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インフィニット・ストラトス 自由の翼

作者:ren sagiri
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タッグロワイヤルバトルと無人機襲撃と金色の重装甲機……です。

○Noside

春奈と簪が出会って数日後の今日。二人は打鉄弐式の最終調整と慣らし運転のために模擬戦を行っていた。

「「フル・バースト!!」」

二人は全砲門を解放してありったけのエネルギー弾とミサイルを乱舞させた。

全48発のミサイルを残すことなく撃墜する春奈。

バラエーナの強力なエネルギー弾を春雷の速射で相殺する簪。

春奈はフリーダムのエネルギー残量がイエローゾーンに落ちたことを察知するとすぐさまクリスタルハートを稼動させてエネルギー残量をグリーンゾーンにまで回復させた。

そして、ルプス・ビームライフルによる牽制の射撃と共に距離をつめる。

それに対して簪は後退しながらミサイルで弾幕を張り迎撃する。

ミサイルを斬り、かわす春奈。しかし、すべてを捌けるはずも無く直撃しそうになるが……

蒼龍騎士の演舞(ドラグーン・タクティス)、[竜の盾(ドラゴ・シールズ)]。」

ドラグーンを全射出して防御特化形態(シールド・モード)にした春奈は防御に全力を注いだ。

ドドドドドドドドドドッ!!

激しい爆発に加えて閃光が踊り狂う。しかし、簪は安心はできなかった。

―――敵機の残存を確認……警告、ロックされています。―――

「やっぱり……完全に防がれた。」

「……ドラグーンの損傷は軽微。慣らし運転だし、この辺にしとく?簪ちゃん。」

「……うん。機体のデータは完全に把握したし……」

「オッケー。んじゃ、上がりましょうか。」

春奈の提案にコクリと首肯した簪は歩き出す彼女の背を追うようにして後に続く。

「(……彼女は、春奈はIS学園最強の姉さんに……勝てるの?)」

簪はふと思ったことを考えた。

潜在性と彼女の努力は楯無にも匹敵するだろうと簪は考えていた。

今回行われるタッグロワイヤルは2人1組(ツーマンセル)でチームを組み、4つのチームで生き残りをかけた戦いを行うものである。

この戦いでは専用機持ちが俄然有利となってしまう。それを防ぐために専用機持ちの生徒たちは独立したタッグロワイヤルを行うことが今年は例外として決められた。

何しろ、今年の専用機持ちの1年生が多いのだ。無理も無いだろう。

そして、そのバトルフィールドはIS学園内最大のフィールドである[第0特殊アリーナ]で行われることになっている。

特殊アリーナの広さは縦およそ千メートル、横およそ八百メートルの巨大なアリーナである。

そして、バトルのルールとしては協力ありで潰した者勝ちのロワイヤル方式であり、領地(ステージ)を奪うことも許可されている。

専用の閃光手榴弾(フラッシュ・グレネード)を使って相手の領土(ステージ)を上書きして奪うとその分ポイントが加算される。最終的に脱落者がいなかった場合、そのポイントの最終値で勝敗を決するものだ。

簪はいま考えても仕方がないかと自分に言い聞かせて再び歩き出す。

「今日の定食は何かな?」

「鰆の塩焼き定食と渡り蟹のグラタン定食だったはず。」

「ん~……悩むねぇ。」

「……同意する。」

二人は食事を楽しみにしながら更衣室に向かうのであった。




○sideシャルル

「天地、ホントに僕でよかったの?」

「……いや、そもそもだな。俺意外と組んで女子だって事がばれたら厄介だろうがよ?」

「……あ。」

僕をタッグロワイヤルのパートナーに誘ってくれたのは天地だった。

一度だけ天地のISと手合わせをした事があったけど、彼は強かった。

操縦技術は並みではないし力だって男子ということもあり強い。一夏との模擬戦だって互角の勝負をする。

何よりも強気で彼は攻めに入っていて相手に反撃の隙を与えない。

正直に言って相手にしたくない戦闘タイプだと僕は感じた。

でも、いざ味方になれば話は変わってくる。同調戦線(ユニゾン・レイド)の腕も優れているし、何よりも暫定パートナーに完全に合わせてうごける彼はすごいと思った。

「その辺の考慮も入れればその結論に至った。……他意はないといえば嘘になるが……。」

「……え?」

「正直に言えばお前が良かったってだけだよ。あんまり気にスンナ。」

目をそらす天地の顔は若干赤みを帯びている。……照れてるようで、僕はそんな天地がかわいく思えた。

「うん。じゃあよろしくね、天地。」

「おう、任せろ。」

こうして僕と天地はパートナーになることが決まった。

安心して天地と戦うことを決めるのと同時に僕は彼を全力でフォローしようと心に誓う。

「んじゃ、明日から放課後にパターンのセッションとお互いの弱点洗い出し……がんばるか。」

「うん!」




○Noside

「……え?箒ちゃんに専用機?」

簪との模擬戦明けである今日。春奈はひどく困惑していた。

「うむ、昨日に姉さんから呼び出しを受けて某所で渡された。アスラン、挨拶を。」

[初めまして、だな。織斑春奈。]

