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万華鏡

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第六十六話 ゲリラライブその六

 それでだ、美優は言うのだった。
「何で待つんだろうな」
「そのことね」
「それがよね」
「そうだよ、何でだろうな」
「そこは先生に聞いてみましょう」
 里香は首を傾げさせる美優に知恵を出した。
「そうしたこともね」
「だよな、それがいいよな」
「ええ、今はね」
 こう話してだ、そのうえでだった。
 今は待つことにした、程なくして一台のトラックが来てそこから顧問の女の先生が出て来て五人に言ってきた。
「じゃあ楽器乗せて入れるの手伝ってね」
「あっ、だからですか」
「私達に待ってろってなってるんですね」
「そうよ、持って来た時は暇な先生達を動員したけれど」
「今はですか」
「その先生達がおられないから」
「そうよ、それに持って来た時jは一応ゲリラだったからね」
 先生達もこの設定は頭の中に入れていた、確かに誰もが既に知っていることであったが。
「あんた達が持って来ていたらまずかったでしょ」
「はい、確かに」
「そのことは」
「だから持って来る時はそうしたけれど」
 ライブが終わった今はというのだ。
「今はこれでいいのよ」
「そうですか、じゃあ」
「お手伝いをしてから」
「帰ってね、いいわね」
 こうしてだった、五人は待つ理由もわかってそのうえでだった。
 楽器を収めるのを手伝ってだ、それからだった。
 学校を後にした、この時美優が五人で家に帰ると部長にメールした。するとすぐに返事が返って来た。
「了解ってさ」
「そう、それじゃあね」
「今からね」
「帰ろうな」
 四人に笑顔で告げる。
「今から」
「ええ、それじゃあね」
「今からね」
 こう話して家に帰る五人だった、そして家に帰ってだった。
 彩夏は母にだ、こう言われたのだった。
「お帰りなさい。晩御飯はね」
「何なの?」
「カレーよ」
 それだというのだ。
「カボチャを入れたカレーよ」
「まさかと思うけれど」
「そう、ハロウィンだからね」
「ああ、やっぱりそうなの」
「ハロウィンだからカボチャにしようって思ってね」
「それでパンプキンカレーなのね」
「いえ、野菜カレーよ」
 パンプキンカレーではない、そちらだというのだ。
「そちらよ」
「野菜カレーなのね」
「そうよ、カボチャの他にも色々入れたから」
「どんなの入れたの?」
「人参に玉葱にジャガイモに」
 まずはカレーに入れる定番だった。
「それとピーマン、茄子にアスパラガスに蕪、ブロッコリーよ」
「また色々入れたわね」
「スーパーでお野菜がどれも安かったのよ」
「それで色々入れたの」
「そうなのね」
「最初はパンプキンスープ作るつもりだったけれど」
 どちらにしてもカボチャは絶対だった。
「それでもね」
「カボチャはなのね」
「そうよ、絶対だったから」
 外せなかったというのだ、ハロウィン故に。 
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