孤独の水の支配者
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花咲学園
不思議な都市
―隠される力 4―
雪斗「おいこれ、やべェんじゃねーの・・・?」
萌依「・・・」
雪斗の声を無視してさらに下へやると、
ピタっとあたしの手が止まった
『花咲学園って言えば・・・〝死徒会〟って話はほんと?』
・・・死、徒会?
何それ・・・?
『え?何ですかそれ?』
『↑のやつと同じで変な儀式の何か?』
『違う違う(笑)死徒会は俺ら花咲学園の生徒しか知らない言葉(笑)
死徒会ってのは生徒会に付けられたもう一つの名前』
萌依「生徒会?」
『えっ!?生徒会に入ると呪われるんですか!?』
『そう思う人もいるかもしれないけど違う(笑)
普通の学校は毎年生徒会メンバーが入れ替わるのに花咲学園・別名花咲学園附属学校の生徒会だけは一度も入れ替わった事ないんだよ、不思議な事に。
125期っつってちょうど今から6年前に入学した初等部の数名の生徒たちが生徒会に入ったきり・・・ずーっとメンバーは入れ替わってないんだよ』
雪斗「えっ!?待てよ・・・これが4年前の書き込みだとすると、125期とかのメンバーが入学したのが6年前だとすると・・・10年は経ったイコール姉ちゃんと同じ学年?!」
ほぼ雪斗の話を無視して続きを読む
『一度もですか?』
『そう。今も全員、同じメンバーじゃないかな』
『うっわぁ~・・・死徒会、怖っ・・・』
『それも不思議な事に死徒会の周りで変な事が起きるんですよね~』
『はい・・・。(笑)
だからあの時起きた自然災害は死徒会のせいなんじゃない?っていう生徒もそう少なくないとか』
・・・何か少しだけ分かったような気がする
頭の中はまだゴチャゴチャしてるけど・・・少しだけ整理出来た
萌依「つまり・・・自然災害は・・・死徒会だか生徒会の仕業って事?」
雪斗「第一さ、生徒会って・・・誰だよ・・・」
萌依「捜してみる」
新しいページを出してさっきみたいに検索すると
ただ「該当なし」の文字しかなかった
雪斗「該当なし?」
萌依「有り得ないでしょ」
もう一度再検索すると今度は
『花咲学園によって検索制限がかけられています』
の文字が浮かんだ
萌依「はぁ?ちゃんと花咲学園中等部 125期生徒会って検索してるのに何で一人も出てこないの?」
雪斗「これって・・・つまりあれか?あの学園、本当はやばいんじゃねェの?」
萌依「待って待って待って。・・・じゃあ、あの・・・結界は何の為にあるの?意味わかんない」
両手を頭の上に当ててさっきよりも混乱した頭で雪斗を見る
グラン「ちょっとちょっと萌依も雪斗も落ち着きなさいよ!
何をそんなに混乱してるの?!」
萌依「何であんたには分かんないの?!」
近付いてきたグランディーネの顔を思いきり掴むとその後、あたしと雪斗が落ち着くにはかなりの時間が必要だった
そして次の日、昼休み。
昨日予定したように雪斗と一緒にパソコン室へ行くと
何かがあった時の為にと雪斗は廊下で待機していて
あたしは窓側の少しだけ後ろの方に座っていた
どうしてかは分からないけどこのパソコン室の出入り口は決まっていて
例え先生たちが来たとしても後ろのドアから逃げられるからって事で結構悩んで選んだけどそんなのはどうでもいい
萌依「(早くやんないと・・・)」
〝花咲学園中等部 結界〟で検索をすると明らかにあたしが昨日調べようとして出てきたページより遥かに検索結果が出た
萌依「・・・違う・・・これも違う」
どれもこの学園とは全く無関係の物が出てくると他の人たちの目を気にしながら下へやった時・・・
萌依「?」
〝生徒会 学校の守り神〟というキーワードにそのURLをクリックするといきなりページが真っ黒になったかと思うとそのページはどうやら日記らしく、一日も欠かさず日記が綴られていた
周囲を確認してUSBをパソコンに挿してデータをコピーし始めて五分経った時だった
いきなりアラームのような音が小さく鳴ったかと思いきや、
萌依「は・・・?使用不可・・・?」
画面に大きく書かれた字を読むと廊下の向こうから複数の足音が聞こえ始めた
萌依「チッ」
リセットボタンを押してUSBを引き抜くと少し早く歩きながらパソコン室へ入ってきた人たちと殆んど同じタイミングで教室を出ると
?「そこの貴女、待って」
集団の一番後ろにいた女の子があたしを見た時、こっちに向かって走り始めた
?「待ちなさい!」
雪斗「あ、すみません!落としましたよ」
?「私のじゃない。退いて!」
雪斗「けど今、貴女が通った時に落としましたよ?」
?「はぁ?」
廊下に待機していた雪斗がその人の前に立つとベタベタ触ってくる雪斗を通り越そうとしても雪斗はわざとらしい演技でその人を止めていた
萌依「・・・さすが」
相手に見られないように背中の後ろで親指を上に向けた雪斗の後ろ姿に向かってボソっと呟くと階段を下り始めた
グランディーネに言われたように一階へ下りると今度は反対側の階段まで行って二階へ、三階へ上がるとまたパソコン室に来てさっきのページを開くとUSBを挿した
萌依「・・・さすが雪斗。」
さっきの集団がグランドの方へ走り始め、
あたしと同じクラスにいた赤髪のやつが他の人たちに指示を出したかと思うと皆が四方八方に散らばった
萌依「そう簡単に捕まる訳にはいかない」
辺りを見回して誰もいない事だけを確認するとアクセスエラーにならないように邪魔な物を打ち消し始め、残り10%になった時だった
?「この学園の事を詮索してるのって・・・君?」
すぐ後ろからさっきまでは誰もいなかったはずの声が聞こえると、
椅子に座ったままクルっと回転した
萌依「調べ物をしてるだけなんですけど」
・・・後10%だけなのにここで止める訳にはいかない
もしも本当に・・・この学園にあたしが捜し求めてるものがあるとすれば・・・諦める訳にはいかない
?「君、転校生?」
萌依「そうですけど」
?「へえ~・・・どうりで見たことないや」
壁に寄りかかってる人があたしの横の椅子に座ると、
机の上に肘をついて頬杖をするとあたしを見た
?「クラスと名前は?」
萌依「言う必要、あります?・・・それとも生徒会、に通報でもするんですか?」
・・・後5%
?「生徒会?・・・ああ、言わないよ。気になったんでね、話しかけただけ」
萌依「・・・へえ」
船台「俺は船台航汰。このコンピューター室の第二の責任者でさ・・・さっき履歴から君が見ていたページを見て・・・不思議に思ったんだ」
・・・つまりあたしが何をググったのかもこの人は知ってる、って事か
さすがは・・・第二の責任者
船台「君に二つ質問したい。拒否権はないからね?」
萌依「嫌」
船台「拒否権はないと・・・言ったはずだ」
口角をあげた船台があたしの腕に触れそうになった時、
――船台がパソコン室の床に倒れた
船台「!?・・・何・・・した?」
萌依「女の子に喧嘩を挑む時はもう少し考えてから挑んだ方がいいと思うよ」
ニコっと微笑んでコピーし終えたUSBを取ると
パソコンの画面を消してそのまま船台を通り過ぎてパソコン室を出た
・・・能力を使ってなくとも人間の男は脆いのね
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