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万華鏡

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第七十一話 おとそその十一

「行こうな」
「そうしましょう」
「ただね、ちょっとね」
 ここでだ、琴乃は苦笑いを浮かべてこんなことを言った。
「皆お酒まだ結構残ってるでしょ」
「ええ、ちょっとね」
「まだね」
「これは結構ね」
 二日酔いがなくなるまでにはというのだ。
「苦労しそうね」
「そうね、まだね」
「お風呂に入る必要があるわね」
 四人もこう琴乃に話す。
「冷たいシャワーも浴びて」
「またお風呂にも入って」
 景子の言った通りそれを繰り返してというのだ。
「そうしていってね」
「何とかお酒を抜いて」
「いや、何か高校に入ってからね」
 琴乃は今度は入学式の時からのことを話した。
「ずっとこんな調子よね」
「飲んで二日酔いになって」
「それを解消して」
「何か繰り返しよね」
 琴乃はこう言うのだった。
「何かっていうとお酒飲んでね」
「文化祭の時なんてね」
 里香は秋のことを思い出して苦笑い、琴乃と同じ笑顔になってそのうえで話した。
「凄かったわよね」
「そうそう、もう浴びる位飲んでね」
「夏休みの合宿の時でも」
「あの時夜は皆溺れる位だったから」
 浴びるどころかだ、そこまで飲んでいた。実際に。
「鯨みたいにね」
「鯨飲ね」
「そうそう、文字通りそうだったじゃない」
「とにかく飲んでるわね」
「相当にね」
 入学以来だ、そうなっているというのだ。そしてだった。
 飲んでからだ、今の様にというのだ。
「お風呂に入ってね」
「というかね」
 彩夏も言う、酒は確かに身体から抜けていっていることを感じながら。
「お風呂も随分入ってるわよね、私達」
「お酒とお風呂セットになってね?」
 美優はこう彩夏に返した。
「何かさ」
「ええ、確かにね」
「そうなってるわね」
 四人もこう言う。
「何ていうかね」
「もうお酒入ったら飲んでるわね」
「身体も綺麗にしてお酒も抜いて」
「そうしてるわね」
「だよな、いや飲んですぐに入るのは身体によくないけれど」
 それでも入ってはいる、この学園の面々は。
「お酒とお風呂はセットだよな、あたし達は」
「そうなってるわね」
「今みたいに」
「じゃあ今もな」
 どうかと話した美優だった。
「酒きっちり抜いてな」
「そしてね」
「初詣ね」
「行こうか、楽しく」
「着物あるけれど」
 景子がこう切り出した、今度は。 
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