| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

十四章
  情報×俺、帰還

「なるほど。沙紀さんの考えですと、知恵が湧いてきますね」

「ザビエル某とやらが居るのならば、鬼を蹴散らし、その破戒坊主の素っ首を刎ね飛ばしてご覧に入れますわ!」

「あははっ!梅ちゃんらしいね!」

「それでこそ梅ちゃんでしょ!」

「おーほっほっほっ!当然ですわーっ!」

高笑いする梅さんの姿に、仲間たちからは笑いが漏れました。というか、本当に笑い方が恋姫世界にいた袁紹さんそっくりですね。

「確かに沙紀の言う通りかもしれん。・・・・敵が多少、強くなったとて、やらねばならんのだ」

「とりあえず。今の私たちには越前の状況が分かりません。隊長が戻ってくればいいのですが、ありったけの情報を教えてもよろしいでしょうか?」

「はいっ!?」

入城してからの軍議では、何かと時間が掛かると判断した眞琴様は私たちを近くの窪地に行きました。
陣幕を張り、軽い食事を取りながら、お互いに持っている情報を交換します。ちなみに私と桜花と結衣はISを解除して陣幕の中で聞いています。隊長は、この近くにいますね。しかも、ゼロをロボモードにして手の上に乗っています。どこで登場したらいいか迷ってますから、しばらくは隠れて聞くのでしょう。

「鬼達が群れを成して現れたのは、先ほども伝えました通り、六日ほど前。賤ヶ岳の麓に位置するいくつかの村を襲い、住民たちを惨殺したあと、領内に深入りすることもなく、越前へと引き上げていったようです」

「示威行為なのか、偵察目的なのか・・・・目的が推測できませんね」

「数は如何でした?」

「幾人か、小谷へ逃げて来た村人に話を聞いたところ、鬼の数は五十ほどだったそうだ」

「被害にあった村の規模は?」

「三百人程度の集落が三つやられた」

「五十で九百を惨殺されたわけですか」

非戦闘員を900人殺害するのに鬼はたったの50匹ですか。多いのか少ないのかは分かりませんが、1匹で数十人殺したペースですね。

「今までの鬼というのは、自分の力と他人の力を計算することはありませんでした。食事の代わりに人を襲い本能のままに振る舞っていましたが・・・・」

「小谷へ侵入してきたときはちょっと違ってたね」

「市様の言うとおりで、あの時の調査結果では小谷に侵入してきた鬼は、餌が欲しくてという感じではありませんでした。大勢の人間が居たにも関わらず、鬼達は少数で侵入してきました。相手との数や力の差を考えずに・・・・」

「だけど今回は九百人の村人を殺すために、五十匹という群れを成した・・・・」

「はい。組織になっていますね。小谷の救援が来ましたら即座に撤退して行きました」

「恐らく、ザビエルはすでに準備を整え、我らを待ち受けているということでしょう」

「そうですね。私たちが眞琴様と合流する直前に、自分たちの事を誇示するように動いたのでしょう。そう見えますね。私たちが船で地上全てを見えるようにしたように、ザビエルも私たちの動きを何らかで把握している可能性はあります。三好衆の件もあります。ザビエルはどこかで私たちを見て、動きに合わせて妨害している。という考え方になります」

「なるほどの。公方を倒すために異形に落ちたのではなく、ザビエルが織田の邪魔をするために、三好を利用したということか」

「あなたから貰い受けたあの丸薬いえ魔薬でしたね。魔薬の実験と、織田家の動きを止めて時間を稼ぐために三好を利用した。と考えれば納得はいきます」

あの時、小谷城で侵入してきた鬼。私たちが一葉様と合流するというのを狙ったようなタイミングでの、三好衆の鬼化。

「半分推測で、半分結論ではありますが、私はザビエルの目が常にこちらを向いてるかに思えます」

「しかし越前を捨て置くことは出来ません・・・・今も越前の民は鬼に怯え、恐怖に戦いていることでしょう。弱き者たちを守るためにも・・・」

「この日の本を異形の者どもの好きにさせる訳にはいきません。今、越前を討たないと・・・・っ!」

ふむ。情報が少なすぎて、このまま戦っても勝ち目があるかどうか分かりませんね。それにもし私たちやエーリカさんの考えの通り、越前で待ち受けていたら。恐らく必勝の態勢でしょう。

「それなら俺たちが偵察に行って、情報を集めてこようか?」

「この声は、一真か!どこだ?」

「ここだ!お前らの目の前にいる」

と言って隊長は、恐らく透明の聖剣の力によりゼロと隊長の姿を見えなくしたのでしょう。陣幕の外にゼロが立っており、手の上には隊長が立っていた。そしてゼロが陣幕に入ってきたあとに、皆を下がらせてからゼロは隊長を乗せた手を降ろした。

「桜花たちよ、俺がいない間の指揮や軍議での発言、誠に感謝する」

『はっ。ありがたき幸せであります!』

「先ほどの話はこれで聞かせてもらった。久遠達は越前の討ち入りを準備しろ。こちらは、すでに空から越前を監視している。来たとしてもすぐに指示が出せるだろうが、俺らの兵器より出来る限りお前たちの力で根切りにしろ。良いな、久遠」

「・・・・(コクッ)」

迷いがあるだろうが、情報とかは俺たちの仕事だ。今は少ない情報だと思うが、手探りで歩いていくような恐怖があるだろう。が、久遠はしばしの沈黙のあとに頷いた。その瞳には強い意志が見て取れるな。越前を解放する。この国から鬼を駆逐する。そんな使命感にも似た、強い意志だった。きっと久遠の心の中では、越前を「解放しなければならない」という気持ちでいっぱいなんだろうよ。

「では、越前の解放のために動こうではないか。情報は我々で入手する」

「うむ。越前の鬼を根切りに致す。・・・・その後で、ザビエルとやらの報いを受けさせてやる。情報入手は一真たちに任せたい」

久遠の言葉で、一同は一斉に頷くが、俺たちは敬礼をした。

「葵。眞琴。我に力を貸せ」

「この日の本から鬼を駆逐するために」

「人が異形の者に蹂躙されることのない・・・・あるがままの日の本を取り戻すために」

「うむ。・・・・壬月!」

「はっ!」

「越前討ち入りへの準備を進めぃ!」

「御意!」

「悠季。歌夜。松平衆を」

「はっ!」

「御意に」

「まこっちゃん!市たちも頑張ろうね!」

「もちろんだ!」

「共々!次の戦は異形の者との戦いである!・・・・今宵は無礼講を差し許す。英気を養い、この日の本のために全力を尽くせ!」

陣幕にいた者や外にいた者は雄叫びを上げる。俺達は静かに敬礼をした。いよいよ越前討ち入りか。俺がいない間のことは、あとで桜花たちの報告書を見るとしよう。ちなみに、ゼロはビークルモードにして空間にしまったけど。俺のやる事はただ一つだ、久遠や仲間たちを守護する。

それと共に、仲間たちの力を合せて鬼を駆逐する。ただそれだけのことだが、言葉では簡単だが行動は難しいだろうな。俺が戻ってきたことにより、桜花たちをトレミーに戻した。あとで報告書を作成し、詳細も添えて俺の部屋にあるパソコンに送信しとけと言った。そのあとに、ISを装着してから小谷城の上にいる船に帰還させた。船は、越前の情報と監視をしとけと言ってから久遠達や仲間たちと話をしたが結菜がここにいるのが驚いたけどね。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