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ウルトラマンゼロ ~絆と零の使い魔~

作者:???
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主-ルイズ-

 一方…。地球からもエスメラルダからも遠く離れた宇宙空間。
「せっかく捕えた地球人を取り逃がしただと!!我らの計画に支障が出るではないか!」
 ルイズの召喚のゲートとは別の発光体の手から逃げ切伸びることができたクール星人の円盤だが、別働隊と思われる宇宙船に回収されたのだが、任務完了の必要な標本となる人間をほとんど回収できずに終わったことで、その部隊の同胞たちからバッシングを受けていた。
「す、すみません!」
「まったく、以前我らの同胞がやった時と比べて小規模で行いさえすれば、昆虫も同然の地球人の目をかいくぐって今度こそ我らの計画を進めることができたはずだというのに…」
 地球人に後れを取るとは、と苛立ちを摘み隠さず露頭する別働隊のクール星人。
「待ってください」
 ふと、いくつもの星の位置を映し出しているモニターを見ているクール星人の一体が口を挟んできた。
「我らが取り逃がした地球人ですが、実に興味深い星に落ちていたそうです」
「興味深い星だと?」
 地球から逃げてきた同胞をさっきまで攻めていたクール星人が気になって説明を求めた。
「ええ、その星の知的生命体ですが、文明レベルは地球と比べて原始的な域です。しかしその対価によるものか、地球人の持っていない特殊な力を持っているのですよ」
「ほう…」
 それは興味深い、とそのクール星人はどこか嬉しげに声を漏らす。
「地球人よりも、より調べがいのある存在だとは思いませんか?あの地球人は、その星へ転送・ワープに近い形で移動しました。座標は取得済みです」
「うむ、計画変更だ。その星へ向かうぞ」
 地球から何光年離れた場所にあるだろうか、それさえ分からない。クール星人のモニターに表示された、地球とは別にもう一つ、一本のラインで地球と結ばれている、二つの月を表された惑星を見てクール星人はその星へ向かうことに決めた。
 彼らが向かう先の星の名前は、クール星人をはじめとした宇宙人たちからこう名付けられていた。

『惑星エスメラルダ』と…。




翌日。
「痛っ…朝か」
 藁の寝床など慣れていないものだから、サイトは深い眠りにつくことはできなかった。背中が痛い。やはり藁ではベッドで寝ていた時と比べて寝心地が悪かった。
「目が覚めたら元の世界に戻ってた、なんてことにはならなかったか…」
 背中をさすりながらルイズを見た。ぐっすり気持ち良さそうに眠っている。
「くそ…のんきにぐーすか寝やがって。こっちの身にもなれよ。おい、起きろ」
 ルイズを揺すって起こそうとするが、全然起きる気配がない。
「このクックペリーパイ美味しい〜…」
 もう食べられないよ〜、そんなベタ寝言にも負けない間抜けな寝言をぼやいている。人の気も知らないで…サイトはさらにイライラを募らせていった。
「おい!!起きろーーー!!!!!!!!」
「にゃふ!?」
 彼の突然の雄叫びによってルイズはベッドから落ちた。
「何!?何事!?」
「朝だ」
 どこかの敵国から敵襲にあったかのように辺りを見渡すルイズは、サイトの顔を見てギョッ!とする。
「誰よあんた!?」
「平賀サイトだ。忘れんなよ」
「…あぁ、そういえば平民を召喚したんだっけ」
 なんて奴だ…。自分で人攫いも同然の形で召喚しておきながら忘れるとか、今すぐに拳骨でもかましたい気分だ。そんな彼の苛立ちも露知らず、ルイズは背を伸ばしながら欠伸する。
「服着せなさい」
「は?」
 なんで俺が?こいつは幼稚園児か?他人に服を着せてもらうなんて。サイトは目くじらを立てる。
「あのねぇ、貴族は下僕がいるときは自分で着替えをしないものよ」
 実際地球でも昔の貴族は使用人に服を着せてもらうことがあったらしい。映画のワンシーンでもたまに見かける人もいるだろう。だが、女性の場合は女性の使用人に頼むはずだが、ルイズはさも当たり前のものとして命じる。
「へ、甘えんじゃね、何が貴ぞ」
「ご飯抜きにするわよ」
 子供でもできるだろと言ってやろうと思ったが、そう言われ才人はぐぅのねも出せなくなった。腹が減っては戦はできない。




