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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十三章
  新たな力×禁裏のお墨付き

赤白龍神皇帝の意識ではこんなやり取りをしていた。

「一真、これを返すよ。あとこれをもらってくれ」

何だと思ったら、赤龍帝の籠手が俺の中に入って行く。

『相棒』

「ドライグ・・・・いいのか?ヴァーリ」

「ああ。こっちでの時間軸は、相当違うと判断して作らせた物がある。これだ」

渡されたのは、あのロストドライバーとガイアメモリだった。ガイアメモリを鳴らしたら、試作品だったはずの『God Emperor』だったので、どう言う事だ?とヴァーリの方を向いた。

「それで俺がいなくてもそのドライバーを使えば、簡易型赤白龍神皇帝になれるようになった。あの時から結構研究が進んだ結果がそれだとな」

「ほう。あの時は簡易型で試作品だったが、もうそこまで研究結果が出ているのか。まあ使うかは分からんが一応持っておこう」

「それを完成させたのは、俺に一時的ではあったが赤龍帝の籠手を預かってから研究が進んだ結果、神皇帝メモリにサンプルとしてあった創造神黒鐵の力、赤龍帝と白龍皇の力を凝縮して入れたのさ。あの時は試作品だったドライバーも、一から作っているがオリジナルと少々違うけどな。何しろそのメモリはこのドライバーでしか使えない」

なるほどな。と思っていると外から声が聞こえる。そして戦いが終わったので、俺達は分離する。分離後に俺は倒れた。

「一真!」

「下がっていて下さい。大丈夫ですから」

「朱里ちゃん、雛里ちゃん、行くよ」

「「はいでしゅ」」

俺の身体を包み込むようにして、緑色の光を出す。全身が腫れ上がっていたが完治後に、意識が戻る。

「桃香達ありがとな」

俺は立ち上がると久遠に抱き着かれた。完治したばかりだが、受け止めて優しく抱き着く。

「ホントに良かった!全身を刻み込まれた時は死ぬのではないかと思ったぞ」

「悪いな心配かけて。だがもう大丈夫だ」

一度離れた後、俺は桃香達一人ずつハグをしてからキスをする。キスをしている所を見ていた久遠達は赤くなっていたが、側室=妻との挨拶でもあるので余り気にしていない。

「さてと、そろそろお前達は拠点D×Dに戻った方がいい。奏には『来てくれてありがとう、我が最愛の妻よ』と伝えて欲しい」

「分かったよご主人様。いつでも呼んでね」

そう言って行ってしまったヴァーリと桃香達は、トレミー1番艦に戻った後に拠点D×Dに帰還した。

「ところで久遠よ。鬼との戦いでは助けに来てくれてありがとな、俺としてはとても感謝している」

「我に・・・・我に心配させるとは、不届き千万だぞ」

「はははっ。ありがとよ。黒鮫隊の諸君、お前達も感謝するぞ!」

『我々は隊長の手足となっていつでも動きます』

嬉しい事を言ってくれるな。二条館に入った後、ここにいる全ての兵に向かって久遠は言った。

「皆に一つ、伝えておきたい事がある」

勝利を祝う為に集まった仲間達全員に口を開いたが、ちなみに黒鮫隊の野郎共も全員俺の後ろで整列している。

「此度、鬼と化した三好衆の叛乱を無事に鎮圧出来たのは、一重に皆の力があったからこそだ。しかしこの先鬼との戦いが続いていく中で、我の力も皆の力も及ばない事態がきっとあるだろう。だが今、この日の本には、鬼という異形の者について詳しく知る者は少ない。比較的多くの情報を握っているのは、織田、浅井、松平の者だけなのだ。これは非常に危険な事だと我は考えている。何故なら鬼を良く識る我らが負ければ、この日の本は鬼との戦いに大きく後れを取る事になる。だから我は考えた結果として・・・・決めたのだ」

自分の言葉が周囲に浸透するのを待つように、久遠は言葉を止めて呼吸を入れた。そしてゆっくりと口を開いた。

「我が恋人織斑一真を、我の恋人というだけではなく、公方の恋人として。いやこの日の本に居る、鬼との戦いを決意した者達全ての恋人とする事を、我はここに宣言する!」

「織田上総介の宣言は、幕府よりの御内書を受けた物であり、禁裏に上奏奉り、畏れ多くも主上より勅書を押し頂いておる」

御内書・勅書・・・・室町幕府の将軍が私的に書いた、という体で発行する公文書。勅書は更に上位で畏き所からの命令書のようなもの。

「そして余がその第一号であり、第二号が余の妹である左馬頭義秋である」

やっぱりこうなったか。まあ予想はしていた。

「何と・・・・っ」

「公方様が第二の恋人になる訳ですか・・・・ああ・・・・また手の届かない所に行ってしまわれるのですね」

「と言う事は、ええと・・・・おい犬子!一体どう言う事か説明しろよ!」

「ええーっ!?私だって分かんないよ!雛ちゃん雛ちゃんどう言う事なのーっ!?」

「んー・・・・多分、我らが久遠様が第一の妾で第二の妾が足利公方様、その御妹君が第三の妾になるって事なのかもー・・・・。それでこれから、どんどん有力者を一真さんの恋人にしていく・・・・(もとい)、この場合は有力者達がどんどん、一真さんを恋人にしていくよー・・・・って事だと思う。正室はいるし、側室もいるから空いているのは愛妾だけだと思うんだよねー」

