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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十三章 幕間劇
  久遠と一緒に

ふむ、確かこっちだったような気がするな。スマホでこの二条館の詳細マップを見ていた。俺は一度トレミーに戻ってメディカルチェックを終えた後、前回は試作品だったのが今回は完成品として仕上がったロストドライバーとガイアメモリである『God Emperor』を試しに使ってみた。

「ベルトを腰にやると、お、装着されたな。これでメモリを鳴らしてっと」

『God Emperor』

ガイアメモリを入れた後、変身と言って倒したら赤白龍神皇帝になっていた。ただこの力は、俺限定なので他人が使おうとしても使えないようにしている。黒鐵の力は元々俺のだし、試しに白龍皇の力を使ったら半減が出来た。これは成功だなと思い実験をやめてから、そして今に至る。

「あ・・・・一真様」

「あれ?スマンな、どうやら部屋を間違えた」

「ここは我らの部屋だからの。それに慣れていても迷う時はある」

「言っとくが、独り寝が寂しくて来た訳ではないぞ」

「余はそう思ったのだが、もし寂しくて来たのなら双葉も付けてやるぞ」

「ふぇぇぇぇ・・・・っ!?」

まあ、双葉も俺の恋人になったのはいいけどまだそこまでの展開早くないか。それにいくら将軍である一葉だけではなく、双葉まで襲うまで欲は溜まっていない。助けにきてくれた桃香達のハグとキスで、何とかなった事だし。

「ところで久遠の部屋ってどこ?」

「まあその気持ちは分かる。あの宣言をして不安になっているのだと思って来た訳か」

「その考えは当たりだ。相当落ち込んでいるかもしれんと思ったからな」

「先刻、余らも久遠の様子を見に行ったのだ。だがあやつ、どうにもいつもの覇気がなくてな」

「やはりか」

「うむ。一真の側室の時のように、しっかりと可愛がってやれよ。余はまた今度で良い」

「あ、あの、一真様。久遠様は甘い物がお好きだと伺いましたので」

そう言って差し出されたのは、綺麗な形の干菓子が盛られた小さな三方だった。

三方・・・・三方向に穴の空いた、四角くて立法的な盆。

「後で下の三方は返せよ。失くすと幽がうるさい」

「ならこの菓子だけ頂くよ。ありがとな、一葉に双葉」

上の菓子と包みを受け取ってから、空間に入れる。これならポケットに入れるよりマシだ。

「いえ・・・・」

「それとな主様」

「ん?」

「今日はまあ、久遠に花を持たせてやるが・・・・余と双葉もお主の恋人なのだから。久遠ばかり構うでないぞ?」

「それについては、注意されても大丈夫だ。正室と側室だけで数十人いるから、平等に愛している事が第一条件だから心配しなくてもいいぞ。位は側室より下になるが、俺は平等に愛する事が出来る。それに黒鮫隊女性隊員も側室になっている者達だしな」

「ならば良い。次は楽しみにしておるからな、主様」

一葉に教えてもらった通りに進めば、やがて見えてきたのはほんのりと明かりの漏れる一角だった。スマホからの情報も修正してここにいるらしいが、それに一葉達も久遠を気遣ってくれたのか。周りには誰もいない。

「久遠いるか?」

驚かせないように、中を透視させてから声をかける。この反応は泣いてるのか?黙っていたから中に入ると小さく肩を震わせていた。

「久遠」

俺は傍に行くと優しく抱きしめた。

「か、一真・・・・。こら、何をするんだ」

「久遠、泣いてるじゃないか。隠しても無駄だぞ、目尻の所に涙の跡があるからな」

俺は6対12枚の翼を展開してから、この部屋を暖めだした。寒気を感じたのでな、心身が落ち着くようにしている。

「一真にはバレバレか」

「そうだ。さてと密着するならこの方がいいぞ」

俺はあぐらをして久遠を念力で持ち上げてから、足の間にすっぽりと収まる。そして、全翼を久遠に包み込むが、翼はまるで干したての布団のように暖かいからな。

「一真、温かいぞ」

「そうか。このままでいいだろう?」

「うむ。ダメだと言ってもこの翼のお陰で逃げられん。抵抗するだけ無駄だ」

こうしている事で、久遠は俺と真正面に向いている。それと抱いているからか、久遠も暖かいがこの方が落ち着くだろうな。

「今日も月を見ていたのか?」

「虫の音を聞いていた。これ以上は騒ぐなよ」

数分後になると、虫の音が聞こえてきた。俺と話している間は静かにしてたが、黙ると鳴り始めた。

「そういえば双葉から菓子を貰っている」

「双葉?」

「久遠の所に行こうとしてたら、間違って一葉達の所に行ってな」

「そうか。あ奴ら、先程我の所にも来ておったぞ」

「そうなの?」

それは一葉から聞いてあるが、ここで言ってしまうのは野暮だ。こう言う時は、知っていても言わないようにするのがテクニックとされている。鈍感野郎である主人公と一緒にするな、と言いたいわ。

