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雑炊

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第二章


第二章

 その彼は大学生になってだ。周りにその雑炊のことを話した。するとだ。 
 大学の友人達は笑ってだ。こんなことを言った。
「まあな。雑炊ってな」
「急いでる時とかおかずがない時とかな」
「かっこんだりするよな」
「結構便利な食べ物だよな」
 友人達も雑炊については認めるのだった。そしてだ。
 彼等はさらにだ。こうも話した。
「雑炊っていいよな」
「鍋の後とかそれにして食うよな」
「牡蠣とか蟹とか最高だよな」
「最初から雑炊にしてもいいんだよな」
「キムチ雑炊とかな」
 日本風の雑炊だけでなくだ。そうしたものも挙げられた。他には。
「豚汁にそのまま入れてそれでもできるしな」
「ああ、味噌汁にそのまま入れても雑炊になるからな」
「雑炊って便利だよな」
「食べやすいしな」
 こう笑顔で話す彼等だった。そうして雄策も笑顔で言うのだった。
「そうそう。はっきり言って何でもない料理だけれど」
「だからこそ美味いんだよな」
「腹も膨れるしな」
「やっぱりいい食べ物だよな」
「色々なバリエーションもあるし」
「だから僕さ」
 雄策はさらに話す。その雑炊について。
「いざって時はいつもそれなんだ」
「雑炊食うのか」
「そうしてるんだな」
「うん、試合の前もテストの前も」
 そうした大事な時代はいつもだというのだ。
「いつも雑炊なんだ」
「本当に好きだな」
「そうした時につも雑炊って」
「そんなに好きか」
「好きだよ。美味しいし身体にいいし」
 だからだと。笑顔で話すのだ。
「本当に大事な時はいつもだから」
「まあ。野菜もたっぷり食べられるしな」
「身体もあったまる」
「だからいいか」
「そうだよね。それに色々な雑炊があるし」
 それでだ。このタイプの雑炊のことも話すのだった。
「リゾットとかね」
「ああ、イタリアの」
「あの雑炊も好きなんだ」
「あれもいいよね」
 ここでも笑顔の彼だった。
「幾らでも食べられるよ」
「まあ食べ過ぎて太らないようにな」
「それには気をつけろよ」
「わかってるよ。リゾットね」
 リゾットについてだ。雄策は明るく話す。
「あれもいいね」
「とにかく雑炊系好きだな」
「そうなんだな」
「そうだよ。じゃあまた何かあったら」
 その時にだと。彼は笑いながら話す。
「雑炊食べようか」
「まあ食べて力つけろよ」
「そうしろよ」
 そんな話をしてだった。彼は雑炊を食べ続ける。
 その中でだ。彼にだ。声をかけてくる女の子が来た。
 大学の同級生だ。小柄で童顔の可愛らしい女の子だ。茶色の癖のある髪の毛でふわふわとした感じだ。目は大きく髪に花の飾りを付けている。その黒く大きな目の光が明るい。
 名前を雅かな恵という。小さな口だがそれでも声は高い。その彼女が彼に対してこんなことを尋ねてきたのだった。
「ねえ、雄策君って」
「うん、何かな」
 ある程度友人付き合いをしている中でお互いに名前で言い合う仲にはなっていた。その彼女がこう彼に言ってきたのである。
「好きな食べ物何?」
「雑炊だけれど」
「雑炊好きなの」
「うん、雑炊なら何でもね」
 好きだとだ。彼女にも笑顔で話すのだった。
 
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