 洗濯物を入れた籠を抱え、ルイズの部屋の扉の廊下に出ると、長い赤毛をした褐色肌の、胸元をはだけた女性が赤い巨大なトカゲ連れていた。しっぽには火が灯っていて、まるでゲームに登場しそうなモンスターそのものだった。小型の怪獣にも見て取れる。
「あらあなた、ルイズの使い魔じゃない。…へえ、本当に人間なのね」
(うお!揺れ…)
 思わずたゆんと揺れたその女性の胸にくぎ付けになってしまったサイト。だがすぐに冷静さを保とうと頭を軽く振る。
「えっと…君は?俺、平賀才人」
「ヒラガサイト?変な名前」
 ほっといてくれ…。サイトはムッとしながらそう呟いた。
「キュルケよ。キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。よろしくね、サイト」
 キュルケ…か。とりあえずサイトは彼女の名前を覚えておくことにした。ルイズの時といい、あまりにも長い名前だから、このときはファーストネームだけしか覚えなかった。
「そのトカゲは?」
「私の使い魔、サラマンダーのフレイムよ。仲良くしてやってね」
「きゅるる〜」
 舌をしゅるると伸ばしながら、フレイムと名前を紹介された火蜥蜴はサイトを見上げる。ずっと飼い慣らされていたペットのように、あまり襲ってくるような気配はないようだ。
「へえ、危害は無いのか?」
「大丈夫よ。使い魔は主人には忠実だから」
 だったら、撫でても大丈夫なのかな?洗濯籠を置いて、恐る恐るながらも軽くフレイムを撫でてみると、フレイムは可愛らしくサイトにすり寄ってきた。なつかれたのがうれしかったのか、サイトは自然と笑みがこぼれた。怪獣と違って小さい分なんだか可愛らしく見える。
「…ところであなた、その籠なんなのかしら?見たところルイズの…」
 キュルケはふと、サイトが持ってきた洗濯物の詰まった籠を見て何か尋ねようとしたら、ちょうどその時ルイズの部屋の扉が開かれ、ルイズ本人がキュルケと、彼女と話していたサイトに鋭い視線を突き立ててきた。
「あんた、何ツェルプストーと話しているのよ!」
「なんだよ。話すくらいいいだろ」
イチイチ怒るようなルイズの態度にサイトはどうも好印象を持てずにいた。
「ルイズ、あなた使い魔に何を持たせてるのよ?」
「洗濯物よ」
「…は?」
 何やらすごく呆れたような、そんな反応だ。
「何よキュルケ。何か言いたいことでもあるのかしら?」
 ルイズは、このキュルケという女が好きじゃなかった。彼女の実家ヴァリエール家と、キュルケの実家、隣の大国ゲルマニアのツェルプストー家は非常に仲が悪かった。戦争ではよく戦い合った敵同士のせいで互いを恨む住人が領内にいることが関係している。これはどうでもいい話だが、ヴァリエール家の人間曰く、ルイズの代から200年も前からツェルプストー家に恋人をさんざん寝取られまくったことがあると言うこともあってルイズはキュルケを嫌っていた。現にキュルケはルイズをさんざんからかってくる上に、たくさんの男子からの人気を呼び寄せるだけじゃなく、何人も彼氏を作って楽しんでいると言う話だ。淑女の欠片もない。だがまさか、自分が逆にキュルケからそう思われるなど予想だにしなかった。
「ルイズ、あなた使い魔とそこまでの関係になったのかしら?男に下着の洗濯を頼むなんて…ちょっと考えられないわね。はしたないったらないわ。もしかして、着替えも彼の前で堂々としてたのかしら?」
「は、はしたないですって!それを色ボケのあんたがよく言えたわね!」
 今更ながら、この時ルイズはサイトに自分の下着を持たせたことを恥じた。この女にだけは知られてはいけなかったと。
「いくら私でも、使い魔だからって好きでもない男に下着の洗濯は頼まないわよ?メイドに頼めばいいじゃない。なのにあなたったら…これは貴族平民に関係なく、レディとしての常識よ。じょ・う・し・き」
 キュルケはルイズの羞恥心に欠けるサイトへの行為を呆れつつも、ルイズをからかうネタとして利用してしまっていた。お蔭でルイズは自業自得とはいえ顔が真っ赤だ。
「まさかあなたが平民で使い魔だからって、男に下着を堂々と見せびらかすなんて。モテないからって感覚が狂っちゃったのかしら?ゼロのルイズ。いえ、エロのルイズかしらね」
「ひひひ…人をあんたみたいな色ボケと一緒にしないでくれる!?」
「はいはい。負け犬の遠吠えね。じゃあ私、タバサ連れて先に食堂に行ってるわね」
 もう飽きたかのように、キュルケはせっせとキセルを返してルイズとサイトの前から歩き去って行った。
奇妙な沈黙が流れた。ルイズは床とにらめっこしながらも、サイトに命令してきた。
「…それ、メイドに渡してきなさい」
「なんだよ、洗わなくていいのかよ?」
「いいの!感謝しなさいよね…ご主人様が仕事を減らしてあげたんだから」
 誰が感謝するか。サイトは心の中でそう毒をつく。まあ、いいか。サイトはキュルケがルイズに一言言ってくれたことに感謝していた。お蔭で落ちていく一方だった機嫌が回復していた。