「な、何じゃそりゃぁ!?」

「ううー、何だかどんどん手の届かない所にいっちゃうね、一真様」

「そうなのかな?だって久遠様、一真さんを恋人にする条件はこう言ってたよ。鬼との戦いを決意した者、って。と言う事は雛達だって資格あるんじゃないかなぁ?」

「何っ!?マジかっ!?」

「それなら良いや!」

「納得はえーな、良いのかよ?うん良いよな!」

「うんうん!」

「はぁ~・・・・二人共お気楽だねぇ」

俺は無言になってしまった。目を瞑りながら。

「一真・・・・相談もなく、このような事を決めてしまった事。許してほしい」

「・・・・久遠」

俺は目を見開き、目を逸らそうとする久遠を呼び俺の目を見させる。俺の目の色は、大天使化の時の目の色だ。

「前を向いて俺の目を見よ。そして久遠の心にある想いを自分の口で伝えろ」

「想い、を・・・・」

呟いた久遠が、俯いていた顔を上げた。少し赤く腫れた瞳を隠す事はしないで、俺の目を見つめる。初めて会った時と同じように強い意志を感じさせる力の眼差しがあった。

「一真・・・・我は・・・・我はお前を愛している。妾でも関係ない。だから我を愛せ・・・・そして全ての女を愛してやれ」

「その想い、受け取ろうではないか。きっと俺の妻である奏もそう言うはずだし、それに俺はいつでも力を貸すからな」

この国から鬼を殲滅する為には、俺いや我の力が必要だろう。それにまたゼットンの襲来があったら、俺はこのメモリで戦うだろうしな。

「分かってくれるなら助かる。それに幕府だけではなく、禁裏のお墨付きを得たとは言え、大丈夫だろう。お主には沢山の妻がいるからな」

「本来ならオイタはしないようにと注意しますが、神様である貴方様に注意など出来ません。それに妻も沢山いるんですから」

「ふっ、日の本開闢以来幕府から禁裏からも、一夫多妻制を許可書を貰ったのは一真だけだろうて」

「オレはいいと思うぜ。初めて会った時から認めてる男なんだからな」

「全く。幕府お墨付きの一夫多妻制か。これから忙しくなるな」

「天下御免のお墨付きだ。男としての覚悟ならとっくに出来てるだろうに」

「人として神としての一真様なのですから、独り占めをしては駄目だと思います」

「と、主様に一目惚れしておった、余の妹は鼻息を荒くして言うておるが?」

俺は桃香達と一緒にいた世界の事を思い出したが、確か三つの国の王達は天の御使いである俺を共有する事とか言ってたが、まさかこの外史でもそうなるとは思わなかったな。そう考えてたら、双葉はたくさん可愛がってくれと言ったので、俺は無言で頭を撫でた。

「共々よ!鬼との戦いは我らの勝利なるぞ!」

「勝ち鬨を上げよ!」

こうして久遠の堺行きから始まった、一連の状況は一先ず閉幕した。今回俺の第二の姿を見せてしまったが、まあ大丈夫だろうよ。次は越前だが、越前攻め時に何かが起こりそうだ。一葉と共に行くが、俺の立ち位置は余り変わらないと思った。幕府からの許可書貰う以前から、既に数十人の妻達がいるからか。これからまだまだ増えそうだな、と思ったが何人増えるんだか。

「さてと・・・・俺は一度船に戻る」

「船とは?」

「ああ。あれだ」

俺が上を指すと、そこには巨大な戦艦が現れたトレミー3番艦。俺達の母艦であり、現在はブラック・シャーク隊の衣食住の所となっている。

「俺は元々一人で来た訳ではない。あの船から来たのだから、一応健康なのか検査しに行く」

「ならば行ってくるが良い」

「それじゃあな。野郎共、船に戻るぞ」

黒鮫隊は、俺と共に母艦であるトレミー3番艦へと撤収。メディカルチェックをしたが、あの時は全身が腫れ上がっていた。桃香達の回復は、前より強くなっているんじゃないかなと思った。

一方謎の者達が言っていた。

「御大将。織田信長が洛中に入り、公方を保護したとの報せが軒猿より入って参りました」

「ふーん・・・・。公方・・・・一葉様が織田と手を結んだって事かしら?」

「あり得る事ではありますが・・・・一体、何の為でございましょう?」

「さて尾張や美濃を落とした織田は今、中央でも注目の勢力になっているからその辺りかもね。で、他に報せは?」

「はっ。軒猿曰く、二条館を襲撃したのは三階菱に五つ釘抜きの定紋を纏った異形の者、だったとか」

「何それ?」

「異形の者って言えば旅の雲水にちょこーっと聞いた事があるっす。何でも畿内から東海にかけて、人を食べる変な生き物がいるらしいっす」

「人を食べるぅ?どんな生き物よ?」

「鬼だって噂っす。人を喰らう鬼っす」

「鬼?鬼、ねぇ・・・・ふふっ・・・・あはははははははっ!」

「お、御大将!本当に二条館に鬼が出たのならば、これは笑い事で済まされる事ではっ!」

「鬼・・・・良いじゃない!最近武田とも殺り合ってなかったし、暇していた所だもん。その鬼とやら、この目で確かめてやるわ。柘榴、付き合いなさい!」

「了解っすー!」

「秋子は私が城から居なくなった事を伏せて、春日山を守っておきなさい」

「え、ええーっ!?本気ですかっ!?」

「本気も本気よ。・・・・ああ、姉上がまた馬鹿をやるかもしれないから、そこだけは注意しておきなさいよ?」

「は、はぁ・・・・」

「相変わらず貧乏くじっすねー、ウチのおっかさんも」

「誰がおっかさんですか!とにかく、くれぐれも・・・・くれぐれも!危険な事はしないで下さいよ!御大将!長尾景虎様!」

なるほどな、謎の一団とは長尾衆だったか。これから合流するのか、俺の直感はよく当たるからな。未来予知ではどこかで出会うような形とらしいが、果たしてそれは吉となるか凶と出るかは分からんな。 
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