学園黙示録のシリアスブレイカー
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背中に押し付けられる至福のもの
「ぬぅすんだぁぶわいくでふわあしりだぁすっ」
「あんた歌下手ね」
傷ついた。
それに別に盗んだバイクには乗ってないよ?
襲ってきた奴らが持っていたのから借りたやつだよ。
まあ二度と返す気はないんですけどねwww
っていうか勝ったんだからもらえて当然だろwww
モンスター倒したらアイテムもらえる的な感覚でwww
「う~ん……風が気持ちいいね、先生」
「う~んwwwいつ事故るかわからないから感じる余裕がないね、宮本www」
バイクの免許も持っていませんwww
バスを運転したから緊張するなよと思う人もいるだろうが、バイクは別だろ。
直に風が来るからすげぇ怖ぇよwww手の汗やべぇwww
「ふ~ん……まあ事故ったら幽霊になっても呪ってやるからね」
「怖ぇwww」
幽霊に憑りつく幽霊ってwwwどんだけ恨みあるんだよwww
なんだかんだで、バスを降りた後も俺と宮本は結構楽しくやっていた。
正直宮本は参ってしまうかと思っていたが、そんなことは全然なかった。
というか何だか嬉しそうだった。
そんなに紫藤から離れることができてうれしいんですかwww
「……ジェット音?」
宮本がそう呟いた。
確かにジェット音特有の甲高い音が聞こえている。
それは、航空自衛隊の戦闘機だった。
……そういや、今の日本に戦闘機って呼べるものってあったっけ?
支援戦闘機とかじゃなかったっけ……?
まあそんなことより……。
「日の丸戦闘機かっけぇぇぇぇっwww」
「ホント!凄いわ!」
おぉwww久しぶりに意見が一致したぞwww
宮本が嬉しそうに戦闘機に向かって手を振る。
めちゃくちゃ速いスピードで移動してるけど、俺らのこと見えてんのかな?
戦闘機は低空飛行して俺たちの近くに来ると、そのままとてつもない速度で去って行った。
「おいwww危ないから捕まっとけよ?」
「は~い」
むにゅりと背中で潰れるEカップおぱーい……堪りません。
この時の俺は知る由もなかったが、基地に帰投した戦闘機から撮れた写真を見て、『こんな事態でもやけに楽しそうにしている歳の差カップル』と隊員内で囁かれるようになるのは時間の問題だった。
後『女の子のおぱーいがでかい』とも……。
◆
バイクで走っていると、日が暮れて夜になる。
バイクを止めて眼下の街の様子を、宮本と二人で眺める。
「こ れ は ヒ ド イwww」
「お、多いわね……」
住宅街の夜だと言うのに、外には大勢の人影があった。
勿論全部奴らですwww本当にありがとうございますwww
「ねえ、先生。救助とかしてくれないのかな?」
「う~ん……キツイんじゃねwww?」
簡単なことだが、救助側が少なすぎるのである。
日本国民一億三千万人全員を助けるのは、絶対に不可能だ。
なら最悪の事態を仮定して、自分たちが助けられないと考えるべきだ。
「まあお前くらい守ってやんよwww」
それくらい余裕だしwww
……うん、余裕だ……と思う。
「っ……先生って、普通にしてたらいいのに」
「おいおいwwwこれが俺の普通だっつーのwww」
宮本の顔が真っ赤になって、ぶつぶつと言う。
性格否定とかあかんで!おっとうは許しまへん!
「うわwwwまた寄ってきやがったwww」
薄暗い山中。
蛍光灯の弱い明りから、奴らがフラフラとこちらに向かって歩いてくる。
俺マジでホラーダメなんだよ……。
まだゾンビとかの洋画なら我慢できるやつもあるんだけど、邦画は全部ダメですwww
「先生、行きましょ」
「おう、捕まっとけよ」
俺に身体の柔らかさを伝えてくれwww
◆
雪人と麗が夜中のツーリングとしゃれ込んでいる一方で、冴子や沙耶が乗っているバスは長い渋滞に巻き込まれていた。
「きゃぁぁっ!」
車外では、機動隊が銃を使用して奴らを射殺していた。
本来なら自分の家族にも会いに行きたいだろうに、市民の安全を守ろうと任務に従事しているのだ。
そして安全な車内では、銃声を聞いた女子生徒が悲鳴を上げる。
まあその手の仕事に就かない限り、日本では見ることのない銃があれば、悲鳴を上げるのも仕方ない。
「大丈夫……怯える必要はありませんよ……」
怯える二人の女子生徒に、そう話しかける紫藤。
彼女たちの前にぬっと顔を出す姿は、まるで蛇のようだ。
そして彼の性格上、それはあながち間違いでもない。
「バスの中にいる以上、私たちの安全は確立されています。安心しなさい」
「せ、先生……」
二人の女子生徒を優しく抱きしめそう言うと、女子生徒たちは頬を染めて紫藤を見つめる。
この場に雪人がいたら、嫉妬して紫藤に襲い掛かることは間違いない。
女子生徒たちを安心させた紫藤だが、その後ろからは冴子と沙耶、それにコータと孝が冷たい目でそれを見ていた。
特に冴子は、紫藤を絶対零度の目で見つめていた。
彼女の考えていることとは……?
