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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十三章
  戦(3)

「・・・・・・・・・」

「お姉ちゃん、幽さんは何てー?」

「・・・・・・・・・」

「ふんふん・・・・ふんふん・・・・うん、分かった。北門に向かえば良いんだね」

「・・・・(コクッ)」

「よーし、それじゃ八咫烏隊も動くよー!公方様の危機に颯爽と助けに入る、伝説の八咫烏を旗印にした雑賀党鉄砲隊ー!公方様をちゃんと助けられたら、たーっくさんご褒美が貰えるってお姉ちゃんが言ってるよ!」

「・・・・っ!?」

「だから皆、張り切っていこー!」

一方俺は内部に入った鬼達を片付けに行ったが、一歩遅かったようだ。陣形が崩れて何人か被害があった。黒鮫隊射撃班は各城門にいるし、IS部隊を投入すると味方を撃つ事になる。

「弓組は下がって距離を取れ!俺と鞠で前に出る。皆はその後ろにいる鬼を倒せ!」

「は、はいっ!」

「鞠の宗左文字が火を噴くのー!」

「俺だって負けてたまるかよ。行け、剣の分身達よ!」

剣の分身体が鬼達を襲う。鞠の可愛い気合と俺の剣と同時に、刀が唸りあげて斬撃を飛ばし横一閃で吹っ飛ばす。

「今の内に、陣列を立て直せ!」

「お、応っ!」

俺達の後ろから兵達が、鬼に向かって一斉に槍を突き出していく。声を掛け合い、群がる鬼達に槍を突きだしていく兵士達。背後の兵を気に掛けながら、俺と鞠が打ち漏らした鬼共をIS部隊が真上から正確に撃つ。

「ちっ。キリがねえな。IS部隊はそのまま真上からの狙撃をしろ!」

『了解です!』

そして俺は一閃一閃やるが、破れた城門にはシールドビットを配置しているが、それでも侵入してきたのだろう。

「後ろは平気か?」

「へいお頭!何とかなりまさぁ!」

「よし!槍を繰り出して近づけさせるな!弓隊は狙撃のつもりで、一矢一殺で頼むぞ!」

「無茶苦茶なご命令ですが、何とかやってみます!」

声を張り上げながら、俺の声に応える兵達。この様子なら、士気はまだ高いはず。と思ったら鬼が後退して行くのを見て、トレミーのブリッジにいる劉零に聞いた。

「劉零、鬼が後退していくがどういう事だ?」

『分かりませんが、後退しています。ですが、後退した後、一塊になって前進する可能性があります』

「了解。そちらで監視を頼む」

「一真、どうだったの?退いたの?」

「分からん。だが、油断は禁物だ。そういえば、一葉は?」

「呼んだか、主様」

「おう、あの野郎瞬殺したようだな。で、今鬼達は後退したようだが」

「兵法の定石では、立て直した後、再度、攻撃を開始するという事だが・・・・」

「きっとそうなると思うの・・・・」

「俺もそう思う。天の眼からもそう言ってた。これはマズイな」

兵力が互角で、尚且つIS部隊による大掃除ならすぐに倒せる。それをやってしまうと、対鬼戦での経験が無くなる。IS部隊達は真上で待機。あくまで、人間対鬼でやりたいところだが、兵力が足りないのは事実だ。

「さてと、今の内に兵達を休ませるのがいいけど。久遠達がどのくらいで着くかは、分からんな。自分の命を的にした賭けになる」

「ふむ・・・・自分の命ならば、誰に気兼ねする事もなく賭ける事ができる。気楽で良い」

「鞠も慣れているから大丈夫なの♪」

俺も幸い、こういうのは慣れている。二人もそれなりに修羅場を潜ってきたのだろう。

「(ご主人様、敵部隊、動き出しました)」

「(ありがとう。数はどのくらい?)」

「(・・・・・・・・・・・・・・)」

「(やはり増えたか)」

「(はっ。その数、総勢八百程)」

「(了解した。小波はこのまま・・・・・)」

「(いえ、自分は偵察が終え次第、ご主人様の加勢に加わります。それまでどうか・・・・どうかご無事で)」

「(ありがとう・・・・)こちら地上班だが、鬼の動きはどうだ?」

『動き始めました。その数、千から千五百』

「何?小波の情報では八百と聞いたが」

『どうやら隠れていた様子です。こちらは引き続き監視を致します』

俺は劉零からの情報を聞いた後、一息ため息を吐いた。

「その様子だと、余り良い報せとは言えんようだ」

「敵は小波の情報だと八百だが、天の眼からの情報だと千から千五百だそうだ」

「数が増えたか、だが、やる事は変わらん」

「うんなの。数は増えてもやる事は変わらないの。そうでしょ一真」

「ああ!では皆の者、もう一度だ!もう一度、敵が来る!だけどな、さっきだって撃退できたんだ!次だって、きっとお前らが出来る事を俺は信じるぞ!」

俺は次も勝つという宣言みたいに言って、兵の士気を上げ直す。そうしないと、士気が下がって勝てない。俺の言葉を受け、やる気と気合を入れる兵達と上空にいる隊員達。人間の体力には限界がある。威勢はいいが、声を聞く限り疲労がたまっている。すると鬼の叫び声が聞こえた。千から千五百の群れ達が。