 とりあえず洗濯の手間が省けた。サイトは洗い物をしてくれそうなメイドを探しに校庭をうろうろし始める。思った以上に広くて大変だった。洗濯籠も重く、洗い場もどこなのか見当もつかない。
「あっあのー…」
「ん?」
 サイトは振り向くと、そこには黒髪ボブカットのメイドの少女がいた。年は、同じくらいだろうか。ルイズのように勝ち気なところは見受けられず、素朴で少し大人しい印象だ。こんな子がメイド喫茶で働いても間違いなくやっていけそうな感じがする。胸も、人並み以上…。
「あなたはミス・ヴァリエールが召喚した使い魔さんですか?」
 メイドがサイトに尋ねると、サイトは俺は何を考えているんだ!と我に返る。
「し、知ってるの?」
 自分たちのことを、まだ会ってもいなかったはずのメイドが知っているので思わず聞き返した。
「ええ、平民が召喚されたと学院中で噂になってますから」
(やっぱ、そんなに珍しいのかな…?)
 まあ、この世界自体自分からすれば珍しいものだらけだ。今のところ、ルイズへのムカつきっぷりが大半を占めているが。
「あ、そうそう。これ、召喚してきた女から預かってたんだけど、誰か手の空いてるメイドさんいないかな?」
 洗濯籠を見せて、サイトは誰か洗濯をしてくれそうな人がいないのかを尋ねる。
「あ、それなら私が洗っておきますね」
 結構思い洗濯籠なのに、彼女はこういった仕事をこなして力があるのか、軽々とサイトからルイズの服いっぱいの洗濯籠を抱えた。
「ありがとう。俺サイト、平賀サイトだ」
 お礼ついでに、サイトは自分の名を名乗った。
「ヒラガサイト…さん?変わった名前ですね」
「かもな。君は?」
「私はこの学院でメイドをしているシエスタといいます」
「君もメイジ…って言うのかな?」
「いえ、まさか!私はあなたと同じ平民です。同じ平民同士仲良くしましょうね」
 また平民か…彼女も同じ平民というらしいのだが、見下されたようなこの単語がサイトは好きじゃなかった。
「ありがとう、シエスタ!女の下着だからちょっと違和感がね…」
「いえ、気になさらないでください」
 笑みを見せるこのシエスタに、サイトが見惚れるのに時間はかからなかった。容姿もまさに美少女で、素朴で親しみやすい姿勢。笑顔も引き込まれ、声もかわいい。自分の母校にいたら間違いなくモテる子だ。
「じゃあさ、俺にも手伝えることないかな?厄介ごと任せてもうしわけないし」
「お気になさらさなくていいですよ。これが私の仕事ですから」
 その後、籠を抱えてシエスタの去る姿を見届けたサイトは思った。ルイズにもあの子を見習ってほしいものだ。
そういえば、ルイズは先に食堂に行ってるから後で来るようにと言っていた。飯を恵んでくれるのだろうか?いや、何となくサイトは嫌な予感がした。あの高慢女がまともなものを出してくれるだろうか、と。





 食堂は学園の敷地何にある本塔の中にあった。貴族が使うせいか随分と立派な造りで床は白と黒のチェック模様が描かれ、百人は座れる長いテーブルが学年別に三つ並んでいた。
「なんか像みたいのがあるな」
 そこでルイズと…したくはなかったが再会したサイトが食堂の壁際にある小人の像を指して言った。
「あれはアルヴィー、小人って意味よ。ここはアルヴィーズの食堂だから沢山あるでしょ」
「夜動いたりすんのか」
「あら、良く知ってるわね」
「マジで動くのかよ!?」
 サイトは冗談のつもりだったため思わず声を上げてしまった。真ん中のテーブルについたところでルイズはサイトに椅子を引くように命じたので、サイトは渋々椅子を引いた。
「それにしてもすげぇ豪華だな!でも…朝からこんなの食べるのか?」
 サイトは歓喜しながらも、逆に朝から脂っこいものを見てどこかゲンナリした。
「何言ってんの?あんたは下」
 下?サイトは言われた通り下を見ると、あまりにも信じられないものを目にした。
「あんた達は平民な上に使い魔なんだから本来ならこの神聖な食堂に入ることも許されないんだからね。特別に頼んで入れてもらったんだから感謝しなさいよね」
 そう言って椅子に座るルイズ。ルイズはサイトの態度が気に食わなかった。貴族に平民が奉仕することを当然とも思わないこの生意気な使い魔にどれだけ自分が偉いかそれを叩き込まなければならない。それを徹底させようと思って用意したのは、なんと固いパンと薄味のスープだった。それも、床の上におかれたボロボロの皿に。
「朝食はやっぱり焼きたてのクックペリーパイと、お肉たっぷりの子羊のスープね」
 椅子に座り、サイトの憤りを無視してルイズはナイフで肉を切り分けながら朝食を取り始めた。
「…」
 せっかくシエスタやキュルケのおかげで治ってきた機嫌が、またこの女の卑劣な待遇によって一気に冷めた。
「ざけんな…こんな横暴認められないぞ。それにこのパンなんだよ!固すぎて食えねえじゃん!」
「…ふん、じゃあこれ特別に挙げる」
 いちいちうるさく言ってくるサイトをうっとおしく思ったルイズは、適当に彼の皿に丸い物体を放り出す。サイトはそれを見て目が点になる。
「よりによってくれたのが人参かよ…」
また余計に憤慨させられたサイトだった。っというか、この世界にも人参があるとは。いや、擬きと言うべきか…なんであれ、施しを与える側であることをいいことに嫌いなものを寄越すとは、こいつどこまでお子ちゃまなんだよ!と頭に来た。

