、そんなに強いモンスターは出なかったのであるが、大変なのは実は帰りであった。
祭壇からインゴットを取り除くと、急いで来た道を戻ったのだが、途中の中ボスの部屋に、モンスターが配置されていた。<青熊獣>アオアシラと<雷狼竜>ジンオウガである。個々の攻撃はそこまで強くは無いのだが、実はコイツら、面倒な事に連携してくるモンスターであり、拘束を喰らうと、いきなり頭上から雷が降ると言うHP的にも痛い攻撃を仕掛けてくる。今まさにその状態な訳だが。
「いい加減に………しろ!!」
俺はアオアシラの鼻に<閃打>を浴びせると、アオアシラは俺をぶん投げ後ろに転がる。俺は華麗に降り立つと、ハンマーを持つ。
「ウォォォン!!」
途端、ジンオウガがサマーソルトを放ってくるので、それを避けると、今度はジンオウガの頭にナミング・インパクトを放つ。ジンオウガはそれを喰らうと、スタンと混乱の二つのデバブを持つ。
「ウガァアアアッ」
その時に、アオアシラが後ろから突進をしてくるが、またも鼻面めがけナミング・インパクトを放つ。
アオアシラは面白い様に転がり、壁に激突するとHPバーが消え去り、四散した。
「ウォォォン!!ウォォォン!!」
遠吠えがしたのでジンオウガの方を見ると、いつの間にか回復しており、しかも超帯電になっていると言う。
因みに、作者はこれになると時たま落ちたり、落ちる寸前までいっている。かくいう俺もこいつは苦手だが。
「ウォォォン!!」
ジンオウガは、俺めがけ突進してくる。それを避けると、反転し、サマーソルトを放ってくるので、尻尾を掴み、逆に回してやる。
「ウォォォン!?」
そしてそのまま壁にぶつけて、HPをもぎ取る。モンハンでは出来ない芸当だ。
「ふふふ……日頃の鬱憤、どう晴らしてやろうかなぁ………」
「ら、ライトが闇落ちした……」
リズがそんなことを言ったが、俺の闇落ちはもっと酷い。


















そんなこんなで、再びリンダースのリズペット武具店へ。俺?俺はジンオウガをなぶり殺したよ?鬱憤お陰で晴れたし。
「えーっと……それじゃ、片手用直剣で良いんですよね?」
「ああ。って、何か敬語になってね?」
「気のせいですよ、あはははは………」
……どうやら俺のを見て怖いと思ったらしい。
暫く店で模造品を見てること一時間。
「お待たせー。剣出来たよー!!」
どうやら敬語は戻ったらしい。どんな心境で打ったかは大体想像付くが。
「解った、見せてくれ」
「それじゃあ、工房に来て」
そう言われ工房に足を運ぶと、机の上に、剣が置かれていた。
綺麗な赤で、まるで触れたものを燃やすかのような赤だった。……俺的にそう思ったのだが。
「それ、少し黒入ってるのよ。あたしも赤だ赤だって喜んでたんだけどねー」
………そう言うことらしい。
「とにかく、こいつの名前は?」
「あー、はいはい。今見るね」
と、剣を指でつつくとポップアップウインドウが現れる。
「えーと、名前は<ブラッティ・ギルティ>ね。あたしが初耳ってことは今の所情報屋の名鑑に無い剣だと思うわ。それにしても、<血の罪>なんて名前とはねぇ……」
俺は剣の柄を持つと、試しに<ホリゾンタル>を放ってみる。感覚的にエウリュアレの宝剣と何ら代わりない。なので、俺は<ヴォーパルブレイク>を放ってみる。すると、身体が一致したかのような感覚が生まれる。
「……良いな」
「本当!?」
「ああ。それに、<血の罪>………今の俺にピッタリな剣の銘じゃねぇか」
俺はブラッティ・ギルティをエウリュアレの宝剣のあった鞘に戻す。
「お金は置いとくぞ。リンドウん所行って武器修復してもらわにゃいかんからな」
「あ、うん。ありがとうございました」
「また剣が折れたら頼むよ」
「ちょっと!!折れなくても来なさいよ!!」
そんなリズの声を背で聞き、俺は転移門に向かって歩き出した。 
 

 
後書き
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