目の前に浮遊する小人を見て春奈は目を丸くした。そして、驚いた。

「……アスランッ!?」

「……どうかしたのか?」

春奈は驚きと戸惑いを隠すこともできずに仰け反ったのには無理もないだろう。

彼女は前世での記憶を持ち合わせてこの世界に生まれた。それが大きな理由である。

「い、いえ。なんでもないんです、何でも……」

春奈の、その態度に訝しげな視線を突きつける箒だったがまあいいかというとアスランに自己紹介を促した。

[俺は箒のISである紅椿のコアと共生しているニューロだ。ニューロに関しては聞いたことがあるよな?]

「え、ええ……(まさかあの時のやさしげな声は……考えすぎかな?)」

春奈は数週前のA一夏との模擬戦でSEEDを発現させたとき、知らぬ青年の声に鼓舞されてそれの発現に至った。

[聞いた話によると……君はSEEDを発現させたようだが?]

「……はい。確かに、発現しています。」

[そうか。……あれは自身の心をも殺す戦い方だからあまり多用はしないほうがいいから、気をつけてくれよ?(……キラに似ているなこの子は。)]

アスランは春奈に注意を促しながらぼんやりと考えていた。アスランはいまだ行方のわからない部下と親友の身を案じているのだ。

[(束博士の提案通り俺は紅椿のコアと共生するようになった。……キラたちを探しながらル・コボルの動向を探れる……箒は彼女でどこかカガリに似ている。考えすぎかもしれないな。)]

「ところで一夏はパートナーを決めていたのか?」

「ううん。まだ決めてないみたい。何で?」

春奈が首を横に振ると箒はなぜかうれしそうに「いや、なんでもないんだ。なんでもない。」と言いながら

「わかった。ありがとう、春奈。」と礼を言いながら走り去っていくのであった。

一人残された春奈は箒の専用機についてを考査した。

「この時期に専用機を渡すのか……なんでだろう?」

「それはね~目前までに危機が迫っているからだよ、春ちゃん。」

「そうなんですか?……危機ってなんです―――って束さんッ!?」

「やっほーと、いっておくのだ。うん、春ちゃんの驚いた顔はいつ見てもかわいいのぅ~ぶいぶいっ。」

ダブルピースで無邪気にはしゃいでいるのは束だった。よく見ると首には来賓と書かれたタグが下げられている。

束が跳ねるたびにその超重量の胸は躍動していた。

「ちょっと落ち着きましょうか束さん。」

「ほいほ~い。ん?なんでそんなに疲れた顔をしているのだね?春ちゃん。」

「お気楽と災害を足したような人物が神出鬼没の如くいきなり現れたらこんな反応にもなりますよ。」

春奈は無用とも思っていた疲労感に襲われていた。

「それもそうだね~。」

「今回はどんな案件で?」

「うん、天くんに追加装備のお届けだよぉ~。」

春奈は首をかしげた理由は……

「……OOの追加装備ですか?」

「そうそう。よかったら一緒に来るかね、春ちゃん?」

春奈は一瞬だけ思案した後首を縦に振って束の後についていくのであった。




○side天地

「もう完成したのかよ束さん。」

「束さんに不可能はないのだ!ぶいぶいっ」

呆れ半分感心半分。それが今の俺の心境だ。

なんでもポンポンと作るこの人の発明にはいつも驚かされる。今回はOOのツインドライヴを安定させることが可能な支援メカを持ってきたと聞いている。

「まずは天くんが単機で出撃だよ。敵機(ドローン)はこっちで用意するから。」

「わかりました。シャル、今日の訓練潰して悪いな。」

「ううん。天地の戦力増強のほうが優先だよ。がんってね。」

「おう、行ってくる。」

俺はOOを展開してアリーナに飛翔した。

そして、俺の前には黒い全身装甲(フル・スキン)のISのような物が現れた。

「それはRS(レプリ・ストラトス)のゴーレムだよ。ビーム兵器に実体剣を装備している強敵だから気をつけてねん。」

確かにそいつの右腕は大型のブレードを装備していて左腕は巨大で歪な形をしている。

装甲も丸みを帯びている形でたとえるなら無機質だろうか。

「それじゃあ、Oライザーを発進させるよ~赤ハロくん、お願いね。」

[リョウカイ、リョウカイ!]

なにやら声が聞こえた。確かあれは……ハロだったか?