――――残してんじゃねーよ。いけないんだーー。

「…?」
 今のは、誰か別の生徒の声か?いや、それにしても幻聴っぽかったが。が、確かめる前にルイズの顔を真っ赤にした睨み顔がサイトに突き刺さる。
「な、何が『いけないんだー』よ!折角私がごはんを分けてあげたのにまだ生意気に注文つけてくるのかしら!?」
 椅子から立ち上がってサイトに怒鳴りだすルイズ。だがサイトもつもりにつもった不満のあまり、負けないとばかりに言い返した。
「こんなふざけた待遇で使い魔やれとか、ブラック企業の方がまともだろ。相応の待遇ってもんを寄越せよ。んな常識もねえのか!」
「ひ、ひひ…人を非常識な奴みたいに言わないでくれる!?私はヴァリエール家の息女よ!」
 だから常識に富んでいるんだとでも言いたいのか?だとしたらとんだ常識だ、とサイトはルイズをひどく嫌悪した。
「あらルイズ、あなた人参残してるじゃない。しかも残飯処理に使い魔を使うなんて」
 ルイズにとって聞きたくもない声が聞こえてきた。キュルケだ。偶然にも、自分とルイズの間に青い髪の眼鏡をかけた小柄な少女を挟んだ形でそこにいたのだ。ルイズが人参を残したと言う情報はたちまち食堂中に知れ渡る。
「だからゼロのルイズなんだよ!いや、『チビのルイズ』かな?」
「「「わはははははははは!!!!」」」
 近くで見ていた男子生徒のその言葉につられ、どっと食堂中がルイズ対する笑い声で埋まった。怒りで顔を真っ赤にしたルイズはサイトを睨み付ける。お前のせいだとでも言いたいのか。サイトはいい気味だぜと言わんばかりに逆にルイズを鼻で笑い飛ばし、食堂から去って行った。
「待ちなさいよ!!」
ルイズは止めようとしたが、それでもサイトは話を聞かずに食堂を出てしまう。しかも、これも食堂にいた生徒たちに笑われるネタになってしまう。
「見ろよ、ゼロのルイズが使い魔に見捨てられてるぞ」
「彼には同情するわね。床の上のご飯食べさせるなんて…相手が平民でも、少なくとも私はやらないわ」
 緑色の髪の少年と、金髪ロール髪の少女がルイズに馬鹿にしたような視線を向けていた。
「使い魔の癖に貴族に恥をかかせて…覚えてなさい…」
 ルイズは立ち去るサイトの背中を恨みがまし気に睨んだ。
「まっ、当然よね」
(こくっ…)
 キュルケの呟きに、隣に座っていた青い髪の少女『タバサ』は密かに頷いていた。
 ルイズは結局サイトが残した固いパンとスープ、そして人参を食べて、自分は人参なんか食べられるんだ、という意地を見つけるためかこう叫んだと言う。
「別に人参なんか苦手じゃないんだから!…うぷ」





 朝食の後は授業だった。朝食の一件の後、皆の笑いものにされたため、居心地が悪くなったルイズは早々に朝食を済ませて、サイトを探すと、中庭から空を眺めていたサイトを見つけた。
 合流した際のサイトは空に浮かぶうっすらと浮かぶ二つの月を見上げ、ため息を漏らしていた。それを見たルイズは人の気も知らないで…と自分のことを棚に上げて、サイトに「次は授業に行くわよ、あんたも来なさい」と命じる。ルイズに従う

