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とある物語の傍観者だった者

作者:パズル男
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21話:欠陥電気

 
前書き
主人公がカミやん化してきてウザい…… 

 
「不幸だ……」

 8月20日、真夏の夕暮れ。

 補習帰りにジュースの自動販売機に金を呑まれたつんつん頭の不幸少年はそう呟いた。

「ちょろっとー。なにやってんの、アンタ?」

 カツッと革靴を鳴らしながら、ビリビリ少女は不幸少年に声をかけた。

「お姉様?」

 その後、ビリビリ少女に顔形そっくりの妹がやってきた。

 三人の出会い。

 それが、事件の幕開けだった。

 アクセロリータと呼ばれる超能力者が起こす殺戮劇の、幕開けだったー。

 だったー…………

 ダッター……

 内容はほぼアニメと一緒なので割愛……。

 いや、映画自体アニメで上映されていたけど、元の世界で見たアニメと一緒の内容だったのだ……。

 これが何を意味するのか……

「超近簿、【とある魔術の禁書目録】ってタイトル名なのに能力者同時の超ガチバトルじゃありませんか」

 そ、そーですねー……

「全然オカルトっぽくないお話しでしたし、禁書目録ってワードすら超無かったですね」

 あぁ、オレの知ってる内容と異なる点があるとするなら、インなんとかさんの出演がなかったということだけ。

 他は、本当にカミやんみたいなつんつん頭の不幸少年が少女たちを守るために学園都市最強をそげぶするお話し。

 まぁ、この妹達編だけでいうならタイトル詐欺だな。

「さすがC級映画ですね、私の期待を超裏切りません」

 タイトル詐欺にあったものの超絹旗は映画の内容に満足したらしい。

「あー、胸糞悪い映画だったにゃー」

 舞夏を先に家に帰しといて正解だったにゃー、と聞こえたりするが……

「ところで、超近簿……いや、超ロリコンさん」

「な、なんだい、超絹旗さんや……」

「いつまでポップコーンの空の容器に顔を超つっこんですか?」

「ずっと、永遠に……」

 現在、オレと彼女の距離は席の端から端まで。

 オレは今の映画を観て、アニメなのにゲロっちまったりする。

 ので、超絹旗の命令で距離を置かれていた。

「アレで吐くとかどれだけヘタレなんですか、超情けない」

 確かに情けないかもしれない。超ヘタレなのかもしれない。

 でも、仕方が無いだろう。とある妹達について懸念していた矢先にこれだ。

 人は緊張しすぎると腹痛が起きたり、大きな不安を抱え込み過ぎると吐いてしまうことだってあるだろうよ。

「あんな都市伝説なアニメ映画、超本気にしないでください。さぁ、その超汚物兵器は置いといて超帰りますよー」

「ぎょ、御意……」

 オレ達は映画観を後にする。吐いた中身が溜まった容器を映画館内のどこかに置き忘れて。





 しばらくして、絹旗と今日の日は超さよならした帰り道……

 しかし、解せない。どうも腑に落ちない。なんで、あのアニメ映画がこの時期にこのタイミングで、オレを見計らって上映されたのだろうか。

 もしかすると、タダの偶然なのかもしれない。でも、それ以上に悪意しか見えないその上映に、一緒に観ていたあの超絹旗が関係しているんじゃないかとさえ疑ってしまえるタイミングの悪さだった。

 もしかしたら、アニメでは描かれなかった物語の裏方でこの子が何か暗躍していたのかもしれない。

 そもそも、これから起こる殺戮ショーなこの世界で、未来予知もいいところな予告アニメ映画が上映されるものなのか……

 誰が何のために?? 今から5日後ぐらいか?? 誰かが予知してアニメを作って訴えているとでもいうのか……

 いや、考えすぎなのかもしれない。でも、そうじゃなければ……

 仮に超絹旗があの殺戮アニメを作ったとして、オレに何を問いかけているのだ?? 妹達を助けろってか??

 いやいや、自惚れもホントいい加減にしろよ、オレ。

 それに例えそうだとしてもオレは関係ない話だから美琴も含めて助けない。

 それよりも、だ。

 このタイミングで遠くの方で爆発音がここまで轟いた。

「………」

 音がした方を振り向けば爆煙もうっすら見えたりする……

「さて、このタイミングで景気の悪い爆発音……偶然にしてはちょっと出来すぎているな」

 誰に問いかけるわけでもないけども。

 もう、最悪の言葉しか思いつかないほどオレの中の何かがはじけ飛びそうだ。

 き、きっと祭かなにかで使用するはずだった花火が誤爆したんだ……うん、きっとそうに違いない。

「じぇじぇじぇ……」

 もう何を言い訳にしても、自分に言い聞かせても無理があるだろうか。

 オレは平穏が欲しいんだ。だから、オレは動かなかった。何もしなかった。もう既に1万ほど妹達はセロリの手によって殺されたに違いない。だから、今更オレが何かしたって一緒じゃないか……

