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戦国異伝

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第百六十話 四人の男達その七

「あの者に既に天海と崇伝が囁いておる」
「そして、ですな」
「そのうえで」
「そうじゃ、既に将軍は武田や上杉に文を送っておる」
 もう次の一手は出されているというのだ。
「そして将軍もな」
「挙兵して、ですな」
「天下に激を飛ばし」
「そして織田信長を」
「これはそうそう破れぬ」
 一向一揆に紛れて、というのはしくじったかも知れない。しかしそれでも次の一手は、というのである。そう言うのだ。
「しかしここでも出来ればな」
「はい、織田信長を倒しましょう」
「出来れば」
 三人もこう応える、そしてだった。
 闇の者達は天王寺砦を囲んだ、そのうえでそれぞれが連動して攻めに入る。 二十万の大軍がそうしてきた。
 石川、楯岡、音羽が四万ずつ率い三人三色の攻め方を見せる、加藤は前線で石川の攻撃を防ぎつつ言った。
「ううむ、これは」
「これまでとは違うのう」
 彼と共にいる福島が応える。
「どうもな」
「これまでのこの連中はただ攻めているだけじゃった」
「そうじゃったな」
「しかしじゃ」
 今はというのだ。
「整った動きをしておる」
「それなりの将が率いておるな」
「あれじゃな」
 加藤はここで前を見た、そこには巨大な煙管を持った大きな髷のやけに大きな男がいた。
「あの者じゃな」
「あの者は一体何者じゃ」
「わからぬのう」
 それが誰かはわからずだ、加藤は首を傾げさせた。
「あれではのう」」
「左様か、わしもじゃ」
 福島もこう加藤に返す。
「あの様な者はな」
「そうじゃな、しかしじゃ」
「しかしじゃな」
「あの者が采配を手にしておる」
 見れば采配をてにいている、煙管の他に。
「間違いなくのう」
「そうじゃな、確かにな」
「だからあれが敵将じゃ」
 その派手な大男がだというのだ。
「紛れもなくな」
「狙い撃てるか」
 福島はこう加藤に問うた、ここで。
「鉄砲か弓で」
「いや、間合いが遠いわ」
 目では見える、しかし鉄砲や弓矢を狙って当てられる距離ではないというのだ、加藤は自ら槍を手にして戦っているが冷静だった。
「無念じゃがな」
「そうじゃな、確かにな」
「今は無理じゃ」
 狙い撃つのは、というのだ。
「当たらぬわ」
「では敵兵を狙うか」
「そうしようぞ」
 今はというのだ。
「仕方ないわ」
「ではな」
 こうして彼等は守りに徹し戦った、それは他の者達もだ。
 森自身櫓に上りそこから敵を見つつ采配を取っている、その中で。
 彼は傍にいる島にだ、こう言った。
「どうもな」
「敵の動きがですな」
「数だけではないのう」
「はい、今は」
 島も森に応えて言う。 
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