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ジェネレーション=ミュージック

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第二章


第二章

「それは違ったの」
「親父とかお袋ってそういう年代じゃなかったのかよ」
「そこまで老けてはいないわよ」
 顔を少し顰めさせて答えたお母さんだった。
「そこまではね」
「ええと。お母さんが四十三で」
「お父さんも同じ歳よ」
 こう答えたのだった。
「BOOWYはね。ちょっと時代がずれていたけれどね」
「お兄ちゃん、話わかる?」
「いや、さっぱり」
 この話は二人には全くわからないものだった。二人で顔を見合わせて首を傾げるだけだった。年代があまりにも違い過ぎるということだった。
「BOOWYに氷室さんとか布袋さんがいて」
「チェッカーズにフミヤさんがいたのは知ってるけれどさ」
「TUBEはまだあるけれどね」
「まあTUBEはね」
「それはな」
 二人もこのことは知っていた。
「あとサザンだっけ」
「あの頃も元気にやってたんだよな」
「少し休んでたけれどね」
 やはりお母さんの方がよく知っていた。やはり年代の違いがここでも出ていた。
「ちゃんと元気にやってたわよ」
「ふうん、そうなの」
「そんな年代か」
「私達の年代からいったらあんた達の曲の方がわからないけれどね」
「TMレボリューションも?」
「ラルクもかよ」
「正直かなりついていけないものがあるわ」
 答えるお母さんの顔は苦笑いになっていてそれは隠さなかった。
「もうね。かなり違うから」
「そんなもんなの」
「こんなのすぐわかるだろうにな」
「だから。年代が違うの」
 お母さんはこのことを強調してきた。
「それがね。もう全然ね」
「やっぱりどうしてもわからないわね」
「だよな。それにしてもBOOWYにチェッカーズか」
 軍平は不意にそういったグループに関心を抱いたのだった。
「そのグループっていいの?」
「はっきり言ってよかったわ」
 答えるお母さんの顔がにこりと笑ったものになった。
「お婆ちゃん達の年代には何あれ、って言われたけれど」
「それでもなの」
「そうか。よかったのかよ」
 二人、特に軍平はここでもその年代の曲に関心を抱いたのであった。
「じゃあよ。お袋」
「ええ」
「そんなによかったんならよ」
 またお母さんに対して言う。
「一度。聴いてみたいもんだな」
「CDあるわよ」
 何でもないといった感じでの返事だった。
「チェッカーズもBOOWYもね」
「あるのかよ」
「勿論よ。今でも聴いてるわよ」
「んっ!?そういえば」
 ここで美智代はあることに気付いた。
「何か時々お母さん達の部屋から聴こえてくる曲って」
「そういうこと。わかったわね」
「ええ、何となくだけれどね」
「わかったさ。じゃあお袋」
 ここでまたお母さんに対して声をかけるのだった。
「よかったらそのCD貸してくれないか?」
「興味持ったってわけね」
「そんなにいいんだったらよ」
 軍平の言葉は多少減らず口めいたものになっていた。
「聴いてみるさ。それでいいよな」
「ええ、それじゃあね」
 こうして彼はお母さんからその年代の曲を色々と借りてみることになった。まずはそのCDのジャケットを見ると横から美智代が言ってきた。
「うわ、相変わらず酷いわね」
「この事務所のは相変わらずだな」
「そうね」
 ある事務所のアイドルグループのCDのジャケットを見ての美智代の言葉である。軍平も妹のその言葉に同意して頷くのだった。
 
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