 でも、逆に今から動けば助かる命もあるのかもしれない、そんな望みの薄い希望。

 今から何をしたって、そんなんで、目を瞑って見捨ててきた彼女たちの罪滅ぼしさえできるはずもないのに……

「こ、これで本当に最後だから……」

 この優柔不断男め……

 結局はこうなるのな、気がつけば体が動こうとしていた。

 しかし、第三者によって止められた。超絹旗ではない……

「ここから先、部外者は首を突っ込まない方がいいぜよ。イッチー」

「邪魔だよ、どけよシスコン野郎」

 なんてタイミングで現れるんだ。

 まるで、こうなることがわかっていたかのように、見計らったかのようにオレを止めに現れやがった。

「イッチー、少しは落ち着くのにゃ、はい深呼吸ー」

「ふんだ……」

 こんな非常時に落ち着いてられるか。誰がするものか……

「土御門、こっちは急いでるんだ」

「まぁそいつは難しい相談ですたい、俺は友達としてイッチーを止めてやるのにゃ」

 あくまで友達として、か……

「友達思いな土御門くんなら、だったら尚更どけよ。お前はアレを見てどう思ったのか知らないが、オレは以前からアレが起きることを知っていたし、もうこれ以上は我慢の限界なんだ」

「ふーん……それで? やっと重い腰を上げたお前が今更現場に行ったところでどうするつもりだ?? またあの時みたいに少女を誘拐でもするつもりか??」

「誘拐だなんてお前らはホント人聞きが悪いんだよ」

 ホントどいつもこいつも口を揃えて言いたい事言いやがって……

「オレはただ彼女らを助けたいだけだよッ!!」

 なんで少女を連れて逃げることが誘拐になるのだ。つーか、お前も共犯だろうが、なんでオレだけが誘拐犯なんだ、おかしな話である。

 まぁその話は置いといて……

 しかし、土御門は言う。

 世の中どうしようもないことなど山ほどある、と聞き分け悪い輩に言い聞かせるように。

「やめておけ。言っちゃ悪いがイッチーにはかなり荷が重い問題だ」

 ただの一般市民のオレが関わっていいものじゃないと。

「だから言ってやるのさ、彼女たちはカミやんにでも任せてお前は諦めた方がいいとな。お前が関わって碌なことになんてありやしないんだからな」

「くそったれが……」

 本当に、あのアニメの内容がこの世界で起きるのなら、逆にお前が邪魔なんだと。もう事件の解決策はカミやんと分かってるんだから、尚更大人しくしておけと……

 しかし、凄く酷い言われようだ。

 土御門はオレよりも学園都市を知り、闇を知っている。

 たぶん、あのアニメ映画を観て何か察したんだろう。だから本当に土御門はオレのために言ってくれている。

 でも、そうじゃないだろ。

「でも、やっぱり今すぐ行けば助かる命があるんだよ!!」

 たとえそれが偽善だと呼ばれようが、人の皮を被った鬼だとは言われたくない。

「そうやって後先考えず日常を壊す気か?? それがお前の望んでいたことなのか??」

「だからっ、知ってしまったんだからほっとけるかよ!!」

 我ながらめんどくさい性格をしてやがる。

 真実を知らなければどれだけ楽だったか……

「はぁ……イッチーの悪い癖ですたい。普段は平穏を望んでいるとか事件に関与しないとか言ってる癖に、結局自分を制御できてないにゃー」

 まだまだお子様ですにゃと土御門はいつもの調子に戻ってため息を吐いた。

「わかった。もう降参だにゃ……」

 ついに土御門が折れた。

「いいぜよ。今回だけは、俺が上の連中を説得してなんとかしてやるにゃ」

 サンキューな、土御門。

「でも、これだけは守ってほしいぜよ。今回の事件はいろいろとめんどくさそうだから、できるだけ魔術は使うなよ?」

「お、おう!!」

 一方通行に能力だけで対抗できるワケもないんだけどな……

 そっか、科学側の問題だから魔術使用自体問題なんだな……つっても、AIMバーストに魔術かましたんだけど。

 い、一回だけならいいよな?? 絶対使っちゃ駄目とは言われてないしな。

「よし、じゃあさっさと女の子攫ってくるにゃ、誘拐犯め。また病院で会うぜよー」

 なんか、こいつの中でオレが病院行きだと確定していた。カミやんじゃあるまいし……

「よ、よーし、とにかくオレはやーるーぞー!!」

 オレは誘拐犯と呼ばれようともミサカ妹の1人を絶対に助けてみせる。

 オレはもうダッシュでこの場を後にした。










 まぁ、もちろんこんなにもお喋りをしている余裕はなかったし、オレが実験場に辿り着いた時にはまだ少女は生存していることが奇跡ではあったがな……










 オレは実験場に着いてその光景に目を疑った。

 どこかのコンテナが沢山並べられた倉庫っぽい所。レベル5の第一位が相手なんだ、そこで起きた戦闘が凄まじいことを物語ってはいたが……

「これが噂の学園都市最強のレベル5ですか、とミサカは心底残念そうな顔で貴方お顔面を踏んづけてさしあげます。JCに踏まれるとかロリコンな貴方にとってご褒美ですよね??」

「ぐっ、くそったれが…………」

 ………。

 おいおいおい、この世界のシナリオはどうなってやがんだ……

 グリグリと少女に顔を踏んづけられる白髪頭のモヤシくん。つーか、ロリコン呼ばわりされていた。

 つーか、なんかミサカ妹がセロリくんを圧倒していた。

 こりゃあ、土御門。お前の言ったとおり、事件に関与すべきじゃなかったと後悔するしかなさそうだ。

 お前はこうなると予想できたのか??

 オレには予測不能な、くそったれの展開だった。  
 

 
後書き
雲行き怪しくなってきましたが……


思い描いていたシナリオを多少変更しましたが、後悔もしてますが、前進あるのみです 
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