万華鏡
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第七十一話 おとそその十二
「それ着る?」
「えっ、着物!?」
「それあるの」
「ええ、どうする?」
それを着ようかというのだ。
「お正月だし」
「ううん、そうね」
「それじゃあね」
こう考えてだ、そしてだった。
琴乃がだ、こう景子に言った。
「じゃあ借りていい?」
「ええ、それじゃあね」
「私もね」
「私もそう言ってくれるならね」
里香と彩夏も言ってきた。そして美優もだ。
「あたしもよかったら」
「そう、じゃあこれで決まりね」
笑顔で言ってだ、そしてだった。
景子もだ、こう言うのだった。
「さて、じゃあ五人でね」
「そうよね。お揃いね」
「着物はね」
景子はここでだ、着物のことを話したのだった。
「着るのが難しいから」
「着付けね」
「それね」
「そう、それは任せてね」
景子は四人に笑顔でこう言う。
「専門家みたいなものだから」
「というか着物の着付けって」
琴乃は浴槽の中からあがった、そのうえで身体を洗いはじめた。そうしながら景子に着物の着付けのことについて言った。
「滅多に出来ないわよね」
「今はね」
「それこそ専門的な技術だけれど」
「私はお母さんに教えてもらったのよ」
「それだけで結構役に立たない?」
「お母さんそっちでも引っ張りだこよ」
実際にそうなっているというのだ、景子の母にしても。
「副業みたいになってるわ」
「そうよね、やっぱり」
「成人式の日とかね」
「ああ、着物着るからね」
成人式の時も着る、元旦の時もだが。
「だからなのね」
「そうなの、それでなのよ」
「景子ちゃんのお母さん成人式も忙しいのね」
「結構ね」
そうだというのだ、実際。
「それで私も出来るから」
「お金は」
「いいわよ、私そっちのお仕事はしてないから」
笑ってそれはいいと言うのだった。
「だからね」
「ただなのね」
「昨日から助けてもらってるから」
神社の仕事をだ、巫女として。
「だからいいわ」
「そう言ってくれるのね」
「それじゃあお風呂からあがったら」
「ええ、着物を着たうえで」
「初詣行きましょう」
酒を湯船の中で抜きながら言う景子だった、そうしてだった。
五人は風呂で酒を抜いてすっきりとなったうえで着物を来て初詣に行った、そこで楽しく出店の食べものも楽しんだ。
第七十一話 完
2014・3・1
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