[天地。OOに新しいデータとシステムが組み込まれたぞ。]

刹那もオペレートしながらそう伝えてくる。俺は刹那に頼んでデータ一覧を閲覧した。

「……OKだ。んじゃやるか、相棒!」

[了解した。ドッキングシステム起動。]

[リョウカイ、リョウカイ!Oライザードッキングカイシ、カイシ!]

アリーナのカタパルトが起動して何かが射出される。

それは不思議な形をした戦闘機だった。普通の航空機とは違う言うなれば[山]の形に推進は緑色の粒子……GN粒子だ。

俺は刹那の指示のあったポイントにまで上昇するとなにやらラインセンサーが起動してOライザーと繋がる。

そしてそのまま背中にドッキング、連結した。

そして、俺の両肩二つのGNドライヴがOライザーの翼部みたいな場所と連結、固定される。

[ツインドライヴアンテイ、アンテイ!]

どこから声がするのかと思ったらOライザーのオレンジ色のガラスがついた機首には赤い球状のボディが特徴の人工頭脳、ハロがそこにいた。もちろんハイパーセンサーで見えたのだが。

[これは……GNドライヴが安定している。]

「安定器をOライザーには搭載させてるからね~事実上はトランザムの機能を完全にするよ~。」

束さん……

「あんたは天才だなっ!」

俺は興奮のあまりそう叫んでいた。

「ムフフ……字が違うよ天くん、まぁ気にしないけどね。じゃあそのゴーレムをズバッと倒しちゃってね~。」

俺は軽くうなずいて前方のゴーレムと向き合う。

奴も俺が安全装置をはずしたのに呼応して動き出す。さて、ちょっとばかし遊んでやるか!

「刹那、飛ばしていくぞ!」

[了解ッ!]

俺と刹那は心を重ねる。そして馴染み深い言霊を叫んだ。

「[トランザムッ!]」

赤く染まるOOの装甲。この出力……ぶっ飛んでやがる。俺はそう考えながらGNソード改を呼び出して右手に装備して一気に加速して突貫。

そして気が付けば俺はゴーレムとの距離を一瞬で詰めるどころか後ろに回っていた。

「……今のは……?」

体の浮遊感の後に写った光景は不可解なものだった。気が付けばゴーレムの後ろにいたのだ。

そして、ゴーレムが反応に追いつけない超機動で俺は空を駆け回り装甲を抉りまくった。

そしてあっけなくゴーレムを蹂躙して破壊した。その掛かった時間は10秒と掛からなかった。

『……』

沈黙が訪れる。その場にいたみんなは信じられないと言いたげな視線だった。

「なんだったの、今のは」

「シャルルくん、私に振らないでくださいよ。答えますが……あれは恐らく量子化です。」

「……量子化……?」

春奈がシャルにあれこれ説明しているが……俺にもわからんぞ。

「やっぱりできたね……量子化。」

束さんもぶつぶつ何かつぶやいているしな。……しかし、今のはいったいなんだったのだろうか……そして、この映像を見た千冬さんには[対人戦でのトランザムの使用を禁じる]といわれたのは言うまでもなかった。

春奈も色々ハンデを突きつけられてたな……

まぁお互いに全力でぶつかり合うんだ。手加減は無しだぜ―――なーんてな。

……このときは思いもしなかった再びの襲撃があるなんてことはな。




○Noside

迎えたタッグロワイヤル当日。IS学園には戦禍が巻き起こっていた。

「簪ちゃん、そっちはどうなの!?」

「姉さん……こいつら強い……」

生徒会長の楯無は生徒たちをシェルターへ避難誘導した後1年の専用機持ちたちと合流を試みたのが功をそうしたのか妹を間一髪で保護していた。

「春奈ちゃんやほかの子達は!?」

「……分断されて連絡も取れない……」

これを聞いた楯無の顔は青ざめていた。状況は絶望的だというのには代わりがないのだろう。

一方、ほかの専用機持ちこと鈴、セシリア、ラウラは共同戦線をはってともに戦っていた。

「こいつらはいったい何なんだ!」

「だから言っているしょ、無人機だって。」

「無粋ですわね……」

彼らの周りを浮遊するのは青い奇妙な物体だった。

「次から次に……邪魔だ!」

「箒、あんまり飛ばしすぎるな!エネルギーが持たないぞ!」

一夏は箒に注意を促したアスランも同感だと箒に諭した。

緑と金の装甲を持つ機体は一夏と箒を狙って動く。

天地とシャルルは海の上での防戦を続けており余裕はなかった。

そして、春奈は重そうな機体を持つ無人機と邂逅していた。

「このプレッシャーって……ジ・O!?」

[感じる……感じるぞ。貴様、ニュータイプか!?]

そう言いながらビームサーベル切りかかってくる金ぴかと春奈の戦いの火蓋はそこから自然と湧き上がっているのであった。

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後書き
次回インフィニット・ストラトス 自由の翼

それぞれの聖戦

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