「うむ。我が元気がないから気分でも変えろと、打掛など引っ張り出して来てな」

「打掛って何だ?」

「宮廷の女官達が着ておるだろう。あれだ」

打掛って、何だろうと思い左手を久遠の背中から放してからスマホを取り出して検索した。日本女性の着物(和服)の種類の一つで、結婚式で新婦が着る事があるとな。

「必死にやめさせたが・・・・あ奴ら、我を何だと思っているのだ」

「似合うと思うんだがな、久遠。髪型や服装が変わると女は変わると言うし、特に化粧やら服で女は化けるからな」

「そ、そうか。だが、我には似合わんと思うのだが」

「そんな馬鹿な事があるかって。想像しただけでも似合うぞ」

「じゃあまた・・・・機会があればな」

「うむ。楽しみにしている」

「で、菓子は?」

話が脱線してたから忘れていた。俺は全翼をしまってから立ちあがり、久遠の背中に抱き着く。その後に、久遠の目の前で空間から菓子を取り出した。

「ここにある。崩れていないぞ」

「落雁か・・・・」

何か黙ってしまった。俺は少し考え込み結果、久遠の口に運ぶ事とした。

「久遠、あーんしてくれ」

「あ、あーん」

背中に張り付いているのか、俺の胸には久遠が砂糖菓子を噛み砕く揺れを感じた。確か久遠基準って、あーんをするのは恋人達が愛を深め合うという南蛮の習慣だったか。俺は普通にやっているから、スタンダードな基準かは知らん。ただ考え方が違うだけだ。

「もう一つ食うか?」

「ああ・・・・あーん」

その言葉に落雁を差し出せば、また小さく開いた口に入れた。

「むぐむぐ・・・・一真」

「何?」

まだ欲しいのかなと思ったが違うようだ。

「お主が来て、もうどの位になる」

「そうだな。田楽狭間の時からだから・・・・だいぶ経っていると思うぞ」

「ふむ。色々あったな」

「まあな。正直ありすぎだが、俺らの兵器を持ってきて正解だったと思う」

「田楽狭間から美濃攻めであろう」

「美濃攻めする前に、墨俣に城を築いてから詩乃を保護後に美濃攻めだな。美濃を取ったら、堺や京にも行ったろ」

墨俣に城を築いてる時に、大天使化で城を構築した。戦ったり忍び込んだりしたが、降下作戦で本丸にいた者の頸を刎ねたりしていた。

「天下に蔓延る鬼の現状を知り・・・・それを退ける為、ようやくここまで来た。それと一真の本来の使命も聞けたし、第二の姿も見れた」

ああ・・・・あれね。黒鐵改になったり、その場で助けてくれたヴァーリの力もあって赤白龍神皇帝になれた。ゼットン強化体を倒した後にドライバーとメモリを渡されたが、使う時が来るんだと未来予知があった。それと赤龍帝の力も。

「・・・・スマンな」

「何がだ?」

昔の道のりを呟いたと思えばいきなり謝れた。

「田楽狭間でお主と会った時は、こんな事になるとは思ってもいなかった」

「ふむ。俺は未来予知によってか直勘だったが、でも愛妾のお蔭で奏も桃香達・・・・劉備達な。許可をもらったんだし」

「本当は戦わせる気はなかった。精々、我に来る縁談を突き返す口実になれば良い位にしか思わなかったのだが」

「忘れていると思うが、俺は神でもあって軍人でもある。戦う覚悟等、この世界に来る前から思っていた。それに人を殺す事も慣れている」

「そうか・・・・そうだったな」

この世界は、鬼が絡んでくる世界だとは知っていた。天下統一という夢があるのも知っていたが、まさかこの世界にもドウターゲートが現れるとは思ってもいなかった。

「今は、天下の一夫多妻制の許可書が発行されたもんな。俺はあの宣言があっても別に驚かなかった」

「・・・・すまん」

「だから謝るなって。それは久遠の悪い癖だぞ」

「だが今回ばかりは、お前に何の相談もなく・・・・本当にお前を・・・・むぐ・・・・」

そう言いかけた口を落雁で塞ぐ。

「いいんだ。この世界に来たらまた増えるのだろう、そう予感はしていた」

多分観音寺城の頃よりずっと前からだろう。京から戻って来てから、ずっと考えていたんだろうと。今なら美濃で、結菜が言った事が分かる。あれはこの事だったんだと言うのをな。

「むぐむぐ・・・・。だが・・・・」

「だが、も無しな」

「ん・・・・っ」

ようやく菓子を食い終わったのか、また何か言いたそうだった久遠。そうはさせるかと思い、強く抱きしめた。

「神の勘というのは、意外と当たる。それに恋人同士での一夫多妻制は有りだと思っていたが、鬼に対抗する力を纏めるのなら、俺は喜んで受け入れるよ」

後ろから髪をそっと触れてから撫でても何も言わない久遠。いつもなら恥ずかしいからと、何かを言うはずなのだが。

「ふむ・・・・今日の久遠は素直だな。何をしても受け入れる気満々と言う感じだ」

「我は一真の恋人であり、もしかすると妻になれるかもしれない。だから我は、一真に何をされても受け入れようと思ったのだ。それにこうされていると、胸の奥が暖かくなるから。だが皮肉なものだ。我は政略結婚から逃れる為に一真を恋人として迎えた我だったが、今は日の本を纏める手段として、一真を政略結婚の前として恋人を集めさせようとしている。その絡繰りを一番嫌っているのは我だ」

