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万華鏡

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第七十二話 三学期その七

「クリスマスに神主さんも来て一緒にクリスマスイブとかね」
「滅茶苦茶いい加減ね、それはまた」
「宗教ごちゃごちゃじゃない」
 景子にはよくわかる話だったが黙っていた、自分がよく知っていることだけに話すと余計にややこしくなるからである。
「どういった話よ」
「お坊さんはクリスマスお祝いしたら駄目でしょ」
「いや、最近普通だから」
 部長は同級生達の突っ込みに冷静に返した。
「日本だとね」
「我が国だとなの」
「普通なの」
「そう、まあとにかく節分はライブよ」
 このことは既に決まったとまた言ったのだった。
「神社ね」
「わかったわ、それじゃあ」
「節分にはね」
 二年生はこれで納得した、どうにも釈然としないものを感じながらも。
 そうしてだ、その話の後でだった。
 琴乃は家に戻ってだ、母にこのことを話した。すると母は首を傾げさせそのうえで娘にこう言ってきたのだった。
「おかしくない?何か」
「神社でロックとかポップスはよね」
「それもだけれど」
「他にもおかしいところあるの?」
「鬼って仏教じゃ」
 こう言うのだった。
「そうだったんじゃないかしら」
「あれっ、神社じゃないの?」
「どうだったかしら」
 母が引っ掛かっていたのはこのことだった。
「そこは」
「あれっ、鬼って仏教だったの」
「そうじゃなかったかしら」
「神道じゃないの」
「そんな気もするけれど」
「ええと、鬼って」
「餓鬼とかはね」
 仏教の存在だ、欲深く常に餓えているが喉は針の様に細く食べものは喉を通らない、他には糞尿を食したりする卑しい存在とされている。
「鬼でしょ」
「餓鬼ねえ」
「そうじゃないかしらとも思うけれど」
「けれど節分は神社で行われるでしょ」
「そうなのよね」
「お寺ではやってないんじゃ」
「確かね」
 この辺りあやふやな母だった。
「何かしてた気もするし」
「その辺りいい加減なのかしら」
「仏教に鬼も出るから」
「そういえばお坊さんが鬼を退治する何とかってあるわよね」
「童話とかでもあるでしょ」
「ええ、何か」
「どうだったかしら」
 この辺りはあやふやな二人だった。
「その辺りは」
「じゃあ神社でのライブは」
 節分でのそれはと問うた琴乃だった。
「違うのかしら」
「いえ、合ってると思うわ」
「それはいいのね」
「あと本当に最近神社でも声優さんやアイドルグループがライブしてるから」
 このことについても言う母だった。
「それもね」
「結局はなの」
「いいんじゃないかしら」
「いいの?」
「まあね、神社もお寺もね」
 そのどちらもだというのだ。 
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