教室はサイトの知っている高校等の造りではなかった。石造りで半円状の階段のような構造をしており最下層には教壇と黒板があった。彼らを見て教室にいた生徒は笑いだし、それを聞いたルイズは無論、サイトもいい気はしなかった。
 ルイズは席に着いたがサイトは座る所がなかったので階段に座った。
 教室にいた他の使い魔を興味深く見ていると講師と思われる、薄紫のローブとつばつきのトンガリ帽子を着用したふくよかな体形の中年女性が入って来た。
「はじめまして、今年一年皆さんの授業を受け持つシュヴルーズです。毎年皆さんが呼び出す使い魔を見るのが毎年楽しみなのですが…」
 ふと、その時のシュヴルーズの目に、ルイズと彼女の座る席の隣の段差で座っている少年が目に入った。
「おや、ミス・ヴァリエール。変わった使い魔を呼び出しましたね」
 その瞬間どっと教室が笑いの嵐に包まれた。
「おいゼロのルイズ!召喚できなかったからってその辺にいた平民連れて来るなよ!」
 太っちょ金髪の男子生徒が指をさしてゲラゲラ笑いだした。
「違うわよ!ちゃんと召喚したわよ!」
「嘘つけ。最初からその平民を隠しておいてタイミングよく召喚したように見せたんだろ!」
「ミセス・シュヴルーズ!風邪っぴきのマリコヌルが侮辱しました!」
 ルイズが立ち上がり怒鳴った。
「なんだと!僕の二つ名は風邪っぴきじゃない!風上だ!」
 マリコルヌと呼ばれた生徒も立ち上がって怒鳴ったが、シュヴルーズが杖を振ると二人は糸が切れた傀儡人形のようにすとんと席に落ちた。
「いい加減しなさい。お友達を侮辱するものではないですよ。さもなければ…今度は赤土をあなた方のお顔に塗りますよ?」
 シュヴルーズは、あまりにも見苦しい姿を見せる生徒たちを見かねて杖を向けてきた。途端に、教室は静かになる。
「それでは授業を始めます」
(スゲぇ…魔法ってこんなのことできんのか。……っていうかこの先生の一言が騒動の原因じゃなかった?)
 シュヴルーズの、ルイズとマリコルヌを強制的に座らせた魔法を見て、サイトは魔法への関心と、シュヴルーズへのささやかなツッコミを心の中でこぼすと授業が始まった。授業内容は魔法についての基礎知識だった。
「魔法には『火』『水『土』『風』の四大系統と、失われた『虚無』という五つの系統があります。この赤土のシュヴルーズ、自分の系統だからと贔屓するつもりはありませんが、そのなかで万物の組成を司る『土』は私達にとって重要な魔法だと思っています。それはなぜか。……ミス・ヴァリエール、答えてみなさい」
「は、はい!それは私達の生活により関係しているからです!土系統の魔法があるおかげで金属の製造・加工や建設用の石切り、作物の収穫などが楽にでき、私達は豊な暮らしを送れるのです!」
「よろしい」
 ルイズは教師からの問いに見事答え、その言葉を聞いたサイトはその内容にルイズが貴族、メイジだという理由で威張っている原因を理解した。
 どうやらこの世界では便利な魔法が科学技術の代わりを担っているらしく、メイジがいなければ産業自体成り立たず生活水準も下回るだろう。
 彼はそのまま興味深く授業を聞いていた。黒板に書かれた文字はわからないが、言葉は不思議なことに通じるし理解できる。聞いておいて損はない。…思ってみると、ここまで真面目に授業の話を聞いたことなかったと思いながらも。
 シュヴァルーズが土の魔法の実技『錬金』を行い、机の上に置いてある小石にルーンによる呪文を唱えて杖を振りかざすと驚くことに小石が別の物質に変化した。
「ゴ、ゴールドですか!?」
 キュルケが席から身を乗り出して叫び教室中が騒然となる。
「いいえ、ただの真珠です。ゴールドを錬金出来るのはスクウェアクラスのメイジだけです。私はトライアングルクラスですから」
 今のシュヴルーズの魔法には、サイトも驚いていた。気になって、授業の邪魔をしないよう小声でルイズに質問してみる。意外にも彼女は普通にその問いに答えてくれた。
「なぁルイズ、スクウェアとかトライアングルとかってなんだよ」
「何よ、今授業中よ…!」
「それは悪かったよ…でも、俺何も知らない…」
「…いいわ…特別に教えてあげるから感謝なさい。系統を足せる数のことよ。それでメイジのレベルが決まるの」
 ルイズは小声でサイトに簡単な説明をしていった。
 系統魔法は一つでも使えるが同種または別の系統を足すとその魔法はさらに強力になる。そして系統魔法を一つ使えると『ドット』、二つ足せると『ライン』、三つで『トライアングル』、四つで『スクウェア』と、足せる数でメイジはレベルが別れているとのことだった。
「ってことはトライアングルのあの先生は強力なメイジってことか。ルイズはいくつ足せるんだ?」
「それは………」
 ルイズはサイトの言葉に詰まってしまった。言いたくなかった。自分が何の系統の魔法も基礎的なものを含めても何一つ使えないなど。
「ミス・ヴァリエール!授業中ですよ。私語は慎みなさい!」
「も、申し訳ありません!」
 シュヴルーズに授業中の私語だと断定されたルイズは注意された。
「そんなにお喋りする暇があるんでしたら、この小石を錬金してみなさい」
 その途端、教室が騒然となった。
「先生!ルイズに魔法を使わせるのは危険です!」
 キュルケが何かを恐れるように叫んだ。他の生徒もやめてだの、お願いだからだの騒いでいる。まるで怪獣襲撃を聞いて逃げ惑う人のようだ。
「どうしてですか?彼女が努力家なのは聞いています。
さぁミス・ヴァリエール。失敗を恐れてはいけませんよ」
「……分かりました、やります」
 ルイズは意を決して椅子から立ち上がる。
「ルイズ!……ああ、もう!!」
 何てことだと言うように、キュルケは叫んだが諦めたようにうなだれた。
「どうしたんだ?」
 サイトが不思議に思っていると、キュルケが彼にこっそり警告してきた。
「あなた、念のため机や椅子に隠れてたほうがいいわよ」
見ると全ての生徒がキュルケの言った通りにしている。
「なぁ、何が起こるんだ?」
「まぁ見てなさい。これから分かるわ」
 サイトも同じように机の下に隠れ、事の成り行きを見守ることにした。ふと思うことがあって同じ机に隠れていたキュルケに小声で話しかけた。
「なぁキュルケ、さっきのあの…シュヴルーズって先生がルイズのこと努力家って言ってたけど、ルイズって成績いいのか?」
「たしかに座学の成績なら学年トップで右に出る者はいないわ」
「マジ?」
 人の前で着替えをするあたり、常識なしのアホなのかと思い込んでいたのだが、そうでもなかったようだ。地球の学校で寝てばかりだった自分とは違っていたことに反省したサイト。だがもう一つ疑問を抱く。
「そのわりには皆、ルイズのこと見下してない?」
 そうだ、ルイズが座学で頂点なら他の連中は尊敬するのが自然のはず。だが、誰一人そんな目でルイズを見ていなかった。なんでだろう…?
「その理由も見てれば分かるわ」
 そう言われ、サイトは再びルイズに注目した。ルイズは呪文を唱えて杖を小石に振りかざした。
そして次の瞬間!