「(先生先生先生先生何故私から離れてしまったのだ先生と私は一心同体なのに絶対に離れてはいけないのにもしかしてこれは何かの試練だったりするのだろうかならその試練を出した奴を無残に殺してやろうそれよりも離れた原因を作ったのはこのクソ眼鏡か後ろから木刀を振り下ろしても構わないだろうか)」
……色々とぶっ飛んでいた。
◆
バイクで街中を走っているが、誰にも会わない。
音もバイクのエンジン音だけで、まるで世界に俺たちだけしか存在していないようにも感じられる。
……まあそんなことはないんだけどねwww
人間のゴキブリ並のしぶとさがあれば、絶滅することはないだろう。
ただ、血しぶきが飛び散っている街中は不気味である。
後ろの宮本もそう感じたようで、腹に回してくる腕に少し力を入れた。
あ、猫がいたわ。やだ超か~わ~い~い~www
「先生、あれ見て」
「え、なになに?」
街の惨状を見て大人しくなっていた宮本が、やけに元気のいい声を出す。
彼女は俺の背中に覆いかぶさり、前に腕を向けて注意を向けていた。
うほっwwwいいお胸wwwや ら な い かwww
「……先生、顔がきもい」
ぐっさり刺さりましたよ、ええ、私の心臓にwww
顔がきもい?仕方ねえだろうが!!遺伝だよ遺伝!!俺の両親に文句言えや!!
大体今の時代、顔が全てみたいな風潮なんなの?バカなの?死ぬの?
世の中金が全てに決まってんじゃねえか。それがなんだよ。イケメンみたらキャアキャア言いやがって……!!
そう盛大に僻んでいた俺だが、俺自身、美少女な宮本とブスな女だったら態度が変わることに気づいて大人しくなる。
仕方ないね、世の中顔だからね、仕方ないね。
「もうっ、先生!あれ見てってば!」
グニグニと背中で押しつぶされる二つのお山。
お前分かっててやってんじゃねwww?もうおじさん辛抱堪らんwww
しかしずっとこんな調子で宮本に槍で刺されたら困るので、彼女が差す指先を見る。
そこには俺たち変態紳士の天敵である、白い外装と赤ランプをつけた悪魔の使者が……。
つまるところ警察である。
「み、宮本……静かにしろ。そんでもってルート変更だ!」
「……あんた、何かマズイことしたの?私の親が警察って忘れてない?」
こ、こいつもあの犬どもの手先かっ!!
うぬぅっ!!許さんぞ!!
というか今の状況はマズイ。
いい年をした男が『無免許』で『盗んだ』バイクを『ヘルメットなし』で『二人乗り』をし、しかも俺が『教師』で宮本が『学生』。
……どれだけ罪状かけられるんや。
しかし俺の心配は杞憂になることになる。
「…………」
宮本は唖然とした様子でパトカーの内部を見る。
そこには期待していた警察官の姿は確かにあった。
だが警察官の二人は横から突っ込んできたであろうトラックに押しつぶされ、息を引き取っていた。
「oh……」
警察官さぁぁぁぁぁぁんっ!!
なんてこったい!!俺を守ってくれるであろう国家権力がこんなところでお亡くなりに!?
くそがっ!死ぬんだったら迷惑かけないで死ねよ、トラックの運ちゃん!!
俺が心の中で盛大に嘆いていると、宮本が一人パトカーに近づいていく。
「え、何してんの?」
「何か使えそうなものがないか、探すの。先生も手伝ってよ」
ひぇっ、死体あさりですか……。これはなんとも……。
そんなことはしたくない俺だが、流石に子供の宮本にやらせるわけにもいかず、手を合わせてからパトカーの内部をあさる。
いや、俺だってやっていいことと悪いことくらいわかるわwww
「手錠に警棒、あとは皆大好きピストル……」
「皆大好きじゃないわよ」
そうか?平野の目の前でちらつかせたらよだれを垂らして食いついてくると思うけど。
まあ俺はそれ以上に物騒なもの暗器で持っているからいらないけどなwww
でも不謹慎だが、世界が終ってよかったわwww
下手したら俺捕まってたしwww豚箱に入りたくないですwww
「先生、これ使える?」
「あー……まあ使えるっちゃあ使える。でもこれはお前が持っとけ」
拳銃を見せてくる宮本に俺はそう答える。
石器で作った槍から自動小銃まで、古今東西の武器を持つ俺にそんなもの必要ねえwww
「え、でも……」
「いいから持っとけってwwwお前の方が大切なんだからな」
そう言うと顔を真っ赤にする宮本。
そりゃあ、自分を守る武器を大量に持った男と、槍もどきしか武器を持たないおっぱい大きい美少女。
守るべき対象なんてはっきりしているだろうwww
「でも私使えないわよ?」
「別に撃つ必要はねえよwww持っているだけでも示威行為になるし、最悪威嚇射撃ってことで上空に向けて引き金引けばいいだけだからwww」
というか普通の日本の高校生が拳銃使いこなすほうが怖えよwww
平野?あれは例外だよ。
「さ、早く行きましょ。早く皆と合流したいし」
「俺は二人っきりというのも中々乙だと思っているんだが……www」
「何されるかわからないから嫌よ」
な、何もしねえよ?いや、本当に……本当だって言ってんだろ!!
だが俺もさっさと合流したいのは事実。
俺、生きて帰ったら鞠川先生のおっぱいにダイビングするんだ……。
「とりあえずガソリンスタンドに寄るぞ。もうあまり残ってねえわ」
「うん、わかった」
そう言って宮本は俺の身体に腕を回して密着する。
こんな美味しい思いするんだったらバイクの免許取っとくんだったわwww
後書き
忘れていたころに更新。
なお、次の更新日は不明な模様。
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