「来るぞ!皆の者、所定の位置につけ!」

「応っ!」

疲労と恐怖でいっぱいだが、打ち勝たねばならん。そうしないように、仲間たちは必死に声を張り上げる。

「さあ来い!鬼共よ!」

俺の叫びに呼応するように、二条の夜空に千から千五百の鬼の猛りきった咆哮が聞こえた。が、その時だった。

「てぇーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

「てぇーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

どこからともなく聞こえてきた鉄砲の音と同時に、鬼達が次々と倒れていく。

「鉄砲の音、それも二方向からだと!」

「どこからだっ!?」

「ご主人様。正体不明の集団が乱入し、鬼の横腹に向けて一斉射撃をしたようです」

「小波、無事で良かった。それより正体不明とは何だ?久遠達ではないのか?」

「はっ。少なくとも自分が知る指物ではありません」

「ふむ・・・・どのような紋があった?」

「藤巴紋と・・・・もう一つ、藤巴と橘が描かれた指物がございました。その他に、八咫烏の紋をあしらった装飾を纏った、少人数の鉄砲集団が、先程の集団の逆方向から発砲したようです」

「ふむ。藤巴と橘の紋は、確か・・・・」

「播州・御着領主、小寺家の家紋ですな」

「幽か。双葉はどうしている?」

「双葉様ならば、南門の守備がそこそこ安定しているようで、エーリカ殿が護衛を名乗り出てくださいました。で、手が足りないようでしたので、それがしも助勢するべく、こちらに来た次第」

「うむ。では手伝え」

「御意」

幽が来た頃に、俺は北にいる野郎共に向かってフルオートで撃ちまくれと指示した。ここの鉄砲より俺らの方が優秀だと分からせるために。あとグレネードランチャーを使用許可。

「トレミー、現在どうなっている?」

『はっ。現在八咫烏の者と小寺家のというより、小寺の客家老である黒田家の官兵衛かと。その鉄砲集団が鬼を射殺しております。あと黒鮫隊もですが』

「それについては、俺から指示を出した。フルオートでグレネードランチャーもな。とりあえず監視を頼む。あとゲートの方もだ」

『了解です』

俺が指示を出してる頃には、一葉や幽が所属不明の者達について話してた。あと狙撃班も全員北に向かって撃てと命令をした。

「お二人さん。のんびりしている暇があったら手を動かしな」

「この機に反撃するの!」

「うむ。・・・・幽よ。久方振りに舞うか?」

「御意。我が児手柏を振るうとなれば、曽我物十番斬りなど如何でしょうかな?」

「なるほど。今宵に相応しい」

「おーい幽さーん!八咫烏隊到着だよー!へへー、公方様の危機に駆けつけたんだから、お給金は弾んでくれるよねー!ねー!ねー!」

「雀か。やれやれ、相変わらずやかましい事で・・・・」

「烏よ。良く来た。これからも余を守れ」

「・・・・(コクッ)」

「ではでは八咫烏隊、公方様の直衛についちゃいます!烏お姉ちゃん、準備は良ーい?」

「・・・・(コクッ)」

烏と呼ばれた少女が頷き、背負っていた物を取り出す。やがて目の前に現れたのは。

「へえー、対戦車ライフルか」

この時代の火縄銃より長いからそう思った。しかも折り畳み式とは、こちらもオーバーテクノロジーを持っているが、まさかここにもあるとは。

「準備は良いようだな。・・・・では幽よ」

「はっ。相方仕る」

目を合わせ、同じタイミングでニヤリと笑った二人は。鬼に向かいゆっくりと歩き出して、そして二人同時に地面を蹴った。ほう、コンビネーションか。と俺もこうしてはいられないな。

「鞠、行くぞ!」

「うんなの!二人だけで遊んじゃヤなのーっ!」

そんな二人に向かって俺と鞠も走り出す。鬼の集団の中に行き刀を抜き一閃する。俺の代わりにいた黒鮫隊の隊員によると烏と雀と言う者はこう言っていた。 
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