――――ドゴオォォォォン!!!

 怪獣もある意味びっくりな大爆発が起こった。爆発の影響で教壇の近くは悲惨な状態になった。煙が晴れるとそこには気絶したシュヴルーズと煤まみれでボロボロのルイズがハンカチで顔を拭きながら一言呟いた。
「ちょっと失敗したみたいね」
 下手にお茶目な誤魔化しをした彼女に対して、生徒たちからバッシングの嵐が起こった。
「どこがちょっとだよ!いい加減にしろー!」
「いつもそうだろ、魔法成功率ゼロ!魔法の才能ゼロのルイズ!!」
「迷惑なのよ!いい加減学院辞めなさい!」
「こういうことよ」
 机の下から出てきたキュルケが、やれやれと言った感じでサイトに言った。
「………なるほど」
 事の結果に呆然としていた彼はルイズの二つ名の由来を理解して呟いた。その後、罰としてルイズは教室の掃除を命じられ、サイトは使い魔という理由で片付け作業に巻き込まれた。 




 一方、コルベールは本塔にある30メイルはある本棚を多く内包した図書館で、先日召喚された平民の少年に刻まれたルーンや刻まれた時のことが気になって調べていた。
「む…これは!?」
 棚を調べていると、調べもの答えを記した本にたどりつき、その内容に驚いた彼はその本を持って、急ぎ最上階の学院長室へ向かった。


