万華鏡
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第六十九話 十二月になってその十二
「じゃあいよいよだよ」
「クリスマスの最後の主役ね」
「それね」
「ああ、これ食おうな」
満面の笑みでの言葉だった。
「最後は」
「そうね、それじゃあね」
「いよいよね」
「ケーキを食べて」
「ワインもこのまま飲んで」
「赤ワインっていいよな」
既にその赤ワインのせいで顔はワインの様に真っ赤になっている、美優はその赤くなっている顔でこう言った。
「ケーキにも合うから」
「そうそう、合うのよね」
「ワインってケーキにも合うのよ」
「赤ワインだと特にね」
「不思議な位ね」
「洋菓子とワインは合うんだよな」
ケーキに限らず、というのだ。
「そっちは」
「けれど和菓子と日本酒は合わないのよね」
彩夏がこのことを話してきた。
「これが」
「そうそう、全然ね」
「おはぎと日本酒とかね」
「宇野先輩だったっけ。高見先輩だったっけ」
美優は修学旅行の時に五人と同室だった先輩達の名前を出した。
「誰だったっけ。おはぎとかで日本酒飲む人いたよな」
「それ青木先輩じゃないの?」
景子は美優の今の言葉を聞いてこう返した。
「確か」
「青木先輩って?」
「うちの学園の神社の娘さんよ」
景子は琴乃達に簡単に説明した。
「それで私も子供の頃から可愛がってもらってるけれど」
「その人がなのね」
「そうなの、日本酒をおはぎとかで飲むのよ」
「凄い味覚ね」
「そうでしょ、凄いのよ」
実際にというのだ。
「明るくて気さくで大酒飲みでね」
「甘党でなのね」
「そうした人なのよ」
「確実二糖尿病になるわね」
その人の飲み方を聞いてだ。彩夏はすぐにこう言った。
「おはぎに日本酒って」
「和菓子全体的に好きでね」
「いや、そこに日本酒だとね」
「カロリーは消費してるから」
だから大丈夫だというのだ、糖尿病については。
「トライアスロン部でね」
「そんなのやってるのね」
「凄いからね、トライアスロンは」
「水泳に自転車にマラソンよね」
「それをやってる人だから」
運動はしている、それで糖尿病の心配はいらないというのだ。
「まあ飲む量はうわばみだけれど」
「うわばみってそんなに飲むの」
「そんな凄い人なの」
「小柄なんだけれど、私より十センチ位」
つまり一五〇程だというのだ、その先輩の身長は。
「運動神経はいいの、というかスタミナあるわよ」
「トライアスロンやってるからね」
「体力はあるのね」
「そっちは」
「そうなの。それでその人がね」
日本酒を和菓子で飲むというのだ。
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