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美しき異形達

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第十一話 ハーレーの女その四

 二人は怪人達の背に膝を折って衝撃を殺しながら着地した。そうしてだった。
 二人共振り向いて怪人達の背に浮かび出たその符号を見てだ、まずは菖蒲が言った。
「私達もだったわね」
「ええ、そうね」
 菊は菖蒲のその言葉に応えた、自分達の符号を見ながら。
「これがよね」
「ええ、北斗七星の符号よ」
 まさにそれだというのだ。
「見た通りね」
「力を使って怪人を倒したら」
「符号が出るのね」
「そうみたいね、どうやら」
「薊さんや桜さんと同じね、私達も」
「そうね、また訳のわからないことね」
 二人で言う、そしてだった。
 倒された怪人達はというと、二人に背を向けたままで言ってきたのだった。
「よくやったものだ」
「頭を使ったのね」
「それで俺達に勝ったか」
「思った以上にやるわね」
「ところで貴方達は」
 菖蒲はその彼等に問うた。
「一体何処から出て来てどうしたその姿なのか」
「そして貴様等を襲うかだな」
「そのことがわからないけれど」
「生憎だが俺達も知らない」
「あんた達には悪いけれどね」
 ヒトデの怪人だけでなく毒蛾の怪人も二人に言ってきた。
「俺達が何者で誰が生み出しているかな」
「どうしてあんた達を襲うのかはね」
「正直貴様等には怨みも憎しみもない」
「ただ。無性に倒したいだけなのよ」
「気付けば貴様達の前にいてだ」
「闘うのよ」
 そうなっているというのだ。
「俺達は本当に何も知らない」
「全く、何もかもね」
「そのことはわかったわ」
 菊は怪人達の話を聞いて述べた。
「あんた達のそうした事情はね」
「俺達がわかるのはそれだけだ」
「他のことは一切わからないわ」
「それではだ、俺達の命は尽きるからな」
「さよならとさせてもらうわ」
 怪人達は最後にこう言ってだった、そうして。
 灰となって消えた、後には何も残らなかった。
 風に乗って消え去っていく灰を見届けてからだ、菖蒲はまた菊に言った。
「とりあえずはね」
「ええ、符号のこととね」
「怪人達について少しわかったわね」
「ほんの少しにしてもね」
「私達に悪感情はないのね」
 菖蒲はこのことに重点を置いていた。
「そういうことね」
「そうね、そういえばこれまでね」 
 菊はこれまで自分が闘った怪人達のことから考えて述べた。
「どの怪人にも悪意はなかったわ」
「私達に対する」
「それは全くね」
「ただ。闘うだけで」
「そうした感情は感じなかったわ」
「結構ね、怨みとか憎しみとかって出るからね」
 悪意は容易には隠せない、そしてその悪意を見て人はその悪意を出している者を嫌う。悪意は己を滅ぼすものである。
「連中にはないから」
「そのことからも考えていくといいかしら」
「そうね、まあとにかくね」
 菊は首を傾げさせつつ菖蒲にこう言った。
「とりあえず今わかるのはこれ位みたいだし」
「これ以上今ここで考えても何のならないわね」
「そう、だからね」
 それでだというのだ。 
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