トリステイン魔法学院の学院長室。
「先程の大爆発はミス・シュヴルーズの授業中、生徒が錬金の実践魔法を失敗した為に起こったものだそうです。その生徒の名前は」
「あー、言わんでいいミス・ロングビル」
 四角い眼鏡に緑の髪をアップで纏めた女性秘書は、自分の上司たる長く白い口ひげと髪をゆらした…まるで映画に登場する賢者のような風貌をしている老人に先程の騒ぎの原因を報告し、その本人に途中で遮られた。
「言わずとも分かっておるわい、ヴァリエール家の三女じゃろ?全くもって困ったものじゃい」
彼は学院の学院長である『オスマン』。高慢な人間だらけの貴族の中では、平民・貴族と言った身分への偏見が少ない珍しい人物だ。彼はルイズの爆破を聞いて、立派なテーブルに肘をつき困ったように呟いた。
「まだ修行中の生徒ですもの。一度や二度の失敗…」
「じゃがの〜、あの者の失敗数はこれで何度か目かの〜。むぅ…どうにかならんかの〜」
 むざむざ退学者を出したくないのか、オスマンは溜息を漏らした。
「それに関しては全く同意です。……ところでオールド・オスマン、私の足元に使い魔を忍ばせるのは止めてください」
 そう言うと彼女は何かを踏みつけるように床を踏む。すると、彼女の足下から一匹のネズミが慌てて走り去っていきオスマンの肩にとまった。
「おお、モートソグニルや。酷い目にあったのう…。ミス・ロングビル。動物はもっと可愛がってやりなさい。……して、どうじゃった?そうか白か!じゃがミス・ロングビルには黒がに合うとは思わんかの?」
 全くその通りというように、その白いネズミ『モートソグニル』は頷いている。そのやり取りを、ロングビルはこめかみをピクピクさせながら冷ややかな目で見ていた。
「オールド・オスマン。使い魔にスカートの中身を確認させるのは止めてください。他にもイジけてお尻をさわったり、それを注意したらボケたふりをするのも……次やったら王室に報告しますよ?」
 彼女は少々怒気を孕んだ声で脅すように上司に注意した。それに対してオスマンは目を見開いた。なかなか迫力があるが、正直言っていることはあまりにも情けない。
「カーッ!たかが下着を覗かれたくらいでカッカしなさんな!それに上司を慰めるのも部下の役目じゃろ!そんなんじゃから婚期を逃すんじゃ」
 婚期あたりの言葉を口にしたことを、彼はすぐに後悔することになる。ロングビルは音もなくオスマンの背後にまわると、カンフー映画の俳優も顔負けの鋭い回し蹴りをオスマンの後頭部めがけて放った。蹴りを食らったオスマンは机を飛び越え顔面から床に激突した。しかしロングビルの怒りは治まらない。老人といえど容赦せんとばかりに、オスマンに近づくと無表情で見下ろして彼の腰をゲシゲシと踏みはじめた。
「あ、ちょ、止め、痛タッ、お願い、マジ止めて、あ…」
 そこまで言うやいなやロングビルは足を思いっきり上げると渾身の一撃を踏み下ろした。
「失礼します! オールド・オスマン!!」
 叫びびながら学院長室に入ったコルベールは目の前の光景に対し状況が掴めず呆然としていた。
「あ、あの〜これは?」
「ミ、ミスタ・コルベール!いえ、あの!……マッサージしてたら加減を誤っただけです!!」
 一悶着あった後、オスマンとロングビルは自分の机に戻り、コルベールは机越しにオスマンと向き合っていた。
「で、どのような用件かな?ミスタ……コッパゲ?」
「コルベールです!……とにかくまずはこれを御覧ください」
 自分の頭髪がほとんどないつるつるの頭を指摘されて一瞬顔を歪めたが、コルベールは図書館から持ち出した古い書物をオスマンに手渡した。
「『始祖ブリミルの使い魔達』?君はまたこのような古い文献を…」
「いえ、まだ話は終わってませんよ。これもご覧になってください」
 オスマンは指定されたページを開き、コルベールがサイトのルーンがスケッチされたメモをオスマンに見せると、彼の表情が真剣なものに変わった。
「……ミス・ロングビル、しばし席を外してはくれぬか?」
「はい」
 そう言われてロングビルは部屋を後にした。
(あのサイトって名前の少年のルーン…)
 実はこのとき、ロングビルも少々驚いたような顔をしていた。

(一瞬前にも似たようなものを見たと思ってたけど…似ている。



『あいつ』のと…)





「ったく、お前がサボるから」
 罰則の掃除を終えた二人だが、結局ルイズは自分がやらかしたにもかかわらず掃除を全部サイトに押し付けて教室の隅でふてくされていた。厄介ごとを任されたサイトは無論腹を立てていた。
「るさいわね。なんで私が掃除なんか…」
 未だに言い訳を繰り返そうとするルイズ。
「だから、あれはお前のせいだろ。なのに俺一人に押しつけやがって。昨日から思ってたけど、ふざけんのも大概にしろよな」
「ふざけるなですって!」
 自分がいつどこで?まるで侵害と言わんばかりにルイズは怒鳴りだしたが、これはサイトにとって…いや、他の誰でも普通に考えればサイトのこの反応は当然だったかもしれない。
「ふざけてるよ!しかもなんだよ!お前自分が貴族だからとか、魔法が使えるからって威張っている割に、実は魔法全然だめだとか!俺を笑わせてんのか!?」
 ルイズはそこで動きを止めた。貴族の癖に、魔法が使えない。それは事実だ。