「なら何故こういう手段を取ったのか聞かせて欲しい。俺はそうなると思い、この世界に降臨する前から思っていたがな」

「うむ。やはり創造神であるお主には見え見えなんだな。この計画を思いついたのは、前に京で一葉に会った時だった。美濃に戻ってからも、結菜に相談したり何度か書状をやり取りして・・・・細かい所を詰めていったのだ」

「では上洛の準備に時間をかけたのも」

「ああ。しっかり準備は整えたかったのもあるが、この件が詰まっていなかったのも理由の一つだ。一葉も既に幕府に力がない事は、自覚していたからな。打てる手の限られた我々としては、最早このような策しか残されていなかったのだ」

やはりか。久遠と同じ道を歩く前から分かっていた事だが、十分な時間があれば幕府の力は再び取り戻すという王道な方法もあった。今の俺達には、そういう時間さえ足りなかったんだろう。この策を詰めてから、上洛準備をしっかりと整える時間が精一杯だったのだろう。

「だが、政略結婚の前になる事も道具というのはないだろう」

久遠と結菜や眞琴と市も、政略結婚の一環のはず。今を見ると恋愛結婚じゃない程、仲は良好。

「結奈や市の事を言っているなら、あれは例外中の例外だぞ?婚礼で初めて顔を合せた後、二度とお互いの顔を見ぬまま過ごす事とて珍しくないのだ」

要は仮面夫婦って奴か。だが、俺は今まで政略結婚などはした事がない。奏と式を挙げたのは、織斑という姓を気に入ったから式を挙げた。それまでは、夫婦と言う関係だったが名前だけであったし、俺は世界に行くごとに名前は変わる。本来の名は一真だけで、あとは世界の名で通っている。

「だから正室や側室や愛妾があるのだ。だがお前と会う前から、正室と側室は埋まっていたからな」

「そうだったな。でももしだ・・・・この世界から離れるのであれば、形式は俺の妻になるのだぞ」

「そうなのか?では側室になるのか?」

「だな。この世界での法則なら愛妾止まりだけど、俺がいた世界に行けば愛妾から側室になって結婚式が挙げられるぞ」

俺は久遠とキスをした。甘えたいのなら甘えればいいし、しばらくキスをしていたら今度は先程と同じようにお菓子をあーんさせる。

「あーん。・・・・むぐむぐ」

「美味しいか?」

「ああ・・・・」

結局菓子は、久遠が全部食べてしまった。満足そうな笑みを見せられては、こちらも満足だ。それに、新たな愛妾が出来たら久遠に報告もするし奏にも報告する。もちろん奏一筋だが、そうしないと俺の記憶から消えてしまう。奏の親父さんのように。

この事はアスラクライン世界に行ってから知ったのだが、その時になってからはもう奏以外の人間はいなかった。破滅の世界になるとまず全ての人間が消滅する運命を辿る。悪魔が制圧されてから、悪魔が世界にいる全ての動物を滅ぼしてから世界を無くす。つまり全てが消滅する。

あの時の奏は、まだ嵩月家関係者である親父さんと共に嵩月組の者達が悪魔であるドウターを追い払おうとしていたが、奏がやられそうになった時に俺が現れた。当時は夏目智春と名乗っていて、奏と契約し魔神相剋者となったが、黒鐵改は俺が呼ぶと俺が消えて俺自身が黒鐵改となったからだ。

本来いるはずの水無神操緒がいないが、親父さんが奏の事を頼むと言われてから悪魔達と戦い消滅してしまった。その後、保護をしてから時間が経ち精神が安定してから話してくれた。本来なら、魔力の酷使で妻(=奏の母親)の記憶を失う事になるのだが、奏が次元パトロール隊の一員になった後、一時期奏以外と愛していたら俺の記憶から奏のが消滅があったのだ。だから今は奏一筋になった。

「だが、我ばかり構うでないぞ」

「分かっている。これは本妻である奏との約束でもある」

「約束?」

「ああ。もしも俺の事を好きになった人達がいたら、平等に愛せとな。だからさ、久遠の事も一葉や双葉の事も平等に愛せるよ」

「なるほどな。それが本妻である奏さんとの約束か。今日はずっといてくれるか?」

「無論だ。もっと久遠の事も知りたいし、俺の事も知りたいだろう」

抱き着いたままだったが、しばらく経ってから布団を出した。その後情事をしたが、ちゃんとシた後に浄化をしたから孕まないようにした。乱れていた服を改めて着直してから、布団に入ってからキスしてから寝た。ちなみに行為中、防音結界を張ってあったから誰にも聞こえない。こんな可愛い声を出す久遠は、俺だけが知りたい事だからな。 
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