万華鏡
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第六十九話 十二月になってその十三
「私も見てえっ、てなるけれど」
「まあそうでしょうね」
「普通にそうなるわよね」
五人も景子のその話に納得して頷く。
「普通日本酒で甘いものはないからね」
「左党はね」
「ちょっとね」
「甘いものは」
だから日本では甘党は酒が駄目となっているのだ、織田信長も酒は飲めず甘いものを好んだことはあまり知られていないことだろうか。
「日本酒には合わないから」
「やっぱり辛いものよね」
「それも塩辛いもの」
「お醤油とかな」
四人でそれぞれ話す、景子以外の面々で。
「おでんとかね」
「塩辛もいいし」
「お漬物も結構」
「梅干もおつだぜ」
「ところがその先輩は違うから」
青木先輩の話をだ、景子は続けるのだった。
「そういうものでも飲むけれど甘いものでもなの」
「飲むのね」
「とことんまでに」
「そうした人だから」
それでだというのだ。
「凄いのよ」
「成程ね」
「強烈な人ね」
「ちなみに下の名前は茉莉也っていうの」
その名前の話もした。
「青木茉莉也っていうの」
「神社の娘さんで茉莉也?」
「何か違わなくない?」
「何で茉莉也なんだ?」
「聖母さんの名前じゃない」
「この学園教会もお寺もあるじゃない」
宗教学部がある関係でだ、そうした場所も学園の中にあるのだ。
「それで先輩が生まれた時に神主さん、先輩のお父さんが神父さん達に相談してね」
「それでその名前になったの」
「茉莉也に」
「そうなったの」
「そうなの」
こう話すのだった。
「それで茉莉也なのよ」
「何か色々と凄い人なんだな」
美優は景子の話をここまで聞いてしみじみとした口調で述べた。
「おはぎで日本酒飲むところといいトライアスロンやってることといい」
「それでお名前もなのね」
「何かと凄い人だよな」
「ええ、凄い人よ」
実際にそうだと答えた茉莉也だった。
「先輩はね」
「個性的なんだな」
「巫女としての技量は確かよ」
「本職はしっかりしてるんだな」
「お祓いも出来るわよ」
それも可能だというのだ。
「ただ。酔うと女の子相手に誰彼構わずセクハラするけれどさ」
「それはアウトね」
「駄目よね」
「婚約者がいて男の人はその人一筋だけれどね」
しかしだ、女の子相手はというのだ。
「そっちは誰彼構わずなのよ」
「この場合誰彼女構わずね」
里香はさりげなくこう訂正した。
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