でも…………認めたくなかった。

こんな自分を。

現実を。

 優秀で身分も高い家柄の出身である自分が、どうしてこんなふうになってしまったのか、それを受け止めることができなかった。
 だがサイトからすれば、魔法が使えない苛立ちとか、周りに馬鹿にされているからってその怒りをぶつけられてはたまらない。そもそも自分は、住んでいる世界そのものが異なる赤の他人なのだ。
「歌にしてやろうか?…そうだな…
ルイルイルイズはダメルイズ♪
魔法ができないメイ・ジ(お菓子メーカー風に)♪
でも平気!ゼロのルイズは女の子だも〜ん!ってな感じでさ」
 ルイズの八つ当たりが度を過ぎてばかりだから、ついに彼もどこかやりすぎた仕返しに、下手くそで侮辱的な歌を歌いだした。
 ルイズは、握り拳を作って震え始めた。

―――うるさい、平民の癖に…使い魔の分際で…。

「何?怒っちゃうのか?ああそうか!怒りたきゃ勝手に怒ってろ!俺は逆切れかましているお前なんかよりもずっと怒ってんだ!昨日から勝手に俺を召喚したことに謝りもしなければ何の責任も感じないし、あまつさえ雑用係させるわ、しかも床の上で堅いパンにまずいスープ!これって俺に対する八つ当たりって奴か!貴族ってのはそれはまあ、いいご身分って奴だよな」
 ルイズの怒りと苛立ちに、サイトは既に気づいていた。
 もし、とある世界の皆さまが知るサイトなら「言い過ぎましたごめんなさい」と言って土下座するのではと思う人もいただろうが、ここでは違った。それは、皆さまの知るサイトとここにいるサイトは、これまで築いてきたものが大きく違っていたのだ。
「魔法が使えない癖に貴族だからってうざったらしく威張る上に、人を人とも扱わねえお前なんか、俺から見たら、俺の故郷を何度も襲ってたくさんの人から大切なものを奪ってへらへら笑い続けた、悪い宇宙人たちと何一つ変わんねえ!」

バチン!

 ルイズは我慢ならずサイトの頬をぶっ叩いた。
「…あんた、一週間ごはん抜き!!ご主人様を悪党呼ばわりした罰だから!」
 本当なら、自分の正当性を訴えるための言葉を手に取るように吐きたかったのだが、そんな言葉など見つからなかった。
 叩かれてなお、サイトは毅然とした態度でルイズを見下ろしながら言い放った。逆にルイズはその視線に一瞬だけたじろいだ。
「別にいいよ。どうせ、固いパンと不味いスープしか用意しないんだろ?そもそも俺はお前みたいな最低女に従う義理もねえよ!この『良心ゼロ』のルイズ!!」
 溜まり溜まった鬱憤のまま罵詈雑言を浴びせたサイトは、ルイズの前から立ち去って行った。

最低女、良心ゼロ…。

 それは、ルイズにとってどれだけ棘を感じさせる言葉だったことか。その場に立ちつくし、目元が見えなくなるくらい頭を垂れて床を見つめるルイズの声は、もはや涙声だった。
「……何よ……使い魔の…癖に…平民の…癖に……」
 そんなこと…言われなくてもわかってるわよ!そう叫びたかった。
何一つまともに言い返せずに使い魔に手を挙げた自分が、とてつもなく情けなかった。
 名門の実家出身でありながら、幼い頃から魔法が使えなかった。家族や召使たちからの失望や哀れみの眼差しを何度向けられたことか。学院に来てから魔法を勉強すれば、何かが変わるかもしれないとも期待していた。でも待っていたのは、魔法が相変わらず使えないという現実と、それによる生徒たちからの嘲笑。屈辱に耐えながら、魔法が使えるようになるまでは座学でトップクラスの成績を手にするも、それでも魔法は使えないまま。
 やっと成功できた魔法で呼び出されたのは、ドラゴンでもグリフォンなんて立派なものでもなく、キュルケのようなサラマンダーでもない。それどころかどこにでもいそうな馬の骨のごとき平民の男。まるで現実がいつまでも自分を無能のゼロだと嘲笑っているようで腹が立った。
 その苛立ちを…無理やりここに連れてきてしまったなんの悪さもしていなかった人間に、貴族として導く対象である平民にぶつける。自分の失敗のツケも押し付ける。

 ルイズが一番気づいていた。

 サイトの言う通り、貴族以前に……自分は人間として最低なことをしていた。名家生まれのプライドゆえに、平民を呼び出したという結果も、八つ当たりの罪も認めたくなくて…無関係だったはずの平民に辛く当たってしまっていた。

きっと両親や姉たちも、今の自分を見たらがっかりしていたことだろう。

そう思うといっそう自分が情けなくて、みっともなくて…

使い魔から見捨てられたのも同然だ。


メイジ失格…ルイズは初めて自分をそう罵った。  
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